千葉・幕張メッセにて9月26日~29日にかけて開催の「東京ゲームショウ2024」。インディーゲームコーナーにて出展されていた、DDDistortionが開発中のホラーアクションゲーム「NIGHTMARE OPERATOR」のプレイレポートをお届け。
ローポリゴンのグラフィックと現代的なTPS(三人称視点シューティング)をミックスしたスタイリッシュなビジュアルが目を引く本作だが、さらにゲームシステムには格闘ゲームにインスパイアされた“コマンド入力”が採用されているのが特徴。これをたった4人で開発しているというのだから驚きだ。
今回の試遊では、その手触りの一端が垣間見えた。
コマンド入力を取り入れた戦闘が、恐怖もそれを破壊する快感も大きなものに
「NIGHTMARE OPERATOR」の舞台は荒廃した近未来の東京。一般人は退避している孤独な街で、主人公のミーシャは臨時政府からの依頼により妖怪刈りを執行している。
TGS2024でプレイできたのは下北沢での任務。実際の街がかなりリアルに再現されていることがほかの人のプレイを眺めていると実感できたが、戦闘の激しさのため、プレイ中にじっくり眺める余裕はなかったというのが正直なところだ。
ミーシャが携える銃は“モジュラーガン”と言い、手に入れたモジュールを切り替えることでさまざまな能力が発揮できる。このモジュールの変更およびリロードにはスティックか十字キーを用いたコマンド入力が必要で、この“クラッチシステム”が本作のプレイフィールを独特の緊張感があるものにしている。
クラッチ(コマンド入力)モード中はほかの操作を受け付けないため、攻撃を仕掛けてこようとする妖怪たちに対処する術がなく、このとき生じる焦りは恐怖を掻き立てる。しかしじつは逆に“別の行動を取っている最中にクラッチを使用する”ことは可能なので「回避行動で敵から距離を取りつつリロードやモジュールの変更」といったテクニックが使える。
モジュールの変更自体もリロードを兼ねており、さらに発射クールダウンのリセット効果もあるので、落ち着いたコマンド入力ができるようになれば、さまざまなモジュールを使い分ける多彩かつスピーディな戦闘ができるようになるということだった。ゲームスキルの上達にともない“恐怖をぶち壊す”手段が増えていくというのは、アクションゲームファンなら興奮するはずだ。
回避行動は移動距離こそ短いが隙が少ないステップ回避と、移動距離は長いがわずかに硬直時間のあるローリング、それから敵を倒すことで貯まるゲージをひとつ消費する緊急回避の3種類を状況にあわせて使い分けることになる。ゲージはふたつ消費すると回復が可能となっており、ケチらず使っていくことがミーシャの生存率を高めてくれた。
さらに本作には近接攻撃やパリィのシステムも取り入れられており、戦闘中に意識すべきことはなかなかに多い。チュートリアルモードをプレイしてから本編に臨んだのだが、まさに“訓練と実践では大違い”といったところで、妖怪を前にすると学んだことを活かせないことも多かった。
冒頭で「景色を眺める余裕はなかった」と書いたのも納得していただけるのではないかと思う。そしてだからこそ、製品版が発売されたらじっくりスキルを磨きたい気持ちは大きなものになった。さまざまなシステムを駆使した立ち回りが噛み合って、複数の妖怪たちを圧倒して倒せたときの快感は格別だ。
深い没入感はアートスタイルやきめ細やかなアニメーションのクオリティがもたらした部分も大きかっただろう。
ローポリゴンのグラフィックからはPS1やニンテンドウ64の時代が思い浮かぶが、エフェクトなどの表現は当時では不可能であろうものだし、そもそもTPS自体が16:9のワイドスクリーンを前提としているゲームデザインと言える。あくまで懐古的な動機ではなく、構築したい作品世界のためにベストなスタイルを選び抜いた結果だったのだろうと感じる。
ホラーテイストを土台にしつつ、怖さの追求よりもアクション性の高い激しい戦闘がゲームプレイの核となっているタイトルは、2022年の「Ghostwire: Tokyo」や今年発売される「野狗子: Slitterhead」など、近年の大作において印象深いものが登場している。
「NIGHTMARE OPERATOR」は少人数で開発しているインディーゲームではあるが、上記のようなタイトルに惹かれるゲーマーに(もしかしたら上記のタイトル以上に)深々とブッ刺さる1作になるかもしれない。
発売はまだ先になるとのことだったが、その日を楽しみにしつつ気長に待ちたい。
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