コーエーテクモゲームスが、2012年3月22日発売予定のPS3/Xbox 360「NINJA GAIDEN 3」。シリーズ最新作となる本作のプロデューサー早矢仕洋介氏にお話を聞くことができたので紹介しよう。

目次
  1. 「NINJA GAIDEN 3」とは
  2. インタビュー
  3. リュウ・ハヤブサの苦悩を感じろ!PS3・Xbox 360パッケージをそれぞれ2名にプレゼント

「NINJA GAIDEN 3」とは

本作は、2008年6月5日に発売されたXbox 360「NINJA GAIDEN 2」以来となる完全新作で、シリーズ最大の特徴である「刀で敵を斬る手応え」を極限まで追求し、「肌の触れ合うような敵との距離感」から「敵の苦痛に歪む表情や呻き声」までをも描いたアクションゲームとなる。「ジャパニーズ・ダークヒーロー」をコンセプトに主人公「リュウ・ハヤブサ」の生き様を「アクション」、「ストーリー」の両面から表現していく。

インタビュー

編集部では、最新ビルドでのテストプレイの他に、株式会社コーエーテクモゲームス Team NINJAプロデューサー「早矢仕 洋介」氏から「NINJA GAIDEN 3」の開発についてのお話をたっぷりと伺うことができたので紹介していこう。

――なぜ本作では「刀で敵を斬る感覚」を重視して開発したのですか?

早矢仕氏:「刀で敵を倒す」コンセプトを持つゲームタイトルはすでに多数発売されており、歴史も長いです。ですが、FPSなどのシュータージャンルのタイトルはここ数年でかなり進化を遂げており「シンプルだけど、より現実世界に近い」システムが実現されています。反面、刀で敵を倒すといったゲームは昔からほとんど変わっていない、というのが正直な印象でした。そこで「刀を単純に振ったとき」と「刀で人を斬ったとき」の違いはどこか?ということもゲームに落とし込むことに注力しました。「刀で人を斬る」リアリティをコントローラを通して感じてもらえれば、アクションゲームの少し未来を実現できたのではないかと思います。

――開発にあたって本物の日本刀を使ってみましたか?

早矢仕氏:本物の刀を触る機会は残念ながらありませんでしたが、学校で習う剣道の授業や、「3人斬ると刀が鈍って使いものにならなくなる」など、時代劇や映画の中で描かれる文化が身近にある日本人だから感じることができる「刀」への親近感も開発のコンセプトを決めた要因の1つです。

――開発チームではどんな意見がありましたか?

早矢仕氏:最初は「本当にこだわりだけで開発していいの?」という話はもちろんありましたが、ゲームとしてのリアリティに加え、「もう一回斬りたい!」という操作の快感につなげることができたときには「これでいける!」と手応えを感じました。

――開発の構想の段階では「刀」にこだわっていなかったんですね。

早矢仕氏:ええ。本作はアクションタイトルのナンバリング最新作なので、「次はどのような武器を導入しようか?」と話していると、これまでに使ったことの無いマイナーな武器を追加しよう!となる傾向がありました。忍者は刀を背負っている姿のイメージが強いのでまずは「刀から逃げないで開発をしよう」と決まり、企画の段階で「刀にフォーカスしていこう」と決まりました。

――「NINJA GAIDEN Σ2」では複数の武器を切り替えて戦っていましたが?

早矢仕氏:最初は刀と弓のみで戦っていくことになりますが、今後ダウンロードコンテンツとして、ハヤブサの武器は無料で他の武器も配信する予定になっています。配信時期が決まったら発表しますのでお楽しみに!

――リュウ・ハヤブサが忍びの宿命に悩む姿を描いた理由を教えて下さい。

早矢仕氏:まず思うのが、次世代ハードに対応しているゲームタイトルで「ゴア表現」を競い合っているようなタイトルが最近多く、「ゴア要素が強い=大人向け」と認識されているところに違和感を感じていました。バイオレンスや暴力を振るうことに対して負わなければならない「責任」や、その行為の裏側を描くことが、本当の意味での大人向けの作品を作ることだと思いましたね。

本作では、主人公のリュウ・ハヤブサ自身がバイオレンスに対してどのように感じていくのかを描くことで、リュウがより魅力的に表現され、ゲーム自体にもさらに一段深みが出るのではないかと。「敵を斬ってやったぜ!」という単純なことではないことをプレイヤーに考え、感じて欲しいのです。

――ストーリーで特にこだわった部分を教えて下さい。

早矢仕氏:まず「人殺しの責任」をテーマとしたことと、本作はアクションゲームということで、先に進むと話の展開が明らかになっていき、さらに話を追っていきたくなるような構造は意識して開発しました。

――毎回それぞれの山場がありますよね。

早矢仕氏:そうですね。クリアすると新たなキャラクターが登場したり、さまざまな人物との関わりを持ちながら、リュウ・ハヤブサのパーソナルな物語が感じられるようになっています。もちろん彼はロンドンだけでなく世界中の舞台を飛び回りますよ。

――何時間くらいでエンディングを迎えますか?

早矢仕氏:8~10時間くらいですね。

――サブストーリーなどはありますか?

早矢仕氏:メインストーリーが分岐することはありません。既存のアクションゲームでは、アクションシーンをクリアするとムービーが挿入され、リザルト画面が表示される、という構造が多かったのですが、本作では自分のアクションに関連してストーリーが絡んでくるので、「プレイヤーが操作するリュウ・ハヤブサ」と「ムービーのリュウ・ハヤブサ」が自然にリンクしていくような仕掛けは考えて組み込んであります。「右手が呪われた」ときの傷つきながら逃げるシーンなども単なるデモだけではなく、プレイヤーが操作して進めるようになっています。

――序盤の敵兵を斬るか斬らないかのシーンもありますよね。

早矢仕氏:はい。あの場面もデモシーンで簡単に表現すればいいのかもしれませんが、プレイヤーに操作してもらいたくて、「プレイヤーが迷いながらも斬る」という行為自体が、ゲーム内でリュウ・ハヤブサが思い悩んでいる場面とリンクしてもらいたかったわけです。

――自分の責任で敵を斬ったと思わせるんですね。

早矢仕氏:他のシーンでは操作ボタン表示などの指示はあるのですが、考えて欲しいシーンでは「このボタンを押せ」という指示はないんです。つまりプレイヤーの意思で人を斬っているワケです。斬らなければ話は進まないんですが…。そこで斬った人がモヤモヤしながらゲームを進めてもいいと思っています。我々はリュウ・ハヤブサを「ジャパニーズ・ダーク・ヒーロー」と呼んでおり、彼自身が使命を帯びて人を斬っていることを操作するプレイヤーのコントローラにダイレクトに伝わり、何かを感じ取ってもらえれば、と思って開発を進めていきました。

――右腕にかけられた「殺戮の凶手」の呪いに関しても最初からストーリーに組み込まれていたのですか?

早矢仕氏:はい。単純に「内面の表現」だけではなく、忍者として「動きたいのにできなくなる」という追いつめられた状況の中で何かリュウ・ハヤブサに変化が見られるかと思い、実現しました。

――身体欠損などの表現をなくした理由を教えて下さい。

早矢仕氏:見た目のバイオレンス表現をより派手にする可能性もあったと思いますが、本作では「人を斬る」という部分にフォーカスしたいと思い、開発を進めました。我々が「心のバイオレンス」と呼んでいる、見た目だけではない心に残るバイオレンス性を極めたかったということです。斬った箇所から血が噴き出て、内臓がこぼれて、CEROが「Z」、それが大人向けです!、みたいな流れに違和感も感じていましたし。映画に例えると、18歳以上禁止はアダルト、それ以外は通常と分けられていますが、中身は大人向けだけどCEROでZ指定にする必要がないゲームもあってもいいと考えました。それが「心のバイオレンス」の意味にもつながりますよね。

――バイオレンス表現について開発チームではどんな議論になりました?

早矢仕氏:色々議論はありましたが、バイオレンスを強調してよりグロい表現を取り入れて、その作品を開発も含め、本当にプレイヤーが求めているのか?欲しがっていると安直に判断しているのではないかと問いかけていました。そして現在の表現がベストと感じ、開発スタッフも納得して作っていきましたね。

――敵についた傷や血しぶきなど「血」にこだわった部分はどこですか?

早矢仕氏:FPSなどで遠くから敵を狙い撃つようなゲームとは違い、本作の刀を使った攻撃は敵との距離が近く、敵を斬った時には当然返り血を浴びます。リュウ・ハヤブサが血を浴びている様子を見て、敵との距離感をより感じて欲しいと思い、意図的に作ってあります。

――斬った敵のうめき声や断末魔などもこだわりを?

早矢仕氏:敵を斬って無力化している=死んでいるということなんですが、「人を斬ったらこういうことになる」というイメージをゲーム画面で見られるようにと、我々からのリアリティー表現の提案の1つでもあります。首を斬られてしまえばただの肉の塊なわけで、人を斬って痛がっている表現をわざわざ導入することによって斬った後も「心のバイオレンス」を感じてもらえるかと思いました。

――倒した敵からもアイテムなどは出ませんよね。

早矢仕氏:今回は敵も人間として扱っていますので、現実ではありえない要素はゲームの没入感をそいでしまうので一切ありません。

――ボスも含め、全体の難易度も高いですね。

早矢仕氏:このキャラクターには手応えを感じて欲しい!というシーンでは意図的に難しくしています。プレイスタイル「HERO」も搭載しているのでうまく利用して突破してもらいたいです。

――プレイスタイル「HERO」を搭載した理由を教えて下さい。

早矢仕氏:本作で「NINJAGAIDEN」シリーズは3作目になりますので、初めてプレイする人、今までクリアできなかった人、すべての難易度をクリアしてきた人など、プレイヤーのスタート時のスキルが既に幅広いわけです。購入いただいた方全員に満足していただけるように2つのプレイスタイルを用意した理由です。プレイスタイル「NINJA」を選べば従来通り手応えのあるアクションを楽しめ、「HERO」を選べば体力が少なくなったときに回避とガードを自動で実行してくれます。忍者エンターテイメントとしてストーリーを楽しみたいけど、難しくて先に進めない人はプレイスタイル「HERO」で窮地を脱してみてください。プレイヤーそれぞれのゲームへの接し方で選べるように、難易度「イージー」と同じ扱いではない、というのが、開発チームからメッセージとなります。

――女性にもぜひ遊んで欲しいと?

早矢仕氏:男性や女性など区別する気はありませんが、社会人で忙しくて帰宅してから1時間しか遊べない!という人が仮面の導師を倒すことができなかった→次遊べるのは1週間後→操作もスキルも忘れてしまった!→もう遊びたくない…そんな人がプレイスタイル「HERO」を利用して先に進んでもらうのもいいですね。ゲームを遊ぶスタイルが多様化している現代では必要な機能だと思います。

――マルチプレイヤーバトル開発時の苦労した点を教えて下さい。

早矢仕氏:「オンラインマルチプレイ=シューター系」となんとなく常識ができてしまっていますが、アクションゲームでマルチプレイを楽しんでもいいじゃないかと思い開発しました。これまでの固定観念を崩したいわけではないですが、「8人の忍者が殺し合うのも面白そう!」といままでのプレイヤーが想像できないようなものに仕上がっていますよ。

――自害することもできるんですよね?

早矢仕氏:はい。今回のテーマは忍者の世界として、隠れて殺したり、忍法を使ったり、空から襲ったり…といろいろ考えていたら「やっぱりハラキリもあるよね」と忍者の闘い方を研究しながら楽しんで作りました。

――マルチプレイヤーバトルの報酬などは?

早矢仕氏:マルチプレイでは一介の忍者として参戦するので、キャラクターに好きなカスタマイズをすることができ、バトルの報酬としてカスタマイズ用のアイテムなどが入手できます。背中の文字については常用漢字を約2千文字近く実装しています。コンプリートした人専用の称号なども入手できるのでどんどん遊んでください。

――本作の社内での評判はどうですか?

早矢仕氏:弊社には「無双」シリーズを手がけるアクションゲームが得意な開発チームも複数ありますし。、敵の同時登場体数では、「無双」シリーズには勝てません。良い意味で社内にライバルがいたからこそ、自分たちの長所を見つめ直せたのかなと思います。

――本作のシリーズ以外でどんなゲームを手がけたいと思っていますか?

早矢仕氏:やはり「操作をしたときにダイレクトに伝わる」ようなゲームを大事に開発したいと思っています。うちが「信長の野望」を作ることはないと思いますよ(笑)。

――開発時の裏話などを教えて下さい。

早矢仕氏:自分のゲーム作りにおいては、一からコンセプトを決めて仕様書をしっかり作っていくのではなくて、作りながらゲームの形を構築していきます。序盤で敵が殺さないでくれと懇願するシーンは、去年の「E3 2011」ではなかったんです。その後の「東京ゲームショウ 2011」でそのシーンをプレイアブルとして実装したら「バイオレンス過ぎる」とNGになり、急遽そのシーンをカットした、ということもありました。

――発売直前となりますが、続編の予定はありますか?

早矢仕氏:もちろん発売日後にユーザーさんに色々意見を聞いてからですね。今のところ予定はありません。

――今後配信予定のDLCについてあれば教えて下さい。

早矢仕氏:リュウ・ハヤブサについて、追加武器として「猛禽爪(もうきんそう)」と「エクリプスサイズ」を無料で配信します。時期は後日発表します。また有料で配信予定となりますが「NINJA TRIALS」に歴代のボスが登場します。過去のシリーズを遊んだ人はかなり懐かしいと感じてもらえるはずです。

――あやねなどのプレイアブルキャラクターの登場は?

早矢仕氏:今回は「男」のゲームということで、予定はありません。

――体験版の配信の予定はありますか?

早矢仕氏:発売前の体験版は予定していません。本作はゲーム全般を通して感じてもらいたいメッセージも多く、ディスクを初めて入れたときの驚きを大切にしたいことと、DLCをなるべく早いタイミングでお届けしたかったのでそちらを優先しました。

――キャラクターの設定やデザインなどで苦労した点を教えて下さい。

早矢仕氏:難航したのは「仮面の導師」ですね。今回は明確なライバルが欲しかったので、リュウ・ハヤブサと仮面の導師がいろんな面で対比するように作りました。彼がマスクを脱いで感情をあらわにするシーンもあるんです。当初仮面の導師のデザインは、今よりもっとゴテゴテ装飾がついており、かなり変更しました。最後まで遊んでもらうと彼がどういう人間かということも明らかになります。やはり魅力的なライバルがいると、主人公も引き立ちますね。

――他にもウラ話などありますか?

早矢仕氏:トレーラーや公式サイトにも見られる漢字の「三」のようなデザインなんですが、弊社では「スリーストローク」と呼んでいます。あれは単純に漢字の「三」と見ると、なんだかバランスが悪くて格好が悪いんですが、それは日本の文化をアレンジしてゲーム内に取り入れて世界に展開するといった意味合いを込めて作られています。いろいろな要素で一捻りしているということですね。本作はただ単に日本の文化を紹介するゲームではないですから。

――海外メディアからの評価はどうでしたか?

早矢仕氏:忍者の主人公の内面の葛藤や悩みなど、より深く描いたということを話すと「実はそういうのを待っていた」と喜んでくれる人が多かったですね。もちろん、リュウ・ハヤブサをもっと有名なゲームキャラクターにしてあげたいなと思っています。

――Team Ninjaとして発売を待つファンにメッセージをお願いします。

早矢仕氏:本作を作る意味として、「我々は日本人だ」ということを全面に出したゲームにしたいという思いが強く、そして日本人にしか作れないゲームが完成したと自負しています。ぜひ同じ日本人のプレイヤーに遊んで欲しいと思いますし、意見や要望も寄せてもらえれば嬉しいです。もちろん海外のプレイヤーにも遊んで欲しいですが、決して海外向けに作ったわけではないです。今までのゲームに足りない要素をしっかりと捉え、入れ込んだつもりですので、ゲームで育った日本人のプレイヤーにぜひ遊んでもらえれば幸いです。

――ありがとうございました。

リュウ・ハヤブサの苦悩を感じろ!PS3・Xbox 360パッケージをそれぞれ2名にプレゼント

序盤のゲーム紹介&プレイインプレッションに続き、今回のプロデューサー「早矢仕洋介」氏の「NINJA GAIDEN」にかけた熱い思いは感じてくれただろうか?リュウ・ハヤブサを取り巻く重厚なストーリーをじっくり楽しむも良し、オンラインで1人の忍びとして戦いに明け暮れるも良し!さらにプレイスタイル「HERO」の搭載で、初心者でも楽しめる、より間口の広いアクションゲームに進化している「NINJA GAIDEN 3」を、ぜひ自分の手で感じてほしい!そしてプレゼントも迅速に応募せよ!

賞品

PS3「NINJA GAIDEN 3」パッケージ 2名
Xbox 360「NINJA GAIDEN 3」パッケージ 2名

提供

コーエーテクモホールディングス株式会社

応募期間

2012年03月21日~2012年04月04日

https://image.gamer.ne.jp/news/2012/20120321/00010fb87d7b77568b26e33cc63449f4f611/m/soft:1000043278.jpg" loading="lazy" alt="" /> https://image.gamer.ne.jp/news/2012/20120321/00010fb87d7b77568b26e33cc63449f4f611/m/soft:1000044593.jpg" loading="lazy" alt="" /> https://image.gamer.ne.jp/news/2012/20120321/00010fb87d7b77568b26e33cc63449f4f611/m/soft:1000043279.jpg" loading="lazy" alt="" /> https://image.gamer.ne.jp/news/2012/20120321/00010fb87d7b77568b26e33cc63449f4f611/m/soft:1000044594.jpg" loading="lazy" alt="" />

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー