株式会社角川書店と株式会社インフォ・クエストは、電子版スタンプラリーゲーム「スタンプリー」のスマートフォンβ版のサービスを7月21日より開始した。Gamer編集部では「スタンプリー」のプロデューサーであるインフォ・クエストの家永慎次郎氏にインタビューを行った。

目次
  1. 新感覚のスタンプラリー、「スタンプリー」の魅力とは?その全貌に迫る!
  2. 「スタンプリー」のコンセプトは「デジタル・トゥ・リアル」
  3. 職権乱用?! 彼女たちも「スタンプリー」に出してくださ~~い!

2010年12月よりサービスを開始した「スタンプリー」では、現在「涼宮ハルヒの憂鬱」と「らき☆すた」の角川書店が誇る2大人気タイトルを展開中で、各タイトルとコラボした様々なキャンペーンも実施している。

利用料金は基本無料(一部アイテムのみ有料課金)で、これまではフィーチャーフォンやPCを対象にサービスを展開してきたが、7月21日に「スマートフォン β版」をリリースしたことで、より多くの会員獲得を目指すとのことだ。今回は「スタンプリー」の生みの親である家永氏へインタビューを行い、色々と貴重な話しを伺ってきたので、その内容を余すことなくお伝えしよう。

新感覚のスタンプラリー、「スタンプリー」の魅力とは?その全貌に迫る!

――まずは「スタンプリー」の概要について教えていただけますか?

家永氏:「スタンプリー」というのはいわば“スタンプラリーの電子版”と思って頂ければ一番分かりやすいかと思います。「スタンプリー」では、スタンプを押す代わりに携帯を操作することで、携帯電話のデータ内にスタンプが押されるというわけです。GPS機能も連動しているので、例えばこのあたりなら東京スカイツリーのエリアに入っているから、ここでスタンプを押すと東京スカイツリーのご当地スタンプが手に入りますね。ここまでは単なるスタンプラリーなんですけれど、「スタンプリー」ではこれに時間や日付という概念が影響してくるんです。だから、朝しか取れないスタンプや特定の曜日にしか取れないスタンプ、なんてものもあるんです。

――レアなスタンプもあってコレクション要素が高い、ということですね。

家永氏:そうです。そして、入手できるスタンプにも色々と種類がありまして、特定のカテゴリのスタンプを揃えると、コンプリートした特典として、コンプリートスタンプという特別なスタンプが貰えます。「スタンプリー」はそういう小さなゴールをいっぱい用意しているんです。
他にも、AというスタンプとBというスタンプを使って別のCというスタンプを作り出す、といったこともできます。「スタンプリー」ではこれを「配合」と呼んでいますけれど、この「配合」を利用してほしいスタンプを作り出すこともできるわけです。

――「配合」でなければ入手できないスタンプもあるんですか?

家永氏:はい、あります。配合の組み合わせを「レシピ」と呼んでいますが、同じレシピでも、配合を行った時間が午前か午後かで、手に入るスタンプが変わるケースもあり、これにはかなりのバリエーションを用意してあります。他にも「涼宮ハルヒの憂鬱」ならキョンとハルヒが出会ってからあの名シーンまでの流れを、このストーリーに関連したスタンプを配合していくことで再現する、といった楽しみかたもできます。ユーザーにはこの「レシピ」を解き明かしていく楽しさを味わってもらいたいですね。あれこれ組み合わせを推理しながらレシピを解き明かしていくのはなかなか面白いと思いますよ。

――具体的にスタンプはどうやって入手するんですか?

家永氏:スタンプを入手するためには「スタンパー」というアイテムが必要になるんですけれど、この「スタンパー」を1個消費して、1個スタンプが手に入ります。さらに「スタンパー」は全部で4種類あって、スタンダード、シルバー、ゴールド、プラチナの順にレアなスタンプが手に入りやすくなっていますよ。「スタンプリー」の無料会員なら、1日1回だけログイン時に「スタンダードスタンパー」が1個貰え、DXプリーヤーと呼ばれる有料会員ならログインしなくても「スタンダードスタンパー」が毎日2個ずつ自動で支給されます。他にもQRコードを読み込むことでも入手できるので、雑誌の付録や本の帯などにつけてプレゼントすることも可能なんです。例えば、「らき☆すた」が連載されているコンプティークでは、コンプティーク限定スタンプがGETできるQRコードが載っていることもあります。

――スタンプの入手は携帯電話からしかできないのですか?

家永氏:今のところすべての機能がそろっているのは、フィーチャーフォンのみなのですが、現在「スタンプリー」をスマートフォンでも遊べるように「ベータ版」がリリースされていますので、こちらからスタンプを入手することも可能です。ただし、「ベータ版」では一部の機能が制限されているので、8月下旬には完全版を出したいと思っています。さらに今夏にはPCでもスタンプが入手できるように調整しているところですので、こちらも期待してお待ちください。

――入手したスタンプは配合以外に使い道はないんでしょうか?

家永氏:スタンプによっては様々な特典が付いているものもあります。ウェブ上のデータとしてスタンプは存在しますので、これにオリジナルの動画やボイスメッセージを添付するといったこともできるんですよ。他にもリアルイベントと連動して、キャンペーン中に配布した特別なスタンプにはシークレットイベントへの参加権やプレゼントへの応募権を付けたりと、いわゆるチケットや抽選券みたいな機能を持たせることも可能ですね。今後はプリーヤーのみなさんが参加できるようなイベントを開催していきたいですね。

――イベント毎にどんどん新たなスタンプが追加されていくということですが。

家永氏:最近では七夕や海の日などですが、時節ネタにあわせたイベントを毎月開催しています。そのイベント毎に限定スタンプを投入したりしています。あとは、ご当地スタンプもどんどん追加していくので、まだまだスタンプは追加されます。

――たくさん持っているプリーヤーならもうスタンプをすべてコンプリートしているのでは?

家永氏:すべてのスタンプを持っているプリーヤーさんはいないんです。先程もお話したように、スタンプの入手には位置情報や時間などが影響するので、単純に財力だけで集められるものではないんです。例えば入手した時の日付が入った日付スタンプというものが366日分あるんですけれど、これもうっかり入手するのを忘れると次に同じ日付のスタンプを入手するチャンスは1年後になってしまいますからね。こうなると後は他のユーザーさんとスタンプを交換して入手するしかないですね。

――現在スタンプは何種類くらい存在するんでしょうか?

家永氏:日付スタンプやご当地スタンプといった特殊なスタンプも合わせると、「らき☆すた」も「ハルヒ」も800種類は超えますね。これから年内にかけてさらに200種類ほど追加する予定です。

――スマートフォン版を出すことは始めから予定していたことなんでしょうか?

家永氏:初めからスマートフォンはターゲットに入っていたんですけど、予算や制作期間の都合上、まずはフィーチャーフォンに絞ってスタートしようということになったんです。

「スタンプリー」のコンセプトは「デジタル・トゥ・リアル」

――そもそも「スタンプリー」というコンテンツを始めようと思ったきっかけはなんだったんですか?

家永氏:実は10年くらい前からこの「スタンプリー」というアイデアは考えついていたんです。僕はもともとウェブ関係の仕事をしていたんですけれど、その時に「人間がここまでデジタルにのめり込んでいる世の中なら、それを入り口にして感動や驚きといったリアルな事象を体感させられるツールにも使えるんじゃないか」と考えついたことがきっかけです。だから、「スタンプリー」のコンセプトはデジタルからリアルを体験させるという「デジタル・トゥ・リアル」なんです。いかにリアルとデジタルを連動させるかはいつも意識していますね。

――「スタンプリー」のタイアップタイトルとしてこの「涼宮ハルヒの憂鬱」と「らき☆すた」をチョイスした理由はなんですか?

家永氏:実は最初からこの2タイトルに目を付けていたわけではないんです。最初に角川さんとタッグを組んでこのプロジェクトを立ち上げる時に、「自分は基本となるプラットフォームサービス面を担当するから、タイアップタイトルについては完全にそちらにお任せします」って角川さんにお願いしたんです。だからまさか「ハルヒ」と「らき☆すた」という角川書店の2大ビッグタイトルが「スタンプリー」に出てもらえるなんて思いもよらなかったですね。ただし、タイアップするのは角川作品のみというわけではないので、今後は様々なコンテンツとコラボしていこうと思っています。

――開発中に苦労したことはなんですか?

家永氏:本当に数えたらきりがないくらい開発中は苦労の連続でしたが、なかでも一番大変だったのは制作期間が短かったことですね。提案して実際に開発がスタートしたのは9月くらいで、完成予定は12月だったので、実質3ヶ月くらいしかなかったんです。「らき☆すた」の聖地である鷲宮神社の初詣もあるし、「ハルヒ」のブルーレイディスクの発売が12月の下旬に決まっていたので、それまでには何としてもスタートさせたかったんですよ。

――今後「スタンプリー」でやってみたい企画はありますか?

家永氏:ユーザーの皆さんを集めてリアルイベントを開きたいですね。我々の方にもユーザーさんから「こういうイベントをやってほしい」という意見が結構寄せられているんですよ。そういうユーザーさんたちと一緒に企画を一からやってみたいですね。

――イベントなども定期的に開催しているようですが、毎回企画立案するのは大変ではありませんか?

家永氏:ええ、それはもう(笑)。「スタンプリー」と絡ませたうえで面白いイベントを考えなければならないので「産みの苦しみ」みたいなものはありますよ。それでも、こうやってアイデアを出し合ってイベントを考えるのは楽しいですね。

職権乱用?! 彼女たちも「スタンプリー」に出してくださ~~い!

――ところで「らき☆すた」に永森やまと(※)のスタンプはあるんですか? いないのならぜひとも彼女を出してもらいたいんですが……。

家永氏:スタンプに使っている素材は基本的にアニメ版の「らき☆すた」からだったので、ゲームオリジナルや原作のみのキャラクターはまだ出ていないですね。ただ、過去のイベントなどで原作者の美水かがみ先生描きおろしの特製スタンプを出したこともあったので、もしかしたら…。

――ということはアニメには登場していない八坂こう(※)や天原ふゆき(※)も今後追加されるチャンスはあるということですね?

家永氏:あるかもしれませんね。むしろ、我々も「らき☆すた」ファンのみなさんに向けてどういうスタンプを追加しようか毎回選定には苦心しているので、そういったリクエストがあるのはとてもありがたいです。

(※)三人ともアニメ版「らき☆すた」には登場していないキャラクターである。中でも永森やまとは「らき☆すた」の家庭用ゲームから作られたキャラクター。原作漫画ではカバー裏などにひっそりと登場している程度なので残念ながら認知度は低い。

――私を含めた数少ない彼女たちのファンのためにも、ぜひよろしくお願いします!

家永氏:分かりました(笑)。前向きに検討してみます。

――最後に「スタンプリー」ユーザーの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

家永氏:これからも楽しいイベントを企画していきたいと思っています。皆さんと一緒に「スタンプリー」を盛り上げていくつもりですので、ご意見などドシドシお寄せください!

――本日はありがとうございました。重ね重ね、やまとたちもよろしくお願いします!

サービスが開始したばかりの「スタンプリー」だが、インタビュー中に家永氏が語ったとおり、まさにデジタルからリアルを体験する魅力的なコンテンツとして今後も注目を集めていきそうだ。筆者のように「あのキャラを出して欲しい!」という要望があるなら、ぜひリクエストのメールを送ってみよう!

家永氏のコメントどおり、「スタンプリー」でゲットできるスタンプは1000種類を超えるほど存在する。以下に紹介するスタンプはそのほんの一部だ。なかには入手確率が1%以下という超レアなスタンプもあるとか。原作ファンの人はぜひチェックしてみてほしい。

「スタンプリー」公式サイト
http://www.stamplly.jp/

「涼宮ハルヒの憂鬱」スタンプリー
http://haruhi.stamplly.jp/

「らき☆すた」スタンプリー
http://luckystar.stamplly.jp/

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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