ユービーアイソフトが本日発売した“凶悪な難易度”を誇るというPS4用ソフト「ロード オブ ザ フォールン」。本稿では、強力な敵に繰り返し挑み、クリアへの道を切り開いていく、トライ&デスをコンセプトにしたアクションRPGならではの魅力を紹介していくぞ。
ユービーアイソフトが日本国内で発売したPS4「ロード オブ ザ フォールン」は、ダークファンタジーの世界を舞台にしたアクションRPG。本作はドイツの開発会社・Deck13 Interactiveが手がけた「Lords of the Fallen」の日本語版となり、海外では既にPC/Xbox One向けに既に発売されているタイトルとなる。
日本国内ではPS4でのみの提供となる本作は、いわゆるムズゲーだの、マゾゲーだのと呼ばれる分類の作品であり、フロム・ソフトウェアの手掛ける「ダークソウル」シリーズに影響を受けた作品であると公式にコメントされている。この時点でゲーム内容についてはいくばくか想像がついた人もいるだろう。概ね、その通りである。
今回はその“凶悪さ”がどれほどのモノなのかを知りたくなってしまった筆者が、徐々に何かをすり減らしながらプレイしていったので、皆さんにはその体験と教訓をお聞かせしていこう。
重厚なストーリーがそびえ立つ…
物語のあらすじ
一度犯した罪が未来永劫まで赦されることのない無慈悲な世界で、主人公である罪人・ハーキンは償いのチャンスを授けられる。しかし、人間の邪悪さを根絶する方途がもう少しでみつかるという矢先、はるか昔人類に敗れた神が捲土重来(けんどちょうらい)を期して、人間世界に悪魔の軍勢を送り込んできた。
縛めを解かれたハーキンは、この戦争に終止符を打つという使命を背負い、導き手・カズローとともに旅立つこととなる…。
中々にハードな世界観である。神が悪魔を差し向ける…? 人間が神に刃向う…? 本作の様なゲームデザインで形作られているタイトルは、そのアクション性はもちろんのこと、強烈な物語性も求められるのが昨今の傾向だ。ただし、刺激的で分かりやすいだけの痛快な快進撃では物足りない。まどろっこしい解釈の断片を隅っこから拾っていくような…、じっくりじっとりと真に迫るような…、ジワジワと溜まってくるような“重み”が求められがちなのである。
本作はというと、ストーリーの解釈をユーザーに委ねるタイプではなく、主人公・ハーキンを中心として物語が進行していく。かといって、詳細の全てが語られるわけでもなく、相対する敵の存在もプレイヤーにとっては不明瞭のまま。エリア内に落ちている「伝承」を拾っていけば敵がどういった存在なのかの断片を知ることができるが、決してゲームの進行に必須なものではない。つまり、物語の暗がりを追求していくのは全てプレイ次第ということになる。
逆に、物語の表面とアクション部分にフォーカスして楽しむこともできるので、まどろっこしいストーリーはひとまず置いといて…という人でも問題なく骨太な内容を体験することができるだろう。ちなみに翻訳のニュアンス(日本語版)も相まってなのか、伝承はいずれもユニークな文章となっているので、世界観を詰めていきたい人はエリア内を注視していこう。
ゲーム開始時にプレイスタイルを決めよう
ゲームを開始するとまず、3つの魔法タイプと初期装備の中から好きなものを選択することになる。魔法は「争い」「偽り」「癒し」の3系統があり、それぞれ4種類ずつ異なる魔法が存在。おおまかな方向性でいえば攻撃型の争い、特殊型の偽り、防御型の癒しとなる。
初期装備で選択できるのは、短剣装備の機動性重視、槌装備のバランス重視、直剣装備の防御重視。魔法と装備の組み合わせ(全9種)により「ならず者」「喧嘩屋」「聖騎士」などのサブネームが付き、それぞれの特性に合ったボーナス値が初期能力に加算される。あくまで初期段階の差異でしかないので、最初から突き詰めたプレイングを想定するよりも、直観で気軽に選択するほうが吉だ。
ハートは早々、打ち砕かれる…投げない心が最大の武器
本作をプレイする上で覚えておきたい重要な要素はこの3つ。
「ハーキンの戦闘アクション」
「挙動が変化する装備システム」
「能力と呪文の間で苦悶する強化システム」
本作の戦闘は基本的に1vs1が想定されており、プレイヤーはエリア内を進んでいく中で、遭遇した敵と戦いを繰り広げていく。ハーキンは次世代機ならではの滑らかなモーションで動くのだが、それゆえに「ゲーム的なモーションのキャンセル」は極力抑えられている。攻撃もそれぞれ連続攻撃に派生する軽攻撃・強攻撃があり、挙動の描画もシッカリしているため、攻撃自体が“安易には振りずらいアクション”となる訳だ。
本作における戦闘の基本的な駆け引きを挙げておくと、まずは相手をロックオンし、相手の攻撃モーションを見極めて、ローリングの回避行動で避けたり、盾で防御した後、相手に攻撃を加えていく。これが死なないための一般的な戦闘サイクルといえるだろう。
このほか、相手の背後を取っての攻撃、相手の攻撃をシールドスキルで弾いた後の攻撃は、特殊モーションによる大ダメージ攻撃が仕掛けられる。同様に、敵によっては大ダメージを与えてくる拘束攻撃を敢行してくるので、駆け引き上ではフェアとしておこう。
なお、先手必勝で攻撃するのもいいが、装備している武器の攻撃で相手を怯ませられるかを知らないうちはオススメできない。今までこういった類のゲームをプレイしておらず、上記の理屈の意味合いも分からないという人は、“攻撃後手の鉄則”を心に刻んでおこう。いずれ「あと一発でボスが倒せる!」と思い、先手を打って後悔する場面に出会うはずだ…。
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| 左下のゲージ。上から「体力」「エネルギー」「魔力」、左が使用可能なアイテム、右が使用可能な魔法。 |
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| 左上に常にストーリーの指針が表示されるため、目的を見失わずに済むのもうれしい点だ。 |
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| デフォルトの操作方法。 |
次は装備システムを紹介しよう。本作では武器、盾、篭手、足、手首、胸部、頭部、アクセサリーの装備部位があり、有り体にいって「短剣」「大剣」、「フード」「兜」、「手袋」「ガントレット」など、名前で分かるとおり攻撃力・重量に差異が生じる。装備重量が軽ければ軽いほど、歩く、走る、回避が軽快に行えるし、それに係る「エネルギー(スタミナゲージ)」も少なく済む。当然、敵の攻撃を受ければすぐさま瀕死になるだろうが。
武器は全11種の武器種が存在し、装備状態・武器固有の仕様により両手持ち、二刀流、盾構えをワンボタンで変更できるほか、装備品との組み合わせによっては特殊攻撃を繰り出すことも可能。加えて、装備品に備わるソケットに「ルーン」を装着することで、多彩な追加機能を引き出せる仕組みだ。「これを装備したい」「これを使ってみたい」「あれがカッコいい…」と試行錯誤しながら、各々の最適解を見つけ出すのも一つの醍醐味といえる。
最後はハーキンの強化システム。ゲーム中は敵を倒すごとに経験値が取得でき、その経験値をセーブポイント(本作はオートセーブではない)兼、強化可能ポイントとなる「保存シャード」に貯蔵することで、キャラクター強化を進められる。経験値は一度貯蔵された後、「特性ポイント」と「呪文ポイント」という項目に自由に割り振っていく。
特性ポイントは武具の装備適正値&基礎力の向上を目的としたステータスの上昇となり、呪文ポイントは新たな魔法を会得するために必要となる。特性・呪文に対して経験値を一定値を割り振ると、能力値や魔法取得に必要なポイントが与えられるという仕組みだ。
経験値の仕組みの例
保存シャードに貯蔵した経験値:1000
特性ポイントの獲得に必要な値:500
呪文ポイントの獲得に必要な値:600この場合、特性ポイントに500を、呪文ポイントに500を割り振った際、特性ポイントでは体力・敏捷・信仰などの能力値を上昇させるための「1ポイント」が取得できるが、呪文ポイントは残り100を割り振らなければ、新たな魔法を覚えるためのポイントが取得できない。
ちなみに、経験値はL2ボタンで呪文ポイントに、R2ボタンで特性ポイントに割り振っていくが、ボタンを押し続けているあいだ経験値が注ぎ込まれるシステムのため、細かな調整がこれまた難しい。ある程度間違っても大丈夫な余剰分を確保しておくのが、賢い選択といえるだろう。
システム上、特性ポイントに全部投資し、直接的なステータスを以ってガンガン混略することはできるが、魔法は「新たな魔法を使うのに必要な能力値(体力12、進行15など)」の制限に引っかかるため、呪文ポイントにばかりつぎ込んでも、結局新たな魔法を使うのは先延ばしになってしまう。ただし、魔法のためだけにバランスよく上げていては、攻略面で頼りたい能力値が心許なくなってしまうし、新たな武具を装備するための必要能力値も足らなくなってしまうかもしれない。
できることなら胸算用しながら美味しいとこ取りをしてスムーズに事を進めたいものだが、この辺りのジレンマはお約束とばかりに上手いこと設定されているので、悩みながら攻略していく葛藤を楽しむことができるだろう。これまたニクい。
なお、もう1つ重要なこととして、本作では敵を連続で倒していくと獲得経験値の倍率が1.02→1.04→1.10…とグングン上昇していくほか、レアアイテムのドロップ率が比例して上昇する。しかし、保存シャードにアクセスしてしまうと、上記の恩恵はリセットされてしまうのだ。当然、獲得経験値を保存シャードに貯蔵する前に敵に倒されてしまえば、経験値はその場でロストとなるし、かといって小まめに保存シャードに貯蔵していては旨味が薄い。
ローリスクとハイリターンのいやらしい選択肢は、これまたプレイヤーにドラマティックな影響を与えることだろう。経験値ウハウハ状態からの慢心操作でロストを迎えてしまったら、色んな意味で「ロード オブ ザ フォールン」を忘れられなくなってしまうこと請け合いである。
「俺、ダークソウル何週もしてるから」→「ダメだったよ…」
本作のフィーチャー元となった「ダークソウル」は、市場を牽引する尖兵としてそのバリューを確立させ、日本国内においては“こういったアクションRPG”のスタンダードとして君臨しているといっても過言ではない。つまり、筆者を含む大多数のダクソ経験者たちはこう考える。「俺、周回余裕だけど楽しめるの?」と。
端的にいうと、未プレイ者よりは圧倒的なアドバンテージを有していると言って相違ないだろう。しかし、「ロード オブ ザ フォールン」を余裕と感じられるほどのプレイヤーは一握りであるはずだ。操作感や駆け引きは正直なところ似通っているものの、あくまで“似ている程度”であり、紙一重の選択が生死を分けるゲームにあっては全く別物の所感である。そのため、操作上におけるプレイヤースキルは“似ているからできる”以上のアドバンテージにはなりえない。
では何が役に立つのかといえば…ウサギの様に繊細な危険察知と、先の見えない曲がり角に対する猜疑心、人でなくなりそうな心を繋ぎ止める意思、といったプレイヤーとしての心構えの数々である。本作はチュートリアル相当のステージから「ええー、そういうことするんですか…」と言いたくなるような狡猾な仕掛けを満載に提供してくれるため、折れない心と投げないコントローラーが一番の技術となりえるだろう。
逆に言えば、「ダークソウル」をプレイしたことがある人とない人の差なんて、そんなものだ。
骨身に染みるボスの強さ
いくつかのボスと戦い、そして気付いた。良く死ぬゲームだ、これ。この禍々しい甲冑を纏っている看守長「ファーストウォーデン」は、プレイヤーが最初に相対するボスである。
常套手段でいえば「大きな攻撃を待って手数を浴びせる」「周囲をぐるぐる回って攻撃を避けながら手数を浴びせる」の2通りが思い浮かぶところだが、このファーストウォーデン、グルグルが効き辛い。
相手の近距離連続攻撃は左右に判定が広く、グルグル回っているだけでは確実に引っかけられてしまうため、攻撃機会が取れない。また、エネルギーを溜めていようが連撃を盾受けをしてしまうと、その後の攻撃をまともにくらってしまう。見事回避で避けきって背後を狙うと、後方まで判定のある最終段の斬撃に引っかかってしまう。近距離からの突撃や吹き飛ばし攻撃時に手数を入れようにも、悠々と立ち回っていては左手の大盾に阻まれてしまう。大振りで避けやすい大攻撃も、間違えてガードしてしまうものなら致命的な一撃だ。
しかし、詰んでいる訳ではない。一見打開するのが難しいのなら、どれだけ時間がかかろうとも確実に攻撃を与えられるパターンにのみ神経を尖らせてもいいし、蛮勇の如きガン攻めで消耗戦を仕掛けることも決して間違いではない。倒す方法にこだわるも、倒すことにこだわるも、人それぞれだ。
ちなみに本作、ダメージを与える・受けるの際、画面上にダメージ数値が表示される。アクションゲームにおけるダメージの可視化については昨今、演出以上にゲーム性にまで食い込んでいるパターンも広く散見しているが、本作においてはRPGもしくはTRPGテイストが一層引き立つため、さほど違和感なく受け取れるのがポイント。
ゲームでしかできない経験もある
この種のタイトルに求められる“難しさ”は、単なる数値の変動や攻撃機会の減少など、ゲームを難しくするための要素だけを機械的に取りまとめた「難易度」というシステム項目では語れない。
攻撃のきっかけが分からない悪夢のような連敗、面倒臭くなって雑に走った先に待ち受ける悲劇、「一回勝ったことあるから」という匂いたつ慢心もそうだ。人の油断を意気揚々と突いてくる悪戯心に溢れた作りでありながら、分かってしまえばクリアまでの道筋が切り拓ける、そんなプレイヤーが納得できる作り込みが最も重要であると筆者は考えている。
また、死んで→覚えて→倒されて→学んで→それでも死ぬ…。古くから存在するトライ&デスをコンセプトにしたゲームというのは、その時の力量をギリギリまで費やして乗り越えた時に、何ともいえない達成感を得られる。達成感の内訳は「アイテム報酬」「プレイの技術」「ようやく先に進める…」などプレイヤーおよびゲームによってさまざまだが、ユーザーの情動を大きく揺れ動かすという構造は共通している。今回本作に興味を持ってしまったユーザーは、ゲームに全力で挑む、良い経験ができることだろう。
なお、本作ではクリア後、成長させたハーキンを使い、いくつかの追加要素を加えた周回プレイも楽しむことができる。新たな発見と挑戦にはもってこいだ。さらにこの「ロード オブ ザ フォールン」、早くも続編タイトルおよびモバイルゲームの開発が明かされている。発売直近でゲーム内容もろくに噛み砕かれてないのに、怒涛の展開じゃないか…と感じるだろうが、冒頭で記したように本作は既に海外では発売済みだ。堂々と新展開を打ち出せるほどのフィードバックが得られた結果なのだろう。
「本作をプレイする」というだけでなく、少し先の未来を見越して“シリーズに乗る”という気概でプレイするのも悪くないかもしれない。
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