5月22日にパッチ4.3「月下の華」が実装される「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」(以下、FFXIV)。本パッチで追加される要素についてプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にインタビューを行った。

帝都から派遣されてきた使者・アサヒがもたらしたのは、和平交渉の開始という思いがけない提案だった。ドマの君主ヒエンは、かつて帝国支配下で徴用された民を取り戻すため、この申し出を受け入れ捕虜交換を約する。しかし、死んだはずのゼノスの影が、記憶を失ってなおも滲むヨツユの憎悪が、暁光の刻を迎えたはずのドマを覆う。

パッチ4.3「月下の華」では、帝都からの使者・アサヒの思惑がついに明るみに出る。アラミゴ奪還の折、光の戦士と死闘を繰り広げたゼノスの復活は、再興へと歩み始めたドマの前に暗雲の如く立ち塞がる。そして、記憶を失ったままのヨツユが、仮初の笑顔をたたえたアサヒが、ドマに招くものとは何なのか。ドマを巡る、長きに渡る思惑の数々が、一つの結末を迎える。

このほかにも、パッチ4.3では新たなアライアンスレイドダンジョン「リターン・トゥ・イヴァリース:封じられた聖塔 リドルアナ」やディープダンジョンの第二弾となる「アメノミハシラ」、「禁断の地 エウレカ」の続編“パゴス編”のほか、新たな極蛮神戦や「絶アルテマウェポン破壊作戦」など、さまざまなコンテンツが実装される。

刀を置いた老侍が、ドマの未来に見据えるものとは何か
吉田直樹氏
吉田直樹氏

――パッチ4.2のストーリーでは、ゼノスの復活を予見させるインパクトあるラストを迎えましたが、まずは今回のパッチ4.3「月下の華」のメインストーリーの概要をお聞かせください。

吉田直樹氏:パッチ4.0「紅蓮のリベレーター」リリース時から続いてきた“紅蓮の解放者”という物語が、今回のパッチ4.3で完結を迎えます。特に“ドマ編”については、4.2を前編、そして4.3を後編という形で、「紅蓮のリベレーター」にて登場してきたキャラクターたちがそれぞれの結末を迎えることになります。もちろん、彼らはそこから新しい国づくりに向けて前へと進んでいくと思いますが、光の戦士が絡む物語は今回で一端幕引きとなります。

「蒼天のイシュガルド」の時のパッチ3.3では、綺麗にイシュガルドの物語が終わり、「次はどうなるのだろう」という形だったと思います。しかし、今回はメインシナリオの終わりに、次に繋がるさまざまなフックが用意されているので、この部分はぜひプレイヤーのみなさんの目で確認して頂きたいと思います。

――その“フック”となるものは、パッチ4.4よりさらに先を見据えたキーワードなどになっているのでしょうか。

吉田氏:そうなります。それがプレイヤーの皆さんの予想通りなのか、はたまたそうではないのかはまだ分かりません。しかし、意外性のある展開になっていると思います。

――パッチ4.2では、ヨツユが遊女をさせられていた妓楼の主人が登場したり、過去視にてアサヒがゼノスと出会った瞬間が垣間見えたりと、彼女たちの語られていなかった過去が少しずつ浮き彫りになりました。それでも未だに謎の多い2人ですが、パッチ4.3ではさらに両者の事情が掘り下げられていくのでしょうか。

吉田氏:はい。先述した通り「紅蓮のリベレーター」の、特にドマに関わる登場人物たちには、今回のメインストーリーにてそれぞれの結末をしっかり用意してあります。

そもそも、ヨツユの記憶が戻るのか否か。どちらに転ぶにしろ、その時ヨツユ自身はどうするのか。そして、それに対してゴウセツはどうするのか、結果をどう受け止めるのか。ヒエンについても、ゴウセツの気持ちは分かりつつも、領主として決断を下さなければならないわけですからね。

祖国の仇ともいうべき人物に対し、ヒエンは何を想うのか。

――アサヒの抱く野望というのも明かされるのでしょうか。

吉田氏:そこも明示されていきます。あとは、ゼノスですね。彼はどんな状態で何を考えているか、というのは今回の目玉の一つでもありますので、今まで隠されてきた物事が、今回のストーリーでかなりはっきり見えるようになっていると思います。

――戦争物……特に今回のドマのような奪還戦というシチュエーションだと、負けた側のその後にはあまりフォーカスされないのが常だと思います。しかし、FFXIVではゴウセツがヨツユの側に立つことで、その敗者の気持ちを代弁する役割を担っているのかなと、これまでのストーリーを見て思いました。

吉田氏:ゴウセツ自身がこれまでのストーリー上で「何故生き延びたのか」と発言していますが、これには裏キーワード的な意味も含まれています。パッチ4.3中のストーリーには、これを象徴するようなセリフも仕込まれています。本当に細かい部分ではあるのですが、そうしたところまで読み取っていただけたら作っている僕らとしても嬉しいですね。

――今回のストーリーの中でも注目してもらいたい、一つのポイントでもあるわけですね。

吉田氏:そうですね。セリフ一つ一つ、メインシナリオ担当者の織田を中心に、シナリオチームがしっかり吟味したつもりではいるので、ぜひ注目してもらえればと思います。

――パッチ4.2のストーリーは政治的な話が多くありましたが、互いに腹を探りつつもしっかりと痛い所を追及していて、こうしたパートの中では今回は特に面白かったと感じました。その上で、ユウギリが言ったようにアサヒが本性を明かすのは少し早かったのではないかと思ったのですが、これはやはりアサヒのキャラクターを確立させるための演出の都合だったのでしょうか。

吉田氏:いいえ、それは違います。彼はその点を重視していない、そういうキャラクターなのです。それはそれとして、アサヒがあのタイミングで本性を明かした理由というのも、パッチ4.3のストーリーを見ていただければ分かると思います。

――個人的には、ゼノスはその性格も相まって引き際がかなりベストなキャラクターだったので、再び登場することにかなり驚きました。

吉田氏:そこはストーリーの肝となる部分なのであまり深くはお話しできませんが、アサヒとゼノスの関係性というのも、パッチ4.3では語られていくところです。

――ゴウセツのセリフや、ゼノスの正体、アサヒとの関係性などは、パッチ4.3における注目したいポイントですね。

吉田氏:セリフに関しては、ゴウセツだけでなく、できればすべてのキャラクターに注目して欲しいところではあります。僕はあまり説明台詞が好きではなく、人間の台詞というのは説明が足りなくて当然だと思っています。ですので、なるべくシンプルに、「この一言から類推できる」というところまで削り落としてシナリオを書いてもらっています。

新生編がシーズン1、蒼天編はシーズン2、紅蓮編がシーズン3だとすると、パッチ4.3はそのフィナーレになります。声優の皆さんの演技も本当に素晴らしく、FFらしさを念頭に置いて作ったつもりではあるので、ぜひトレーラー以上の情報は実際にプレイして確認していただければと思います。

「刀も握れないほどに弱っている」と言われたゴウセツ。忠義の老侍が生き残ったその意味とは……。

――そういえば、アサヒのキャラクターボイスを担当している声優さんは誰なのでしょうか? 声を聞いた感じだと、浪川大輔さんかな、と思ったのですが……。

吉田氏:スタッフロールが出ていないので、まだ公表はしていないですよね。でも、皆さんの予測は大体当たっていると思います。開発チーム内でも「みなさんよくわかるよね、さすが」という話をしていました(笑)。アサヒの煽り演技も素晴らしく、また、ゼノス役の鳥海さんの演技も今回は特に痺れました。

――アサヒの衣装が販売される予定はないのでしょうか。もしくは、メインクエストで手に入るLV式上衣などの装備品は染色できるようにならないのでしょうか。

吉田氏:僕としては、戦うべき敵の衣装を光の戦士が着ていることに否定的なんです。潜入せざるをえないから着る、というのはシナリオ上ありうることだと思っていますし、それを持ったままにしておくのも良いと思います。ただ、帝国と戦う時に、好んでこちらも帝国の姿になっているのは、僕としてはとても違和感があるんです。

プレイヤーの皆さんはあまり気にしない部分かもしれないのですが、それがスクリーンショットとして世の中に流れた時、FFXIVを知らない人は「これは何なんだろう?」と思われてしまうかもしれません。ですので、こういった点はもう少しこだわりたい部分ではあります。アサヒの衣装は人気が出そうですけどね(苦笑)

――なるほど。だからオプションアイテムで販売されているものも、主に“暁の血盟”などの光の戦士と縁が深い人物たちのアイテムになっているわけですね。

吉田氏:イレギュラーなものとしては、リウィアとネロの魔導アーマー、蒼天騎士団のコスチュームなどですね。

松野氏渾身のストーリーに注目!エウレカでシャーレアンについて言及したワケにも迫る

――続いて、アライアンスレイドダンジョン「リターン・トゥ・イヴァリース:封じられた聖塔 リドルアナ」についてお話をお聞かせください。まず、光の戦士たちはどういった経緯でここに向かうことになるのでしょうか。

吉田氏:前回の「リターン・トゥ・イヴァリース:失われた都 ラバナスタ」を発表した直後のプレイヤーさんからの反応を見て、松野さん(松野泰己氏)が張り切ってお話を盛りに盛りまして……(笑)。お話としてはかなりのボリュームになっています。早くコンテンツで遊びたい気持ちは分かりますが、まずはじっくりとストーリーを楽しんで欲しいですね。

――コンテンツ前の導入部分から、かなりのボリュームがあるのですか。

吉田氏:あります。単純に良くできていると思いますし、本当に面白いのでじっくりと見て欲しいです。カットシーン一つひとつも丁寧にこだわって作っていますし、フラグが進行する度に周囲のセリフもどんどん書き換わっていきますが、ここのセリフも松野節が炸裂しているので、全体的に時間をかけて見て頂ければと思います。

――NPCの会話は、宿屋でも見返すことができませんからね。

吉田氏:はやる気持ちは分かりますが、その瞬間だけのものなので、まずはゆっくりとキャラクターたちの会話に耳を傾けてもらいたいです。ストーリーとしては、大きく一つ前進する物語があり、新しいシャーレアンの賢人が登場して調査に加わることになります。

――トレーラーに映っていたアウラの女性でしょうか?

吉田氏:はい。実はこのキャラクターのフェイスは、松野さん渾身のキャラクタークリエイトで、非常にこだわったパーツと色指定表をいただきました(笑)。

――え、松野さんが作ったアウラだったんですか!? それは面白いですね。元々あるキャラクタークリエイト機能を使ってNPCを作るというのは珍しいのでしょうか。

吉田氏:いえ、そんなことはありません。オルシュファンやエスティニアンも、皆さんと同じキャラクタークリエイト機能を使いながらどういうデザインにしようかを考えていきました。実はキャラクタークリエイトから作られているキャラの方が圧倒的に多いです。ほんの少しだけオリジナルの調整を入れる程度、という感じです。

オリジナルデザインというか、すべて描き下ろしのキャラクターというと、アイメリクやゴウセツ、ヒエンくらいですね。ユウギリもアウラが実装される前に登場したキャラクターなので、ある意味オリジナルのパーツで作られたキャラクターではありますが。

――主要なNPCはすべてオリジナルデザインなのかと思っていたので意外でした。

吉田氏:サンクレッドやヤ・シュトラなどの“暁の賢人”たちについても、キャラクタークリエイト+αくらいで作られているので、むしろオリジナルデザインのキャラクターのほうが珍しいですね。

――「リドルアナ」といえば、「ファイナルファンタジーXII」ではラストダンジョン的な位置づけだったと思いますが、ストーリーの中間となる今回で登場するのは驚きでした。やはり、ストーリー上の絡みというか、狙いがあるのでしょうか。

吉田氏:「ファイナルファンタジータクティクス」と「ファイナルファンタジーXII」の間にはやっぱりミッシングリンクがあって、さすがは原作者というか……上手く繋げるんだなー、といちファンとして感心しました。僕らがやったのでは、恐らく皆さんに受け入れてもらえないでしょう(笑)。

――松野さんだからできるストーリーというわけですね。

吉田氏:まさに。リドルアナに関してはトレーラーにもいろいろと気になる情報が盛り込まれていたと思いますが、今回はプレイヤーの体験を大事にしたいと思っているが故に事前にPRできる部分が少なく、トレーラーでは映していないボスもいます。

――プレイヤーの体験という部分では、「失われた都 ラバナスタ」にあったアライアンス毎に進行ルートが分岐する仕様が好きなのですが、今回もそういう要素は含まれていますか。

吉田氏:今回ルート分岐はありません。しかし、無いなら無いなりの凝り方をしているので、今回の途中経路も楽しんでもらえると思います。

――Bアライアンスだと水中に潜り、メッセージを読むことができましたよね。フレンドやFCメンバーと一緒に、攻略した後デジョンで戻って探索したのを覚えています(笑)。

吉田氏:一応今回も、(松野さんが)小ネタはいろいろと仕込んでいるみたいですよ。きっと、原作ファンの方にはニヤニヤしてもらえるはずです。

――「リドルアナ」と聞いてヤズマットを連想するプレイヤーも多くいますが、プロトアルテマのように隠しボスとして登場する可能性はありますか。

吉田氏:どうでしょう……でも、期待は裏切るものじゃないな、とも思うので、パッチの公開を楽しみにしていてください(笑)。

――続いて、「禁断の地 エウレカ:パゴス編」についてお聞きします。「禁断の地 エウレカ」自体、プレイヤーからもかなり好評だったと思うのですが、開発的にこの反応はいかがでしたか。

吉田氏:楽しんでくださる方は一定数以上いると思っていました。しかしその数が予想よりもはるかに多かったですね。こうした取り組み自体、「雲海探索 ディアデム諸島」を二度に渡って制作し、フィードバックやデータ、開発の経験を活かして作ってきました。方向性そのものは今の感覚で丁度いいんだろう、という確信が持てたのは今回大きなポイントです。

これをベースにより楽しんだり、より探索感を強めたり、よりハプニングを感じられたりするような遊びを入れられたらと思います。どうせやるならもっとハードでも良かったと感じられている方がいるのも把握していますが、全体的にはこれくらいのバランスが丁度良いかなと考えています。

――よりハードに、というと?

吉田氏:レベリングの過程などがもっと“マゾ”仕様でも良いというか、「楽しかったのにもう終わっちゃった!」という声はそこそこお見掛けしました。ただ、導入編としてはやっぱりこれがベストだったと思います。最初からあまり難しくし過ぎてもプレイヤーのみなさんが離れていってしまいますし。

――「禁断の地 エウレカ」自体がかなり挑戦的なコンテンツだったと思いますが、リリースして見えた改善点などはありますか。

吉田氏:意図的にやったことではあるのですが、やっぱりノートリアスモンスター(以下、NM)がいろいろと美味しく、パーティでの雑魚狩りをある程度放棄させてしまったところですね。途中から“チェーン”の仕様を調整し、今やってみるとかなり効率よくなっているのですが、初動の印象というのはそう簡単には拭えないということを改めて実感しました。ですので、この部分については次のパゴス編に向けて、改善点としてすでに取り入れています。

あとは、これは改善点というわけではありませんが、後発の人々をフォローする目的として、パッチ4.3より「禁断の地 エウレカ」のウィークリーを攻略手帳に追加する予定です。これをコツコツやってもらえれば、エレメンタルレベル(以下、EL)20まで追いつきやすくなるようにしてあります。

※「禁断の地 エウレカ:パゴス編」はパッチ4.36で実装予定。

――パゴス編は、EL20になっていないと突入できないのでしょうか。

吉田氏:突入条件はEL20であることと、アネモス編のストーリーを完了していることですね。

――「禁断の地 エウレカ」のストーリーにはシャーレアンが関わっています。今後のメインストーリーで語られてもおかしくないくらい重要なお話だったと思うのですが、「禁断の地 エウレカ」とシャーレアン関連のストーリーを組み合わせようと構想したのはいつ頃からだったのでしょうか。

吉田氏:“バル島が消滅した”というキーワードが新生編初期からあったと思いますが、僕は名前だけ出ていていつまでも行けない、形にならないというのがあまり好きではありません。特にクルルという主要人物がその消失の渦中にいたこともあり、いずれきちんと描かなければ、と考えていました。

それと同時に“エウレカ”という名前もあり、元々はクリスタルタワー関連のイベントでやろうとずっとキープしてきました。ただ、元ネタである「ファイナルファンタジーIII」のエウレカを再現しようとしても、どうしてもFFXIVにそぐわない。

そこで、保留になっているキーワードが2つあるならば同時に解消したいと思い、“究極の装備を作る”という1つのフックと、今はまだ言えないもうひとつのフックを合わせたのが「禁断の地 エウレカ」になります。バル島が消滅し、クルルだけがどうして生き残ったのかという伏線も、しっかりとここで解決していきます。メインシナリオに組み込むとなるといつ回収できるか分からないので……(笑)。

――どこかで並行してやらなければならないことだったんですね。

吉田氏:誰かに問われたからというわけではなく、僕らから提示した以上、しっかりと結末を見せるのが責任だと思います。「禁断の地 エウレカ」に関しては、シリーズとしてこの先の計画もかなり見えてきました。しっかりと尖った、FFXIVの新しいアトラクションとしてお届けできると思います。

――それはコンテンツとしてでしょうか? それともストーリーとして?

吉田氏:両方です。良い感じになると思います。

――パゴス編ではレベル上限は解放されますか?

吉田氏:EL30まで上げられるようになります。

――現在マギアボードには5つ魔晶石をセットできますが、この上限も解放されますか。

吉田氏:いえ、マギアボードに関しては今回調整を加えていません。その次のアップデートでまたいろいろとシステムを加えるので、今回は据え置きになります。

――パゴス編は、アネモス編とマップは地続きになっているのでしょうか。

吉田氏:島という設定上は地続きですが、コンテンツとしては地続きというわけではなく、アネモス編同様クガネからNPCを介して突入してもらう形になります。ほぼパブリックフィールドのように作ってはいますが、インスタンスであることには変わりありませんので、“インスタンスに入ってからさらにインスタンスに突入する”ということはできないのです。

――「禁断の地 エウレカ」の目玉でもある武具の強化ですが、パゴス編にてさらに強化できるようになるのでしょうか。

吉田氏:今回は武器だけの強化になります。

――やはり、さらなる防具の強化というのはないのでしょうか。

吉田氏:今はまだ、という感じですね。元々“ジョブ専用防具のより高アイテムレベルかつ染色可能なものをプレイヤーに届ける”というのが一つの目的で、そこは一旦果たせたと思っています。また、思った以上に武具強化という報酬よりも「禁断の地 エウレカ」そのものを楽しんでくれているので、そちらをより良くするためにコストをかけようという方向性で話がまとまりました。

極蛮神は開発者の登竜門!ツールに関するアレコレも

――次の極蛮神は、トレーラーにも含まれていないシークレットな相手とのことですが、これはパッチ4.3中のストーリーと絡む相手だからなのでしょうか。

吉田氏:そうなります。

――「極白虎征魂戦」ではまた新しいギミックがあり、初見時は大いに驚かされました。今回の極蛮神戦でも、こうした画面全体をフルに活用した遊びは用意されているのでしょうか。

吉田氏:あることは確かですが、なんと説明したらいいのか……とにかく、また普通じゃないことをやっているとは思います。その目でお確かめを。

――極蛮神については実装の間隔が短く、コンスタントに実装されていると思います。そうした短いスパン中で毎回新しいギミックを創出して投入するのが、純粋に「すごい」と思う反面、かなり大変なのではないかと思います。

吉田氏:極蛮神戦というのは、バトルコンテンツを制作する開発者の登竜門でもあるんです。フローとしては、まずインスタンスダンジョンのボスを作って経験を積み、そこから極蛮神かアライアンスレイドのボスを制作し、頂点としてレイドボス(零式)の制作に携わるという流れが多いです。絶シリーズを作れるのは、その中でも本当に限られたメンバーのみになっています。

毎回極蛮神戦で新しい体験をご用意できるというのは、開発者の成長が上手くいっているということでもあるのかなと思います。初めて極蛮神を制作する若手の開発者が、斬新なアイデアを持ち込んでくることもあれば、久しぶりに担当した開発者がそういった新鮮なアイデアに触発されて新しいインスピレーションをもらうということもある。ここは良い循環ができていると思いますね。

ただ、だからといって毎回膨大なコストを持っていって良いわけではないということは、半ば口癖のように言っています(苦笑)。

――極蛮神戦を制作するのに必要な期間というのは、大体どのくらいなのでしょうか。

吉田氏:ひとつの蛮神戦を作るまでに、大体2パッチ分くらいです。どの蛮神になるかはもっと前から決まっていますが、ゼロ企画から制作するとなると、モデルの制作やら何やらを加味しても、企画の第一稿が上がってくるのはおおよそそのくらいになると思います。現在進行形で、もうその次、さらに次の蛮神を作り始めていますからね……。

――やはりそのくらいの速度でないと間に合わないということなんですね。実装直前の蛮神と、企画が走り始めた蛮神のギミックや内容が被ってしまったというケースはあるのでしょうか。

吉田氏:それは過去にもなかったと思います。現モンスターリードの中川(中川誠貴氏、ミスターオズマの愛称を持つ)が、以前どこかのイベントでお話させて頂いたことがあったと思うのですが、モンスターセクション内で必ず企画のプレゼン大会を行うんです。そこに参加するメンバーは全員優秀な光の戦士たちでもあるので、面白くないものや過去にやったことがあるものには容赦なくダメ出しをします。ですので、企画担当者は自然とそういった要素を避けた案を出すようになっています。

あとは、シナリオチームとタッグを組んでいることも大きな要因ですね。“こういうテーマに沿ったボス”という大筋があり、そこから連想してギミックを作っていく。個性が違えば、そもそも辿り着く場所も変わってきますからね。そこも上手く循環しているのかな、と思います。

ただ、極蛮神ももうだいぶバリエーションが増えすぎてきて……僕がアートをチェックしている段階で「これ○○と似てるぞ!」と言ったりするシチュエーションが出てきているので、ちょっと悩ましい……。

――長く制作していると、急なアクシデントというか、パッと思い浮かんだアイデアを急遽実装するようなこともあるのでしょうか。

吉田氏:ボス戦に限ってはそれもないです。小さなシステムアイデアの場合には例がありますが、思い付きを実装していたのでは、3.5ヶ月に一回、ボリュームのあるパッチを出すことは不可能ですね。

――やっぱり、すべて綿密に計画立てて進行されているんですね。

吉田氏:はい。大変ではありますが、基本的にその時点から2年先までは綿密に計画されています。

――月並みな質問ですが、今回も報酬は武器になりますか?

吉田氏:武器です。あとは恒例のレアマウントもあります。今回は、パッチ全体を通して入手できるマウントの数が多いかもしれません。

――メインクエストでも手に入るのでしょうか。

吉田氏:いえ、メインクエストは基本的に誰もがクリアできるように作っているので、そこでマウントをリワードにするつもりはあまりありません。それは遊びにはなりませんし、やっぱりマウントは“欲しいから遊ぶ”というくらいウェイトの重いものであると認識しています。今回追加されるものだと、ナマズオの蛮族クエストに1つ、アメノミハシラに2つあります。

――ディープダンジョンの報酬となると、ブラックペガサス級のレアマウントもありますか。

吉田氏:どの程度レアかはご想像にお任せしますが、マウントは2体ですね……。

――丁度ナマズオのお話が出たのでお聞きしたいのですが、彼らは蛮族なのでしょうか。

吉田氏:蛮族です……たぶん。喋りますし(笑)。

――蛮族の定義はありますか。

吉田氏:んー、割と緩いかもしれません。我々が蛮族と言い張れば、蛮族だったりしますし(笑)。

――え、じゃあ、キキルン族も蛮族と言われれば蛮族に含まれるのでしょうか。

吉田氏:あ、キキルンは明確に蛮族です。実はパッチ4.0の開発段階では、元々このタイミングで実装する蛮族クエストはキキルン族を想定していました。そのために、ギラバニアにはキキルン族の集落があるのです。

彼らは物を盗んだり奪ったりする習性があります。それにフォーカスし、光の戦士たちがクラフトやギャザリングを教え、他人から物を取るのではなく自分たちが持っているものから必要なものを手に入れる、というようなストーリーを構想していました。ところが、思った以上にナマズオの人気が出てきたことで、シナリオの担当者も「ナマズオでやりたいです!」とやる気になってしまって……(笑)。

――ということは、ナマズオやキキルンにも信仰している蛮神がいるのでしょうか。

吉田氏:たぶんそこにご質問の誤解があって、必ずしも蛮神への信仰があるから蛮族と定義しているわけではないのです。蛮族という呼称は、その土地の覇権を人間族が握っているため、それ以外を「蛮族」と呼称しているにすぎません。失礼な呼び方なのです。もちろん、蛮族たちにも生活や思想、宗教観があるので、信仰する存在はあると思います。人間が国や地域によって宗教観が異なり、信仰する神様も異なってくるのと同じように、ナマズオにも信仰するものはあると思います。それに縋りすぎると蛮神として顕現してしまうのでしょうが、彼らの場合、その心配はないと思います。

――切羽詰まっている様子ではありませんからね(笑)。

吉田氏:はい(笑)。ただ、今回の蛮族クエストにてやや切羽詰まった状況に陥るので、昔やっていたお祭りを再現しようというのが事の発端となります。みんなでお祭り会場を作っていき、東方一凄いお祭りにしようという目的で、光の戦士たちはクラフター・ギャザラーとして巻き込まれていくという流れですね。ナマズオだけでなく、東方出身のキャラクターたちも多く登場します。

――ということは、マウントもお祭りに関連した神輿とかですか?

吉田氏:まさにその通り。神輿です(笑)。今回は専用のアクションも用意されており、実行することでかなり賑やかな演出が見られます。ナマズオたちが神輿を担ぎ、その上に光の戦士が乗っかっていますからね、かなり豪華なマウントになっていると思います。

――続いて「絶アルテマウェポン破壊作戦」についてですが、武器が専用のグラフィックではないとのことですが、「ブレイクブレイド」や「ダブルハーケン」などの「ロウェナの手形:祭器」で交換可能な武器群のデザインになるのでしょうか。

吉田氏:開発内でもその案は出たのですが、デザインがアルテマウェポンと関係なさすぎるという結論に至りまして、僕から“ジョブを象徴するような武器にしよう”と提案しました。そのため、デザインはAF1……つまり「コルタナ」や「ブラビューラ」などになります。AF1が存在しないジョブ、例えば暗黒騎士であれば「デスブリンガー」、占星術師であれば「アトラース」が対象になります。なので、どのジョブで身に着けても一番それらしい見栄えになると思います。

――少しデリケートな質問になりますが、「絶バハムート討滅戦」の時は外部ツールに関する問題があったと思いますが、「絶アルテマウェポン破壊作戦」では何か対策が盛り込まれているのでしょうか。

吉田氏:それについては、ちょっと大雑把に伝播してしまっています。僕が懸念としてお話したのは、「本来ならば、バトル中にカスタムトークの内容を見て、次に来る攻撃を判断するギミックが、読み上げツールによって、カスタムトークを見なくとも、音声で次の攻撃が知らされてしまう。それが攻略のアドバンテージになり過ぎたので、次からはそういうギミックは無くしていきたいです」ということです。

以前お話した通り、ああしたギミックを入れるのであればネール(ネール・デウス・ダーナス)のボイスを入れるべきでしたし、今回の「絶アルテマウェポン破壊作戦」ではそうしたセリフを見て次の行動を判断するようなギミックは入れていません。

――受け取る側と解釈の齟齬があり、情報が不正確に伝わっているわけですね。

吉田氏:とはいえ、面と向かってこの質問を受けたのは今回が初めてです。ツールの対応は常にいたちごっこです。本質的な対応として最も有効なのは、そうしたギミックを作らないということだと思って頂ければ幸いです。

一般のプレイヤーの方はツールに関する知識がなくて当然なのですが、一口にすべてを「ツール」と括ってしまうのは危険です。それを言ってしまえば、スマホの無料で使えるアプリも、すべてまとめて「ツール」です。FFXIVは基本処理をサーバで行っているため、データを書き換えてしまったりするような行為は、大きなバグが無い限り不可能です。それを簡単にツール化したりすることもできません。巷で良く言われるDPS計測ソフトウェアも、みなさんがお使いのPCへFFXIVサーバから送られてくる正しい情報を、そのまま足し算して表示しているだけなのです。

この「情報」を「暗号化」することは可能ですが、暗号化したままでは、読み取れないため、必ず「暗号化を解除してプログラムに渡す」という工程が必要になります。すべての情報に対してそれを行うと、ラグが発生したり、手触りが非常に悪くなったりします。また、必ず「暗号化の解除」が必要になるため、結局はソフトウェア制作者にヒントを出すことになってしまいます。暗号化の方法をパッチ毎に変えたりするなど、僕たちも対策をしていますが、暗号化する>解除される>また別の暗号化をする>解除される>また……の繰り返し防衛しか根本対処はありません。良い悪いのお話ではなく、今も昔もそうやって攻防を繰り広げているのが、オンラインの世界です。

正しい知識を身に着け、規約とモラルに従って付き合うというのが、オンラインに生きる現代ゲーマーのもっとも効果的な防衛だと僕は思っています。なんでも「ツール」と括ってしまうと、外部ボイスチャットもそれに該当しますし、動画でのタイムライン読み上げなども、次に来るギミックを指示してくれるわけですから、ツールということになってしまいます。

繰り返しますが、良い、悪いというお話ではなく、規約に従いモラルをもってプレイしていただければと思います。自分が楽しいかどうかだけでなく、それをひけらかしたとき、他の人がどう思うかを考えることも、とても大切なことだと思います。

――確かに、極論を言ってしまえば、なんでも「ツール」で括れてしまいますよね。

吉田氏:ですが、動画の場合はタイムラインが固定化されていないと作れない、という要因があるので、実際にはまったく異なるものです。やはり、ひとくくりに括ってしまう思考は危険だと思います。

再度となりますが、「絶バハムート討滅戦」では本来セリフを見てランダムに分岐する攻撃を判断しなければならなかったギミックを、セリフを見なくてもその先のギミックまで読み上げられてしまうのがマズかった。だから、今回はそうしたギミックは廃止しました、ということです。

――ここからは、PvPのことに関しても少しお話をお聞かせください。今回ザ・フィーストのマップ改修が行われますが、これはやはり押し引きの要素が少なくなってしまったためでしょうか。

吉田氏:その通りです、申し訳ありませんでした。また、勝ちが決まり始めると、後はただひたすらぐるぐると外周を回って逃げるという行為も是正しようと考えました。ボックス形状にマップ全体を戻し、ホームエリアを作ってその場で復活する仕様も廃止します。

――現在、タンク職の中でもナイトが頭一つ抜けている印象を受けるのですが、PvPについてもジョブ調整は行われますか。

吉田氏:もちろん、全面的に調整を入れる予定です。僅差ではありますが勝率が低いジョブにはやはり調整を加えていきます。あまりに勝率に差がありすぎるジョブに関しては、差分パッチにてすぐに調整をしているので、実は現状それほどジョブ間の勝率に大きな差があるわけではありません。それでも、勝率が劣って感じられているものはおそらくその通りの数字が出ていると思うので、きちんと調整を加えます。

――いよいよ公式大会の開催に向けて動き出すような雰囲気を感じるのですが、現段階でお話しできることがあればお聞かせください。

吉田氏:次回プロデューサーレターLIVEで開催の発表を行います。しかし、詳細をお話するのには、もうあと一ヶ月程のお時間をください。次のお知らせでは、大会内容とレギュレーションの発表になると思います。

――開催の告知のあと、詳細が発表されるわけですね。

吉田氏:はい。時間が掛かっているのは、全グローバルのベースレギュレーションを統一しなければいけないことなのです。データセンターの数が日本・アメリカ・ヨーロッパとは異なりますので、できるだけチャンピオンシップに出れるチーム数は全データセンター同じにしたいですし……そうした“地ならし”の部分を地道に進めています。

一つ大きく前進したことは、いよいよフィーストのHUDが全面的に差し代わり、敵のパーティウィンドウも表示されるようになりました。これにより、相手が今どんなバフを使っていて、何のバフを温存しているのかがお互いに分かるようになります。実況も、今までより格段にやりやすくなると思います。

――今回のアップデートで、フィーストはまた大きく変わっていくと思います。2018年はe-Sportsも盛り上がっていくように感じるのですが、吉田さんが今後フィーストをこういう風にしていきたいという展望があればぜひお聞かせください。

吉田氏:あくまで僕個人の見解ですが、現状の「e-Sportsを流行らせよう」という風潮が強くなりすぎなければよいな、と思っています。……なんというか、少し急ぎ過ぎているように感じてしまうんです。これまで日本のプロゲーマーの土壌を支えてきた、あるいは土台を作ってきたのは「コミュニティ」です。もっとも大切にすべきコミュニティが、今の風潮の中心にいない。その点に危機感を覚えています。

だから、今は産業としての日本のe-Sportsがどうというよりも、まずは一生懸命競技と向かい合っている人たちが、しっかりと目標にできる大会を作る。それをグローバルでしっかりと実施する。“見ていて面白い”、“やっていて白熱する”、“自分もそれを目指したい”と思えるような座組に仕上げていく。もちろん時間はかかりますが、格闘ゲームというジャンルだって、そうやってプロゲーマーを生み出してきました。そうしていく中でバトルのルールも改修を重ね、「これでいい!」と思えるようになったら、もっと常に大会が運営されている状態を目指したいのです。僕たちには諸外国に比べ、圧倒的に「大会運営」という経験値が足りません。

我々が地道な努力を重ね、2年、3年と実績を作っていき、競技人口もそれだけ大きくなってから、初めてスポンサーという概念が加わるのが理想的だと思うのです。実は現状でも、スポンサーになりたいと仰ってくださっている企業の方はいらっしゃいます。しかし、絵に描いた餅になるのは嫌なので、フィーストがこれまで一歩一歩やってきたように、こうした活動も一歩一歩地道に進んでいければと考えています。

――まずはコミュニティ第一、ということですね。

吉田氏:そうですね。いつの間にかe-Sportsと呼ばれていた、もしくは、やっている人たちが自然と「これって競技だよね」と言える、思ってくれるようになるのが一番だと思います。プレイヤーのみなさんの側から「もっと大きな大会をやってほしい!」とか、「賞金制の大会をするために運営側でこうしたサポートをしてほしい!」という声が自然と上がってくるような環境作りのほうが、僕ははるかに重要だと考えています。格闘ゲームの歴史に倣い、学ぶのが僕は一番の近道だと考えています。

もちろんPR面から言えば、大きな施策の方が目立ちます。しかし、焦って一足飛びに巨額の賞金制大会の実施や何やらを実行しようとすると、ゲームそのものの運営が空中分解してしまうこともあります。フィーストはそうしたケースにならないようにしていきたいです。

――幅広くお話を伺ってきましたが、最後にパッチ4.3を待つプレイヤーに向けて一言お願いします。

吉田氏:パッチ4.3では、今回お話させて頂いたこと以外にもディープダンジョン「アメノミハシラ」やサブストーリー「ヒルディブランド」、クロスワールドリンクシェルにハウジングにおける新機能「交流帳」など新要素が山盛りで、限られたインタビュー時間の中ではすべてを聞き出し、あるいはお話することは難しいと思います。そのくらい、今回のパッチは4.1、4.2と長期的に計画立てて実装してきたものがようやく実を結ぶパッチでもあります。

4.3シリーズは巨大なパッチで、「絶アルテマウェポン破壊作戦」のような超ハードコア向けのコンテンツはもちろん、アメノミハシラではレベル61~70までのレベリングに利用できる簡単なものから、上層は4人固定PT専用できりきり舞いするくらい大変な難易度になっています。「リターン・トゥ・イヴァリース:封じられた聖塔 リドルアナ」もストーリーを楽しみつつ大人数でわいわい遊べますし、今回もいろいろな遊び方をされている、すべてのプレイヤーそれぞれに楽しんでいただけるものになっていると思います。

それらが一旦落ち着く頃には、「禁断の地 エウレカ:パゴス編」が来て、またエウレカに通う日々が始まるのかな、と思います。それ以外にもさまざま用意はあります。この夏はFFXIVで盛り上がって欲しいと思い、意図的にパッチの差分も作ってあるので、この辺りにも今から期待していただければと思います。

あとはやっぱり、今回は紅蓮編のフィナーレということもあり、それでも特にメインシナリオをこだわったパッチでもあります。ぜひ、その結末を皆さんの目で確かめつつ、その後の展開に驚いてもらえたら嬉しいです。

――ありがとうございました。

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