KONAMIから2025年5月8日に発売された、Nintendo Switch用ソフト「ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル」のプレイインプレッションをお届けする。
目次

「ときメモ」30周年のささやかな思い出
「ときめきメモリアル」(ときメモ)は、KONAMIが展開する恋愛シミュレーションゲームシリーズ。第1弾で初代作となる「ときめきメモリアル」は、1994年5月27日にPCエンジン用ソフトとして発売。2024年5月27日に発売30周年を迎えるにあたり、2024年5月~2025年5月を30周年のメモリアルイヤーとして展開しており、2024年5月には初代作のキャスト陣が勢ぞろいしたライブイベント「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE エモーショナル」も行われた。
本作は30周年のメモリアルイヤーを締めくくるタイトルとしてリリースされたもの。1995年に発売したプレイステーション用ソフト「ときめきメモリアル~forever with you~」をベースに、“想い出をそのままNintendo Switch で楽しめる”をコンセプトとして、当時と変わらない手触りや遊び心地を大切に残したリマスタータイトルとなっている。

ちなみに筆者は、PCエンジン版を興味本位で購入したらものの見事にハマってしまった人間。そのあたりの思い出もいろいろとあるのだが、あらかた前述したライブイベント記事に書いてしまっているので、具体的な内容はそちらを参照していただきたい。
ものすごく要約して書くと、ゲームとしてハマっていたことのみならず、当時よくラジオ番組を聴いていたなかでラジオ番組「もっと!ときめきメモリアル」と、そのなかで流れていたラジオドラマ「ステレオドラマ もっと!ときめきメモリアル」の展開にもドキドキしていたこととか、私事で恐縮ではあるが、そもそも記事を書く仕事の始まりとなったのが「バーチャル・アイドル」という雑誌で、セガサターン版の「ときメモ」が発売されたあたりから、「ときめきメモリアル ドラマシリーズ vol.1 虹色の青春」が発売されたぐらいまでの期間において「ときメモ」関連を担当していた時代があったなど、筆者にとっても影響の大きいタイトルである。
またお気に入りの女の子は、虹野沙希。当時からでも登場キャラクターのなかで人気が高かったことも覚えている。今回プレイしていくなかで接していくと、やはりかわいいな……というのが第一印象としてあった。

あのころのゲーム内容や手触りはそのままに楽しめる
本作では、前述のようにプレイステーション版のリマスタータイトルであり、内容については基本的に同作を踏襲したもの。きらめき高校を舞台に「卒業式の日、校庭のはずれにある古い大きな樹の下で女の子から告白して生まれたカップルは永遠に幸せになれる……」という設定のもと、主人公であるプレイヤーは「私立きらめき高校」に入学し、自分を磨きながら、学園生活を過ごす。
高校生活の3年間で、幼なじみである藤崎詩織から告白されることを目指すという目的はあるものの、個性豊かな女の子たちが登場。誰とどのように過ごし、仲良くなっていくかは、プレイヤーにゆだねられている。



大まかなゲームの流れとしては、コマンドを選択し勉学やスポーツに励んだり、容姿を磨いたりするなど、主人公の能力(パラメータ)を上げていき、女の子が憧れるような存在になりつつ、休日ではデートに誘い、さらに仲を深めていく。



また、早乙女好雄に電話をすることで、女の子の情報や連絡先、また女の子たちからの評価も見ることができる。


体育祭や文化祭をはじめとして、バレンタインデーやホワイトデーなど、学校生活では欠かせないようなイベントも用意。クリスマスには、きらめき高校の理事長の孫である伊集院レイによるクリスマスパーティも行われる。




またイベントやデートでミニゲームが発生することがあり、なかにはRPG風の戦闘に突入することも。



こうして3年間を過ごし、卒業式の日を迎えてエンディングへとなる。伝説の樹の下で女の子が待っているかどうか、どの女の子が待っているかは、プレイヤーが過ごした高校生活次第だ。

新グラフィックや名前を呼んでくれるEVS機能などの追加要素、デラックス版も
本作における追加要素において、まず大きなところとしてあるのは、キャラクターイラストとウィンドウ内のフォントを、オリジナル版と新グラフィック版で切り替えることができるというもの。キャラクターイラストとフォントはそれぞれ選ぶことができるため、キャラクターイラストは新グラフィック版、コマンド選択画面ではオリジナル版のフォントを使用するといった表示も可能となっている。




そして、キャラクターがプレイヤーの名前を呼んでくれる「Emotional Voice System(EVS)」を搭載していること。シリーズではおなじみの機能ではあるものの、「ときめきメモリアル2」からの搭載となっており、初代作では初めてのこと。技術進化もあってか、かなり自然に聞こえるようになっている。


細かいところでは、セーブデータの保存数が100個用意されており、メモを残すことも可能。また、名前入力画面でキーボード入力ができるようになったこともあげられる。

また、デラックス版である「ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル デラックス版」には、特典コンテンツも収録。ノンテロップオープニング映像や歴代BGM デジタルサウンドトラック、キャラクターイラストギャラリーを収録。特にキャラクターイラストギャラリーでは、各種キービジュアルやグッズなどに使われた約280点ものイラストが収録。それ自体も、初代作の歴史をたどれるような感覚を覚えるものとなっている。


さまざまな思い出をつつき、よみがえるような“そのまま感”があるタイトル
筆者がプレイしたなかで感じたことは、当時を思い出させる感覚が得られるもの。“当時と変わらない手触りや遊び心地を大切に残した”とあるように、一定の遊びやすさの要素を入れつつも“そのまま感”というのを味わえるものとなっていた。
もっとも目に付くグラフィックまわりについては、当然ながら個々の好みがあり人それぞれで一概には言えないものの、少なくともオリジナル版のものが残っているということは、あのときの思い出をつつくものとして大切なものであり、それでいて新グラフィックやフォントが用意され、それを組み合わせて選択可能という配慮はうれしいポイント。
あくまで筆者の感覚ではあるが、オリジナル版は懐かしさや当時の思い出に浸ることができ、携帯モードと相性がいいように感じ、一方でTVモードでの大きな画面でプレイするときは、新グラフィックのほうは女の子が映えると感じている。そして新グラフィックもプレイを進めて行くにつれて自然と受け入れられ、魅力的に感じられる。


本作の価値は、当時のそのまま感があって懐かしさを感じつつ、現行のゲーム機で遊びやすさを加えた形で楽しめるというところ。プレイにあたっては、できるだけ女の子を登場させないようにしつつ、本命の女の子だけ狙うといいとか、安易に女の子を登場させすぎると、あとから大変なことになる……そしてそれは、初見プレイだとやりがちといったことも思い出させるもの。

またカレンダーが1990年代になっていたり、電話するにしても今の時代であれば個々の携帯電話に直接かけられるが、電話を変わってもらうというのも、当時では当たり前のことだった。ほかにも初代作といえば……というシーンを見ると、懐かしい気持ちになっていく。



こうしたノスタルジックさを得られると、ゲームも含めたさまざまな思い出もよみがえってくるもの。昔のゲームにおけるリメイクやリマスターにはさまざまな形はあると思うが、本作におけるリマスターは、そうした思い出をつつけるだけのものを感じられた次第だ。
お気に入りの女の子は虹野沙希なライターが感じた印象的なシーン(余談)
前述のように、筆者お気に入りの女の子は虹野沙希。運動部のアイドルで、趣味は料理。ゲーム中では、野球部もしくはサッカー部のマネージャーをしており、頑張っている人を応援するのが大好きな女の子だ。
※ここから先の紹介では、新ビジュアルでの虹野沙希における特定のイベントシーンが掲載されているため、その点を留意いただいたうえで読み進めていただきたい。



虹野さんを象徴するものとして欠かせないのは「お弁当」。虹野さんが主人公にお弁当を作ってきてくれるというもので、学校では言い回しに気遣いを感じさせつつ、それでも“主人公のために”というのが伝わってくる。虹野さんの優しさと家庭的な一面をみせるもので、後にリリースされた「虹色の青春」では、虹野さんのお弁当は“虹弁”“きらめき高校三種の神器のひとつ”と呼ばれていることがわかるのだが、その原点的なシーンでもある。ちなみに筆者がプレイしたときは、2度も作ってきてくれたので素直にうれしかったのが正直なところ。




学校以外でもお弁当を作ってきてくれることがあるほか、バレンタインデーで手作りのチョコをプレゼントしてくれたり、クリスマスのプレゼント交換で手作りクッキーがあたることも。料理が好きというものが随所に現れている。



また、虹野さんを象徴する言葉は「根性」。部活への誘いも根性を見いだしたものであり、テストなど根性で乗り切ろうとする“根性娘”でもある。



筆者が虹野さんがお気に入りとなったのは、特定のシーンやセリフというよりも、普通にゲームをプレイすると自然な感じで登場しつつ、下校時に女の子が登場し、声をかけたりかけられたりするシーンがあるのだが、あくまで体感ではあるものの、虹野さんは下校時で頻繁に登場する女の子で、そこから明るい雰囲気と親しみやすさで次第に惹かれ、イベントシーンなどを見るにつれてお気に入りになっていったように記憶している。本作においても、体感レベルでは下校時に姿を多く見せる女の子で、そのあたりも再現しているように思える。

かつてプレイしたことで、今でもよく覚えていることのひとつに、1年目における虹野さんへの誕生日プレゼントの選択肢に、なぜか「くさった卵」がある。ある意味わかりやすい選択肢ではあるのだが、さすがにそれは……と思った記憶がある。ちなみにプレゼントするとどんな反応をするかは実際に見ていただきたいのだが、すごく虹野さんらしい回答をしてくれる。そんなくさった卵のネタが、ときめきメモリアル30周年公式Xにおける「ときめきモウソウ劇場#32」で取り上げられており、やはり当時からしてインパクトは大きいものと感じられた。

デート中でもいろいろな反応を見せる。なかでも野球観戦で周りが見えないぐらいに熱心に応援する姿を見ることができれば、とある場所で迷子を見つけ、あやしてあげるシーンも気遣いと優しさを感じさせるシーンとなっている。


ほかにも、修学旅行で虹野さんが風邪をひき、主人公が看病するイベントシーンも思い出深い。そこで虹野さんが口にした、主人公に対する本音とも思える言葉はグッとくきたのも覚えている。


さらには、“人工呼吸”のシーンも記憶に残っているもの。なぜそうなったのか、そして実際にはどうしたのかは見てのお楽しみなのだが、意識が戻った虹野さんからの言葉も含めて心をつかむものがあった。


このように仲を深めていくと、どこかしら虹野さんが主人公を意識しているのではないか、という言葉を口にするようになる。そのことに気づいてないように思える主人公の鈍感さにやきもきするが、プレイヤーとしては素直に嬉しいと感じるところもある。

久々にプレイしてみて、覚えていることも覚えてないこともいろいろとあるのだが、虹野さんにひかれていったあのころのことを走馬灯のように蘇ってくるというもの。もちろん30年経過して、自分のなかで見方や感じ方は変わっているところもあったり、どちらかといえばしみじみとしてしまうものがあるものの、素直に言ってしまえば“かわいい”の一言というのは変わらないものだ、と思えた次第だ。

なお、おまけ要素となっているエンディングを迎えたあとの「フリートーク」は新規収録となっており、それも必聴レベルにあることは付記しておきたい。
(C)Konami Digital Entertainment
コメントを投稿する
この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー