千葉・幕張メッセにて9月12日より開催の「東京ゲームショウ2019」。セガゲームス/アトラスブースにて出展されている「マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック」より、プロデューサーの大橋宣哉氏、ディレクターの平尾直裕氏へのインタビューをお届けする。

――11月1日に発売が迫った「マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック」について、どのようなゲームなのか、改めてそのコンセプトをお聞かせください。

平尾氏:2回目となる自国でのオリンピック開催ということで、東京2020年競技については今までと同じく3Dキャラクターが登場し、東京1964年競技についてはドット絵のキャラクターで表現した、両方のオリンピックをあわせて楽しんでいただけるものにしました。

東京2020オリンピックで追加された4つの新競技である空手、スポーツクライミング、スケートボード、サーフィンも楽しめるほか、Nintendo Switchということで、Joy-Conを振ったりする体感操作を適した競技に採用し、今までのボタン操作ではすべての競技をプレイできるようにしました。

――新競技の中で、ゲームと相性が良いと感じた競技はありますか?

平尾氏:スポーツクライミングは体感操作として、両手で1本ずつもって遊ぶので相性が良かったと思います。

空手は実際のルールとは変えているんですが、格闘ゲームのような遊びになっています。空手ならではのモーションとして、残心や礼をするポーズなどを入れられてよかったと思います。

大橋氏:空手では日本らしいところを出せたので良かったなと思いました。

――Joy-Conの操作についてはどのようなバリエーションになっていますか?

平尾氏:ゲームが面白くなりそうな競技を選んで、Joy-Conを振ったりする角度などをテストしました。Joy-Conは2本あるので、走るのであれば2本を交互に振りますが、1台のSwitchで対戦もできるようにしたかったので、同じ走るでも、対戦の場合は1本でも遊べるようにしています。スケートボードやサーフィンなどは傾きをとって曲げたり、振り上げるとジャンプしたりトリックしたりといったように、振る加速度と、ジャイロによる角度を使うものを使用しています。

大橋氏:キッズから実際に1964年の東京オリンピックをご覧になっていたお年寄りまで遊んでいただきたいので、幅広い層をカバーしていきたいタイトルです。持ち方や振り方には個人差があるので、なるべく広くカバーできるようにしつつ、広くカバーしすぎるとゲームとして面白くなくなってしまうので、そのバランス調整は意識しています。いろんな人でも楽しめつつ、スポーツゲームとしての奥深さを出す点には苦労しました。

また、ファミリーの方や友達とワイワイ楽しめるスポーツゲームがコンセプトだったので、リビングの大きなテレビで4人で遊べるものにしようと。4人で公園で集まってローカル通信で対戦できるなど、複数人数で遊べるように仕様を決めていきました。

――お二人それぞれのお気に入りの競技はありますか?

大橋氏:僕は新たに加わった空手が、遊んでも面白いですし、人が遊んでいるのを見ていても面白いです。格闘系のゲームなので、もちろん対戦も面白いのですが、今回マリオ&ソニックの新しい競技にあわせた衣装を作ったこともあり、空手は道着がかっこよく仕上がったので、そういう点でも技が決まったときもかっこよくて日本らしいので好きです。

平尾氏:私はサーフィンがいいと思います。デザイナーが波の表現にこだわって作ったり、衣装のウェットスーツは開発当初は入れられないんじゃないかという話もあったんですが、スタッフを増員してなんとか用意することができました。上下ピッチリした服装を見ると、今までになかった新鮮さがあっていいなと思いました。

大橋氏:E3でもすごく評判がよかったです。欧米ではサーフィン自体人気があるんですが、ウェットスーツのデザインも人気がありました。

――各競技にあわせた衣装を作る機会は少ないと思うので、作る側も新鮮だったのではないかと思います。

平尾氏:そうですね。過去はずっと同じ服装でした。

大橋氏:マリオはオーバーオールでプールを泳いでましたね(笑)。今回はしっかりと水着を着て泳ぎます。

――衣装を用意することは最初から決めていたんですか?

平尾氏:今回は最初から決めていました。

大橋氏:今までにはなかったチャレンジでしたが、我々も自国開催ということもあり、開発スタッフも特に気合が入って、やれることがいっぱいあるねと頑張って作りました。

マリオだったらオーバーオール、ソニックだったらそのままの姿といったように、みなさんが持っているイメージがあるじゃないですか。それはマリオやソニックといったキャラクターの力だと思うんですが、それをあえて変えることは勇気がいることですし、それによってキャラクターが悪影響を受けてしまうとマイナスになってしまうので、デザインは慎重に試行錯誤しました。キャラクター性を崩さず、活かせるようにできたと思います。

――東京1964年競技についてはドット絵を使われているのが印象的でしたが、入れるタイミングでドット絵にするのは決めていたのですか?

平尾氏:最初に東京1964年競技を作るにあたって、何かフックとなるものが必要ですよねと任天堂さんと話していて、いくつか出した案の中から、ドットアートがいいんじゃないですかと話になり、進めることになりました。

――競技のチョイスについてはいかがでしょうか?

平尾氏:陸上は花形だと思って入れています。また、東京2020オリンピックで新競技が加わったのと同様に、1964年にはバレーボールと柔道が加わったので、それは入れたいということで頑張って入れました。

また、マリオなら「スーパーマリオブラザーズ」のドット絵、ソニックならオリジナルのメガドライブ版「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のドット絵のパターンをできるだけ使いましょうと。それもあって、柔道はできるのかなというところもあったんですが(笑)、実際に作ってみると、それなりに見える形になりました。ピーチもエンディングに出てきた1パターンだけでしたが、キャラクターが上下しているだけでも走っているように見えるなと。

大橋氏:実際に動かしてみないとイメージが掴みづらいので、テスト版を作って実際に動かして、何回も試しました。

――ドリーム競技はオリジナルということもあり自由度も高いと思いますが、どういった競技を入れようと思ったのでしょうか?

平尾氏:今回は3種目に絞っているんですが、3D競技とドリーム競技についてはインターネット対戦が最初から決まっていたので、そこで盛り上がるのがドリームでできたらいいなと考えていました。

射撃をベースにしたドリームシューティング、スケートボードをベースにしたドリームレーシング、格闘系ということでドリーム空手という3つを入れました。そこでネットワークで盛り上がるようにしたいなと。シューティングと空手はチーム同士でも戦えるようにしています。

――種目とは別にストーリーモードもあるかと思いますが、その狙いはいかがでしょうか?

大橋氏:2020年のオリンピック競技がメインであるのは当たり前ですが、そこに1964年の過去をゲームの中で表現できないかというところが出発点でした。その2つがただ単に入っているだけだとなんだかわかりにくいのもあって、何らかの形でリンクさせて、お客さんに伝えやすい形で、両方のオリンピックを提供できないかと。その思考の先にあった答えが、ストーリーモードでわかりやすく伝えて、両方の世界のオリンピック競技を楽しんでもらうという方法でした。

2020年の東京と1964年の東京を同時に話を進めていくような構成になっているので、それぞれの世界を比較しながら楽しむというのも魅力の一つだと思います。

平尾氏:マリオの世界観、ソニックの世界観、オリンピックといろいろな制限があるので、実際に1964年に行くわけではなくて、レトロなゲーム機の中に吸い込まれ、そこからなんとかもとに戻らなければという話になっています。

大橋氏:実際に1964年に行っているわけではなく、1964年のオリンピックをモチーフにしたゲーム機の中に、エッグマンの悪巧みにハマってしまい、吸い込まれてしまうところから始まります。

――最後にゲームを楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

大橋氏:普段スポーツ中継とかを見ない人でも、オリンピックだと食い入るように日本を応援する人が増えると思うんです。なので、是非普段スポーツゲームを遊ばない方、ゲームそのものを遊ばない方でも、自国開催のオリンピックを機に「マリオ&ソニック」を手にとって遊んでいただければなと思っています。

平尾氏:せっかく自国開催というのもありますし、幅広い年齢層の方に遊んでいただきたいということで、ドットも用意しています。お父さん世代は懐かしいと思いますし、お子さんたちはドットも新鮮に感じるかもしれません。もちろん3Dのきれいなグラフィックも楽しめるので、家族みんなで遊んでいただければと思います。

――ありがとうございました。

(左から)大橋宣哉氏、平尾直裕氏
(左から)大橋宣哉氏、平尾直裕氏

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  • 発売日:2019年11月1日
  • 全年齢対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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