e-Sportsが盛り上がる韓国において、プロゲーマーとはどんな存在なのかを、プロゲームチームFreecsのカンヒョンジョン監督にインタビューした。
e-Sportsが盛んで多くのプロゲーマーが活躍する韓国。韓国では、「Counter Strike」といったFPSや「StarCraft」などのRTSにはじまり、最近は「League of Legends(以下、LoL)」が盛んだ。
今回は、そんな韓国で活躍するプロゲーマーについて、アフリカTVのプロチームFreecsで監督を務めるカンヒョンジョン氏に聞いた。
――Freecsについて教えて下さい。
カン氏:アフリカTVが作ったプロゲームチームで、LoLとStarCraft2の2つのチームがあります。LoLは7名、すStarCraft2では10名所属しています。それぞれのチームで1軍、2軍という形に別れて活動しています。
――プロゲームチームの監督とはどのような仕事なのでしょうか?
カン氏:ゲーム以外の業務が多く、選手のスケジュールや健康・メンタルの管理、さらにはコーチの管理もしています。プロゲーマーになるのは20代の男性が多く、学業から離れ、大検で卒業資格をとるような人もいます。ゲームプレイ以外の人間性や教養などを教える必要もあります。そのように幅広いことを教えるので、家庭に例えれば、監督が父親でコーチが母親のような存在です。タイトルやチームによっても異なりますが、LoLチームは監督1人、コーチ1人で構成されています。
――韓国ではプロゲーマーについてどのようなイメージを持たれているのでしょうか?
カン氏:以前はゲームは子供の遊びというネガティブなイメージを持たれていました。しかし、企業がスポンサーについたり、企業の作るドラマやCM、バラエティに出演することでプロゲーマーに対するイメージはだいぶ変わってきています。
以前は職業という認識がありませんでしたが、今は大人たちもプロゲーマーを職業として認めるようになっています。
――子どもたちのなりたい職業にプロゲーマーも挙がっているのでしょうか?
カン氏:私の幼い頃は歌手やスポーツ選手になりたい人が多かったです。今は、それらの職業と同じくらいプロゲーマーになりたいという声を聞くようになりました。
――子どもたちはどのようにプロゲーマーになるのでしょうか?
カン氏:韓国にはPC房(韓国のネットカフェのような店舗)が多いので、小中学生が放課後に友達と一緒にゲームを遊び、競争したり、学校では接することのできない新しい友だちを作ったり、さまざまなつながりを得る文化が根付いています。その中で上達するにつれて「プロゲーマーになろう」という思いが芽生えてきます。
StarCraft2のようなタイトルであれば、選抜大会が開催されているので、そこで頭角を現してくるとプロゲーマーになることができます。アマチュアの大会で入賞するような人もプロゲーマーになります。
――プロゲーマーを養成する学校や施設はあるのでしょうか?
カン氏:専門学校はもちろん、ゲーム専門の高校や大学ではプロゲーマーを養成する学科も存在します。全南科学大学にはLoLのアマチュアチーム(CTU)も存在します。
――監督はどのように優秀な選手を発掘するのでしょうか?
カン氏:LoLの場合は、オンラインゲームなので一次的な審査として上位プレイヤーであるという基準を設けています。公募する場合では、書類審査、オフラインテスト、ゲームハウスでの共同生活などを行い、その過程で選考を進めていきます。
――どのような人が採用されるのでしょうか?
カン氏:もちろんゲームの実力があることが前提となりますが、チーム戦もあるので、マナーやコミュニケーション力といったの人間性を重点的に見ています。
――プロゲーマーの引退後は?
カン氏:監督やコーチのほか、アナリストとして活躍する人もいます。放送関連では、ストリーミング配信番組に出演したり、番組のオブザーバーとして画面のスイッチングや演出などのアドバイスを行う人もいます。e-Sportsの記者になったり、アフリカTVのBJ(ブロードキャストジョッキー、番組配信者)として活躍する人もいますよ。
――e-Sports専門のテレビチャンネルはどの程度あるのでしょうか?
カン氏:ケーブルで3チャンネル、地上波で5、6チャンネルあります。その他にインターネットで放送するタイプのものも存在しています。
――チャンネルはどのような過程で増えていったのでしょうか?
カン氏:最初はネットカフェで小規模なオフライントーナメントが行われており、それをゲーム会社がスポンサードするようになりました。そこからケーブルテレビがその模様を中継し、現在に至っています。
――日本では、ゲーミングPCやデバイスメーカーがスポンサーになることが多いのですが、韓国では銀行や通信会社のスポンサーが目立ちます。
カン氏:大手の通信会社の場合は、ゲームをプレイするユーザーである10代から20代の若い世代に対するマーケティングの一環としてはじめました。ゲームは若い世代がプレイするので、10年、20年先を見込んで、プレイヤーと一緒に成長していく長期的なプロモーションを目的としています。
また、SamsungやKTといった世界中で展開する企業にとっては、グローバルなマーケティング・プロモーションの一環として投資しているようです。
――サッカーや野球といったスポーツと似ていますね。
カン氏:だいぶ近づいていると思います。ただ、韓国の野球やサッカーのファンは、年齢の幅が広く、性別もあまり関係ありません。そのため、e-Sportsは若い男性という、もう少し絞ったターゲットにむけてプロモーションを行うことが可能です。
――韓国のプロゲーマーにはアイドルのような人もいるようですが、グッズ展開なども行われているのでしょうか?
カン氏:グッズに関しては、具体的な動きは多くありませんが、市場価値があると考えています。すでに、自分の好きな選手の写真をSNSに投稿したり、プロフィール画像にしたりする文化はプロゲーマーに対しても行われています。ファンミーティングなども行っており、アイドルに近づいています。
――グッズ展開の計画は?
カン氏:その可能性を測るために、今夏にチームのユニフォームを50着ほど販売してみようと思っています。売上は全額寄付する予定です。
――日本でe-Sportsが盛り上がる可能性と、そのために必要なことは?
カン氏:日本でも大会に関するニーズは増えていると思います。日本ではコンソールゲームが根付いていますが、e-Sportsに関わる選手・ファン・企業が一緒になって努力すれば、爆発的な人気がでる可能性は十分にあると思います。
――ありがとうございました。
※2016-05-23 15:00 初出時、誤った名前で掲載していました。訂正してお詫びいたします。
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