沖縄・北谷町のオフィスにコワーキングカフェを併設し、スマートフォン向けのゲーム開発を手がける「SummerTimeStudio」。企業訪問第2弾として、チームを引っ張る開発スタッフにインタビューすることができたので紹介しよう。
2名の若きゲームクリエイターにいろいろ聞いてみました!
今回急な取材の依頼にも関わらず、筆者が到着してオフィスに入った途端、作業中のスタッフみなさんが立ち上がって歓迎してしてくれた「SummerTimeStudio」。その中核とも言える若きゲームクリエイター、執行役員「槐 義將」氏とクリエイティブ部門 テクニカルデザイナー「宮内 佑典」氏に、オープンしたコワーキングカフェにていろいろとお話を聞くことができたのでお届けしよう。また、すでに掲載している社内ツアー&プレイレポート記事もあわせて読んでくれると嬉しい。
インタビュー
「SummerTimeStudio」について
――国内2拠点目となる沖縄開発スタジオを設立した経緯を教えてください。
槐氏:実は国内2拠点目の予定だったんですが、実はここ(沖縄)が本社となっています。沖縄にスタジオを作ろうとしたきっかけは、やはり「クリエイターが場所にとらわれない」「伸び伸びと開発できる場所を自分で選択して働く」というところを作りたかったからですね。今後の目標としては全国にこのような拠点をたくさん作ることを考えており、その第一歩として海が綺麗で、自然も豊かな沖縄を選びました。でも「沖縄スタジオを作ろう!」となったときに東京のメンバーがほとんど来てしまったので、拠点をまずはここにしました。
――特にスタッフの出身が沖縄なわけではないんですね?では沖縄開発スタジオを設立した際に苦労した点を教えてください。
槐氏:やはり沖縄は距離が遠いことで、気軽に行き来ができないので、荷物の運搬や開発環境の移設等が結構大変でした(笑)。
――沖縄と東京での開発や就業環境の違いはなんですか?
槐氏:沖縄は開放感があり、自由度も高いのが魅力です。でもどうしても移動の手段が車に頼るところもあるので、宮内は東京に住んでいるときは運転免許を持っていなかったんですが、こっちの生活のために免許を取ったんです(笑)。
宮内氏:はい。仕事をしながら免許を取りに行きました!
槐氏:東京はちょっと歩けば何でも手に入って便利なんですが、そのかわり人が多かったり、まわりを見てもビルばっかりで窮屈でしたが、沖縄ではそばに綺麗な海があるので、ちょっと息抜きをしたりと、伸び伸びと働くことができる感じがします。
――逆に東京に帰りたいという声はありませんか?
槐氏:全然聞かないです(笑)。むしろ離れたくないというスタッフが多いんですよ。類は友を呼ぶ、といった感じですね。来るべきして来たのかもしれません。沖縄スタジオを作る当初は、まさかここに全員集まるなんて思っていませんでしたから。
――社内の雰囲気はどうですか?
槐氏:東京スタジオでもメンバーは少なかったので、あまり変化は感じません。ここでは東京に比べたら良い環境を簡単に作れるので、みんなのコミュニケーションもしっかりできていて雰囲気も楽しいですね。
――スタッフは全員社員なんですか?
槐氏:時と場合にもよりますが、ここに常駐しているのは全員社員で、すでに採用が決まっている内定者の子がアルバイトで来ています。プロジェクトの規模によって、契約する人が増えたりとさまざまなネットワークでいろいろな就業形態のスタッフが出入りしています。
――沖縄県内学生インターン約30名ほどを受け入れたそうですがなぜですか?
槐氏:もともと「ゲームを作りたい」と思っていても実際にどうやって作ればいいかわからなかったり、最近ではスマートフォンだけでなくコンシューマやPCに対応したソフトウェアの開発技術がどんどん進化しており、昔のクリエイターが10年くらいかけて作る技術を、今では2~3年で習得しなければならなくなっています。自分たちがその技術を少しでも若い人に伝えて、さらに業界自体が活性化すればいいなと思って、多くの学生インターンを受け入れています。逆に僕らが「教えることで学ぶこと」もたくさんありますので、お互いに高めあえたらなと思っています。
――学生インターンで来る人はどんなタイプの人が多いですか?
槐氏:2012年のインターンでは、ゲームが好きな子はもちろん、純粋にアートやデザインに興味がある子など、いろいろなタイプの学生が来てくれました。
――学生インターン向け研修プログラムなども実施していますか?
槐氏:特別なものは用意していません。主な理由としては実際に業務内で経験したことが一番身に付くと考え、一緒に作業をしながら都度サポートをするようにしています。また弊社では「人を思いやる気持ち」を重視しているので、そのような雰囲気の中で体感しながら、見て学んでいけるように指導しています。せっかく社会の仕組みを学べるチャンスなので、その経験は将来弊社に就職しなくても必ず役に立つはずだと思っています。
――彼らから学んだり、驚かされたりすることも?
槐氏:僕たちはゲーム業界で働いていた期間が長いので、経験で決めつけてしまったり、先入観で思ってしまうこともあります。(彼らが)自分たちも思いつかないようなミスをしたときに、なぜこのようなことが起きるのか、と自分たちの今後の指導の仕方の改善にも役立ちました。
――SummerTimeStudioに入社して自分自身にどんな変化がありましたか?
宮内氏:東京で勤めていた会社の時と比べると、仕事はもちろんですが、食事などもみんなで行動することが多いので、以前よりは、周りに気を配ることが増えたかなと思います。いろんなメンバーがいて、楽しいですよ。
槐氏:そうですね。僕らが東京で勤めていた会社は人数も多く、大きな組織だったんですが、今のように新しい組織になった際にいろいろ勉強不足で痛感したこともありましたし、逆に人数が少ないからこそできるコミュニケーションもあると感じるようになりましたね。
――会社設立にあたって沖縄の学生や県内のメディアの反応はどうですか?
槐氏:沖縄のメディアは主にコワーキングカフェの取材をしてくれたんですが、本当に驚いてくださる方が多く、とてもいい形で記事として取り上げていただいています。利用してくれている方も何度も来てくれたり、友達を連れてきてくれたり、すごく良い使い方をしてくれて嬉しいですね。
コワーキングカフェ「クリエイターズレジデンス」について
――コワーキングカフェをオープンした理由や経緯を教えてください。
槐氏:とにかく規模が大きくて、家具などをたくさん入れても「なんでこんなに隙間が空いているんだろう?」と悩んだこともありましたが、やはりこの規模で良かったですね。調度品などもなるべく自分たちの手で選んで作り上げようと考えていたので。カフェだけどクリエイターが仕事をしやすく、自分たちもワークスペースの一部として利用しながら、他のクリエイターとコミュニケーションを取りながら刺激しあえたらいいと思っています。
――家具やレイアウトなどもかなり凝っていますがその理由は?
槐氏:普通のカフェではちょっと狭くて他人の目が気になる、といったイメージがあるんですが、リラックスして伸び伸び作業ができる場所が作りたくて、ソファや机などもこだわって選んでいます。
――ゲスト料金もかなり安いですよね?
槐氏:あまり制約をキツくしてストレスを感じるのも良くないな、と思い、なるべく気軽に使えるようなルールにしています。もちろんゲーム制作だけではなく、セミナーや演奏会、仲間とゲームを持ち寄ってひたすら遊ぶ、という使い方も全然OKです。
――カフェの運営は社内の人間が担当するのですか?
槐氏:基本的には受付には誰かが常駐していますし、清掃やその他についても社内のメンバーで協力して運営しています。
――沖縄県内にこのようなカフェは他にありますか?
槐氏:あるらしいですが、ここまでの規模の施設はないと思います。来てくれた方は「ぜひ那覇にも作ってほしい」などと話してくれていますね。
――これから予定されているセミナーや発表会などはありますか?
槐氏:社内のセミナー会場としてはすでに使っています。現在公式サイトにて次のセミナーの情報も掲載されていますので興味のある方はぜひお越しください。
開発タイトルについて
――すでにリリースされている「コインジャングル」「The Last Mage」はどのようなゲームですか?
槐氏:「コインジャングル」は舞台をジャングルに設定し、オーソドックスなコインプッシャー型のゲームです。特にコインのジャラジャラ感やジャングルのミステリアスな雰囲気をうまく表現しており、コインの出る上限なども設けていないので、コインを出したいだけ出して爽快に楽しめます。「The Last Mage」は、コアゲーマー向きの本格的なタワーディフェンスゲームで、グラフィックなどは海外でも好まれる雰囲気を大切にして制作しています。
――今後どのようなゲームを開発・リリースする予定ですか?
槐氏:開発のスピード感としては3ヶ月に1本、1ライン(約5名~10名)で制作しており、アルバイトや外注のスタッフなどでチームを組んでいます。
――クリエイターのみなさんは普段どのようなゲームを遊んでいますか?
槐氏:これがまた面白くて、さまざまなジャンルをプレイする人が集まっているんです。僕はRPGやアクションが好きなんですが、ものすごいFPSゲームが上手い人など、それぞれの好きなジャンルを他の人にオススメしていて一緒に遊ぶ、といったコミュニケーションもSummerTimeStudioならではかもしれませんね。
宮内氏:僕も、もともとコンシューマタイトルをプレイすることが多かったんですが、最近では自分が開発を手がけるスマートフォン向けのタイトルも遊ぶようになりましたね。
――そういえば社内ツアーの際に「ラジコンヘリコプター」が流行ったと聞いたのですが?
槐氏:実は移転する前のオフィスで、メンバーの一人が上手に飛ばしているのを見て、他のメンバーが「ちょっと自分にもやらせてよ!」とねだったことをきっかけに一気に社内で盛り上がり、次の日にはみんな揃って量販店に買いに行っちゃいました(笑)。これはSummerTimeStudioの理念でもある「みんなで面白いことを共有する(同じ価値観を共有する)」ことにもつながり、僕らが面白いと思うことをゲームを通じて、お客さんとも共有したいという気持ちが強くあります。
宮内氏:お正月はコマまわしやハネつきをみんなで楽しみました。結構白熱しましたよ。
――とにかくゲームに関係なく面白いと感じたものを社内で共有してモノ作りにつなげるんですね。
槐氏:そうですね。モノ作りに大切な経験や体験はそのへんにたくさんあると思いますね。
――かなりアットホームですね?
槐氏:はい。お昼ごはんもみんなで食べますし、天気がいいときは近くのビーチで食べたり、夜も外に食べに行ったりと、結構毎日一緒に仲良く過ごしていますね。
――クリエイターの今までのイメージと正反対な気もしますね。
槐氏:弊社の特徴的な考え方になるかもしれませんが、チームで1つのものを形にするうえで、共通の体験があるかどうかや、共通の話題を元にコミュニケーションを取れるかどうかということが、開発効率やゲームのクオリティに大きく影響すると思っていますので、普段からたくさんの体験や話題を共有できるようにしています。
――開発にはコンシューマ向けタイトルを手がけたクリエイターが参加していると聞きましたが基本はスマートフォン対応のタイトルのみの展開ですか?
槐氏:そうですね。現在はiOS/Andorid向けのタイトルを開発しています。もちろん技術力としてはさまざまなプラットフォームのタイトルも開発可能なんですが、今の時代に求められる端末に合ったものを提供していきたいと思いますので、スマートフォンに特化しています。
最後に
――本記事を読んでSummerTimeStudioで働きたいと思う人がいると思いますが、どのような人材が欲しいですか?
槐氏:漠然としてしまうんですが、僕らと一緒に純粋に「モノづくり」を真剣にできる方が来てくれると嬉しいです。もちろん技術力も必要ですが、それだけではなく「仲間と楽しみながら、人を思いやって働ける人」なら一緒に良い作品を作っていけると思っています。
――全国のクリエイターを目指す人や、沖縄県内の学生などに熱いメッセージやアドバイスをお願いします。
槐氏:僕はもともと専門学校に入る前に独学でプログラムの勉強していたこともあったんですが、世の中のゲーム開発の速度が早く、ついて行けなくて挫折したこともありました。それでもゲームが好き、RPGなどの物語も好きだったので「自分でその感動を作り出したい」と思って頑張った結果、目標のスタジオに入ることができましたので、とにかくあきらめないでほしいですね。また、そんな悩みを抱えている人はぜひ弊社のコワーキングカフェに来て僕らと話してくれたら嬉しいですね。
宮内氏:本当にガムシャラに頑張ることが大事です。特にわからないことがあればすぐに聞いて、それを吸収して自分の力にしてもらいたいですね。
槐氏:また、わからないことを「楽しい」と感じることも大切です。「分からない=ネガティブ」なことではなく、「まだまだこんなに知らないことがあるんだ!」「こんなこともできるんだ!」と思えれば必ずステップアップにつながるはずです。僕も宮内もそうしてきましたし、勉強をツライと一度も思ったことはないです。まずはとにかく楽しむ気持ちが一番です。
――ありがとうございました。
(C)2012 SummerTimeStudio Co.,ltd
※画面は開発中のものです。
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