7月9日に発売された「ソードアート・オンライン」(以下、SAO)のゲームシリーズ最新作「SWORD ART ONLINE Alicization Lycoris」(ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス)。本作の序盤をプレイした上でのインプレッションをお届けしよう。

目次
  1. 原作・アニメ版とは異なる未来が示唆されるオープニング
  2. 広大なフィールドの探索・奥深いアクション戦闘
  3. サブクエストもやりがい満点……が、少し気になる点も
  4. メディナを取り巻く物語が、アンダーワールドの命運を大きく変える!?
  5. 完全オリジナルストーリーとなる後半をプレイするのが楽しみ!

本作は「SAO」シリーズ最大の物語である“アリシゼーション編”をベースとしたアクションRPG。ゲームの前半部はオリジナル要素を含みつつも原作及びアニメ準拠のストーリー展開だが、後半はゲームオリジナルヒロイン・メディナを中心としたまったく新しい物語が展開されるという。

今回は、ゲームシステムなどの所感はもちろん、序盤のプレイで確認できたストーリー上のオリジナル要素についても、お伝えしていく。

※本稿には原作小説「ソードアート・オンライン14 アリシゼーション・ユナイティング」及びアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」のネタバレが含まれます。

原作・アニメ版とは異なる未来が示唆されるオープニング

ゲームをはじめると、いきなり“アリシゼーション編”前半の最大の敵である“アドミニストレータ”との戦いからはじまる本作。剣に変化したユージオがアドミニストレータに突っ込んでいこうとしたその瞬間、キリトが彼を掴んで「ひとりで行かせるもんか」と言って引き止める。これは、原作・アニメとは異なる展開だ。

すでに公式から発表されている通り、原作・アニメ版ではこのアドミニストレータ戦で命を落とすユージオが、本作では生存。アドミニストレータを倒したあとも、主人公のキリトや仲間となったアリスたちと、共に冒険を繰り広げる。このことがゲーム内でも真っ先に示されるのは、ユージオ好きとしては嬉しい。

このアドミニストレータ戦は、戦闘システムの基本中の基本を学べるチュートリアルとなっている。これが終わると、時間はキリトが“アンダーワールド”で目覚めたシーンへとさかのぼることに。直後、プレイヤー自身でキリトを操作し、目的地のアイコンを頼りに歩いていけば、“ギガスシダー(悪魔の樹)”のもとでユージオと出会う。

その後は、ユージオからアンダーワールドに関する説明が成されつつ、ストーリーが進行。ユージオの故郷であるルーリッド村を見てまわったあとに、“アリシゼーション編”のヒロイン・アリスの妹であるセルカを追いかけて、“果ての山脈”に向かう。

これ以降、プレイヤーは本格的なフィールド散策と、より実践的なバトルを学ぶこととなる。

広大なフィールドの探索・奥深いアクション戦闘

本作のフィールドはいくつものエリアで区切られている。別のエリアへの移動にはロードを挟むが、それぞれのエリアがなかなかに広大で高低差にも富んでおり、探索のしがいがある。また、森や平原といったエリアでは、木々や草花、川を流れる水など、豊かな自然が美しいグラフィックで表現されており、実に壮観だ。

左スティックを押し込めばかなりのスピードで走れるので、移動を苦痛に感じることは無いだろう。◯ボタン(PS4版準拠)を押せばメインの目的地への移動ルートも表示されるので、道に迷う心配もない。ストーリーが進めば、任意のセーブポイントに瞬時に移動てきる“ファストトラベル”も可能になる。

フィールドを徘徊しているモンスターに攻撃を加えると、戦闘がはじまる(モンスター側から攻撃を仕掛けてくる場合も)。通常攻撃でSPを貯め、これを消費して強力なソードスキルをお見舞いするのが戦闘の基本。そしてソードスキルを当て続けると敵は“ハザード状態”となり、さらに攻撃を当て続けることで与えるダメージが増える“リスク値”が大幅に上昇。さらなる大ダメージを与えることが可能となる。

敵の攻撃をタイミング良くガードすることで発動する“ジャストガード”や、タイミング良く避けることで発動する“ジャスト回避”では、“アーツゲージ”が上昇。これを消費して、一定時間SPを消費せずソードスキルを連発できる“スーパーアーツ”や、迫力あるカットインと共に強力な攻撃を放つ“フィニッシュアーツを使用することも可能だ。

味方への指示出しで、連続してソードスキルをヒットさせたときに発動する“チェインバースト”も強力。序盤のうちは、この辺りを把握しておけば効率よく敵にダメージを与えられるはずだ。

なお、ソードスキル以外にも“バトルスキル”、“パッシブスキル”などが存在し、これらはクエストをクリアするなどして手に入る“スキルアップポイント”を消費して、新たに会得することができる。

さまざまな要素が盛り込まれた本作の戦闘システム。上に書いたことはそのほんの一部でしかなく、最終的に教わることになる要素の数は膨大だ。しかし、すべてを覚えきれなくても、いろいろ試しつつ自分に合ったスタイルが見つかれば、醍醐味であるテクニカルなバトルが楽しめることと思う。

各フィールドには、初めて訪れた時点では絶対に歯が立たないような、高レベル帯のモンスターがうろついているエリアも。しかし、こういったモンスターが近くにいると、警告音と共に注意を促す表示が現れるので、故意に近づきすぎなければ問題ない。こういった場所の探索は、キリトたちが十分に強くなってから改めておこなうのが良いのだろう。

サブクエストもやりがい満点……が、少し気になる点も

ルーリッドの村を旅立ったキリトとユージオは、本作のヒロインであるメディナとの出会いなどを経験しながら、“リヴァリエの森”を抜けて“ザッカリア”という街へ。ここで剣術大会があったこと、これに優勝したふたりが“修剣学院”に入学したことなどがあらすじとして語られると、舞台は“北セントリア”に。修剣学院があるこの街と、その北部に広がる“コールディア平原”が、しばらくの間はゲームの拠点となる。

街中やフィールド上では、専用のアイコンが表示されたキャラクターから、いわゆる“サブクエスト”となる依頼を受けることが可能だ。サブクエストの内容はモンスターを一定数倒す、特定のアイテムを入手するなどが中心で、複数を同時に受注してもOK。攻略する上での推奨レベルも分かるので、現状ではちょっと達成が難しそうなクエストにあえて挑戦し、腕試しをする……なんて楽しみ方もできる。

いずれかのサブクエストを“サブ目標”に設定することも可能……なのだが、メイン目標と違って目的地への移動ルートは特に表示されない。サブ目標に設定してもどこを目指せば良いのかよく分からないことや、逆にクエストの種類によってはサブ目標に設定していないにも関わらず目的地が表示される場合もあり、攻略に取り掛かるたびに戸惑いが生じるというのが現状だ。要するにクエストの種類によって、仕様に統一感がないのが問題なのだと思う。本作はアップデートにも力を入れていくようなので、この辺りは改善されることを願いたい。

セントリアでは、修剣学院の校門前は繁華街となっており、ここでは素材や武器・防具、消耗品などの購入が可能。武器や防具は、生成・強化などを行える店舗もある。探索に出る前に、回復薬の残量や、よりよい装備品が入手できるかなどの確認を行っておくと良いだろう。

メディナを取り巻く物語が、アンダーワールドの命運を大きく変える!?

リヴァリエの森にたどり着く直前、一時的に仲間に加わるメディナ。いったん分かれることになるものの、後にキリトたちと同じ修剣学院に入学したことが判明。イベントシーンなどでちょくちょく見かけることになる。

その中で明らかになるのは、彼女が貴族の中でも位の高い二等爵家“オルティナノス家”の生まれでありながら、他の貴族たちに不当に差別を受けているということだ。原作やアニメでもその憎たらしさを大いに見せつけてくれたウンベールとライオスも、登場するたびに彼女を貶す言葉を投げつける。卓越した剣技を体得しているメディナだが、この扱いのせいで学院では本来の実力を発揮できていないようだ。

オルティナノス家がこのような扱いを受けるようになったのは、メディナの父がなんらかの理由でアドミニストレータの逆鱗に触れたことが原因らしい。この辺りが、“アリシゼーション編”本来のストーリーと、ゲームオリジナルとなる要素との接点となっていくのだろう。

いくつかの描写が、アニメ版よりも詳細に描かれている点も見逃せない。キリトが先輩であるソルティリーナに、“ゼフィリアの花”をプレゼントしようと思ったきっかけが描かれているほか、ユージオとの会話を通して“神聖術”の仕組みや、アンダーワールドの貴族制度の詳細が語られるなど、アニメ版しか観ていない方なら“アリシゼーション編”の世界観への理解も深まるだろう。

一方で、キリトの視点での冒険に主眼を置いた本作には、リアルワールドでアスナたちが行っている、キリトを取り戻すための奮闘といった描写は省かれている。“アリシゼーション編”の魅力をすべて味わうためには、やはり原作またはアニメ版にも触れておくのがおすすめだ。

完全オリジナルストーリーとなる後半をプレイするのが楽しみ!

「SAO」のゲームとしても過去最大のボリュームとなっている「ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス」。筆者がプレイした序盤ではストーリーを追う都合上、パーティ編成や冒険の舞台にも制限が加えられており、その中で装備や戦闘スキルの組み合わせを試行錯誤していくのが楽しいゲーム、という印象を受けた。

本作が真の自由度を発揮するのは、アドミニストレータを倒したあと、完全オリジナルストーリーが描かれる後半部分になるのだろう。そこに至るための前半部分だけでもかなりのボリュームがあるという点は、予め知っておいたほうが良いかもしれない。この前半部分自体が壮大なチュートリアルだと考えて、ストーリーに身を委ねながらゲームシステム上の試行錯誤を楽しんでいくのがおすすめだ。

後半では、アリスやベルクーリといった“アリシゼーション編”から登場したキャラクターはもちろん、アスナにリーファにシノン、リズベットやシリカといった、シリーズの常連となる人気キャラクターも仲間になり、最大4人パーティを自由に組んで、広大な世界を冒険できる本作。今後配信が予定されているダウンロードコンテンツによって、まだ明かされていない追加キャラクターが参戦することもあるかもしれない。

真の醍醐味を享受するための道のりもなかなか長そうだが、「SAO」のファンであるならば楽しみ方を見つけられるゲームになっていると言えるだろう。

SWORD ART ONLINE Alicization Lycoris

バンダイナムコエンターテインメント

PS4ダウンロード

  • 発売日:2020年7月9日
  • 15歳以上対象

SWORD ART ONLINE Alicization Lycoris デラックスエディション

バンダイナムコエンターテインメント

PS4ダウンロード

  • 発売日:2020年7月9日
  • 15歳以上対象

SWORD ART ONLINE Alicization Lycoris

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  • 発売日:2020年7月9日
  • 15歳以上対象

SWORD ART ONLINE Alicization Lycoris デラックスエディション

バンダイナムコエンターテインメント

XboxOneダウンロード

  • 発売日:2020年7月9日
  • 15歳以上対象

SWORD ART ONLINE Alicization Lycoris

バンダイナムコエンターテインメント

PCダウンロード

  • 発売日:2020年7月10日
  • 15歳以上対象
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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