2026年8月20日に配信予定の「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」の拡張コンテンツ「S.T.A.L.K.E.R. 2: Cost of Hope」のレビューをお届けする。
「S.T.A.L.K.E.R. 2: Cost of Hope」は、オープンワールドのサバイバルホラーシューター「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」本編の物語をさらに掘り下げるDLCだ。新たに追加されるのは「アイアンフォレスト」と「チョルノービリ原子力発電所(CNPP)」という2つのエリア。シリーズを象徴するロケーションの再登場に加え、デューティーとフリーダムという本編では深く描かれなかった2つの勢力を軸に、新たな物語が展開される。

デューティーとフリーダムの対立が再燃
物語は、これまで封鎖されていたアイアンフォレストに立ち入れるようになったという噂がゾーンに広まっているところから始まる。スキフもその噂を聞きつけてアイアンフォレストへと向かうのだが、そこでは本来対立しているはずのデューティーとフリーダム、2つの勢力が同じエリアに滞在していた。
そこでスキフは、デューティーのズールーとフリーダムのマフカという2人の人物に協力しながら、アイアンフォレストで発生している問題の解決に乗り出すことになる。しかし、とある出来事をきっかけにフリーダムのメンバーが惨殺される事件が発生。D4条約によって停戦状態にあったデューティーとフリーダムの間に、再び大きな亀裂が生じてしまう。

このあたりは、初代「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」をプレイしたことがある人なら、非常に緊張感のある展開ということが分かるだろう。両勢力が犬猿の仲であるということを知っているからこそ、この先に何が起こるのか不安にさせられるような、シリーズファンにはたまらない展開となっている。


その後の展開についてはネタバレになるため詳しくは伏せるが、この事件をきっかけにスキフ、ズールー、マフカたちはゾーンの力を巡る大きな陰謀に巻き込まれていく。そして最終的には、ゾーンの最深部ともいえるCNPPへと足を踏み入れることになる。
本作は大きく2つのパートに分かれており、1つ目は序盤のレッサーゾーンを出た直後から、2つ目は本編メインクエスト「些細な事件」をクリアすると開放される仕様だ。物語を進めていくことで、アイアンフォレストからCNPPへと舞台が移り、徐々にスケールの大きな展開へと発展していく。


危険かつ美しいロケーションの数々
最初に訪れることになるアイアンフォレストは、その名の通り、数多くの鉄塔が森のように立ち並ぶエリアだ。初代3部作の3作目「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」にも登場したエリアだが、本作ではより広大になっているほか、細部まで作り込まれており、過去作にはない新たな姿を見せてくれる。
特に印象的なのが、霧に包まれたアイアンフォレストの景観だ。折れた鉄塔や無造作に放置されたケーブルなど、かつてのインフラ遺構がいたるところに残されており、東欧のポストアポカリプスゲームらしい退廃的な雰囲気が漂っている。こうした無機質で寂れた風景は、まさにS.T.A.L.K.E.R.の大きな魅力の一つで、このシリーズならではの雰囲気が好きな人にはたまらないエリアだろう。



そしてもう1つの新エリアとなるのが、シリーズを象徴するロケーションの1つ、チョルノービリ原子力発電所(CNPP)だ。初代「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」では物語の最終到達点として登場し、ゾーンの核心へと迫る重要な場所でもあった。そのため、シリーズファンにとっては特に思い入れのあるロケーションといえるだろう。


本DLCでは、CNPP周辺だけでなく、発電所の内部まで実際に足を踏み入れることができる。広大なエリアを探索できるだけでなく、発電所周辺ではプサイ放射の影響も強く、ゾンビが多数徘徊しているため、気軽に歩き回ることはできない。さらに、うまく身を隠しながら進まなければ自身もプサイ放射の影響を受け、ゾンビ化してしまう。十分な装備と立ち回りが求められるため、ここはまさに熟練したストーカー向けの危険地帯といった印象だ。


このほかにも、各エリアには複数のランドマークやサブクエストなどが用意されている。メインクエストだけを追うのではなく、寄り道をしながら探索していけば、かなりの時間を楽しむことができるだろう。

物語と戦闘の両方が楽しめるゲームプレイ
本DLCを実際にプレイしていて、随所に初代3部作の雰囲気を感じられたことが特に印象に残っている。本編「S.T.A.L.K.E.R. 2」ではウォードやスパークといった勢力が物語の中心として描かれていたのに対し、本DLCではデューティーとフリーダムという初代から続く2つの勢力を軸にストーリーが展開される。そのため、どこか初代3部作を思い出させるような懐かしさがあり、シリーズファンとしてはかなり嬉しい内容だった。

ゲームプレイについては、豊富なロケーションを探索しながら、随所で激しい戦闘を楽しめる内容になっている。アイアンフォレストやCNPPはもちろん、本編にも登場した施設など、さまざまな場所を舞台に戦闘や探索が繰り広げられるため、最後まで飽きずにプレイできた。
中でも特に印象的だったのが、バブルの中に広がる異空間のような町だ。どこか精神世界を思わせる不気味な町並みが広がっており、人間やゾンビとの戦闘だけでなく、ホラーゲームを思わせるような演出も用意されている。普段のゾーンとは少し異なる雰囲気の中で探索することになるため、終始緊張感を感じるステージだった。


また、本DLCは激しい戦闘が発生する場面も多く、「S.T.A.L.K.E.R. 2」らしいリアルな銃撃戦を存分に味わうことができた。特に屋内での戦闘が多く、狭い場所で銃火器や手榴弾を使って敵と交戦する場面では、敵との距離が近いぶん、一瞬の判断が重要になる。開けた場所での撃ち合いとはまた違った緊張感があり、個人的にはかなり楽しめたポイントだ。
その一方で、戦闘の難易度はやや高めに感じられた。敵の数が多い場面では弾薬や回復アイテムの消費も激しくなるため、これからDLCをプレイする人は、あらかじめ弾薬や回復アイテムをある程度余裕を持って準備しておくことをおすすめしたい。


あとは新しいミュータントも登場する。新しく登場するアモックは、銃弾を弾く鎧を身にまとったミュータントで、突進を仕掛けてくる厄介な敵だ。正面からのダメージはほとんど防がれてしまうが、背後には弱点部分が露出しているため、突進を避けながら弱点を撃つことで倒すことができる。

昔からのシリーズファンにこそ遊んでほしいDLC
本レビューにあたって、メインクエストを中心としたゲームプレイを行い、クリアまでは約15時間のゲームプレイを楽しめた。エリアの探索や、サイドクエストなどを含めるとさらに多くの時間楽しむことができるだろう。
「S.T.A.L.K.E.R. 2」本編はもちろん、初代3部作を含めたシリーズ全体を大きく補完する物語や、CNPPをはじめとする象徴的なロケーションの追加など、シリーズファンならぜひプレイしておきたいDLCとなっている。
ただし、DLCとはいっても、大量の追加武器やゲームプレイにおける新要素など、目新しい要素があるわけではない。そのため、新規ユーザーというよりは、玄人向けの内容となっている。それでも、初代3部作から続くデューティーとフリーダムの物語や、シリーズを象徴するCNPPを再び訪れることができる本作は、長年S.T.A.L.K.E.R.を追い続けてきたファンにこそ刺さるDLCに仕上がっている。
また、DLCの追加にあわせてバージョン2.0アップデートも実施され、ますます遊びごたえが増しているので、既に本編をクリアした熟練ストーカーはもちろん、これから「S.T.A.L.K.E.R. 2」を始める新米ストーカーも、ぜひ本編に組み込む形でプレイしてほしい。
今後は2つ目の追加DLCも登場予定とのことなので、これを機に危険な魅力に溢れたゾーンに足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

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