マーベラスAQLより、ついに発売となったPS Vita「朧村正」。総力特集最終回はプレイインプレッションとPS Vitaへの移植や配信予定のDLCなどについて、プロデューサーの「はしもとよしふみ」氏にお伺いしてきたのでお伝えしよう。ゲームソフトのプレゼントもあるのでぜひ応募して欲しい。
PS Vita「朧村正」とは?
豪華絢爛な和風世界の中で、妖刀をめぐり繰り広げられる和風剣戟アクションRPG
2009年、その圧倒的に美麗なグラフィックと荘厳なサウンド、遊び応え抜群のゲーム性で国内外から高い評価を受けた珠玉の名作「朧村正」が、PS Vitaに登場!絵巻物のように美しく緻密な和の世界が、PS Vitaの有機ELディスプレイで色鮮やかに展開する!
主人公は、悪霊に体を奪われた百姫と、抜け忍として追われる鬼助の二人。百姫は東から西へ、鬼助は西から東へ、それぞれの目的を果たすために、戦いの旅に出る。行く手に待ち受けるのは、忍者や侍のほか、鬼や妖怪といったさまざまな敵。妖刀に秘められた奥義を極め、すべての敵を斬り倒せ!
なぜPS Vitaに移植となったのか?はしもとよしふみ氏にインタビュー
2009年4月にWii専用ソフトとして発売された「朧村正」。開発を手がけるヴァニラウェアの本気を垣間見るグラフィックやゲームシステム、和風の世界観を盛り上げる音楽はベイシスケイプが担当し、国内のみならず海外でもかなり好評を博した。
今回、PS Vitaへの移植が決定した経緯や、どのようにゲーム内が調整されたのか、そして新たな主人公が紡ぐDLCシナリオについて、本作のプロデューサーでもある、株式会社マーベラスAQL 執行役員 デジタルコンテンツ事業本部 CSコンテンツ事業部長 兼 CCO「はしもとよしふみ」氏にお話を訊くことができたので紹介していこう。
移植に関して
――Q:まず、なぜPS Vitaに移植となったのか、経緯を教えてください。
はしもとよしふみ氏(以下、はしもと氏):もともとマーベラスAQL社内でPS Vitaで何かをしたいと考えており、グラフィックに特徴のあるゲームを、(当時)あまり家庭などに普及していなかった有機ELディスプレイで動作させてみると、予想以上にキレイに表現できたのでそのまま開発に進みました。
遠くの森や夕焼けに染まる空、風になびくすすきなど緻密に描き込まれているグラフィック。光の表現も美しい。 ――Q:移植の期間はどのくらいですか?
はしもと氏:基礎研究は「グランナイツヒストリー」(2011年9月発売)の頃から実施していたので、1年半くらいですね。
2011年9月に発売されたファンタジーRPG「グランナイツヒストリー」 ――Q:PS Vita以外の他のプラットフォームへの移植などは考えましたか?
はしもと氏:有機ELディスプレイで動作させたかったこともあり、SDからHD画質への移行についての魅力もありましたが、オリジナル版を見れば分かるように「どこか懐かしいけど、今の時代の2Dテイスト」である本タイトルを、どこでも遊びたいという声が多かったこともあり、PS Vitaに決定しました。
――Q:PS Vita移植で新規で作りなおした箇所はありますか?
はしもと氏:実は、移植制作中にタッチパネルなどで操作できるような変更も考えてみたのですが、やはりオリジナル版を買ってくれたお客様に対しての気持ちもあり、「朧村正」はそのまま変わらないような移植をを第1に目指しました。ただ、操作関係はコントローラの形状が違うこともあり、ボタン配置などのカスタマイズ機能を実装しています。また、追加要素はDLC配信として本編とはっきり分けるようにしました。
――Q:新規で描き下ろしたイラスト等はどのくらいの量になりますか?
はしもと氏:まずはパッケージですね。そのほか先着購入特典、店舗別特典のイラストも描き下ろしています。それ以外はDLCに全力を注いで開発を続けています。
――Q:オリジナル版からのユーザーの要望や声はどのようなものがありましたか?
はしもと氏:「続編がやりたい」「この世界観でもっと遊びたい」というような声が挙がっていました。ですが、おそらく続きを発売すると「思い出補正」ではないですけど「あれ、鬼助や百姫ってこんなキャラだったっけ??」と思わせてしまう場合もあるので、(DLCなど)新規のキャラクターでこの世界観を広げていくことにしました。
――Q:移植する際に開発のヴァニラウェアとはどんな話をしましたか?
はしもと氏:やはり操作関係や本編に対する追加要素などの打ち合わせが多かったですね。元のオリジナルが完成しているのでブレはなかったです。ただオリジナルより悪くなる(読み込み速度が増えたり、登場する敵が減ったり)ことがないように、すべて表現しようという話をしていました。
――Q:移植にあたってのマーベラスAQLと、ヴァニラウェアのそれぞれの役割分担を教えて下さい。
はしもと氏:自分はこういった形で作ろうと話をして、ヴァニラウェアさんは開発全体を担当している形になっています。なるべく開発側の作りたい方向性は阻害しないようにし、(ユーザーに対して)わかりにくい部分やちょっとマニアックになりそうな部分に対して「こう打ち出したほうが良い」というような舵取りの役目も担っています。
――Q:社内での反響はどうでしたか?
はしもと氏:実機を見せるまでは「朧村正がPS Vitaに移植されるんだ」というフラットな印象だったのですが、本体ごと貸して遊ばせてみると、見せるだけのつもりが全然返してくれないことが多々ありました。とにかく最初はグラフィックの綺麗さに驚いていましたね。
――Q:海外のファンも多いと聞きますが、海外発売の予定はありますか?
はしもと氏:海外での発売も決まっています。なるべく国内発売に近い時期を考えています。
――Q:本作に登場する、昔ながらの言い回しや日本古来の用語などローカライズが大変そうですが?
はしもと氏:実は直訳に近かったオリジナル版より翻訳を変えています。日本の文法は縮めるのにすごい便利なんです。また、一つの台詞にもたくさんの意味や間、ふくみなどが凝縮されているので、翻訳にかなり力を入れています。
――Q:海外のファンはボイスは日本語が良い、という人も多いですが?
はしもと氏:本作でのボイスは日本の講談や舞台的な表現をしているものもあるので、他の国での言語で撮り直さずにそのまま収録する予定です。
DLCに関して
――Q:新主人公4人によるDLC「元禄怪奇譚」が販売されますが、導入した経緯を教えてください。
はしもと氏:私も開発現場も本作を「ただの移植では終わらない、ファンへのお礼としたい」と考えており、新しい物語を入れようと決めました。「朧村正」本編では百姫と鬼助が百八本の刀を求めて旅をしますが、DLCの主人公たちは「刀ではない」攻撃方法で、また違った物語を紡いでいきます。
――Q:DLCは完全に新規で制作されたのですね?
はしもと氏:はい。ボイスや物語、道中に登場する親玉(ボスキャラクター)なども完全に新規で制作しています。
――Q:DLCのアイデアはオリジナル版の開発中に企画としてあったのですか?
はしもと氏:当時、ボツキャラというのはもちろん存在していましたが、それを今採用して「ボツキャラ復活しました」というのもちょっと…(笑)。道中に復活させるのではなく、新規で物語を作りました。
――Q:DLCの主人公4人は物語がクロスオーバーしたりはするのですか?
はしもと氏:有料DLCなので全部買わないと物語がわからない、というようにはしたくなかったので、すべて物語は1人ずつで完結します。イメージとして百姫と鬼助が旅をしている間に、一方ではこんなことがありました、というような楽しみ方をしてもらえれば嬉しいです。
――Q:もしかしたら百姫や鬼助がDLCに登場することも?
はしもと氏:現在DLCを開発している最中なので未定ですが、新しい主人公の邪魔にならない場合はいても面白いかも知れませんね。
――Q:4人の主人公は百姫や鬼助のように複雑に操作できるのですか?
はしもと氏:第1弾の「猫又お恋」ですが、実は猫と人間に変身できるんです。刀がメインの百姫や鬼助とはまた違ったプレイ感だと思いますよ。
――Q:DLCは4つのみとなりますか?
はしもと氏:めちゃめちゃ好評だったらその先も考えちゃうかも知れませんね。その為にも配信開始となったら、是非ダウンロードして貰えればと思います。
――Q:4つのDLCをクリアすることでなにか特典はありますか?
はしもと氏:現状は本編とは別のコンテンツと考えているので、予定はありません。
ETC
――Q:全国で開催された体験キャラバンでのユーザーの反応はどうでしたか?
はしもと氏:社内での反応と近く、会場では行列もでき、「おおーっ!」という声も上がっていました。想定していたよりも好評に感じました。
――Q:やはり来場するのはオリジナル版のファンが多いのですか?
はしもと氏:オリジナルのファンの方が「どんな風に移植されているか」と確認に来られる方や、通りすがりの方もいたみたいです。PS Vitaを持っていない人も試遊の画面を見て「キレイ!」とと素直に感動されていたようです。
――Q:続編の予定などはありますか?
はしもと氏:開発も含め、自分自身も「安易な続編」を作りたくはないと思っているので、どちらかと言うと和風にチャレンジしたので次は洋風のタイトルにしようかな、という感じです。
――Q:ダウンロード版の販売は予定していますか?
はしもと氏:はい。同日に販売しています。
――Q:アドホックやインターネット通信で遊べるコンテンツはありますか?
はしもと氏:「グランナイツヒストリー」のように「なんとなくオンラインで遊べる」ようなコンテンツではなく、ガッツリと最初からオンラインで遊べるコンテンツを導入するには、新規での企画にはじめから盛り込んだものを作りたいと考えています。
――Q:PS Vita版から遊ぶユーザーに遊び方のコツを教えて下さい。
はしもと氏:本作には「無双」「修羅」という難易度が用意されており、いつでも変更することができます。最初はゲームに慣れるために「無双」でプレイして、キャラクターも途中で変えることもできるので好みで気軽に初めてもらって大丈夫です。
――Q:ちなみに開発スタッフの間で百姫と鬼助どちらのキャラクターが人気がありましたか?
はしもと氏:メンバーに男性が多いこともあり、作っている最中は「百姫」が人気だったんです。序盤で中にオッサンが入りますけど(笑)。「鬼助」は話を追っていくとかなり熱い男ということで、だんだんと人気が出てきた記憶があります。
――Q:最後に発売を楽しみにしているユーザーにメッセージをお願いします。
はしもと氏:3月28日に、ついに発売となりましたPS Vita「朧村正」。操作感やグラフィック、音楽などすべてを見直して、PS Vitaに最適化するために調整しました。金額もお手頃になっておりますし、PS Vita「閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-」を遊び尽くして「他の新しいソフト欲しいな~」と思っている時期だと思いますので、ぜひ遊んで頂けると嬉しいです。本作のちょっと落ち着いた、絵巻物のような雰囲気のゲームを心ゆくまで楽しんでください。
――ありがとうございました。
プレイインプレッション
今回のインタビューの前に実機でプレイさせたもらったのだが、最初に感じたことは本当にグラフィックが緻密で綺麗なところ。百姫や鬼助の衣装がひらめく動きや、刀を振った軌跡、敵の散り際まで美麗に表現されている。太陽の傾きや光の当たり具合、自然の描写など、Wii版でもかなり美しく感じていたグラフィックがさらにパワーアップした印象だ。複数の敵や巨大なボスが登場しても一切処理落ちなし!しかもローディングもなし!!
敵との激しい剣戟アクションが魅力の本作でのキャラの操作感は、問題なく楽しめた。アクションがあまり得意でない人もとりあえずボタンを押すだけで大丈夫。だんだんと刀の持ち替えから、奥義、溜め斬り、弾き返しができるようになると、もうやめられないから危険。筆者も仕事なのに無言でプレイしてしまった(笑)。百姫の戦う姿は凛々しい…!
武器の種類に関しては「太刀」は攻撃の出が早く、ジャンプと組み合せるとスピーディーにバサバサ敵を斬れる。「大太刀」は当てるとダメージは高いが若干モーションにスキがあり。またすべての刀には違った「奥義」が秘められており、縦に打ち上げる剣撃を放ったり、前方に連撃しながら突っ込むなどバラエティに富んでいて、素直に使っていて気持ちいい。
ただ、筆者が最初に悩んだのは、「刀の霊力(耐久力)」。主人公は3本の刀を装備しているが、霊力がそれぞれの刀に設定されており、防御したり敵の攻撃を受け流したりすると減ってしまう。刀を鞘に納めていれば霊力は回復するのでうまく持ち替えて戦わないとすぐにバッキーン!と刀が折れてしまうのだ…。ちなみにボス戦で筆者は3本全部折れてしばらく逃げまわるしかなかった…クッ…。
そしてこの体験プレイでは鬼助編に登場するボス「黒猿」と対決。最初難易度は「修羅」で戦っていたのだが、黒猿の風車手裏剣の激しい攻撃にボコられ、一度は敗北。すぐに再戦したのだが難易度を「無双」に変更(ヘタレ)。一度当たると何度もダメージを食らう手裏剣をなんとか回避しながら刀を叩きこみ、なんとか撃破。だがしっかりとボスの動きを見極めれば「傷一つなく」勝てる…かも?
PS Vita「朧村正」ゲームソフトを3名にプレゼント!
全四回の連載で魅力を伝えてきたPS Vita「朧村正」総力特集。制作決定時から話題を呼んでいた本作もついに発売され、すでにたっぷりプレイを楽しんでいるファンも多いと思うが、記事作成にも協力してもらった株式会社マーベラスAQLからなんと!ゲームソフトを3名にプレゼント。ぜひ「朧村正」に対する熱いメッセージも書いてくれれば、百姫と鬼助も喜ぶであろうぞ!
賞品
PS Vita「朧村正」ゲームソフト
提供
株式会社マーベラスAQL
当選数
3名(抽選)
応募期間
2013年4月6日~2013年4月20日