「マブラヴ オルタネイティヴ」の世界をVRで再現! 大阪・名古屋での体験会も発表された「Muv-Luv × HTC Vive体験会」オープニングセッション&VR体験レポート

VR・AR
0コメント 米澤崇史

2016年4月3日、デジカ・ixtl・âgeの主催する「マブラヴ オルタネイティヴ」のVR体験イベント「Muv-Luv × HTC Vive 体験会」が、東京・ベルサール秋葉原にて開催された。

「マブラヴ オルタネイティヴ」は、âgeから発売されているアドベンチャーゲーム。王道な学園恋愛ものである前作「マブラヴ」から一転、地球を侵略する謎の生命体BETAとの戦いを描いたハードな展開が話題を呼び、今もなおさまざまな派生作品やプラモデルが発売され続ける人気シリーズ。今回行われたのは、世界最大のPC用ゲームプラットホームであるSteamに対応したVRヘッドマウントディスプレイ「HTC Vive」を使用し、「マブラヴ オルタネイティヴ」の世界観を再現したコラボデモで、VRを体験できるというイベントだ。

会場にはVR体験コーナー以外にも、Steamに関連した展示も。2016年夏にリリース予定の日本語と英語の切り替えが
可能なSteam版「マブラヴ」や、Steamコントローラーを体験することもできた。

イベント開催の経緯やVR開発の苦労話が語られたオープニングセッション

岩永朝陽氏

イベントの最初に行われたオープニングセッションでは、デジカの岩永朝陽氏が登壇。Steamの日本関連事業を手がけてきたことで知られるデジカが、今回のイベントが開催することになった経緯や、VR開発の苦労話などが明かされることに。

北米最大のアニメコンベンション「Anime Expo」で、Kickstarterのアナウンスメントをきっかけに、関係をもつことになったというデジカとixtl、âgeの3社。そこで行われた「マブラヴ」英語版ローカライズのためのKickstarterでは、ビジュアルノベル史上最高額となる125万ドルの資金が集まり、現在もローカライズ作業が進められている。

そんな中迎えた、VR元年とも言われる2016年。VRハードを購入でき、VRソフトを開発できるミドルウェア、VRを動かすことのできる環境という3つの条件が揃ったことで、ようやく一般ユーザーがVRを体験できる環境が整ったと判断、そこにSteamからの縁もあるValveの協力を得たことで、今回の企画の実現に到ったようだ。

またVRの開発は一般的に大変だと考えられているが、なんと今回のコラボデモの制作に掛かった期間は、わずか1ヶ月足らずだというのだから驚きだ。もちろんVR開発には相応の苦労もあり、その1つが開発に携わる全ての人間が、VRというコンテンツを体験し、よく知っている必要があるということ。ドスパラやHTCの協力を得て、開発の機材が全て揃った状態でスタートしても、この準備段階だけでデモそのものの製作期間よりも長い、約3ヶ月もの時間が掛かったのだという。

現在は、制作にあたってのルールらしきものが何一つ存在してないというのも、楽しさでもあり同時に難しさでもあるという。今回のデモでも、最初に制作したバージョンでは少しでもリアルに作ろうとを意識した結果、BETAがあまりにも恐ろしくなりすぎたため、表現をマイルドなものに変更するという自主的な規制が行われていたことが判明。岩永氏は、これから少しずつ業界全体でも、VRに関する規制やルールが作られていくことになるのではと予想していた。

またVRでは、同じ場面を体験していたとしても、その人間が事前にどのような動きをしていたかによって場面の感じ方がガラリと異なってくるため、VRのどの部分が面白いのかという感想は、個人差が非常に大きくなってしまう。

そのためよりよい作品を生み出すには、ユーザーのリアクションやフィードバックを早い段階から得る必要があるという結論に到り、短い準備期間となっても体験会の実施を決断したのだという。最後に岩永氏は、そのためにもどんどん今回の体験の感想や声を、デジカまで届けて欲しいと語っていた。

またオープニングセッションの後には、号外として東京・大阪・名古屋にある一部のドスパラ店舗にて、今回のコラボデモを実際に体験できる展示が行われることが決定。展示が行われるのはドスパラ秋葉原本店、秋葉原GALLERIA Lounge、ドスパラ大須店、ドスパラなんば点の4店舗。それぞれの店舗で開催期間も異なっているため、公式の情報を確認しておいて欲しい。

そしていよいよ、「マブラヴ オルタネイティヴ」の世界へ!

オープニングセッションの後には、筆者も「HTC Vive」を使っての「マブラヴ オルタネイティヴ」コラボデモを体験してみることに。

実は筆者は、他のVR機も一切体験する機会がなかったため、今回が初めてのVR体験。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とヘッドフォン、メインとなるトリガーと、いくつかのボタンがついたコントローラーを両手にもったらいざ準備は完了。筆者はメガネを着用しているので、密かにHMDの付け心地が心配だったのだが、いざ装着してみると、圧迫感をさほど感じなかった。ただし、このヘッドセットを装着する時には目の焦点を合わせてからベルトで固定するのだが、これがうまくいかないと、ぼやけたままデモに突入することになってしまう。始める前の焦点の調整は重要だ。

そうして調整を終え、最初にVRの世界を目の当たりにした時、正直なところ、映画館のスクリーンが間近に来ているようなものか、というのが第一印象だった。ところが、椅子から立ち上がり、頭と手足を動かした瞬間にその認識は大きく覆される。

視界を動かすと360度の方向に画面の向こうの世界が広がっており、自分が手足を動かすと、その動きの通りにゲーム内の自分も動く。この自分の動きが画面の中で完全に同期することへの没入感は尋常なものではなく、ただのスクリーンという認識は瞬く間に吹き飛び、あたかも自分がその世界に存在しているかのような錯覚を抱かせてくれる。

素晴らしいゲームや映画に夢中になるあまり世界観にのめり込んでいく、という経験は誰しもあると思うが、それらとは完全にベクトルが違う。あまりにも未知の体験すぎたのでうまく言葉にできないのがもどかしいが、遊園地のアトラクションの中に入っているような状態が近いのかもしれない。

……などと初めてのVR体験に衝撃を受けていると、コラボデモがスタート。まず自身は銃で武装した衛士となり、モニターや陶器類、ソファーなど様々な小物が置かれた小部屋を自由に歩き回れる。右手のコントローラーは銃に対応しており、トリガーを引くとコントローラーを向けた位置に向けて発砲が行われる。これで小部屋に置かれているものを破壊することもでき、外へ繋がっている扉を撃って破壊すると、次のステージへと進むことに。

第2のステージからは、左手のコントローラーのトリガーを引くことで、移動可能なポイントへと移動することができるのだが、ここではついに、もっとも多くの衛士を食らってきたとされる戦車級BETAが出現。この戦車級は銃で撃つことで比較的簡単に倒すことができるのだが、上下左右様々な方向から飛び出してくるため、つい接近に気付かないと、通過する戦車級の餌食となってしまう(幸い、今回のデモではそのまま進行することができるようになっていた)。

さらに先へと進んでいくと、今度は戦車級とは比較にならない巨大なBETAである要塞級を発見。だが、戦術機ですら軽々と倒してしまう要塞級には当然生身で勝ち目はなく、銃弾も通用しないので、今回は戦いを諦め、近くの防空壕に逃げ込んでBETAをやり過ごすことになる。

ステージ3では、いきなり塹壕の中に放り込まれたかと思うと、大量の戦車級が再び押し寄せてくる。銃で応戦しようとするも、弾詰まりによって銃すらも使用できなくなる絶望的な展開。もはやこれまでかと思った時、戦術機・不知火弐型が颯爽と登場。戦術機の圧倒的な力により瞬く間に戦車級は殲滅されていき、無事BETAの進行を阻止することができた。

8分程度の短い時間だったものの、そうしてVRの体験は終了。今回のデモを通して強く印象に残ったのが、BETAの迫力だ。間近に戦車級が迫り、「捕食される!」と思った時には、思わず逃げようと身体が自然に動いてしまったほどで、この迫力と恐怖感はVRでしか体験できないものに感じられた。これにゲームオーバーなどのゲーム的なリスクが加わってくると、従来のゲームなどでは体験できなかった、新しい恐怖と緊迫感が生まれるのは間違いない。

そしてもう1点が、巨大ロボットとしての戦術機の格好良さ。カッコイイアクションでBETAを殲滅する映像ももちろん良いのだが、自分の頭を動かして、実際に頭を動かして見上げることで全身をようやく見渡すことができるという、巨大ロボットのスケール感を実感できるのがたまらない。これまでどんなゲームや映像作品も行えなかった、憧れのロボットが今自分の目の前に存在しているかのような感覚。お台場の等身大ガンダムを目の当たりにした時のような感動を、VRでは味わうことができるというわけだ。

なお筆者は生まれてこの方1度も3D酔いをしたことがなく、今回も気分が悪くなるということはなかったのだが、全ての体験を終えてデバイスを外した後、しばらくの間、自分が本当に現実にいることに実感がもてず、フワフワとした不思議な感覚が残っていたのも非常に新鮮に感じられた(長時間FPSゲームをプレイした後の感覚が近いかもしれない)。

ただし、今回体験したVRに1つ問題点があるとするなら、完全に視界が塞がれた状態となるので、歩く時に何かにぶつからないか不安になるということ。障害物が近くにある時は、画面に青い壁が出現してその近くに進めないようにしてくれるのだが、普段の状態では青い壁が表示されていないこともあり非常に恐い。今回のような体験会であれば、周囲でフォローをして助けてくれる人の存在や、余計な障害物が置かれていることはないので安全だが、一人になって自宅で体験するのには、それなりの危険が伴うのではないかと思えた。

これをコントローラーのスティックなどで移動させられるようにするのは安全かつ簡単だと思うのだが、個人的に現実の自分の1歩と画面の中の1歩がほぼ同じという点が、大幅に没入感を高めてくれているようにも感じていたので、作り手としては難しい所だろう。

ただし、本イベントのオープニングセッションの中でも言われていた通り、現在のVRのコンテンツはまだまだ手探り状態だという。確かに現段階では、ユーザーがお金を払って満足できる商品にするにはかなりの労力が掛かりそうに思えたが、同時にゲームや映画などの括りに留まらない、まったく新しいエンターテイメントの可能性を感じさせてくれる出来になっているのは間違いない。

これから体験会などでのユーザーの声が届けば。VRはもっともっと進化を遂げ、数々の未知の体験を味あわせてくれるはず。VRの感動というのは、どれも実際に体験しないと分かりにくいものばかりなので、今後各地で開催される体験会の機会を逃さず、エンターテイメントの未来の片鱗を、是非とも自ら感じてみて欲しい。

※画面は開発中のものです。

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