千葉・幕張メッセにて9月26日~29日にかけて開催の「東京ゲームショウ2024」。ゲーム版「エトランジュ オーヴァーロード」を出展したジェムドロップブースをレポートする。
喜多山浪漫氏のオリジナル小説「エトランジュ オーヴァーロード」をジェムドロップがゲーム化!
トライエースでプログラムディレクターとして活躍した北尾雄一郎氏が独立したジェムドロップ。昨年のブースは会社設立10周年を記念したもので、これまでジェムドロップが開発に携わった作品に触れることができた。
今年は通算500万ダウンロードを達成した「PICO PARK」の続編である「PICO PARK 2」と喜多山浪漫氏のオリジナル小説「エトランジュ オーヴァーロード」を題材にしたゲーム版の試遊がメインになっていた。
また、同じく喜多山浪漫氏の手がける「デビルリバーシ」と「魔法捜査官」も展示。「デビルリバーシ」と「魔法捜査官」はジェムドロップの作品ではないが、北尾氏と喜多山氏が旧来の仲であることから展示されているそうだ。
それにしても独立してから2年の喜多山浪漫氏であるが、すでに3作を形にしたというから驚かされる。元ゲーム会社の社長で謎の覆面作家である喜多山浪漫氏は素顔を出していないが、今回は角巻わためさんのパリピサングラスとフルグラTシャツを着たファンキーな姿で登場。だいぶ素顔が露出しているので、ゲームファンなら正体に気付けるはず……?
「エトランジュ オーヴァーロード」に関してはゲームだけでなく日本ファルコムの人気RPG「軌跡」シリーズに登場するティオとのコラボ展示も。エトランジュとティオのふたりとも水橋かおりさんが声優を担当していることから実現したコラボで、今回だけのオリジナルボイスが聴けるほか、いっしょに撮影もできるのでぜひ足を運んでみてもらいたい。
さて、「エトランジュ オーヴァーロード」のゲームは開発をジェムドロップが担当するほか、キャラクターデザインを「Re:ゼロから始める異世界生活」で知られる大塚真一郎氏、主題歌をホロライブの角巻わためさんが担当するなど、ビックネームを起用していることが発表されたものの、具体的なゲーム内容についてはまったく公開されていなかった。
ここでは、実際にゲームをプレイしたレポートと、北尾雄一郎氏と喜多山浪漫氏のインタビューからゲームの魅力をお伝えしていこう。
「エトランジュ オーヴァーロード」プレイレポート
ゲームのジャンルはまだ非公表とのことであったが、プレイした感覚としてはアクションゲームであった。ただ、アクションとはいえ、ジャンルをくくるのは難しくバラエティあふれる作り。
チュートリアルで遊んだステージはアイテムを強化してキャラクターを強化しつつ、敵をせん滅していく、いわゆる“ヴァンサバライク”の内容であったが、次に選べたふたつのステージは、“SUSHI”を仲間に届けるものと、敵の攻撃から蓄音機を守るものになっており、基本のアクションは変わらないものの勝利条件のルールが違うので新鮮に遊ぶことができる。
エトランジュ以外にもネコタローやクック、シュワルツというキャラクターを操作可能。クックであればスピードが遅いものの一撃が重い攻撃を繰り出したり、シュワルツであれば銃による遠距離攻撃ができる。
操作キャラクターはワンボタンで切り替えられ、好きなキャラクターを操作可能。操作しているキャラクター以外は自動で行動してくれて、キャラクターがやられたときは仲間の近くでボタンを長押しすることで復活させられる。
ミニキャラたちは表情豊かでボイスの種類も多くてゲーム中はとても賑やか。今回は“こういうゲームを作っている”ということが分かる試遊になっていたが、製品版が楽しみになる作りであった。
北尾氏と喜多山氏にインタビュー
ここからは北尾氏と喜多山氏のインタビューをお届けするのでチェックしてもらいたい。
――まず簡単に自己紹介からお願いします。おふたりのゲーム版「エトランジュ オーヴァーロード」の担当箇所をお聞かせください。
喜多山氏:原作者で小説を担当している喜多山浪漫です。
北尾氏:開発元と、ディレクションをやっている北尾です。
喜多山氏:「エトランジュ オーヴァーロード」以外のゲームはジェムドロップさんは関係ないのですが、もともと自分が北尾さんとは戦友のような間柄で、北尾さんの海のような広い心で一緒に置かせていただきました。
北尾氏:(笑)。喜多山さんには普段からお世話になっているので場所をお貸ししました。
――「エトランジュ オーヴァーロード」はすでにコミカライズもおこなわれていますが、ゲーム化には驚きました。遊ばせていただいたところ、いろいろな楽しさが詰まったパーティゲームのようだなと感じました。制作にあたり、どのような目標やテーマがあったのでしょうか?
喜多山氏:私のなかの「エトランジュ オーヴァーロード」という作品は小説のなかにすべて詰め込んでいるのですが、一方でゲーム化にあたって「絶対にこうじゃなきゃいけない」というものはなく、ゲームとしていちばんおもしろい形にして欲しいとお願いしました。
漫画のほうも、漫画がいちばんおもしろくなるように脚色をどんどん入れて欲しいとお願いしており、ゲーム版も北尾さんにとにかく思いっきりやってもらいたいと思っています。そのため、変な口出しはできるだけしないように心がけています。
――北尾さんとしては、ハードルが高いですね(笑)。
北尾氏:そうです(笑)。いきなり料理屋に来て、何を食べたいとも言わずに「美味いものを食わせろ」とだけ言われているのといっしょです(笑)。寿司屋に来て寿司を作ってくれとか、カレー屋に来てカレーを作ってくれじゃなくて、ガラガラって扉を開けて「うまいもん食わせろ」って言ってる。材料も、「とりあえずうまい米だけ持ってきた」みたいな感じで、この米の上に僕らが何を乗せるか考えることになりました。
そこで僕らはいただいた小説をもとに、このエトランジュというが何をしたいんだろうとか、どういう理念で動いてるんだろうとか、仲間はどういう風に集まったり離れたりしていくのかを紐解き、こんなジャンルのこんなゲームはどうかなと固めていきました。
アクションの爽快感や、キャラクターの育成要素のほか、複数人でプレイしたらおもしろそうなデザインに仕上げているので、最終的にはマルチプレイも入れたいと思っています。
今は少しずつ調整をしながら、ゲーム組み立てているところです。今回展示しているバージョンは途中過程のものです。アンケートでお客様の声を聞いて、ゲームの方向性など、よりブラッシュアップしていければと思っています。
――こういったIPものですと、キャラクターの魅力を引き出すのに最適なアドベンチャーゲームを作ることが多いと思うのですが、しっかり遊べるゲームにようとしたのはおふたりのなかで最初から決まっていたのでしょうか?
喜多山氏:原作者として、タイトルを日本だけじゃなくて世界に持っていきたいと考えました。ノベルゲームですと、小説をそのまま再現するだけになってしまいますし、市場も厳しいのではないかなと思い、世界中で遊んでいただけるようなタイトルにしたいと北尾さんにリクエストしました。
――ゲームのなかにボイスも実装されており、すでにある程度は完成しているようにも思えたのですが、制作スケジュールはいかがでしょうか?
喜多山氏:ボイスは強引につけたような形です(笑)。やはりボイス付きで遊んで欲しかったので。
北尾氏:開発段階としては中盤ぐらいの状況です。ここから物量を増やしたりと、もうちょっと複雑化していくようなフェーズなので、もう少し開発に時間はかかるかなと思っています。
喜多山氏:ジェムドロップさんは超優秀で、ここまで猛スピードで作ってくれたので期待しています(笑)。
――今回ゲームのほうをプレイさせていただいて、お寿司を運んだり機械を直したりと、いろいろなステージがあるのが印象的でしたが、製品版ではまだまだほかのギミックも入るのでしょうか?
北尾氏:そうですね。同じプレイヤーや同じ敵でもステージによって遊びが変化するように作りたいと思っています。ギミックやステージの変化で飽きさせないような作品にしたいですね。どうしても普通のRPGですと、敵の殲滅が目的になりますが、そうではない最終目標を用意したいですね。
今回もいくつか目標は用意されていますが、ああいった形で、遊びをちょっとずつ変えていきたいです。また、本作はミュージカルのシーンも見どころになっているので、今後の発表を楽しみにしてください。
――楽しみです。では、喜多山さんの手がける残り2作品についても教えてください。
喜多山氏:「デビルリバーシ」は京都のBitSummitで出展したタイトルですが、期間を経てさらにチューニングしています。
盤面に置かれた石の上に、さらに石を重ねられるというアイデアが入っていて、普通のリバーシとはだいぶ遊び方が変わるので戸惑いもあると思うんです。そのため、どうやったら勝てるのか、どうやったら強くなれるのかということをレクチャーするためのストーリーモードを実装しています。
発売日の11月21日に間に合うように調整しているので楽しみにしていてください。
「魔法捜査官」はブラフ型のボードゲームで、魔法捜査官と連続殺人鬼(シリアルキラー)に分かれて遊ぶゲームです。伏せられたカードから“手がかり”を探す内容で、得られた手がかりの数でエンディングが分岐します。
「エトランジュ オーヴァーロード」と同じくデジタルゲーム化できるといいなと思っていますので、出資してくださる方、パブリッシングしてくださる方を募集中です。よろしくお願いします!
――ありがとうございました。
※画面は開発中のものです。
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