「斬劇『戦国BASARA』第六天魔王」いよいよ開幕！「斬劇『戦国BASARA』」史上、最高の悪夢――”絆”が描き出すストーリーに震えた舞台レポートをお届け！

ネタバレには配慮しているものの、第一幕までの内容には多少なりとも触れているため、これから行く予定のある人はご注意願いたい。

キャスト陣・スタッフからのコメントをお届け！カプコンの小林Pからは「2018年に何かを企んでいる」という謎のメッセージも…！？

まずはキャストと、演出のヨリコジュン氏、カプコンの小林裕幸氏が、「斬劇『戦国BASARA』第六天魔王」への想いを語ってくれた。

なお、石田三成役の沖野晃司さんが稽古中に脚に怪我を負ってしまい、殺陣のシーンでは殺陣指導の泉紫太朗さんが代役として入ることが決定している。千秋楽まで、このダブルキャストという形で行う予定とのことだ。

ファンには大変残念なお知らせではあるが、それでもこの舞台で石田三成という役をやり遂げたい、という沖野さんの想いはとても熱いものだったので、キャストコメントからも、その気持ちの一片でも感じ取っていただけたら幸いだ。

眞嶋秀斗さん：伊達政宗役の眞嶋秀斗です。この作品はとても壮大です。僕自身稽古場に通う毎日がとても楽しく、帰る時には頭も心も身体もいっぱいになっていて、役者をやっていて本当によかったと思う瞬間を味わえています。こうして舞台に立つことが出来ることをとても幸せに思います。最後の戦いまでみんなで全力を出し切れるように頑張りたいと思います。

松村龍之介さん：真田幸村役の松村龍之介です。こうしてまた「斬劇『戦国BASARA』」の世界に戻ってくることができて、本当に嬉しいです。新しく参加されたキャストの皆さん、そしてアンサンブルの皆さんも含め、このメンバーで全員一丸となって、千秋楽まで無事に公演を終えられたらと思います。皆さんに感謝の気持ちをこめて、全力でこの作品に向かい合いたいと思いますので、最後まで応援よろしくお願いいたします。

中尾拳也さん：徳川家康役の中尾拳也です。今回の「第六天魔王」は、「斬劇『戦国BASARA』」の中でもこんなことがあっていいのか！というくらいの衝撃を与える作品になっていますので、そこが見どころです。今回、沖野さんが怪我でダブルキャストということにはなってしまいましたが、今できる最高のパフォーマンスをキャスト一同で作り上げて、ファンの皆様にお届けしたいと思いますので、ぜひ最後の最後までよろしくお願いいたします。

沖野晃司さん：石田三成役の沖野晃司です。このたびはご心配とご迷惑をお掛けしたことを本当に申し訳なく思っております。ですが、本当に稽古でやっていてこの作品を皆様にご覧いただける機会、そして自分としても必ずこの舞台に立ちたいという想いから、アクションシーンを泉さんにお願いする形でやらせていただくこととなりました。おかげさまで、スタッフとキャストの皆さんに支えられて、こうして初日を迎えることができました。僕ができる全ての力を使ってこの舞台に注力して参ろうと思っております。どうか、ご声援のほどよろしくお願いいたします。

椎名鯛造さん：猿飛佐助役の椎名鯛造です。今作で卒業ということで銘打ってはいただいているんですが、「戦国BASARA」という作品を好きな方がたくさん観に来られると思いますので、私情は一切振り払い、観に来てくださるファンの方に「戦国BASARA」の世界観と存分に楽しんでいっていただければと思います。何卒よろしくお願いいたします。

井上正大さん：片倉小十郎役の井上正大です。今作の演出のヨリコさんや、カプコンの小林さん、山本さん、とても斬新なことをやろうということで、キャスト一同、一丸となってこの一ヶ月半、稽古をしてきました。お客さんが驚く顔を、少しでも早く見たいと思っております。一キャストとして、片倉小十郎として、最後までこの舞台に貢献できたらと思っております。よろしくお願いいたします。

瀬戸祐介さん：明智光秀役の瀬戸祐介です。僕は今回新しいキャストとしてこのカンパニーに入れていただきました。本編のほうも仲間同士の絆とかが試されるものとなっております。今僕らこのカンパニーでできる最大限のことを皆さんに見せたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

汐崎アイルさん：後藤又兵衛役の汐崎アイルです。舞台というのは、何が起こるかわかりません。ひとつひとつが大事な時間ですし、毎回が初日、そして千秋楽のつもりで役者は立っています。今作で卒業となる長年の戦友の猿飛佐助役・椎名鯛造、そしてこのカンパニーみんなと、最後まで駆け抜けていきたいと思います。大千秋楽を迎えた時に、自分たちはよくやったと言えるだけのことを、稽古場ではやってきました。演出のヨリコさん、カプコンの小林さん、山本さんらと一緒に「戦国BASARA」の世界を作ってきたので、それを楽しんでいってほしいと思います。

斉藤秀翼さん：島左近役の斉藤秀翼です。一ヶ月稽古をしてきて、この作品のチーム力の高さをとても感じました。試練が起こってもみんなで乗り越えて、みんなでいいものを作っていこうという気持ちがとても強いと思いました。最後まで全身全霊で駆け抜けていけるよう、頑張りたいです。

桜田航成さん：浅井長政役の桜田航成です。単発のゲストなどはあったのですが、こうして「戦国BASARA」の世界にきちんと戻ってくるのは約二年ぶりとなります。浅井長政が単品で登場することが多かったですが、今回はお市が戻ってきて、そして姉である京極マリア、織田信長に明智光秀と僕の周りも総動力という感じで、個人的にも楽しくやらせてもらっています。このキャスト、スタッフ、最強のメンバーで、最大級の熱量でもって、これが「戦国BASARA」だというのを見せつけてやろうと思っております。

高柳明音さん（SKE48）：お市役の高柳明音です。今回初めてこの作品に関わらせていただくんですけれども、台本を読んだときに舞台でこんな作り方があるんだ、舞台でこんな物語の伝え方ができるんだ、ととても衝撃を受けました。私自身この作品をすごく大好きになりましたので、舞台の上では長政様と愛し、私自身はこの作品を愛し、そして来てくださる皆さんにこの舞台を愛していただけるよう、頑張りたいと思います。

大湖せしるさん：京極マリア役の大湖せしるです。舞台版の新キャラクターである京極マリアとして、作品のいいスパイスとなるように努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

伊藤裕一さん：黒田官兵衛役の伊藤裕一です。今回の作品は心の強さが鍵となっています。皆さんにそういった強さをお見せできればいいなと思います。よろしくお願いいたします。

唐橋充さん：織田信長役の唐橋充です。「戦国BASARA」というビッグタイトルを舞台化しているこのシリーズですが、ゲームでは表し切れないもの、演劇でしかできないものを作っていく日々でしたが、カンパニーの雰囲気がとても良くて、クリエイティブで、このゲームを応援してくださっている方々、そしてシリーズの舞台を応援してくださっているファンの皆様からのプレッシャーも感じつつ、日々模索してきました。今回は三成役の沖野さんが怪我をされてしまい、ご本人はとても口惜しい気持ちはあると思いますが、それすらも、より素敵な表現をこの数日模索し、スペシャルなものを皆さんにお見せできるようになったと思います。

ヨリコジュン氏：演出のヨリコです。毎回心掛けていることなんですけれど、映像も殺陣も多いですが、キャストの皆さんとお芝居を作ろうということを念頭に置いて、ディスカッションを重ねてここまでやってきました。内容的にも先程何人かおっしゃっていましたけれど、衝撃的な内容になっていますけれど、個人的にはこのカンパニー然り、今回の現状然り、徐々に人と関わらなくなっていき、ひとりでなんでもできてしまう現代の中で、大きな壁にぶつかったときにふと隣を見たら一緒に戦ってくれる仲間がいたりだとか、そういうことに気付ける内容になっていると思います。なので、多くの皆さんにぜひ見ていただきたいと思います。

小林裕幸氏：「戦国BASARA」シリーズのプロデューサーを務めている、カプコンの小林です。この舞台に関してはもうシリーズで9年くらいになるのですが、カプコンの山本と共に原作監修を今回も務めさせていただいております。前作の小田原征伐の終わりくらいから、ヨリコさんと次回はどうしようという話はしていて、山本と「今までと違う内容をやってみよう」と決め、かなりチャレンジをしています。ネタバレになるのでなかなか言えないのですが、一幕、二幕と、素晴らしい内容になっております。脚本を上げるのがすごい難しかったんですが、ヨリコさんはじめここにいるキャスト、スタッフさんたちのおかげで素晴らしい内容になったと思います。

舞台の「戦国BASARA」シリーズは来年で10年になりますが、本当に色んな役者さんたちに関わっていただき、今回も新キャストで3名加わりました。ぜひ、応援をよろしくお願いいたします。

まだ発表できないことも多いのですが、「戦国BASARA」シリーズは2018年も色んなたくらみをしているので、どうぞ今年も「戦国BASARA」シリーズにご期待ください。

ゲームで出したらCERO：Dは必至…！？目が離せない緊迫のストーリー！

本作は、「斬劇『戦国BASARA』」に名称が改められて、四作品目となる。「第六天魔王」のタイトルの通り、織田信長とその周囲の武将をメインに描いた「斬劇『戦国BASARA』」のためのオリジナルストーリーだ。キャスト、スタッフ陣のコメントからもわかるように、今回の内容は一言で述べるなら「衝撃的」という、それに尽きる。

オープニングから既に漂う、不穏な雰囲気。第一幕から「何が起こっているの？」という気持ちを抱き続け、第二幕で「これだからBASARAは…！」という溜息が出てしまう。もちろんこの溜息は、「戦国BASARA」ファンにとっては喜びのものだ。

シリーズを斬劇に移して以降の舞台版の「戦国BASARA」は、ゲームとはあえて違う物語を綴り、それでいて「BASARAらしい」と思わせてくれる内容になっていたが、今作ではある意味で一番ゲームの中の「戦国BASARA」に寄り添いつつ、それでいてゲームでは見ることのできないシナリオとなっている。

ネタバレになってしまうため多くは書けないが、恐らくゲームでこれを出そうとするとCERO：D（17才以上対象）くらいには設定されてしまうのではないだろうか。

なお、従来の「戦国BASARA」シリーズはCERO：B（12才以上対象）が多く、最も対象年齢が高くなったのは、「戦国BASARA3 宴」がCERO：C（15才以上対象）だった。これを参考に内容を察してほしい、というのは随分と投げっぱなしであることは理解している上で、あえてこう表現することを選ばせてほしい。

だからといって最初から最後までシリアスでは終わらないのも、「戦国BASARA」シリーズの魅力のひとつ。コミカルなシーンはもちろんあるし、ふっと息を抜けるシーンと、掌をぎゅっと握り締めて見守るシーンのバランスの良さは、今作でも健在だ。

本作で描かれる「心の絆」とは――――

前作の小田原征伐でも「主従の関係性が随分としっかり描かれるようになってきた」と感じていたのだが、今作ではより強く“絆”が描かれている。

なお、“絆”とは、主従に限った話ではない。夫婦の絆。血の絆。友の絆。そういった、ありとあらゆる絆の描写が、本作の見所のひとつだ。

歯車がひとつ欠けてしまうことで、そこから綻びを見せはじめる世界。今作でも明智光秀は、各武将の心を乱す言葉で戦場を乱してゆく。そこに京極マリアも加わることで、より”快楽”を追い求める者たちによる饗宴とも狂宴とも呼べる催しは、戦国の世を蝕んでゆく。

“第六天魔王”織田信長を中心に描かれる、それぞれの“絆”。それは時に残酷さをも生む魔の鎖であることを、今作の舞台で我々は思い知ることとなる。

この舞台で描かれたありとあらゆる“絆”の中で、筆者が一番心に残った“絆”は、浅井長政とお市の夫婦の絆だった。浅井長政とお市がこの物語上で演じた夫婦の在り方は、極普通のそれではない。むしろ、内気で自虐的で独占欲の強い市の愛し方は、決して美しいものではない。だが、それでも市を受け入れようとする長政の姿には、胸を打たれる。

また、「戦国BASARA」の長政と言えば、悪を憎み、正義のために生きる男だ。特撮のヒーローのようにも描かれる彼だが、今作でも時にはコミカルに、会場に笑いをもたらしてくれる存在でもある。舞台を様々な意味で熱く盛り上げてくれる浅井長政の姿に、ぜひ注目してほしい。

前述の通り、今作で描かれる絆は、それに限った話ではない。各武将らがどのように生きて、どのような過程を経て、どのような絆を結び、どのような結末を迎えるのかは、実際に劇場で見てほしい。

新キャストたちの熱演も見どころのひとつ！

今作で、織田信長と共にキーマンとなるのは、明智光秀。明智光秀役を今回から引き継いだのは、瀬戸祐介さんだ。

前任の谷口賢志さんが7年間も演じていた役だけに、新キャストの瀬戸さんもプレッシャーが大きかったのではないかと推察するが、見事なまでに、新しい、それでいて「戦国BASARA」の明智光秀である、と感じる演技を見せてくれた。

明智光秀独特のセリフ回しや動き、その身のこなしは、実に明智光秀そのものだった。物語の中心を担う役回りという大役でもあったが、”新生”明智光秀をファンの目に焼き付けたことだろう。

また、浅井長政の妻であり織田信長の妹でもあるお市を演じるのは、同じく新キャストとなる、SKE48の高柳明音さん。演技力については既に折り紙付きの高柳さんだが、お市というクセの強いキャラクターを演じるには、彼女は若すぎるのではないかという不安もあった。

しかし、お市の憂いを帯びた雰囲気、笑い方、狂い方、力のない歩き方、そして流れるような薙刀の動きまで、一体どれだけ練習をしたのだろう、と感じるほどに素晴らしいものだった。

会場には高柳さんのファンと思われる男性も見受けられ、新しい層に「斬劇『戦国BASARA』」の魅力を伝えることが出来たのではないだろうか。

そうして舞台初登場となる京極マリアを演じたのは、大湖せしるさん。大湖さんは宝塚歌劇団で男役でデビューをしてから約10年もの間、男役を演じ、その後に女役に転身したという異例の経歴の持ち主だが、さすが名門劇団の出身とあって、その立ち振る舞いは一流そのもの。

京極マリアが描き出す色艶、奔放さ、自分が認めたもの以外価値はないと言い切る明るい残酷さ、それでいて弟や義妹を思いやる優しさなど、京極マリアという複雑なキャラクターを完璧に演じ切ってみせた。

舞台上で殺陣を演じるシーンではリボンで京極マリアの武器である布の動きを再現していたが、そのリボンさばきは見事、という一言に尽きる。まさにステージの上に艶やかな華が咲いた、という印象だ。

最後に、心配された石田三成役の沖野さんの怪我によるダブルキャストでの上演だが、実際に観劇した限り、殺陣を他の人が演じているという違和感はまるでなかった。

お芝居そのものは沖野さん自身が演じているということもあり、上演の途中でいきなり声が変わるだとかそういったことはまるでないので、安心して観に行ってほしい。

そして、この舞台を最後まで見た時、怪我を押して、こういう形でもこの舞台に出たいと強く願った沖野さんの気持ちが理解できるだろうと、そう思う。カーテンコールでは松葉杖をついて出てきた沖野さんだったが、一日でも早く良くなることを心からお祈りしたい。

なお、まだチケットが残っている回もあるそうなので、アフタートークショーや武将によるお見送り回などの特別上演回のスケジュールなどにあわせて観に行きたいという人は、公式サイトでスケジュールを確認してほしい。

また、「斬劇『戦国BASARA』第六天魔王」のDVD発売も決定している。一般予約はまだ開始されていないが、こちらも公式サイトなどでの告知を待ってほしい。