バンダイナムコエンターテインメントは、10月6日にパシフィコ横浜・国立大ホールにて音楽イベント「テイルズ オブ オーケストラコンサート 2018」を開催した。
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2015年から数え、今回で4回目となる「テイルズ オブ オーケストラコンサート」。10周年を迎えた「テイルズ オブ ヴェスペリア」「テイルズ オブ シンフォニア - ラタトスクの騎士 -」「テイルズ オブ ハーツ」をはじめ、15周年を迎えた「テイルズ オブ シンフォニア」など、各シリーズのさまざまな思い出がゲーム映像とオーケストラの演奏で蘇った。
シリーズ作品のオープニングテーマや戦闘曲をオーケストラで
1曲目は、シリーズの原点となる「テイルズ オブ ファンタジア」の「夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~」。ついサビを口ずさんでしまいたくなる伸びやかなボーカルが聞こえてくるかのような情感豊かな演奏に続き、2曲目は「テイルズ オブ エクシリア」の「progress」へ。ミラを中心としたオープニング映像も交え、フルートやピアノの旋律が高らかに会場へ響き渡った。
ゆったりとした曲調の「テイルズ オブ ハーツ R」のオープニング「永遠の明日」から一転、「テイルズ オブ シンフォニア」「テイルズ オブ シンフォニア - ラタトスクの騎士 -」のボスメドレーへ突入。「Beat the angel」「Final destination」では仲間として過ごした相手との戦いやすべての決着が思い起こされ、「Person who conceives frenzy」「The wilderness of sadness」ではリヒターの叫びが胸に刺さるイベントシーンも合わせて体感することができた。
前半の最後を飾ったのは、シリーズの戦闘曲メドレー。「テイルズ オブ デスティニー2」の「DONA NOBIS PACEM」、「テイルズ オブ ザ テンペスト」の「Encounter」、「テイルズ オブ エクシリア2」の「突き進め、その刃尽きるまで」、「テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2」の「Beginning of a battle」、「テイルズ オブ ゼスティリア」の「翼を広げて未来を開け」を、それぞれのバトルシーンと共に堪能できた。美しい演奏はもちろん、モンスターと戦うキャラクターたちが放つ術・技の決め台詞まで脳内に聞こえてくるかのようだった。
また、今回は公演をペンライトで盛り上げるという演出も導入。どの色を振ればいいのかは曲のタイトルと合わせてスライドで表示されたので、迷うことはなかったはずだ。最初は慣れない様子だったファンも、戦闘曲メドレーに差し掛かる頃にはテンションが上がったのかしっかり振りかざしていたのが印象的だった。
ゆかなさんがオーケストラをバックに「譜歌~song by Tear~」を披露
休憩を挟んだ後半は、ハープの音色がしっとりと会場を包む「テイルズ オブ グレイセス エフ」の「ソフィ」からスタート。スクリーンにはアスベルとシェリアがソフィと再び出会った時のシーンが映し出された。そして、深紅の衣装をまとったゆかなさんが現れ「テイルズ オブ ジ アビス」の「譜歌~song by Tear~」を荘厳なコーラスとのハーモニーをファンに届けてくれる。
ゆかなさんは改めて楽曲について聞かれると「オーケストラも初めてですし、譜歌は収録してから一度も歌ったことがなくて」とコメントし、ファンからは貴重な機会だったことに大きなどよめきが上がる。先月配信されたコミュニティ番組「テイルズ オブ アンバサダーチャンネル」で「一度も歌ったことがない」と話した時はまだオーケストラで歌うとは決まっておらず、急展開にゆかなさん自身も非常に驚いたそうだ。
およそ13年前となる収録時の思い出について、楽曲を手掛けたロックバンド「BUMP OF CHICKEN」の藤原基央さんは“楽曲として高めていきたい”、ゆかなさんは“ティアでありたい”という思いを抱えて話し合いをしたと明かす。そしてファンへ「テイルズ オブ」シリーズへの応援に対する感謝を伝え、会場のファンもゆかなさんに大きな拍手を送った。
続いて、シリーズの楽曲を手掛けた作曲家・桜庭統氏も登場。非常に緊張した様子で「演奏するほうが緊張しない」とコメントすると、ファンからは大きな笑いも巻き起こる。多くのシリーズを手掛けてきた桜庭氏は思い出に残っている楽曲について聞かれると、戦闘やボスなど重い楽曲の多さや、スタッフロールなど長い曲が作れるのですごく楽しい作業だったそうだ。楽曲制作時はより想像力に広がりを持たせるためシナリオを深くは読み込まず、何度も聞くことになる通常の戦闘曲はループするたび気持ちが上がっていくよう複雑なコードを使わずメロディを立たる作りをしていると裏話も語られた。
「テイルズ オブ」シリーズは決して大げさではなく、自分の人生を変えるような作品だったと話す桜庭氏。普段は自身で演奏をすることも多いが今回のようなオーケストラでリスナーとして聞く機会はあまりないので、ファンと同じように楽しみたいと締めくくる。
音楽で辿った「テイルズ オブ ヴェスペリア」の世界
ここから会場内の空気は、一気に「テイルズ オブ ヴェスペリア」一色へ。マップメドレーは下町の「青年の気ままな日常」、エステルがハルルの樹を復活させるシーンも交えた「華の調べ」、幽霊船アーセルム号の「鏡に映る夢魔」、エゴソーの森の「はなやぐ命、育む光」、タルカロンの塔の「天を貫く滅びの微」を、ゲームのプレイムービーと合わせて披露。マップ曲は作品の世界観が出やすいので外れないよう作ったつもりだと桜庭氏が語ったように、聞くだけで情景が思い浮かぶような楽曲ばかりだ。次の「火花散らして」でもユーリとフレンの一騎打ちというとくに印象的なバトルが流れ、ゲームの映像をオーケストラの演奏と共に楽しむという贅沢な時間を味わうことができた。
ここで、BONNIE PINKさんがオープニング映像と共に「満月と明星と~鐘を鳴らして~」を熱唱。大きな船に揺られているような気持ちで歌ったと話しながら、歌詞の「光と影」はユーリとフレンのキャラクターをイメージし、友情や生き様の違いを込めているが、今日は“光の影の真ん中”に立っているような気分だったそうだ。
「テイルズ オブ」シリーズの始まりとデビューが一緒だという偶然もありつつ、BONNIE PINKさんは作品を盛り上げるような曲を作るのがすごく難しいと強く感じたが、出来上がった時の喜びは倍になるので、今後も関わらせてもらえたら嬉しいとコメントを寄せた。
最後のバトルメドレーでは耳に馴染んだバトル曲やリザルトの「戦いの火蓋」「闘志もっと燃やして」「不撓不屈」「頂を目指せ」「完全無欠の勝利!」が演奏され、東京フィルハーモニー交響楽団に惜しみない拍手が送られる。
そんな中、袖へ退場した指揮者の栗田博文さんがアンコールのため再び壇上へ…と思いきや、ステージ上からさっと引っ込んでしまうというコミカルな一幕も。ファンは笑いながらさらに盛大な拍手を送り、2016年のコンサートでも披露された「テイルズ オブ エターニア」の「flying」、「テイルズ オブ デスティニー」の「夢であるように」に加え、シークレットゲストのカノンさんが「テイルズ オブ レジェンディア」の「鳥は鳴き、僕は歌う」を歌い上げてくれた。こうしてゲームの思い出をフルオーケストラの演奏と振り返る「テイルズ オブ オーケストラコンサート 2018」は、万雷の拍手の中で幕を閉じた。
セットリスト
M1. 夢は終わらない ~こぼれ落ちる時の雫~(テイルズ オブ ファンタジア)
M2. progress(テイルズ オブ エクシリア)
M3. 永遠の明日(テイルズ オブ ハーツ R)
M4. ボスバトルメドレー
・Beat the angel(テイルズ オブ シンフォニア)
・Final destination(テイルズ オブ シンフォニア)
・Person who conceives frenzy(テイルズ オブ シンフォニア - ラタトスクの騎士 -)
・The wilderness of sadness(テイルズ オブ シンフォニア - ラタトスクの騎士 -)
M5. 戦闘曲メドレー
・DONA NOBIS PACEM(テイルズ オブ デスティニー2)
・Encounter(テイルズ オブ ザ テンペスト)
・突き進め、その刃尽きるまで(テイルズ オブ エクシリア2)
・Beginning of a battle(テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2)
・翼を広げて未来を開け(テイルズ オブ ゼスティリア)
M6. ソフィ(テイルズ オブ グレイセス エフ)
M7. 譜歌~song by Tear~(テイルズ オブ ジ アビス)
M8. テイルズ オブ ヴェスペリア マップメドレー
・青年の気ままな日常
・華の調べ
・鏡に映る夢魔
・はなやぐ命、育む光
・天を貫く滅びの微
M9. 火花散らして(テイルズ オブ ヴェスペリア)
M10. 満月と明星と~鐘を鳴らして~(テイルズ オブ ヴェスペリア)
M11. テイルズ オブ ヴェスペリア バトルメドレー
・戦いの火蓋
・闘志もっと燃やして
・不撓不屈
・頂を目指せ
・完全無欠の勝利!
EC1. flying(テイルズ オブ エターニア)
EC2. 夢であるように(テイルズ オブ デスティニー)
EC3. 鳥は鳴き、僕は歌う(テイルズ オブ レジェンディア)