PlayStationのノウハウを活かしつつも独自の展開を目指す―フォワードワークスの事業構想や戦略について聞く

インタビュー
0コメント TOKEN

スマートデバイス市場へのサービス事業を展開するべく設立されたフォワードワークス。事業戦略責任者であるエグゼクティブディレクターの川口智基氏に、同社の事業構想や戦略について聞いた。

2016年4月1日付けでソニー・インタラクティブエンターテインメント(以下、SIE)の子会社として設立されたフォワードワークス。スマートデバイス市場に向けた新たなサービス展開を担うということは設立発表時にすでに触れられていたが、先日コーポレートロゴがお披露目となった「2016 PlayStation Press Conference in Japan」においても、その全容は明かされなかった。

川口智基氏

そんな中、10月より設立時の所在地であったSSJ品川ビルから恵比寿プライムスクエアタワーへと移転したタイミングで、同社の事業戦略責任者を務めるエグゼクティブディレクターの川口智基氏にインタビューする機会を得ることができた。

先に述べておくと、具体的なコンテンツなどについては後日発表する場を設けるということで、今回は主に同社がどのような構想や戦略をもって事業を展開しているのかを中心に伺っている。川口氏の回答の端々から見えるこだわりに注目しつつ、読み進めてもらえればと思う。

来年度中に5~6タイトルのアプリケーションを展開していく

――まずは川口さん自身の経歴についてお聞かせいただけますでしょうか?

川口氏:私は1997年にソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)に入社しまして、営業部で2年ほどPlayStationのハードとソフトの販売を担当していました。1999年からPlayStation 2の立ち上げに合わせて現ソフトウェアビジネスの部署に異動しまして、ライセンスビジネススキームの策定やタイトルラインナップの編成、ソフトウェアメーカーさんとのリレーションを、13年間担当させていただきました。

2012年からは戦略企画部に異動しまして、国内の事業戦略の責任者として、PlayStation 4の国内での立ち上げをはじめ、さまざまなプロジェクトを推進してきました。そして2016年の4月から、フォワードワークスのエグゼクティブディレクターを務めさせていただくことになりました。

――これまでも新規の事業に多数携わられているということですが、今回、フォワードワークスを立ち上げるに至った経緯についてお聞かせください。

川口氏:新規のプロジェクトをいろいろと担当している中で、やはりモバイルの市場はすごく大きくなっているなと。PlayStationとしてモバイル市場のユーザーさんとどうやって関わりを持っていくのか、というところはこれまで検討してきたところですし、いろいろなチャレンジもしてきていますが、特に日本・アジアという地域での戦略を考えた時に、モバイル市場に対するアプローチの重要度が高まっていると考えました。

モバイルの市場はゲームをたくさん遊ばれている方もいれば、カジュアルにゲームをプレイされている方々もたくさんいらっしゃいます。これまでは、どちらかといえばPlayStationとしてモバイル市場のお客様に対してアプローチしていくというスタンスでしたが、この大きな市場の中ではPlayStationをあまり知らないというお客様もたくさんいらっしゃるのも事実です。

そういった方々にも私たちが提供しているエンターテインメントをお届けするにはどうしたらいいか、それを検討する中で、モバイル市場でより多くの方々に楽しんでいただくためには、外から市場にアプローチするのではなく、市場の中に一度飛び込んで、そこからしっかりとお客様に対してアプローチしていくのがいいのではないかという結論に至りました。

会社の設立は今年の4月ですが、プロジェクト自体はそれ以前から準備を進めてきました。設立後、これまで情報のアップデートはできていませんが、準備は順調に進んでいまして、来年度中には5~6タイトルぐらいモバイルのアプリケーションを提供する予定です。ここでは具体的なタイトルはお答えできないのですが、2016年内には具体的なタイトル名を含め、今どのような準備を進めているのかを発表できるようにしたいと思いますので、ご期待いただければと思います。

“PlayStation”のノウハウを活かす3つのポイント

――あくまでもPlayStationというブランドとは違うかたちで提供していくということですね。

川口氏:そうですね。我々はSIEのグループ会社なのでPlayStationビジネスの戦略の一環と思われることも多いかと思うのですが、PlayStationのプラットフォームビジネスとは切り離した、フォワードワークスというモバイルアプリのパブリッシャーとしてコンテンツを提供していきたいと思っています。

その一方で、PlayStationのビジネスの中で培ってきたノウハウも活用していきたいと思っています。モバイル市場にチャレンジするタイミングは決して早くはありませんが、私たちがやりたいと思っていたことと、お客様が望んでいるであろうこと、そして実際に私たちができることが全て重なって、ようやく時が来たと感じられたことから、モバイル市場への参入を決めました。そのポイントはデバイスとゲーム性、そしてIPの3つです。

ご存知の通りモバイルデバイスは性能的にもすごく進化してきて、私たちがモバイルでやるのであればこんなゲームを作りたいなと思っているものが、ようやく実際に作れるような状況になりました。しかも、高性能な端末をすごく多くの方が持つようになっていて、私たちが作りたいと思っていたゲームを提供した時に、特定の方々だけでなく、多くの方々がそれを楽しめる環境になったというのが大きい。

また、モバイルの市場が急成長し、いろいろな方々が市場に参入してコンテンツを提供していく中で、少し前まではコンテンツ供給過多とも言える状態にあったと思います。ユーザーの方々もいろいろなゲームを遊ぶ中で、遊ぶ前から面白そうかどうかを判断するようになってきて、よりゲームの質を求めるようになってきたと感じており、私たちがPlayStationで培ってきたゲーム制作のノウハウが活きるのではないかと感じています。

そして3つ目のIPに関してですが、ゲーム性を重視されているというところと併せて、最初に目に留まるかどうかというのも非常に重要なポイントになっています。お客様に最初に面白そうだと思ってもらい、手にとってもらえるというタイミングまでに、IPの重要性は以前と比べても高まっていると感じています。

そうした背景から、まずはSIE Japan StudioのIPをモバイルに展開していきたいと考えています。この話をすると、「過去作の移植をやられるのですか?」と聞かれることもあるのですが、移植ではなく、IPを活かして、今のモバイルに最適化したものを作って提供していきたいと思っています。いわゆる単純移植みたいなことは想定していないです。

――アプリケーションを提供していくにあたって、「Xperia PLAY」のような、ソニーグループとしてのつながりを活用していくということは考えられているのでしょうか?

川口氏:グループ内のシナジーは大事にしていきたいと考えていますが、私たちが提供するアプリケーションがある特定の人しか遊べないという状況はできるだけ作りたくないと考えています。できるだけ多くの方々が気軽にダウンロードして遊んでいただけるという環境を作っていきたいと思っていますので、デバイスの性能による制約はあり得ますが、それ以外のところで機種を限定してみたいなことは考えていないです。

――App Store、Google Playのようなアプリケーションを配信されるプラットフォームに関しても限定はしないということでしょうか?

川口氏:今モバイルで提供されているさまざまなプラットフォームに対して、幅広くコンテンツを展開していく予定です。

――ゲームの提供において、フォワードワークスとしてはパブリッシングだけでなく、開発や運営も行っていくのでしょうか?

川口氏:私たちもモバイルの分野に関しては経験が深いわけではないので、開発や運営に関してはそれぞれ得意な企業とパートナーシップを組んで提供していきます。来年度中に提供するタイトルについても、それぞれのコンテンツに対して最適なパートナーとの協業で進めているという状況です。立ち上げからそう遅くないタイミングでコンテンツを提供できるというのは、並行していろんな方々と一緒に進められているというのが理由としては大きいと思います。

今の時代では、すごく面白いコンテンツを作ってもお客様に届かないと意味がなくなってしまいます。面白いものをいかにしてお客様に情報として届けていくのか、実際に遊んでくださったお客様とコミュニケーションを取って長く遊び続けていただいたり、周りに面白さを伝えていただくということもPlayStationでずっと取り組んできました。ゲームを作るだけでなく、ゲームを作った後にお客様に伝えていく、広げていくというノウハウも、フォワードワークスとして活かしていけるのではないかと思います。

――先ほどJapan StudioのタイトルをIPとして活用するというお話がありましたが、Japan Studioは開発にも参加されるのでしょうか?

川口氏:当然そのパターンもあります。

さらに付け加えると、SIEのIPをモバイルに展開していくということはやりたいことの一つです。PlayStationプラットフォームは、たくさんのソフトウェアメーカー、クリエイター、デベロッパー、そしてユーザーの方々と一緒に盛り上げてきました。そういった方々とのつながりを活かした取り組みや、モバイルアプリという枠に留まらない新たな遊びの創出などについてもチャレンジしていきたいと思っています。

フォワードワークスの社名とロゴに込められた思い

――提供のモデルに関してですが、現在の主流である基本無料モデル以外での提供も考えられているのでしょうか?

川口氏:私たちとしてはこのやり方だけでしかやらないということは特になく、いろいろなコンテンツの企画がある中でそれに最適な販売方法をとっていくというのが基本のスタンスです。売り切りがよければ売り切りで提供しますし、基本無料の中でも課金方法に関してはタイトルごとに最適な方法をとっていきます。

ただし、私たちが提供するコンテンツはできるだけ多くの方々に遊んでいただきたい、PlayStationを意識せずとも目に留まって遊んでいただけるようになるということが究極的なゴールだと思いますので、販売方法・課金方法に関しても安心して安全に遊べるというところはしっかり考えていきたいなと思います。

――性別や年齢といったユーザーの属性などに関しても、コンテンツごとに意識されているのでしょうか?

川口氏:私たちが今準備しているタイトルはバラエティ豊かなので、いろいろなお客様に遊んでいただきたいです。ただ、どのタイトルにしてもゲーム性を重視していますので、カジュアルなゲームでもずっと遊び続けられる楽しさは入れていきたいですし、すごく重厚なゲームというものにもモバイルでチャレンジしていきたいと思っています。

――最後になりますが、フォワードワークスの社名とロゴのコンセプトについてお聞きしてよろしいでしょうか?

川口氏:フォワードは、サッカーのポジションをイメージしていて、前線でチャンスメイクをしたり、得点するという役割を果たしていきたいということです。モバイルのアプリケーションにおいても一歩先を行って面白いものを提供していきたいという思いを込めて、フォワードワークスという社名にしました。

そしてロゴマークについては、フォワードの略称であるFW、あるいはフォワードとワークス、それぞれの単語の頭文字であるFとWをモチーフとして、スマートフォンでのアプリケーションの特徴である指でなぞるというデザインにしています。

――少し丸みがあって、親しみやすい印象だなと。

川口氏:でしょう?(一同笑) 実はもうひとつ意図があって、マークをよく見るとFWではなく“FUN”と書いてあるんですよ。モバイルのゲームでも面白いゲームを提供していくという気持ちも込めて、こういうデザインにしました。

――こうして由来を聞くと、イメージが伝わりやすいですね。

川口氏:シンプルなデザインなので、いろいろなところで使っていって、お客様にフォワードワークスを知ってもらいたいなと思います。

※画面は開発中のものです。

本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

関連タグ

注目ゲーム記事

ニュースをもっと見る

ゲームニュースランキング