あのゲームも実は……!?百合好きライターの琴線に触れた「隠れた百合ゲー」6選

企画記事
0コメント 小林白菜

百合要素を売りにしたゲーム作品がたびたびリリースされている中、百合好きライターの目線で選んだ、6つの「隠れた百合ゲー」を紹介する。

女性同士の関係性を描くジャンルの総称である“百合(ゆり)”。

以前からファンの多いジャンル区分ではあるが、先日、星海社新書から「『百合映画』完全ガイド」が出版され、ハヤカワ文庫は昨年に引き続き「百合SFフェア」を実施するなど、ここに来てまた盛り上がりを見せている。

ゲームでも百合要素を売りにした作品はたびたびリリースされている。近年では工画堂スタジオの「夢現Re:Master」や、日本一ソフトウェアの「じんるいのみなさまへ」などが該当するだろう。しかし、映画や小説と同様、宣伝でアピールしていなくても、プレイしてみると「このゲーム、めちゃめちゃ百合じゃん!」と感じる作品だって少なくない。

今回は、そんな“隠れた百合ゲー”の中から、筆者の琴線に触れた6作品をご紹介。どれもゲームとしての面白さも保証できる傑作揃いなので、あなたの“百合観”に合致しそうな作品があれば、ぜひプレイしてみてほしい。

なお、この記事における“百合”の定義は前述の通り“女性同士の関係性を描くジャンルの総称”としている。恋愛感情のみを“百合”と呼びたい方もいるかもしれないが、ご理解いただければ幸いだ。

隠れた百合ゲー1.「ライフ イズ ストレンジ」

販売:スクウェア・エニックス
開発:Dontnod Entertainment
遊べるハード:PS4、PS3、PC

写真を学べる学校に通うため、故郷のアルカディア・ベイに帰ってきたマックスは、かつての親友・クロエが銃で撃たれてしまう現場を目撃。この瞬間、マックスは時間をほんの少しだけ巻き戻せる能力に目覚め、これを使ってクロエを助ける。

本作は、マックスの時間を巻き戻す能力を駆使して様々な困難を乗り越え、町で起きている事件の真相を探るアドベンチャーゲーム。しかし、この能力が決して万能ではない点に物語の肝がある。良かれと思った選択が、のちにまた別の問題のきっかけをつくってしまう場合も。

マックスは学校で起こるいじめの問題にも巻き込まれ、クロエには義父との不仲という家庭の問題がある。思春期ならではの悩みにも翻弄されるマックスとクロエが、そんな悩みを共有し、絆を深め、お互いの前では無邪気に振る舞うシーンの数々は、美しい映像も相まって必見だ。そしてそんなふたりを見てきたからこそ、マックスの選択が、親友の運命を決定的に変えてしまうという展開に、プレイヤーもまた身につまされるような衝撃を受けるだろう。

どんな選択をしたところで、人生には後悔がつきまとう。だからこそ、ひとつひとつの選択の機会を大切にしなければならない。マックスとクロエの友情は、そんなことを僕らに教えてくれる。

隠れた百合ゲー2.「VA-11 Hall-A」

販売:PLAYISM
開発:Sukeban Games
遊べるハード:PS4、PS Vita、Nintendo Switch、PC

未来都市・グリッチシティの片隅にある小さなバー“VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)”。主人公のジルは、ここに勤めるバーテンダーの女性だ。プレイヤーは彼女になって、客が求めるカクテルをつくり、振る舞うことになる。

ひとときの安らぎを求めてバーを訪れる人々は、サイバーパンクな世界観も相まって非常に個性的。性別問わず客を取るアンドロイドの娼婦や、自分の生活を24時間ネットで配信し続ける女性、ジェントルマンな瓶詰め脳みそなどなど……。一見コミカルに見えるが、彼らが抱える悩みや迷いは、等身大の人間としての人生を感じられる切実なものばかり。

登場人物の中には同性の人間を恋愛対象にしていることを公言する者も少なくない。そしてジルもそのひとり。現在彼女は、バーのオーナーであるデイナに片想い中だ。グリッチシティは、少なくとも僕らの世界よりはマイノリティであることをオープンにしやすい街なのかもしれない。

物語が進んでいくと、ジルもまた過去のある出来事によって、大きな後悔を抱えていることが明かされる。

人生に迷った人々が訪れるそのバーには、あなたが探し求めている答えも、ひょっとしたらあるかもしれない。

隠れた百合ゲー3.「アンリアルライフ」

販売:room6
開発:hako 生活
遊べるハード:Nintendo Switch(PC、iOS、Androidでもリリース予定)

記憶を失った少女・ハルは、しゃべる信号機の195と共に、自分が“先生”と呼んでいた女性を探して夜が明けない不思議な世界をさまよう。

道中で手に入れるアイテムや、過去の風景を幻視できる“サイコメトラー”の能力で、仕掛けを解いていくアドベンチャーゲームである本作。ドットで描かれた優しげな世界観も魅力だが、後半にかけて、少しずつこの世界の狂気的な側面も見えはじめる。

そんな世界と、先生の関係。そしてハル自身の抱える事情が、丁寧な伏線回収と共に明かされる終盤の展開は圧巻。

エンドクレジット後のとある演出からは、先生がハルにもたらした勇気や希望が、彼女にとってどれほど支えになったかが察せられる。最後の最後まで、爽やかな感動の詰まった傑作だ。

隠れた百合ゲー4.「The Last Of Us Left Behind –残されたもの-」

販売:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
開発:Naughty Dog
遊べるハード:PS4、PS3

名作アクションアドベンチャーゲーム「The Last of Us」の追加エピソード。単体版を購入すれば「The Last of Us」本編を持っていなくてもプレイできるほか、PS4用ソフト「The Last of Us Remastered」には最初から同梱されている。

物語は、本編で重症を負ったジョエルを助けようと奔走するエリーと、ジョエルと出会う前、親友のライリーと行動を共にするエリーという、ふたつの時系列で展開。

打ち捨てられたショッピングモールで繰り広げられる、エリーとライリーの小さな冒険。メリーゴーランドやプリクラで無邪気に遊ぶ姿は微笑ましく感じられる反面、ふたりがパンデミック前の日常を知らないことを思えば、少し切なくもある。

そしてエリーとライリーに起きるある出来事、このときふたりが固めた決意は、ジョエルを助けるため、その身ひとつで戦い抜こうとする未来のエリーの行動ともリンクしていく。

エリーのセクシュアリティがはじめて示唆されるシーンもある本作。2時間程度でクリアできる短い作品だが、最新作「The Last of Us Part II」にも連なる彼女の内面を理解する上で、見ておくべきエピソードとなっている。

隠れた百合ゲー5.「Portal 2」

販売・開発:Valve
遊べるハード:PS3、Xbox 360、PC

離れた空間と空間を繋げることで仕掛けを解いていく、名作アクションパズルゲームの2作目。本作では、前作で特に掘り下げられることのなかった主人公・Chellと、彼女と敵対する人工知能(AI)・GLaDOSとの知られざる関係性が明かされる。

ゲーム中盤、思いがけず共同戦線を張ることになるChellとGLaDOS。そしてふたりは、GLaDOSというAIにまつわる、本人さえ知らなかったある秘密を知ることになるのだ。

パズルゲームとしての唯一無二の面白さ、ユーモアに満ちたAIたちの台詞、舞台設定を活かしストーリーを引き立てる演出の数々。あらゆる部分が世界的にも高く評価されている本作だが、百合的な美味しさはクライマックスに凝縮されていると言って良いだろう。

GLaDOSからChellへの、憎しみも慈しみも含んだ複雑な感情。そこから発せられる台詞と、彼女が歌うエンディングテーマ曲の歌詞は、ちょっと安直な言葉を使うなら“ツンデレ”という言葉をどんな人間よりも体現している。

世界中で絶賛された名作ゲームは、“ツンデレAI×人間女性”百合ゲーの大傑作でもあったのだ。

隠れた百合ゲー6.「The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -」

販売:アークシステムワークス
開発:White Owls
遊べるハード:PS4、Nintendo Switch、Xbox One、PC

J.J.マクフィールドは姿を消した親友のエミリーを追って、追憶島をさまよい歩く。道中、雷に打たれてしまうJ.J.。致命傷を負いながらも「まだ死ねない」と強く念じた彼女は、手足がちぎれても再生できる能力を手に入れる。

本作は横スクロール制のアクションアドベンチャーゲーム。右手で左手を放り投げたり、首だけになって狭い通路を転がって進んだり。J.J.は、ちぎれる身体を駆使して仕掛けを解き、ときおり現れるエミリーを追いながら右へ右へと進んでいく。

ゲームを進めていると、時折J.J.のスマホにメッセージが届く。それらの一部はどうやら、島に来るまえにJ.J.が知人たちと交わしていたやりとりらしい。これらのやりとりから、彼女がどんな苦しみを抱えているのかが少しずつ明らかになっていく。

再生能力はあっても、手足がちぎれることはJ.J.にとって、普通の人間となんら変わらない痛みを伴う。同時に、それはきっと彼女が日常の中で受け続けてきた“心の痛み”そのものなのだろう。

結末を見届けたプレイヤーの中には、このゲームを百合ではなかったと感じる人もいるかもしれない。しかし本作は紛れもなく、大切な女性を探し続ける、ある女性の物語だ。そして彼女が“自分のほんとうのあり方”を探す物語でもある。

痛々しい表現を直視し続けなければいけない点では、人を選ぶ作品と言える。けれど、少なくない人が、このゲームを“自分のための物語”でもあったと感じることになるはずだ。

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