2013年に「忍者じゃじゃ丸くん」のTシャツから始まり、たくさんのゲームTシャツを発売してきたゲームスグロリアースのJCさんにインタビューを申し込んだところ、何やら新ネタがボロボロと出てきたので、まとめて訊いてきました。
どこかでゲームのグラフィックの要素が役に立っている
酒缶:どうしてゲームTシャツを作ろうと思ったんですか?
JC:友人の手伝いで2012年11月のゲームレジェンドに行ったときに会場を回ってみたら、手作りの商品がいろいろと並んでいて面白いと思ったのがきっかけです。
酒缶:ゲームレジェンドはゲーム関連の同人誌を中心とした即売会ですよね。
JC:それで自分でもやってみたいと思ったんですけど、自分がやるならちゃんと権利元の許諾を得て作れば、ゲームに対して恩返しができると思ったんです。なぜ恩返しと言ったかというと、自分がデザイナーになるのに多少はゲームの影響を受けていると思うからです。小さい頃は台湾に住んでいたんですけど、80年代の台湾は日本と同じ生活レベルだったので、日本で発売されるファミコン、PCエンジン、メガドライブといったゲーム機のゲームはほぼ同時に輸入されていたんです。
酒缶:当時は日本語のゲームで遊んでいたんですか?
JC:そうです。台湾では攻略本がすぐに発売されていたので、RPGの場合は攻略本を見ながらやっていました。
酒缶:アクションゲームなら言葉があまり関係ないから攻略本が役に立つのはわかるんですけど、日本語が多いRPGも攻略本を見て理解できたんですか?
JC:RPGの方が攻略本の情報が充実していました。
酒缶:それって、どんな言葉をしゃべっているかまで掲載されているということですか?
JC:そういうレベルの攻略本が発売されていました。ただ、自分は「ドラクエII」の時にすごい苦い思い出があって、小学校2、3年の頃にプレイしたんですけど、全部の文字が平仮名なので、書いてある言葉の意味を調べようとして辞書を見ても、おなじ平仮名でもいろんな意味があって混乱して、RPGは挫折しました。再びRPGが好きになったのは、テキストに漢字が使われたPCエンジンの「天外魔境」でした。
酒缶:使用されている漢字のおかげでPCエンジンの方が遊びやすかったんですね。
JC:そうですね。その後、成長してから日本語を勉強して「ドラクエ」をやり直しました。台湾では日本語は親しみやすいので、日本語版のソフトが発売されるのが受け入れられています。
酒缶:日常会話では日本語は使ってないですよね?
JC:日本語は喋れないけど、何とか読めるんです。そういう環境の中、ゲームで遊んでいたため、ゲームのグラフィックの知識が溜まっているので、建築や家具や空間や設計などのデザインの仕事をする時に、どこかでゲームのグラフィックの要素が役に立っているんです。
酒缶:例えばファミコン時代のデザインというとドット絵がメインですが、ドット絵の影響を受けた、というわけではないんですよね。
JC:アクション系の高低差があってジャンプをするようなゲームの場合、ドット絵の色の付いた四角の組み合わせでブロックを形成しますけど、店舗の設計でモノを展示するときに木で作った四角を組み合わせて棚を作るとオシャレになるんですよ。例えば猫カフェを作る場合、猫が動き回るので、応用できるんです。猫がいなくても空間がオシャレに見えることもあるので。
酒缶:ゲームで遊んでいたことが、デザインの仕事でも感覚的に役に立っているんですね。
JC:将来的にはTシャツで培った経験を空間で応用して、ゲーム関連のモノを加工してゲームをテーマにしたホテルの部屋とかに応用したいかな。例えば、壁の一面にファミコンのカセットを並べて上からコンクリートを塗って、どんなソフトかはわからないけど凸凹になっている壁とか、ジャンク品のファミコンを半分に切って並べて全部モノクロにして棚にするとか。
酒缶:もったいない感じがしますけど。
JC:だからジャンク品限定で。将来的にはいろいろやってみたいな、と思っています。でも、現時点ではファッション関係のゲームスグロリアースに力を入れています。
ゲームスグロリアースを創立した時からずっとやりたいと思っていた
酒缶:今回は御社のこれまで発売したTシャツについていろいろとお話を訊いていこうと思っていたのですが、さっきから見たことのないモノがちらちらと見えるのですが、何でしょうか?
JC:「燃えろ!!プロ野球」ですね。以前からレトロゲームと何かのコラボレーションをしたくて、誰もが思っていても誰もやっていなかった「燃えプロ」とプロ野球球団とのコラボを実現しました。
酒缶:5月のゲームレジェンドの時にクラリスディスクさんのブースに「燃えろ!!」のロゴが描かれたキャップが置いてあるのを見たんですけど、あれも御社のですか?
JC:あれはうちじゃないです。今、ジャレコさんのタイトルの権利をクラリスゲームスさんが持っているので。実はこのTシャツについては1年前に提案していて、担当の方に提案したら「そんなことできるんですか!」と質問されて、まだどことも交渉していなかったけど「できます!」と即答したら「できるのならばお任せします!」と言っていただきました。その後、プロ野球のオフィスに電話をして、興味を持っていただいた球団と話をして、そこから実際に商品化する球団を決めさせていただきました。
酒缶:でも、1球団なんですね。
JC:審査に時間が掛かると厳しいし、「燃えろ!!プロ野球」が発売された当時に存在しない球団はまずアウトなので、いろいろ考えて、80年代に一番強くて、ゲームを買った多くの人が西武を選んでゲームをしたでしょうから、話題性込みで西武さんと一緒にすることになりました。
酒缶:これ、巨人の江川に見えますが(笑)。
JC:そうなんですけど、まぁ、若干アレンジはしていますけど、西武の方でアタックして、西武の担当者も乗り気で、デザインもほぼ一発OKで。
酒缶:やっぱりバントなんですね。
JC:バントのイメージが強いんです。あとは西武の中ではこれも若干ほんとの絵と比べると若干ぽっちゃり目なんですよ。今、日本人でホームランを打っている中村剛也という選手がいて、それも若干意識しています。
酒缶:中村剛也バージョンモデルということですか?
JC:まぁ、それも将来的にはやってみたいですね。もし「燃えろ!!プロ野球」の2014年版を作るとしたら、バントでホームランをできる日本人は西武の中村だけですから。このことを西武の担当の方に話したら大爆笑してくれました。
酒缶:後ろはバックスクリーンの映像ですけど、やっぱり選手名は入れられなかったんですね。
JC:当時の選手は当然ダメなんですけど、今の選手でもスタメンはどんどん変わるので、こういう形になりました。あとは応援タオルです。
酒缶:タオルは今までのラインナップになかった商品ですね。
JC:タオルは初めてです。これらの商品をこれから1年売ります。7月にリリースして、この後、ラインナップを増やしていきます。
酒缶:これはどこで買えるんですか?
JC:紺色のTシャツとタオルは西武ドームと西武の直営ショップで購入できます。あと、西武の本拠地の近くなのでビレッジヴァンガードの川越店でも限定販売する予定です。同じデザインの赤はうちのホームページで限定100枚だけ販売します。今後は状況を見て、当時の西武のユニフォームのバージョンを作る予定で、バッグやケータイケースも考えています。
酒缶:西武ファンは嬉しいですよね。
JC:西武以外の球団でもコンセプトが合えば一緒にやりたいと思っています。プロ野球の観客の一番多い層の30代と40代、その世代だとファミコンは触っているし、「燃えプロ」はやったことがあるはずなので、実はこのコラボレーションはゲームスグロリアースを創立した時からずっとやりたいと思っていたんです。それで、ジャレコの担当の方に提案したとき、交渉に時間が掛かると言われて、その担当者の方から逆に「「忍者じゃじゃ丸くん」をやりませんか?」と提案していただいたため、「忍者じゃじゃ丸くん」をやることになったんです。
ターゲット層を考えながら作るのがデザインの方針
酒缶:これまでに御社が発売したTシャツについてデザイン意図を教えていただけますでしょうか?
JC:僕だけでデザインしているわけではないので、ブランドのブレーンとしてお話していることを理解してください。
酒缶:わかりました。最初に出たのが「忍者じゃじゃ丸くん」のTシャツですね。3種類が同時に発売されましたけど、それぞれどういった意図で作られているんですか?
JC:最初は「じゃじゃ丸くん」しかなかったので、3つの考え方で作りました。1つはデザイン性とファッション性を考えた「pride of Ninja」。単純にカッコよさ、ゲームでも何でもいいけど、ゲームの画面を無視してアレンジ風に作ろうみたいな。
酒缶:アレンジしているけどどこかゲーム画面っぽくて。
JC:そうですね。これはカセットパープル。本当のカセットとは色がちょっと違いますけど、紫風でも日本っぽいかな、と思って作りました。
JC:キャッスルグレーは一番着やすそうな色なので採用しました。
JC:ブルーはゲームでガマパックンに乗っているときの背景がブルーだったので、この色を使いました。
酒缶:これは去年のゲームレジェンドの時に購入させていただきました。
JC:ありがとうございます。赤は説明しなくてもわかると思いますけど、じゃじゃ丸カラーみたいな感じで採用しました。
JC:2つ目は女性を意識したモノで、今、酒缶さんが着用している「SAKURA & JAJAMARU」。
酒缶:これ、女性向けだったんですか?
JC:女性向けではないんですけど、女性が可愛いと思ってくれる服として考えたのがこれなんです。こちらはゲームのイメージと関係なく、「pride of Ninja」とかぶらない色を採用しました。だからピンク、スカイブルーと夏に着やすそうな色にしていて、気分的にサーファーっぽいモノがいいかな、と思っていました。実際、友達のサーファーも気に入って着用してくれています。
酒缶:「SAKURA & JAJAMARU」が一番、カラーバリエーションが多いですよね。
JC:バリエーションは多いけど、作っている枚数は一番少ないんです。このデザインはゲーマーに受けるか心配していて、でも、このデザインもいいな、と思って、枚数を少なくして色を多めにしました。でも、ゲームレジェンドやTシャツラブサミットでは女性やゲームに詳しくない男性の方もこのデザインを気に入っていただいて。
酒缶:多分、3種類並んだ時にこれが一番すっきりしていて、キャラクターの主張が少ないから着やすいのではないかと思います。1つ1つのデザインの意図もあるけど、ラインナップで考えているんですね。
JC:そうですね。ターゲット層を考えながら作るのがデザインの方針ですね。そして3つ目は完全に「じゃじゃ丸くん」をリスペクトするという意味で考えて、「JAJAMARU Glorious History」を作りました。ヒストリーをリスペクトするために「じゃじゃ丸くん」をファミコンの「忍者じゃじゃ丸くん」からゲームボーイアドバンスの「じゃじゃ丸Jr.伝承記~ジャレコレもあり候~」まで全部載せてみたら絵が小さくて色をたくさん使ってすごく大変でした。
酒缶:ちなみに色のバリエーションって何か意味があるんですか?
JC:「じゃじゃ丸くん」のイメージカラーは赤だけど、ヒストリーの場合はいろんなモノを載せるからベースはシンプルにしたくて、白、グレー、黒のどれにするか悩んだんですけど、ゲームレジェンドで黒を売っていたらグレーを欲しがった人が多かったのでグレーを追加しました。
酒缶:僕は黒を買っちゃいましたけど(笑)。
JC:ありがとうございます。「Pride of Ninja」は後で白を追加しました。
酒缶:トートバッグとセットのヤツですね。
JC:これは限定パックなのでステッカーも作ったんですけど、酒缶さんは見ればすぐにわかりますよね。
酒缶:当時のファミマガに掲載されたウソテクですね。
JC:これもジャレコさんに「こんなのやってもいいですか?」と確認して作りました。
酒缶:これをTシャツにしてください!
JC:でも、これをやっちゃうとネタTになっちゃうので。いずれイベントとかで50枚くらいとかネタTとして出すのはいいかな、とは思います。トートバッグはセカンドバッグとして使いやすいバッグがいいと思って作りました。ファミコンのカセットやパッケージ系のトートバッグを作れそうなので長方形にしたんです。デザインよりも「じゃじゃ丸くん」のキャラクターと名前をドーンと出して。
酒缶:そして、次に出たのがサンソフトの「マドゥーラの翼」。
JC:一緒にブランドを創立したパートナーの関田さんが「マドゥーラの翼」が大好きなので、サンソフトの第1弾が「マドゥーラの翼」になりました。
酒缶:「マドゥーラの翼」も表だけ見ると胸のデザインだけですっきりしていますよね。
JC:マドゥーラの紋章はいじらなくてもいいかな、と思って、ワンポイントで胸に入れました。ニュールを散らばらせた方がデザインとしていいかな、と思って、ルシアは端っこになるべく主張しないように配置しました。
酒缶:でも、ルシアがいないと何のゲームかわからないですけど。
JC:もちろん、ディープなゲーマーさんの場合だと、全面的に主張するものが好きなんですけど、うちのTシャツの1つのコンセプトに、このゲームを触ったことがない若い人でもうちのTシャツを買ってから3DSでダウンロードしてくれたらいいかな、という狙いがあるんですよね。ライトユーザーや若いゲーマーだと、いっぱい主張しないほうが受けるかな、と思って。
酒缶:そういう意味で行くと、もう片方のデザインはゲームということをものすごく主張していますよね。
JC:ここはすごく主張していますけど、ステータス画面というのは、これはパッとみて何のゲームか知らない人も多いと思うんですよ。
酒缶:確かにわからないですね。
JC:ステータス画面はRPGっぽいけど、ドット絵とかじゃなくて、ステータス画面を出しているだけで「これはどんなゲームだろう」と思ってもらう狙いもあるし、ステータス画面でメッセージTシャツというのもデザインとして成立するんじゃないかな、と思って。ドット絵を強く出すと子どもっぽくなるけど、ステータス画面だと大人が普通に着てもいいかな、と思って。
酒缶:主張という意味では、このTシャツを着ている人は完ぺき、ということですか? データ的にはすべて満杯の状態なので。でも、これを見て「マドゥーラの翼」のTシャツだとわかる人ってどのくらいいるんですかね。
JC:それも狙いなんですよ。TシャツラブサミットでこのTシャツを購入してくれた人の中には「マドゥーラの翼」を知らないで買った人がいたんですけど、このデザインは「ドット絵っぽいから面白い」「これは何だろう?」と思って買ってくれる人がいるのは一つの狙いなんですね。
酒缶:このデザインは発表されたときにびっくりしたんですよ。
JC:いろんな方向性をやってみたいんです。「マドゥーラの翼」はそれほど知名度の高いゲームではないので、「マドゥーラの翼」を好きな人だけを狙うと売れないんですよ。
酒缶:正直、ルシアがいることで「マドゥーラの翼」とわかるけど、だからと言って、みんな「マドゥーラの翼」をやったことがあるかというと、そうでもないですからね。
JC:もちろん関田の趣味もあるんですけど、デザインに関してはこの2つのデザインは面白いな、と思っています。
できるだけ他の会社が作ったことがないタイトルでやりたい
酒缶:次は「アトランチスの謎」。これは発表されてから発売日がちょっと伸びましたよね。
JC:そうですね。グラデーションの作りとシャツの色がなかなか決まらなくて。シャツの色をこれまでにあんまり見たことがない色にしたかったので、こだわりました。このゲームはどういう風にデザインをした方がいいかな、と思って、いろいろと考えたんですけど、ロゴをそのまま使っても詰まらないし、ゲーム画面は色の使い方が変でグラフィック的にTシャツとして相応しいモノではなかったので、「アトランチスの謎」となんとなくわかり、笑いが取れて、普段着てもオシャレに見えるデザインを考えた結果、パロディーにしました。
酒缶:確かに(笑)。
JC:このデザインだと普段着てもいいんじゃないか。主張は強くないけど……。
酒缶:よく見ると「アトランチス」だ、と。
JC:でも、リスペクトということで後ろには1ポイントとしてウィンを入れました。
酒缶:mars16さんの「アトランチスの謎」のTシャツが、表面にウィンくんが大きくデザインされていて、後ろがブラックホールに落下しているウィンくんだったので、比べてみるのも面白いですよね。
JC:そうですね。実は「アトランチスの謎」のTシャツを作るのはうちが初めてだと思っていたんですけど、調べたら他の会社が作っていて「まずい!」と思ったけど、見てみたら被ってなかったのでよかったと思って。
酒缶:(笑)。
JC:実は他の会社が作っているタイトルのTシャツはあまり作りたくなかったんです。なので、サンソフトというと「いっき」が有名ですけど。
酒缶:「いっき」もmars16さんがやっていますもんね。僕も持ってますけど。
JC:なので、「いっき」を作らないのは、できるだけ他の会社が作ったことがないタイトルでやりたいと思っているからです。
酒缶:だから「ギミック」なんですね。
JC:「ギミック」はひねりが一切なく、ストレートに作りました。「ギミック」はタイトルロゴがファミコンのゲームの中でもデザイン性が高くて優秀なんですよ。だから、ロゴを中心にして、英文で簡単な説明「THE ADVENTURE OF A TRICKY WORLD」と入れて、もうひとひねり欲しいから、キャラクターと星をミックスしてデザインしたんです。
酒缶:はい。
JC:で、キャラクターが可愛いので背中にも入れて、大きな星を入れてみたら、ビールの販促物のTシャツみたいになりましたけど、サンソフトの中では一番ストレートに表現しているデザインです。「ギミック」は単純にこのゲームのポテンシャルがすごく大きいと思っていて、サンソフトさんに提案をしたら、「これ、売れるんですか?」と言われました(笑)。知らない人が多くてプレミアソフトになっているんですけど、キャラクターも女性受けがいいと思っていて、結果的にサンソフトのタイトルのTシャツの中では一番売れています。「ギミック」のキャラクターはゲームをやったことがない人で可愛いと思ってくれています。
酒缶:やったことがある人でも1面から先に進めなかったりしますけど(笑)。
JC:これ、すごい難しいんですよね。これもゲーマーさんはマニアックなものが好きな人がいるだろうし、女性でもキャラクターとして可愛いと思って、知名度よりもキャラクターの力で両方行けると思って、リンクをしたんですね。実際、うちの「ギミック」のTシャツを購入した人の中で「ギミック」を知らない人が7割以上です。Tシャツとして評価してくれるのは結構大きいですね。だから、サンソフトさんは早く配信したほうがいいよ、と言っていたんですよ。
酒缶:まぁ、はい(笑)。
JC:これもトートバッグがあって、単純にこれもバッグを作りたい、何の理由もなくバッグがあったら可愛いだろうと、それだけの理由ですね。
酒缶:「ギミック」はまだ買ってないんですけど、白以外が出てこないかな、と思っていました。
JC:時間が経ったら薄い緑を出そうかな、と思っています。水色と緑の中間色くらい。
酒缶:どうしても白は着にくいんですよね。子どもの頃にさんざん無地の白Tを着ていたので。
JC:それはちょっと参考にします。
酒缶:透けないか気になっちゃうのもありますし。
JC:うちのは透けないですよ。実はうちのTシャツを作るときに参考にするのは、女性の方が夏着ると汗をかくと下着のラインが透ける話があるので、できるだけそれをなくしたい、というのがあるので、厚みを入れて透けないように気を付けています。
酒缶:次がジャレコシューティングクラシックス。
JC:これは単純にクラリスディスクさんが持ってきた企画で、サントラを発売するタイミングでTシャツを出したいという話でした。
酒缶:クラリスディスクさんのサイトに限定色がありますよね。
JC:そうそう。最初、シューティングか。1タイトルでやると何がいいかと考えたけど、ジャレコで1個すごい有名なタイトルがピンと来なくて。セイントドラゴンとかP47とか湾岸戦争とか、どう考えても知らんだろう!というタイトルが入っていて、最初は1個でやろうと思っていたけど、ジャレコの代表作がわからなくてずっとクエスチョンマークだったので、ジャレコのシューティングをわからないので、1個だけのタイトルで作るのは弱いので、全部入れました。
酒缶:でも、サントラがあるから、そこに収録されているタイトルは使いようがあったという
JC:そうですね。全部まとめることによってジャレコのシューティングをリスペクトする形にしようと思って、ジャレコシューティングクラシックスというタイトルにして、単純に一色にしてシャープなデザインにしました。全部の自機を入れようということに決めてデザインを考えたら、こういうデザインかな、と。それで、まとめかたに悩んで、やっぱり最後はジャレコとクラリスディスクさんとうちのロゴを入れて証明みたいな感じにしました。
酒缶:肩の星マークは何ですか?
JC:「ゲーム天国」ですね。全部入れるとしたら「ゲーム天国」はどこに入れたらいいかな、と悩んでいたんですけど、星マークはエンブレムとして使った方が面白いかな、これだけ左にもってきて、ゲーム天国だと集大成みたいなところもあるので独立させました。で、「フィールドコンバット」は単純にビームの形が丁度ロゴを入れた方がいいんじゃない、と思ったのでここに入れました。
酒缶:なるほど。実はこの緑色が「フィールドコンバット」のイメージ色だと思ったんですよ。
JC:緑は好きな色なので入れました。黒、緑、あとクラリスディスクさんのイメージカラーの紺色の3種類があります。このTシャツを購入される方は、すごいディープなゲーマーとほとんどゲームをやらない人の2種類しかいません。
酒缶:なるほど。随分極端ですね。
JC:うちがブランドを作って「じゃじゃ丸くん」や「燃えろ!!プロ野球」の権利を使わせてもらって、デザインやコラボレーションの決定権を頂いたから、このTシャツで半分でも恩返しできていればと思っています。
酒缶:今後もジャレコのタイトルをやることもありそうですよね。
JC:いずれ何かをやれたらいいかな、と思っています。やりたいことはあるんですけど、もっと知名度が上がったらやりたいです。やりたいのは「バイオ戦士DAN」です。みんな「えー」と言うけど。
酒缶:僕の中では浴衣着てうちわで扇いでいるシーンしか思い出せないですけど。
JC:あと、相撲でしょ。
酒缶:そうですね。
JC:実は「ミシシッピー殺人事件」もやりたくて、ナイフが刺さった帽子を提案したんですけど、「すごいいいアイディアだけど、うちに版権がないので」と言われました。
完全にゲームと関係ないモノは作らないと決めていた
酒缶:「孤独のグルメ」はゲームとは関係ないタイトルですけど、「こういうゲームがあったかな?」と思ってしまうデザインのTシャツですよね。
JC:何でこのタイトルをやったかというと、「孤独のグルメ」が大好きだったからです。ゲームスグロリアースの主旨とは違うんですけど、「孤独のグルメ」を好きな友達とゲームを好きな人で被る率が高かったので、「孤独のグルメ」が80年代にブレイクしていたら、もしかしたら「美味しんぼ」みたいにゲームになったんじゃないかと思ったんです。
酒缶:「美味しんぼ」のゲームは(笑)。
JC:言いたいことはわかります! どうして「美味しんぼ」と言ったかというと、グルメ作品なので。「孤独のグルメ」のゲームが80年代に出ていたとしたら、アクションゲームじゃないし、やっぱりアドベンチャーゲームじゃないかと思って、「ファミコン探偵倶楽部」や「神宮寺三郎」など当時のアドベンチャーゲームの要素を融合してこのTシャツを作ったんです。
酒缶:実際にはないゲームのデザインが完成したんですね。
JC:でも、作っても権利元の許諾を得ないと意味がないので、原作者の久住昌之さんに直接連絡をしたら「私は問題ないので、作画の方と出版社がOKならばいいですよ」という話になり、久住さんが扶桑社さんに連絡をしてくれて扶桑社さんの許可も取れて、作画の谷口ジローさんにデザインを見せたら「私の絵をそのまま入れるとは思っていたけど、まさかこのやり方か!」ということで許諾を得ることができました。ドラマ版「孤独のグルメ」シーズン3の最終回に久住さんがこのTシャツを着用してくれたため、ネットでも話題になりました。
酒缶:街でこのデザインのTシャツを見たら、「孤独のグルメ」を知っている人でも二度見しますよね。
JC:「孤独のグルメ」の漫画はヨーロッパで大ヒットしていて、スペイン語版、フランス語版、イタリア語版が発売されていて、ヨーロッパにはレトロゲーム好きな人が多いから、ヨーロッパでもこのTシャツが受け入れられるんじゃないかと思っています。実際、このTシャツを着て秋葉原のトレーダーに行ったら、ベルギー人とフランス人に「このTシャツは何?」と声を掛けられました。
酒缶:「これは80年に出ていたゲームですよ」と説明したら、実際のゲームを探しちゃうかもしれないですね。
JC:(笑)。「このゲームは存在しないですよ」と説明しました。ゲームスグロリアースを作った時に、ゲームの要素を使ってオシャレをすることを一番の目的にしていたし、完全にゲームと関係ないモノは作らないと決めていたので、このTシャツを作った時に方向性についてのヒントを得ることができました。もしかしたら今後も存在しないゲームがデザインされたモノが出て来るかもしれません。
酒缶:そして、「がんばれゴエモン からくり道中」ですね。
JC:「ゴエモン」はデザイン的に全然迷ってなくて、「ゴエモン」の世界観を大正時代のマッチ箱のデザインにしました。大正時代に海外向けに輸出されたマッチ箱のデザインが秀逸なので、そのイメージでTシャツを作りました。その当時だと、「品質優良」とか「特用娯楽」とか書いてありそうだし、「MADE IN JAPAN」とも書こうと思ったんですけど詰まらないので「BORN IN NIPPON」の方がインパクトがあるので、そのイメージをミックスしました。
酒缶:2色ありますけど、どうしてこの色にしたんですか?
JC:僕の中ではゴエモンは青のイメージなんです。他の人は赤だと思うかもしれないけど、バックグラウンドは青のイメージが強かったので青にしました。茶色は「ゴエモン」とは直接関係ないんですけど、今回イメージしたマッチ箱には茶色がピッタリで、うちのTシャツに茶色がないので、この2色にしました。後ろにはワンポイントが入っています。
酒缶:ゲームで集める通行手形が入っているんですね。
JC:はい。「ゴエモン」は台湾でも大ヒットしていて、特にスーパーファミコンの1作目が爆発的なヒットをしました。いずれ新作で復活してほしいですね。
酒缶:そして、「悪魔城ドラキュラ」。
JC:「悪魔城ドラキュラ」をやるときにはいろいろと悩んでいて、パロディーは似合わないと思ったので、完全にファッションとして考え、ゲームの要素を一切排除してベーシックなデザインをどうするか考えました。ヨーロッパのファッションブランドではオリジナルの柄を作るのが自分のステータスみたいなモノで、バーバリーもポールスミスもアルマーニも柄を見ればブランドがわかります。自分のブランドを作り、オリジナルの柄を作って世間に認知させるのがヨーロッパ流だと思うので、オリジナルの柄を作り、そこに「悪魔城ドラキュラ」の要素をミックスしました。でも、このデザインでTシャツを作るとうるさくなってしまうので半分にして、残りの半分の部分に革の鎧の要素を入れて革を使おうと思ったけどそんな服を着たら夏に暑くて死にそうで(笑)。
酒缶:洗うのも大変ですよね。
JC:そうですね。それでヨロイの接合部分をデザインして胸に付けてみたらよかったのでポケットにしました。このデザインは自分でも気に入っています。
酒缶:これも2色ありますけど、どっちが色を先にデザインしたんですか?
JC:赤茶色の方です。「悪魔城ドラキュラ」は赤茶のイメージが強くて、それに対して黒を主体にしたモノもほしかったので、ベルモンドブラウンとヴァンパイアダークみたいな感じでまとまりました。今後、このデザインは別の商品にも応用できるかな、と思っていて、そういう意味も含めて作っています。
酒缶:このデザインは知っている人から見るとドット絵が何を意味するか分かりますけど、ゲームを知らない人でも単純にデザインとして着ることができてかっこいいですよね。
JC:ゲームレジェンドやTシャツラブサミット、うちが吉祥寺で先日行ったイベントで展示していたんですけど、男性の評価が高くて、方向性は間違ってないと思いました。ゲームを知らなくてもファッションとして面白いと思います。ただ、試作するときは何度も修正して大変でした。これまでのTシャツと同じ印刷をするとガッチガチの鎧みたいなモノができて着心地が悪かったんですよ。
酒缶:デザインが良くても着心地が悪いとダメですもんね。
JC:なので、何度もサンプルを作りました。うちのTシャツの中で一番苦労しています。
酒缶:でも、今後もこういうチャレンジをしてほしいです。
JC:そうですね。そろそろいろんなチャレンジをしようと思っています。僕がゲームを使ってデザインをやっているのは、昔のゲームの要素をうまく使えばオシャレになると思っているからなんです。だから、ゲーマーさんには失礼かもしれないけど、1回ゲーマーさんが必要だと思っているモノを排除して、そんなにゲームをやらない人が見て「可愛い」「かっこいい」と思ってゲームを触れようとしてくれる形にするのが一つの理想系なんです。
ゲームはオシャレだと世間に浸透させたい
酒缶:今後はTシャツ以外もデザインされるようですけど、どんなことを考えているんですか?
JC:最初にTシャツから入ったのは、一番簡単ということもあるんですけど、デザイン力と企画力をアピールすることができるので、知名度が上がったら単価の高いモノを作ろうと思っていました。まだまだ知名度は低いですけど実績ができたので、現在、スニーカーとスタジャンを計画しています。だけど、どのゲームで第1弾を出すかは慎重になりたいですね。それ以外にもキャップ、ジーンズ、バッグなどを試作しながら検討していますけど、Tシャツと違って第1弾でマイナータイトルは絶対にないと思います。「マドゥーラの翼」のスニーカーを出したらうちは破産しちゃいますので。
酒缶:もしくは1個100万円のスニーカーにするとか。
JC:(笑)ものすごく破産する可能性があるので、メジャータイトルを考えています。すでにTシャツを出している会社以外にも何社かメーカーさんと交渉しているので、いろんなメーカーさんに協力してもらってお互い満足できる商品を作っていきます。それと、まだゲームスグロリアースというブランドの知名度がまだまだ低いので、名前を浸透させるのが一番重要な課題です。ゲームレジェンドで出店しても、「このTシャツ、本当に権利を取っているんですか?」と聞かれてしまうので。
酒缶:(笑)それは、ゲームレジェンドが同人誌を中心としたイベントだからなのでは……。
JC:そうかもしれないけど、ゲームスグロリアースというブランドは、ゲームをリスペクトしていて、レトロゲームだけじゃなくゲーム全体をリスペクトして、ゲームはオシャレだと世間に浸透させたい、というのが私たちの一番の目的なんです。だから、今回発売した「燃えろ!!プロ野球」で知名度を上げていきます。
酒缶:全身をゲーム関係のもので揃えようとすると、Tシャツは手に入るんですけど、それ以外のものがなかなか揃えられないので、ゲームスグロリアースさんの今後の商品を期待しています。本日はありがとうございました。
ゲームスグロリアース公式オンラインショップ
https://www.games-glorious.com/
プロフィール
酒缶(さけかん)/ゲームコレクター
1万本以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。ゲーム関係者へのインタビューをまとめた電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション」を展開中。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」など多数。価格コムでは、ゲームソフトとAndroidアプリのプロフェッショナルレビュアーを担当している。
■公式サイト「酒缶のゲーム通信」
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http://twitter.com/sakekangame■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション1」
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