Pokémon GO

【CEDEC 2017】世界最初のMMORPGから「Pokémon GO」へ―全世界で160億キロメートル歩かれたタイトルは如何にして生まれたのか?

【CEDEC 2017】世界最初のMMORPGから「Pokémon GO」へ―全世界で160億キロメートル歩かれたタイトルは如何にして生まれたのか?

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2017年8月30日から9月1日にかけてパシフィコ横浜にて開催された「CEDEC 2017」。ここでは9月1日に行われた基調講演「GO OUTSIDE! Adventures on foot」をレポートする。

左:川島優志氏 右:野村達雄氏
左:川島優志氏 右:野村達雄氏

「GO OUTSIDE! Adventures on foot(自分の足で歩いて冒険する)」という、Nianticのミッションはどうしてユーザーに受け入れられたのか。世界中でどんな変化が起きたのか。Nianticが考えるARとは何か。

本講演では、「Pokémon GO」が開発されるに至った経緯や、その道筋、そして人々に与えた影響などが「GO OUTSIDE!」というキーワードを元にNiantic 川島優志氏、野村達雄氏より紐解かれた。

「Pokémon GO」を開発したNianticは、位置情報連動型の陣取りゲーム「Ingress」を運営していたGoogleの社内スタートアップチームで、後に独立。独立した後に大ヒット作品「Pokémon GO」をリリースした。

一見華々しく成功したイメージのあるNianticだが、川島氏はこれを「決して平坦な旅では無く、大変な道のりだった」と振り返る。

NianticのCEOであるジョン・ハンケ氏は、衛星地図ベンチャー企業Keyholeを創設し、Googleに買収される形で副社長となった人物だ。だが氏はそれ以前、世界最初の3DMMORPGと呼ばれている「Meridian 59」の開発メンバーだった。それ故に、“大勢のプレイヤーが1つの世界を共有して遊ぶ”という文化が染み付いており、それが現在のNianticの原点になっているそうだ。

Nianticが最初に掲げた目標は“世界を変える”という壮大なものだった。どうしたら世界を変えられるのだろうかと考えた時に、ジョン・ハンケ氏は「人が外に出れば世界は変わる」と答えたという。一見腑に落ちないこの回答を、川島氏はいくつかのステップに分けて解説した。

1つ目は、「EXERCISE(運動)」。例として世界中で5700万人の人が運動不足で亡くなっているという事例を挙げ、リアルな世界で運動することで世界はより良いものになると川島氏は述べる。

次のステップは「EXPLORE(探検)」だ。最近はマップアプリで検索すれば現在地から目的地までの最短距離がすぐにわかってしまう。便利で無駄がないということはとても良いことなのだが、Nianticの挑戦は15分の道のりを1時間半かけさせることなのだとか。いつもの道でも一本道を外れれば、新しい世界が広がっていることに気づくことが、世界を変えることになるという。

最後は「SOCIAL(ソーシャル)」。外に出て探検をすれば、全く知らなかった人と交流することもある。新たな出会いは、きっと新しい世界への扉となっているはずだ。

これらの目標を達成するためにNianticは、「Field Trip」というアプリを開発した。これは、ある場所に行くとその詳細や歴史を案内してくれるアプリだ。だが「Field Trip」は、あまり上手くいかなかったという。案内を出すタイミングや通知がユーザーの目的を阻害する場面があると、川島氏はその原因を振り返る。

「Field Trip」の失敗を元に作ったのが「Ingress」となる。このアプリは歴史的な場所や公共施設などをポータルとし、緑と青のチームに分かれて陣取りを行うゲームだ。現実世界とフィクションの世界を繋げる試みが為されているの特徴だ。

このアプリの核心は、現実世界で外に出なければプレイができないという点だ。それ故に、人々に様々な行動を起こすきっかけを作ることができたと川島氏は評価。そしてその例として、幾つかの事例が紹介された。

「Ingress」でプレイヤーが歩いた総距離は3億キロメートルなのだとか。これは地球から太陽への往復距離に相当する。
ユーザー主体のイベントも行われている。

以上のような影響を踏まえて、「Ingress」では様々な学びがあったという。その中でも、ARゲームは現実世界でのユーザーの振る舞いをポジティブな方向へ変える力があると紹介した。

そこから「Pokémon GO」が生まれたのは、川島氏はジョン・ハンケ氏と一緒に見た、Google マップ上で展開したエイプリルフールのプロモーションビデオがきっかけだったそう。当時のエイプリルフールは、Google マップ上にポケモンが現れて、151匹全部集めるとGoogleがポケモンマスターとして承認してくれるというものだった。

川島氏はこの動画を見た時、これがNianticが次に作るものだと直感したという。そこですぐにこの「ポケモンチャレンジ」を作った人物と話をし、ポケモンと打ち合わせを行ったそうだ。

ここまで順調な道のりを歩んできたNianticは、ここで大きな転機を迎えることになる。当時はまだGoogleの社内スタートアップチームだったNianticだが、Googleからチームを解散するか独立するかを迫られたそうだ。チームは独立することを選んだが、メンバーの中にはGoogleに残ることを選んだ者もおり、最終的にNianticとして残ったのは40名程のメンバーだったという。

川島氏は当時のことを「いよいよだという時に片翼を失い、いつ墜落してもおかしくない軍用機のようだった」と表現。おまけにサーバーを走らせる資金の調達もままならない状態だったのだとか。しかし任天堂の社長(当時)であった故・岩田聡氏とポケモン社長の石原恒和氏の援助もあり、「Pokémon GO」は生まれることができた。

このような経緯で開発が進められた「Pokémon GO」。では、なぜ「Pokémon GO」はヒット作品へとなり得たのか。その理由がNiantic 野村達雄氏から語られた。

野村氏は、元々Google Japanで地図を作る業務を行っており、その後Google本社へ移りAndroid版Google マップの開発などを担当していたという。ゲーム開発とは離れた業務を担当していた野村氏が、なぜゲーム開発に関わるようになったかというと、Googleのエイプリルフールのジョーク企画がきっかけだったそうだ。

マップを8bitで表現した「ドラクエマップ」が非常に好評で、それ以降も次の企画を望む声が多く、その流れで生まれたのが「ポケモンチャレンジ」だった。これがジョン・ハンケ氏と川島氏の目に止まり「Pokémon GO」のプロジェクトが動き出すことになった。

「Pokémon GO」は、7億5千万ダウンロードを達成。150以上の国や地域でサービスが行われ、全プレイヤーが歩いた総距離は160億キロメートルにも及ぶという。ちなみに地球から冥王星までの距離が約50億キロメートルと言われているので、その3倍以上の距離をプレイヤーが歩いている計算になる。

ではなぜ、「Pokémon GO」はここまでヒットしたのだろうか? 野村氏は「AR(拡張現実)」にフォーカスしてその理由を説明。それに伴い「Technogy(技術)」、「Art(絵)」、「People(人間)」という3つのキーワードを挙げた。

まず「Technogy」に関して、当時ポピュラーだったAR技術はQRマーカーを設置してカメラをかざすというものだった。だがこれは現実世界に幾つものマーカーを設置する必要があるため現実的ではないと判断される。

次に考えられたのが、Googleのストリートビュー機能を活用したものだったという。ポケモンが現れるとストリートビューのデータを取得してそこにポケモンを表示させる仕組みだ。だが、ストリートビューはリアルタイムで更新されるわけではないので現実とギャップが生まれてしまい、上手くいかなかったそうだ。

最後に考案されたのが、カメラ機能とジャイロ機能を活用したもの。そこまで先進的な技術では無かったが、作成したデモを見ると正にこれしか無いというものに仕上がっていたという。

また、ARに関しては「Pokémon GO」ならではの工夫が施されている。ポケモンには様々なタイプが存在するため、アトランダムにポケモンを表示させるだけでは面白みが薄れるとし、水ポケモンは水辺に登場させるなどの工夫を行っていると解説。テクノロジーでは無いが、現実に即してこだわることも「AR」をリアルにするためのテクニックなのだという。

水ポケモンが水辺にいるとリアリティが増す。

次に「Art」という視点から見たARについてだ。一番最初に制作したモック画面では、現実部分をメインとし、マップを中心にUIなどは必要最低限の配置にしたそう。

開発を進めていくとマップは徐々にバーチャルなものに変化、その過程で採用基準にしたのは「本当にこのマップにポケモンが出現してもおかしくないのか」ということだった。そこで一端原点に立ち返り、「ポケモンらしさ」とのバランスを考えて今のようなアートになったという。

最後は「People」についてだ。ARを体験するのは最終的には人間であるとして、プレイした人に何らかの影響を与えられるか、プレイヤーの現実をどう拡張できるかが重要になるのだと野村氏は述べる。

最後にNianticが示す「AR」の定義が紹介された。これが「Pokémon GO」がヒットした理由の一端ではないかとのことだった。

最後に川島氏は、「ゲームには人々や世界を変える強い力がある。人々を外に連れ出して国境や人種、言葉や性別を越えた交流を生み出すことが、私達が今後も起こしていきたいイノベーションである」と述べ、講演を締めくくった。

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