ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2016年5月10日に発売を予定しているPS4用ソフト「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」のプレイインプレッションをお届けする。
さまざまな秘宝を求めて世界を巡るトレジャーハンター、ネイサン・ドレイクの冒険を描いた大ヒットアクションアドベンチャー、「アンチャーテッド」シリーズ(以下、アンチャ)。謎解きあり、アクションあり、銃撃戦ありのアドベンチャー映画の興奮をゲームで体験できる作品として、全世界で支持を受ける人気シリーズだ。今回はソニー・インタラクティブエンタテインメントにお邪魔し、シリーズ最新作「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」を一足先にプレイする機会を得たので、そのインプレッションをお届けする。
今回一足早くプレイすることができたのは、ネイトとサリー、そしてネイトの兄であるサムの3人が、海賊ヘンリー・エイブリ―の財宝を隠したとされる塔を探し、マダガスカルの平原を四輪駆動車に乗って探索するというストーリー。ゲームでは中盤にあたる部分なのだそうだ。
まず真っ先に感じた、「海賊王と最後の秘宝」とこれまでのシリーズとの大きな違いとして挙げられるのは、とにかく探索可能なフィールドが広大になったこと。遺跡を調査しながら目的地を目指すという基本の流れは変わっていないものの、同じ目的地にたどり着くにも岩を上ったり回り道をしたりとさまざまなルートが存在している。
もちろんフィールドはシームレスでつながっており、その途中にある遺跡のような場所では、財宝やイベント、バックグラウンドとなる他の冒険者たちの物語などを知ることができる。メインストーリー以外の寄り道という楽しみ方ができるようになったというわけだ。
一見通れなさそうな滝つぼの中など、1回のプレイではなかなか気づかない場所もあるので、従来以上に何度も繰り返して遊ぶたびに新鮮な発見ができそうだと感じられた。こうした本筋とは関わりない要素の豊富さは、冒険家ならではの未知の土地を探索するワクワク感を体験させてくれる。さらに驚くべきことに、そうした寄り道での探索を除いたメインストーリーの部分のみでも、シリーズ過去最高のボリュームとなっているとのことなので安心してほしい。
広大なフィールドを冒険していて衝撃を受けたのは、そのグラフィックの美麗さだ。「アンチャ」シリーズといえば、度肝を抜くほど美麗なグラフィックも特徴の1つであり、今作への期待も相当なものがあったのだが、そのハードルを遥かに凌駕する美しさなのだから本当にスゴイ。木から舞う葉っぱや、マダガスカルの各所を駆け回るさまざまな動物たち、泥が跳ねた時の汚れやぬかるみからの脱出、車のサイドミラーに映る風景に至るまで、とにかく細部に渡るリアリティへの拘りがなされており、ゲームをプレイしているだけでも自分がマダガスカルにいるかのような空気感が伝わってくるほど。
また、わずかなタイヤの跡から四輪駆動車で上ることができる足場を判別できたりするなど、より繊細な描写ができるようになったことで、従来になかった探索の楽しさも生まれるようになっていた。「アンチャ」シリーズのグラフィックが素晴らしいのは今更言うまでもないことではあるが、ただ画面を綺麗にしただけで終わらない、「アンチャ」ならではのゲーム性をより広げてくれるような進化を感じられる出来となっているのは間違いない。
もちろん、本作から登場する新しいギミックも盛りだくさん。今回プレイしたマダガスカルでは移動のほとんどを四輪駆動車に乗って行うのだが(これも徒歩がほとんどだった「アンチャ」シリーズとしては非常に新鮮)、車から伸ばしたウィンチを木の幹にひっかけ、そのままでは登れない急な斜面を登ったり、脆くなっている柱を引っ張って橋を崩して足場に使用する……といった使い方を体験できた。車には移動手段としてだけではなく、そのままでは届かないような高さの壁に寄せて足場にしたり、敵を轢いて倒したり戦闘時に障害物として利用するなど使い方は多岐に渡り、様々なギミックに使用できるようになっている(落下してゲームオーバーになる場所などを除き、ダメージによって車が破壊されることはないそうなので安心だ)。
さらに今作からは新たに、L1ボタンを押すことでグラップリングフックと呼ばれる道具を使用することもできるように。フックには特定のオブジェクトに引っ掛けることで、振り子のような要領で反動をつけて足場を飛び移ったり、届かない高さの位置にある箱にひっかけ、地面へと落とすといった使い道が存在する。
また遺跡の謎を発見するとネイトがメモをとり、そのメモから情報を思い返せるといった従来のシリーズにもあったシステムは今作でも残っており、操作にタッチパッドを使うことでメモを開いたりめくったりという感覚を、より直感的に感じることができた。
そうしてさまざまなギミックを活用しながらフィールドを進んでいくと、遺跡を調査していた傭兵会社の兵士たちと戦闘に突入。戦闘も前作から多数の点が改善されているが、専用のシステムが導入されたことで、気づかれないように敵を倒していく、ステルスプレイが非常に快適になっている。まず照準を合わせた敵にタグをつけてどこにいても居場所を把握できるようになり、さらに敵がこちらに気づきかけた時の警戒度などを、頭上に表示されるアイコンの色で判別ができるようにもなっていた。
特にタグは付けられる人数に制限がなく、見つかって銃撃戦になった場合にも敵の位置を把握するのに役立つので非常に便利だ。ステルスだけではなく、車に搭乗したまま戦闘に突入、敵を轢いて倒すこともでき、正攻法の戦い方のバリエーションも幅広くなっている。
またTPS初心者のために、かなり感度が強めのオートエイムも用意されており、ほぼ覗きこむだけで敵の正面に照準を合わせてくれる。現れる増援をスナイパーライフルで次々と倒していくというプレイも簡単にでき爽快感は抜群。戦闘中に危なくなるとNPCであるサリーやサムが助けてくれるので、アクションが苦手なユーザーも安心して楽しめるはずだ(もちろん、繊細なエイムを行いたいプレイヤー向けにオートエイムを切ることもできる)。
なお、先ほど触れたグラップリングフックは戦闘にも活用でき、フックで空中にぶら下がりながら高所から銃撃を行ったり、空中から飛びかかって敵に殴りかかったりすることもできる。フックはジャンプして空中にいる最中でも使用できるので、スタイリッシュな戦い方に挑戦してみたのだが、今回のプレイでは高台にいるスナイパーに見つかってしまい、敵からの集中攻撃を受ける羽目に。空中は障害物がなく見つかりやすいので、高所にスナイパーなどが潜んでいる場合は先にそちらを優先して排除してから動くのがよさそうだ。
また日本語版ならではの魅力でもある、ベテランの声優陣によるネイトとサリーの(本作からはサムも加わる)、ついクスっとしてしまう軽快なやり取りは本作でも盛りだくさん。ストーリー上のイベントはもちろん、障害物を壊したり車をスリップさせたりと様々なアクションに対してリアクションを取ってくれるので、うまくプレイできなかった場合でも賑やかに楽しくプレイすることが可能になっている。なお普通にプレイするだけでは、クリアまでに総音声の半分程度しか聞けないほど、膨大な量の音声が収録されているというのだから驚き。
なおマルチプレイに関しては今回体験できなかったものの、個性的なキャラクター達のやりとりが満載で賑やかな「アンチャ」らしい仕上がりになっているとのこと。TPSが苦手なプレイヤーも戦闘に貢献できるギミックも豊富に用意されているそうで、今後の情報にも要注目だ。
全体のプレイを通して感じたのは、戦い方や目的地に辿りつくためのルートなど、従来よりもできることの幅が広くなっており、さまざまなプレイスタイルでゲームを楽しむことができるようになったということ。シンプルに目的地を目指して進むアクションアドベンチャーという「アンチャ」シリーズへの印象を、良い意味で大きく覆された。
またゲーム内に存在する要素1つ1つが徹底的に作りこまれており、乗車する人数によって車の挙動が変わったり、方向によってネイトが車に乗り込むモーションが変化するなど、細部への拘りには本当に驚かされる。プレイしていて思わず声を上げてしまうような、大作アクション映画ばりの大迫力の演出もさらにパワーアップしているので、画面を眺めているだけでもその映像美に圧倒されるはずだ。
思わずため息が出そうになる美しいグラフィックの進化はもちろん、広大なフィールドを冒険する感覚は従来の作品にはなかった楽しみで、筆者は「アンチャ」シリーズの大ファンなのだが、ゲーム史に残る傑作である「黄金刀と消えた船団」を初めてプレイした時のようなワクワク感をもう一度思い出させてくれた。途中からつい仕事であることを忘れて夢中でプレイしていたほどだった。
従来のシリーズ作品をプレイしていれば思わず「ニヤリ」としてしまうようなファンサービス的な要素も多数隠されており、本作を120%楽しめるようになるとのこと。もちろんストーリーはそれぞれの作品で独立しているので、「海賊王と最後の秘宝」からシリーズに入ってもまったく問題なく楽しめるようになっている。
しかし、「アンチャ」シリーズは本当に全てが傑作なので、折角であれば全てのシリーズ作品をプレイした上で、「エル・ドラドの秘宝」から始まったネイトの物語の結末を、自分の目で見届けてほしい。
PlayStation4 アンチャーテッド リミテッドエディション
ソニー・インタラクティブエンタテインメント- 発売日:2016年5月10日
- 15歳以上対象
- オリジナルデザインのPlayStation4本体(HDD 500GB)とのセット商品