ユービーアイソフトが2018年3月1日に発売を予定しているPS4/Xbox One/PC用ソフト「ファークライ5」。その開発を行っている、モントリオールスタジオのMathias Ahrens氏へのインタビューをお届けする。
シリーズの従来作からは、あらゆる要素がパワーアップ。個性的なパートナーとの共闘も
――まず、自己紹介をお願いします。
Mathias Ahrens氏(以下、Ahrens氏):ユービーアイソフトでは7年間働いていて、「ファークライ5」ではチーフコミュニティティディベロッパーをしています。「ファークライ」シリーズには、3年前から関わっていました。
――コミュニティディベロッパーとは、具体的にはどのような仕事をする役職なのでしょうか?
Ahrens氏:開発との間に立って、ファンの人たちと交流するのが役割です。例えば、ソーシャルメディアを通してスタジオからの情報を伝えたり、ファンの人たちの声を開発チームに届けたりといったことですね。
――10月9日に行われたUBIDAY2017のステージにも出演されましたが、いかかでしたか?
Ahrens氏:実は日本に来たのは今回が初めてで、とても楽しかったです。客席が満員になっているのがうれしかったですし、「ファークライ5」のフォトブースでは、公式コスプレイヤーがキャラクターになりきって、お客さんたちを入信させようとしていたのが面白かったです(笑)。
――「ファークライ」シリーズは、以前から海外で非常に人気の高いシリーズですが、日本でも特に「4」あたりから人気が高まっている印象を受けます。
Ahrens氏:ええ、理由は僕にもわからないのですが、「4」から日本のユーザーのプレイスタンスに合うゲームを提供できるようになってきたのかなと思っています。もしかしたら、僕が3年前から「ファークライ」シリーズに関わっているのが影響しているのかも……いえ、冗談です(笑)。
――UBIDAY2017では日本版の発売日が発表されましたが、海外からほぼ間を開けずに発売されることに驚きました。
Ahrens氏:発売日がほぼ同時というのは、自分たちにとってとても重要なポイントでした。大切なファンの人たちの一部が、発売日が違うせいでプレイできないというのは悲しいことですから、できる限り発売時期を近づけました。また私たちは、全世界のファンの方々とコミュケーションをとり、その声を開発に伝えていくことも重要だと考えていて、それが今回私が日本に来た理由の一つです。
――従来のシリーズ作品と比較して、「ファークライ5」でもっともパワーアップした要素はどれですか?
Ahrens氏:今回はパワーアップした要素がとにかくたくさんあり、プレイスタイルによって体験がガラリと変わってくるので、一つだけを挙げるというのは難しいですね。
その中からいくつか言及するなら、まずゲーム全体の自由度が大きく上がっています。例えばこれまでのシリーズでは、プレイヤーはあらかじめ決められた主人公キャラクターを操作していましたが、本作からはプレイヤーの分身となるアバターを、自由にカスタマイズすることができるようになりました。
犬のブーマーを初めとした「パートナー」の存在も挙げられます。パートナーはただ一緒に戦うだけではなく、ブーマーなら攻撃対象を指示できたり、ニックなら爆弾を投げたりと、それぞれの個性にあった特徴的なアクションをもっているので、自分のプレイスタイルにあった相棒を選ぶことができます。
――パートナーはどれくらいの種類が用意されるのでしょうか?
Ahrens氏:こちらの情報はもう少しお待ちいただくとして、確実なのは、現在明らかになっているブーマー、グレイス、ニック以外にもパートナーが登場するということでしょうか。今後の情報公開を楽しみにしていただければと思います。
――実機プレイでも登場していた、ブーマーの仕草がとても可愛かったです。やはり開発において、動物のリアルな仕草というのは研究されたのでしょうか?
Ahrens氏:そう言っていただけるのはうれしいです。我々もできるだけリアルなものを作りたいという思いがあったので、現実での動物の動きはかなり研究しています。ユーザーの間でもブーマーの人気が高いようで、撫でられたり、武器を持ってきてくれたりすることに加えて、あまり見た目が綺麗な犬じゃないというのも、愛着を持たれている要因なのかもしれないですね(笑)。
――登場する中で、お気に入りの動物はいますか?
Ahrens氏:やはり一番はブーマーですね。というのも、私自身が家で犬を飼っているからです(笑)。それ以外の野生の動物なら、牛がお気に入りです。彼らは離れている時は何もしてこないのですが、近づきすぎたりストレスを与える行動をするとこちらを攻撃してくるのが面白いポイントだと思っています。
プレイヤーからの要望の強かった、キャンペーンクエストのCO-OPプレイが可能に
――本作ではアメリカのモンタナ州にある架空の街が舞台となっています。フィールドを作っていく上で、どのような作業を行ったのでしょうか?
Ahrens氏:まず研究のため、開発チームが実際にモンタナ州に行きました。そこでは空の写真を撮ったり、現地の人々と一緒に狩りや釣りを体験しました。実はブーマーが登場することになったのは、狩りをする人々と、彼らが連れていた犬たちが非常に強い絆で結ばれていることを知ったからなんです。
そうした現地での研究を念入りに行ったので、かなり現実に近いものを作ることができたと思っています。規模的にも、「ファークライ5」のフィールドはシリーズの中でもっとも大きいものになっています。
――モンタナ州以外にも舞台の候補はあったと思うのですが、その中で選ばれた要因はなんだったのでしょうか?
Ahrens氏:モンタナ州には野生の動物や自然の山、川が豊富に存在し、そうした環境が「ファークライ」シリーズに適していると考えました。確かに開発チームの中で他の候補が上がっていた時期もありましたが、実際に現地に到着した瞬間、「この場所はパーフェクトだ」という感覚を得たようです。
――「5」の舞台は現代となっていますが、前作の「ファークライ プライマル」では、舞台が紀元前ということで、かなり苦労もあったのではないかと想像します。
Ahrens氏:確かに「プライマル」の時は、現代と比較して参考にできる資料というのは少なかったですね。ただ「ファークライ」シリーズは毎回専門家の監修を受けています。「プライマル」でも専門家からの意見を集めて、専用の言語を作り上げたりしていました。そうして、できるだけ現実に近い形で当時を再現した上で、存在したら楽しいだろうと思えるゲーム的な要素を付け加えていきました。
――CO-OPプレイについてのお話も聞きたいのですが、本作のCO-OPはどのような形式で行われるのでしょうか?
Ahrens氏:従来のシリーズ作品と同じく、オープンワールドの世界を2人で自由に冒険することができます。さらに本作からは、メインストーリー部分にあたるキャンペーンクエストも、CO-OPプレイで進められるようになりました。
――キャンペーンを2人で遊べる形にしたのは、プレイヤーからの要望が強かったからなのでしょうか?
Ahrens氏:そうですね。CO-OPを復活させるだけではなく、メインクエストを一緒にプレイしたいという意見は多く寄せられていました。「ファークライ5」のCO-OPは、そうして得られたフィードバックを反映させる形で作られています。
――これまでの作品と同様に、本作にも個性的なNPCが多々登場すると思うのですが、お気に入りのキャラクターはいますか?
Ahrens氏:私のお気に入りは、バーの主人であるメアリです。今の地位につくためにとても努力していて、カルトによってたくさんのものを失ってしまったのですが、それにめげずに立ち向かい続けている、非常に強くて魅力的な女性です。
――UBIDAYでの実機プレイでは、プレイヤーの起こした行動によってメーターが上昇し、レジスタンスの影響力が高まっていく場面がありました。レジスタンスメーターが上がると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
Ahrens氏:カルト教団に囚われた人質を開放するなどしてレジスタンスメーターを上昇させると、レジスタンスの仲間たちからより強い信頼を寄せられることになります。逆に、カルト教団からはその存在を危険視されることになり、さまざまな刺客が送られてきます。
実機プレイでは、飛行機に乗って空中から施設を攻撃した際にメーターが上昇していましたが、例えば地上で爆弾を使って爆破する形でも、同じ結果を得ることができます。それに限らず、カルト教団に対してネガティブな行動を行うと、自然とレジスタンスメーターは上がっていくようになっています。
――色々な場所を訪れるたびにクエストが自然と発生していましたが、本作では特定の場所で受注するのではなく、すべてのクエストがあの形式になるのでしょうか?
Ahrens氏:そうです。本作ではゲームの流れが途切れないよう、シームレスにクエストが発生するようになっています。ただ、発生したクエストに必ずしも従う必要はなく、無視して釣りやハンティングに興じるなど、自由なプレイスタイルで遊ぶことができます。
――最後に、発売を楽しみに待つ日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
Ahrens氏:まず、今回のような機会をいただけて大変うれしいです。我々モントリオールスタジオは、ファンコミュニティの皆さん一人ひとりの意見に真剣に耳を傾けています。現在は一人でも多くのプレイヤーの方にユニークな体験をしていただくため、全力でゲームを作っている最中なので、発売を楽しみに待っていただければと思います。
――ありがとうございました。