フジテレビほかにて毎週日曜朝9時30分より放送中の完全新作オリジナルアニメ「TO BE HERO X」。同作に魂電/ヤン・チョン役として出演する島﨑信長さんへのインタビューをお届けする。

島﨑信長さん
島﨑信長さん

インタビュー・構成:TOKEN
文・撮影:胃の上心臓

――「TO BE HERO X」という作品の印象を教えて下さい。

島﨑さん:第一印象として、挑戦的な作品だなと思った記憶があります。やりたいことや新しい表現へのチャレンジなど、とてもポジティブでクリエイティブな気持ちや勢いを凄く感じてワクワクしました。

――最初に作品を知ったときから本作の挑戦的なところは見えていたのでしょうか?

島﨑さん:そうでしたね。お話を伺って、3Dと2Dを行き来する試みだったりとか、こういうチームで制作しますといった資料をいただいたのですが、自分も15年くらいのキャリアを積んできた中で、肌感覚として、作品づくりへのエネルギーを感じた覚えがあります。

――本作の出演が決まった時の感想を聞かせてください。

島﨑さん:この作品はオーディションではなく、指名という形で出演が決まりました。お話をいただいたことにワクワクしましたし、今回の座組を知ることで、より一層期待感が高まりました。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

――ヤン・チョンというキャラクターの印象はいかがですか?

島﨑さん:“信頼”が数値として可視化されているというのが本作の肝になる設定だと思うのですが、ヒーローだけではなく普通に暮らしている人たちも含め、誰しも少なからず信頼値を持っているのが当たり前という常識の中、ヤン・チョンは信頼値が0になっています。

僕らが今いる世界に信頼値は存在しないので、その感覚はすぐに理解出来ないものだと思いますが、信頼値が当たり前にある感覚の中だと、やっぱり相当しんどいと思います。そんな中でよくあれだけ人の良さや明るい人柄が醸し出されているなと。

あんな環境で育ったら折れてしまって、多分恋とかしてられないし、何も頑張れない。本人はきっとそう思っていないだろうけれど、充分彼は強い子ですし、ちゃんとヒーローの素養はあったんだと思います。最初の段階から凄い人だなと思いました。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

――本作は2Dと3Dの映像がハイブリットとなっていました。映像をご覧になられた印象はいかがでしょうか?

島﨑さん:アニメーションで表現するCG技術って年々上がっていっているなと改めて新しい作品を見るたびに実感します。CGの方向性もより現実感やリアルさを追求したもの、SDキャラクターのように等身を低くしてよりアニメチックにデフォルメしたりと、色々なものがありますが、「TO BE HERO X」のCGはその間のような、アニメの絵がそのままCGとして動くとどうなるのかという部分の延長線上にあるような気がしています。

僕は演出や音楽などに関しては素人なので、細かな部分がわかるわけではないけれど、作品を構成する要素ひとつひとつが挑戦的というか、色々な要素が詰まっているなと思っています。

CGに限らず画面のどこを見ても面白いですし、見ているだけでなく音を聴いていてもそう思います。手前で大きく映っている人だけではなくて、後ろでちょっと動いている人とか、そういう描写も面白いんです。神は細部に宿るという言葉もありますけど、そういうところまでこだわった作りだなと思います。

なにより魂電を担当させてもらっていて、仮面やマスク、スーツを身にまとって、わかりやすい必殺技の技名を叫んで決める特撮ヒーローのような姿は子どもの頃から根付いているもののひとつなので、電光斬の完成した映像も楽しみです。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

――本作の世界観やシナリオについての感想もお聞かせください。

島﨑さん:本作では世の中に出ている事実よりももっと深い秘密がたくさんあって、まだ全貌が見えていないくらいだと思います。少しだけ話がズレるかもしれませんが、世界観が入り組んでいるところも僕が肌感でクリエイティブな勢いを感じた理由のひとつだったりします。

世界設定がしっかり作り込まれているというのは、限られた分量や尺のなかで、どれだけその世界の情報を入れ込んで伝えていくのかというのが非常に難しい部分だと思います。だからこそ大変なものに取り組むぞという心意気を感じたんです。

魂電編は全3話構成になっているのですが、その中で人間のままならなさ、社会のままならなさみたいなものがすごく表れていて好きでした。

例えば3話の尺だったら信頼値0の子が、どんどん仲間を作って認められて、自分を信頼してくれる人ができて成功していくという英雄譚として、ハッピーエンドで終えてもいいんじゃないかと思うんです。

それでも魂電編では人に認められるようになってから、大切な人を失ったり、社会の闇のような部分に触れていき、信頼を得た人たちとの別れや、心の陰りが表現されています。

僕は旧魂電もすごく好きなんです。旧魂電だって、とんでもないヒーローだったはずですが、それって打算とか自己顕示欲、承認欲求だけじゃ辿り着けない場所だと思うんです。

旧魂電もきっと最初はヤン・チョンのようなキラキラ輝く想いとかがあったはずなんです。そういう正のエネルギーを高めて上っていってみんなに認められ、たくさんの人を助けて笑顔にしてトップヒーローになったはず。

だけど、そんな人でも段々と権威とか社会的地位などを得ていくとそれを守ることに固執していく。人気者の縮図じゃないですけれども。

ヤン・チョンと旧魂電の直接的な絡みは少ないのですが、周りの人たちや一般市民の反応を見ると、旧魂電ファンの人はいるけど、また金稼ぎばっかりしているみたいな話が出ていたり。町の人の声で世相とかを表していて、上手く説明的になりすぎずちゃんと必要なことを伝えているなと。

本当に練られた面白いシナリオだと思いましたし、ヤン・チョンも10年、20年後に旧魂電のようになっていてもおかしくないよなとも思わされました。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

――ヤン・チョンを演じる上での役作りやどんなところに気を付けて演じたのかもお話ください。

島﨑さん:彼自身にはそんなに秘密もなく、状況やバックボーンはストレートに開示されていたと思いますので、割と印象のままに演じました。

アニメーションの中の大学生ってリアルより少しだけ大人びて描写されることが多いと思うんです。だけど「TO BE HERO X」は等身大の大学生というか、青年と少年の間の迷える感じがすごくあるので、そういうところが素敵だなと思いながら演じていました。

自分も年を重ねていく中で、感覚をアップデートしていっているつもりなのですが、この作品の中でひとつ印象的なディレクションがありました。

ヤン・チョンがどうせ自分なんてと諦めを見せるシーンがあるのですが、そのシーンを演じた時にディレクターさんから、諦め方が大人だと言われたんです。大学生ということでヤン・チョンの年齢感や育ちにピントをあわせて演じているつもりだったのですが、僕自身の年季みたいなものが乗ってしまっていたようで。言われてみて「ああ、そうか!」となったんです。

確かに諦めてはいるんだけれど、もう少し物分かりがよくなくても良かったなと。多分これが数年前なら、同じ感覚で演じてもOKだったと思います。

でも今の自分だと、よく言えば説得力、悪く言えば老けというか。そういうものが乗るようになってきたんだなということを実感して。役者としては成長につながる大事なことなんです。引くことはできるんですが、自然な足し算は難しいので。

年々研鑽を積んで説得力を増し続けている先輩方を見ているから、自分にはあそこまでの説得力はないなとか、すごいなというものを見続けているとわからなくなることがあるんです。

だけど、曲がりなりにもある程度のキャリアを積んで、ちゃんと成長しているしそういうものが自然と乗るようになっているんだなと実感できたので、「すみません」という気持ちと同時に少し喜びもありました。

そこで改めてピントをあわせられたというか、しっかりディレクションしていただいたスタッフのみなさんには感謝です。そこを見落とさずちゃんと突っ込んでいただけたので、僕もヤン・チョンを演じる時の塩梅を調整できて、印象深かったです。後は本当にストレートに彼の成長や変化を物語の中でしっかり描いてくださっていたので、素直に彼の軸や芯を追っていけば大丈夫だなと思っていました。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

――収録現場でのエピソードはありますか?

島﨑さん:魂電編に登場する方とはほぼ一緒に収録できました。旧魂電役の緑川光さんもいらっしゃいましたし、イェン・モー役の速水奨さんも。シア・チン役の直田姫奈さんやシャン・チャオ役の広瀬裕也くんとかとも掛け合いで収録できて良かったですね。

同じ空間で会話して収録しているので、ちょっとした距離感やニュアンスのズレなどもよりキャッチしやすくて、その場で修正しながら収録が進んでいった印象があります。

広瀬くんとはアフレコ終わりに話し込みながら帰ったりして、すごく面白くて学びのある現場だったので芝居の話をずっとしていました。帰り道だけでは足りず、カフェにはいって時間いっぱい語り合ったこともあります。

クリエイティブな現場って話したくなるんですよね。その日の学びや発見が色々あるし、気持ちも高まる良い現場だったなっていう印象があります。

――広瀬さんとは以前にもそういったお話をされたことがあるのでしょうか?

島﨑さん:以前に共演させていただいた現場では、結構お芝居の話などしていました。ただその現場ももうだいぶ前なので、しっかり話すのは久しぶりでした。そういうこともあって当時の広瀬くんを知っているからこそ余計に話しやすかったですね。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

――他のヒーローの中で気になるキャラクターはいますか?

島﨑さん:ラッキーシアンは魂電編でもよく名前がよく出ていたんですが、実はラッキーシアンのことをほとんど知らないんです。

(ラッキーシアン役の)水瀬いのりさんに聞くとかなり独特というか、本当に“ラッキー”がポイントとなるみたいで水瀬さんから話を聞いて想像している部分があるのですが、一体どんな風に描かれているのか気になっています。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

――本作ではヒーローごとに異なる楽曲が用意されていますが、魂電編のケンモチヒデフミさんによる楽曲「NEON RAIN」の印象も伺えますか?

島﨑さん:(取材時には)まだ魂電編を完成品としては見ていないということもあって、具体的な感想には至れていないかもしれないです。先ほど神は細部に宿るという話をしたのですが、演出や音楽に触れる時はその道のプロではないこともあって、余り考えずに感覚で楽しんでいます。

文章を読むのは結構好きで、シナリオに関して結構考えたりすることもありますし、インタビューの文章やコメントは結構頭を悩ませて書いたりしているのですが、絵を描いたりすることはあまりないし、カット割りやコンテ演出をしたり、音楽を作った経験もないので。

基本は一回あまり考えすぎないで楽しんだ方がいいと思っている感覚派なので、楽曲についても全部相まって感覚で体感するのが楽しみですね。

そこがアニメの好きなところで、どんなに凄い人が凄いものを作ったとしても、それだけじゃ主役にならない。各部門のプロがプロフェッショナルの仕事をしていて、そのさりげなさや引き算の仕方が大事で、そこは芝居も一緒なんです。

誰かが怪演と言われるようなわかりやすく大きな芝居をしたとしても、実はそれだけで成り立っている訳ではない。例えば相手役の方が絶妙な引き算のお芝居をすることで、怪演と呼ばれる足し算がより際立つなど、そういうものを全体で作っています。

各分野でプロがプロフェッショナルな仕事をする、全員が主役というか。一丸となってひとつのものを渾然一体となって作っているところがアニメの好きなところなので、早く完成した状態で見るのが楽しみです。

――ヒーロー題材の作品はたくさんあると思います。この作品はその中でも異色かと思いますが、その中で特に感じた魅力はありますか?

島﨑さん:こういったトップヒーローを目指して競い合う物語だと、普通は誰か主人公に値する人がひとりいて、No.10からNo.1になるまでのサクセスストーリーが描かれる。その中で他のヒーローを描いていくというのがある意味王道というか、わかりやすくまとまる方法だと思うんです。

それをオムニバス形式で10人全員にスポットを当てて描いていくというのが挑戦的で、ここからどんな展開になっていくのか気になります。それこそ、そもそもヒーローというものの信頼値自体が揺らぐかもしれない。10人のヒーローが掘り下げられていく中で、そういった想像がすごく広がる、その壮大さに注目しています。

ここまで壮大な描き方って中々ないですし、しかもそれをアニメーションとして時間をかけてしっかり描いていくので、本当にこれからが楽しみです。

――最後にファンのみなさんにメッセージをお願いします。

島﨑さん:魂電の出番があるエピソードは台本を読んで把握しているのですが、実は今後の展開の7割くらいは知らないんですよね。

僕自身も知らない話がいっぱいあるのが楽しみですし、逆に魂電が出ているエピソードがあるということは他の誰かがメインで描かれる時に関わってくるかもしれないということなので、そこでのキャラクター同士の関わり合いや事態の動きが見えるたび、僕もいち視聴者のようにワクワクしながら収録に臨んでいました。きっとみなさんにもそういう風に楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。今後も最後まで一緒に追っていただけたら嬉しいなと思います。

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今回のインタビューを記念して、島﨑信長さんのサイン入り色紙をGamer読者1名にプレゼント。Gamer公式アカウントをフォロー&該当ポストをリポストすると応募完了。期間は6月2日23:59までとなっているので、投稿内容を確認の上、ぜひ参加してほしい。

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんにインタビュー!魂電編、そして意欲的な作品の魅力をたっぷり語るの画像

賞品

アニメ「TO BE HERO X」ヤン・チョン/新魂電役・島﨑信長さんサイン色紙

当選者数

1名様(抽選)

応募期間

2025年5月19日(月)18:00~2025年6月2日(月)23:59

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    https://x.com/GamerNeJp/status/1924389576573128976

注意事項

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2011年イクセル入社後、Gamerをはじめとした媒体の運営に携わる。好きなジャンルはRPG、パズル、リズム、アドベンチャー(ほぼギャルゲー)。実はゲームよりもアニメが大好きです。

アニメ・ゲーム系の媒体でお仕事をしているフリーのライター。Gamerさんでは2022年夏頃よりお仕事をいただいている。

主にプレイするのは大作RPGからFPS、18禁の美少女アドベンチャーゲームなど。ゲームセンターが好きで「BLAZBLUE」や「MELTY BLOOD」などのコンボ重視の対戦格闘ゲームや、「機動戦士ガンダム VS.(バーサス)」シリーズなどをよく遊んでいたが最近はちょっと年齢を感じて辛い。

最近は仕事のために始めたカメラにハマり、スナップ写真や動物写真を撮ることも。使用しているカメラのメーカーはNikon。

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