千葉・幕張メッセにて開催された「東京ゲームショウ2016」。その会期中である9月15日、ソニー・インタラクティブエンターテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏にインタビューを実施した。

――新型PlayStation4とPlayStation4 Pro(以下、PS4 Pro)を発表して、さまざまな反響があったと思いますがいかがですか?

吉田氏:PS4が小さくなって安くなったのはわかりやすいですよね。これを待っていたお客さんもいらっしゃったと思います。特に日本はこれからラインナップが充実してくるので、それとハードのリフレッシュが同時に起こるのがとても良い形なんです。それが、ライセンシーの皆さんのおかげでできたので非常にありがたいです。

PS4 Proの映像は、4KにもHDRにも対応していないテレビやスマートフォンで見ても良さが伝わりづらいので、そこには難しさを感じています。スペックを見てわかる人もいれば、違いがわからないという反応も多いです。

実際のテレビで見れば分かりますし、PS VRもタイトルの作り方によってかなり違いがあります。ニューヨーク(9月7日に行われたPlayStation Meeting)でも「Farpoint(仮)」をPS4 Proで動かしました。他のタイトルもそうですが、PS4のタイトルはPS4に最適化して作っているので良い体験ができます。その上で、さらにPS4 ProだとGPUで2倍以上のパフォーマンスがあるので、レンダリングをするときの解像度を上げたり、他の追加のエフェクトを入れたり、デベロッパーがいろいろと対応しています。

4Kテレビを持っていない人でも、PS VRをより高い品質で楽しみたい方には、PS4 Proがおすすめです。最近、私自身もPS4 Proの対応タイトルが遊べるようになって、びっくりしているところです。

――発売日着としては最後となる、PS VRの予約受付再開が発表されました。

吉田氏:予約受付をはじめると、世界中ですぐになくなるので、少し追いついていない感じです。お店によって違いますが、すべてが予約に回されるわけではないので、当日でも買えることもあります。

しばらくは買いづらい状態が続くかもしれませんが、すでに製造数を増やす努力をしており、できるだけ早く需要に追いつきたいと考えています。

タイトルもとても充実していて、先日もオフィスで「アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション」を遊んでいたら、人が集まってしまって「すごい!すごい!」という反応がおきてました。私は知らなかったのですが、女性のファンも多いんですね。出来がすごくよいみたいです。コンサート会場にいる感じがして、みんなすごい楽しんでいました。

――ノンゲームタイトルも増えました。

吉田氏:私の知らなかったタイトルもたくさん発表されました(笑)。前からビデオコンテンツはとても重要だと思っていました。

VRは、リアルタイムでインタラクションができる点が最高ではありますが、パノラマビデオでもそこにいる感覚は得られますし、制作が楽で、ライブストリームすることもできます。

ゲームだと制作に時間がかかりますが、ビデオコンテンツであれば常にアップデートすることが可能です。VRゲームを遊ぶために買った方も毎日使おうという動機になりますし、VRゲームを遊ぶために買った人以外の家族も使う理由になりそうです。

アメリカではビデオコンテンツを集めている専用サービスが増えているので、そういう会社にはクライアントをPS4用に作ってもらってアップデートされるコンテンツをPS VRでも遊べるようにしたいと考えています。

今回、私が知らなかったのは単品で製作されているタイトルで、世の中のいろんな企業がプロモーションなどでこのようなコンテンツに投資されてきていることがわかりました。

――そのような映像コンテンツに関してもサポートを行っているのでしょうか?

吉田氏:技術的なサポートは積極的に行っています。PS VRの性能を使うためにどのようなスティッチングを行えばよいのか、ビデオでもソースが4Kになると綺麗に見えるので、そういったサポートです。

最近でもCEDECなどで弊社の秋山賢成が積極的にいろいろと発表していますが、パノラマビデオの撮影から編集に至るまでにはいろいろなノウハウがあり、日進月歩なところがあります。そういうところは、取り組まれている方と情報交換しながら、できるだけデベロッパー、サービスプロバイダーを増やしていこうとしており、増えれば全体的なコストも下げることができ、クオリティも上がると思います。

我々自身がお金をかけてコンテンツを作っているわけではありませんが、そういった産業がより発展するような技術的なサポートを積極的に行っています。

――「anywhereVR」もおもしろいアプローチですね。

吉田氏:私も体験したことはありませんが、狙いはよくわかります。VRの技術を使ってやりたいことのひとつに、リラックスがあります。実際に、痛みを持つ患者さんにVRの映像を体験してもらい気を紛らわすという風に、治療の世界でも使われています。

「The London Heist」のパブのシーンでは、葉巻とライターが置かれていて、PS Moveを使って葉巻に火をつけるんです。そこにクラシックの音楽が流れていると、すごいリラックスできるんですよ。

――「V!勇者のくせになまいきだR」もおもしろいですね。

吉田氏:最初に、アクワイアさんがデモを持ってきて頂いたのですが、その瞬間に“これやりましょう”となりました。うちのプロデューサーの山本(山本正美氏)とアクワイアさんで、しばらく作っていなかった勇者の企画を練っていましたが、なかなか良い企画が出てこなかったんです。ただ、「V!勇者のくせになまいきだR」は“これだ!”と一瞬で思いましたね。

VRでは、テーブルトップを神の視点で眺めて、小さいキャラクターを見るのが面白いんです。そこで起きるいろいろなことを眺めるといったタイトルが今までなかったので、今後ゲームとしても深いものになっていくと面白いなととても期待しています。

――「Farpoint」で使える「Aim Controller」は販売されるのでしょうか?とても面白かったです。

吉田氏:販売を積極的に検討中です。私もお気に入りで、銃を持っているのを見るだけで盛り上がりますね。

実はPS VRの秘密兵器がDUALSHOCK 4だと思っています。DUALSHOCK 4はトラッキングができて、VRの空間の中に表示が可能で、とても遊びやすくなります。VR空間に入った不安感を抑えるのにも役立ちますし、コントローラーのボタンをゲーム内で表示することもできます。ゲームによっては、世界観にあわせて表示を変えてみたりとか。「V!勇者のくせになまいきだR」でもうまく使っていましたね。

――PS VRを遊んでいる時にSHARE機能は使えるのでしょうか?

吉田氏:PS4ゲームと同じように“SHARE”ボタンを使って配信できます。配信される映像は、ソーシャルスクリーン機能でテレビ画面に表示されるものと同じです。

――「人喰いの大鷲トリコ」が延期になりましたね。

吉田氏:E3にあわせて発売日を発表すると決める前に、チームと何度も確認して、いけると思い発表しました。ただ、最後の最後に行っていたデバッグでバグの数が想定通りに減っていきませんでした。バグは減っているのですが、もう少し時間がかかりそうです。ただ、PS4 Proにも対応する予定ではあります。

――PS4 Pro対応といった表記がされるのでしょうか?

吉田氏:海外では「Enhanced」というマークがパッケージにはいるのですが、日本ではこれからご案内します。

――VRの開発者の方は楽しくてしかたがないそうです。いろんな発明や発見があって、インベーダーの時代を思い出すらしいです。開発者に向けて何かヒントはありませんか?

吉田氏:まったくその通りだと思います。みなさん、「サマーレッスン」がすごいと思っているじゃないですか。キャラクターが自分のことを見ていて、自分の動きに反応するというだけでもものすごいインパクトがあるんです。

「サマーレッスン」のようなコミュニケーションを重視したゲームでなくても、他のゲームでも使うことができます。ユーザーの頭がどっちを向いているのか、ゲーム側からわかるわけですから。

普通のゲームであればNPCの横を素通りしますが、VRだとそこに人がいる感覚があるので、NPC同士の会話に聞き耳立ててしまうこともあります。それは、作りこめばこむほどゆっくり楽しんでもらえます。大きなスペースを作らなくても、小さいスペースで密度を濃くすることで、すごく楽しんでもらえるものになります。

――「シーマン」を思い出しますね。

吉田氏:「シーマン」がVRで作られれば面白いですね。「サマーレッスン」と「りんな(マイクロソフトが開発したLINE上の女子高生AI)」が組み合わさって、永久に会話できるような世界が来るとおもしろいです。「りんな」だと会話ごとに終わってしまいますが、自分が言ったことを覚えてくれて、次の日に会ったらまた聞いてくれるようなAIになるともっと面白いですね。

――VRに関して反対する人もいます。

吉田氏:私も言われたことがあります。一般の方や親御さんは心配ですよね。

VRは新しい道具ですので、一緒に学びながら良いことに使って、その良さをみんなで享受したいと思っています。

私たちのようにVRに関わっている人がはっきりとわかっているのは、これは新しいメディアであって、何年か経てば、みんなが普通に使っている技術になっているということなので避けては通れないんです。だからこそ、心配している方が心配を克服できるように業界としても取り組んでいかなければならないですし、理解を深めてもらうためにも体験会を行っています。

――PS4 Proに関して、現状でどのような変化があるのか実感できません。体験できる機会はありますか?

吉田氏:行った方がよいと考えています。なぜ、はっきりと出てこないかというと、まだ作っているからです。PS4 Proは11月10日に発売するので、それ以前にリリースされるタイトルであれば11月10日前後にパッチを用意しようと考えています。まだ時間があるので、ぎりぎりまで開発するチームが多いです。

――11月10日時点でPS4 Proの恩恵に預かるタイトルが出てくるのは間違いないですか?

吉田氏:そうですね。実はもうPS VRの同時発売タイトルで対応しているものもあります。タイトルによって状況が違うので、今言うことができません。例えばPS VRユーザー向けに配信する「THE PLAYROOM VR」では、PS4 Proだと映像がより綺麗になります。ただ比較してはじめてわかるというレベルのもので、PS4でも楽しくプレイできます。あとは「Farpoint(仮)」も対応しています。

――ありがとうございました。

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