Nintendo Switch版やPC(Steam)版がリリースされているほのぼのアクションアドベンチャーゲーム「A Short Hike」のレビューをお届けしよう。
「A Short Hike」はカナダにあるインディーゲームスタジオ、adamgryuが開発したアクションアドベンチャーゲーム。現在は2019年7月にリリースされたSteam版と、2020年9月にリリースされたNintendo Switch版を購入することができる。
主人公の“クレア”は都会で暮らす鳥の女の子。最近ちょっとした悩みを抱えていた彼女が、夏休みにパークレンジャー(自然保護官)をしている親戚のメイおばさんのもとを訪れるところからゲームは幕を開ける。
メイおばさんが管理する“ホークピーク州立公園”は自然に溢れた美しい場所。しかし携帯電話の電波の入りが悪く、自宅で待っているお母さんと通話をすることもままならない。クレアはメイおばさんからの助言で、電波が入るかもしれないという公園の中心にそびえる山“ホークピーク”の頂上を目指すことになる。
クレアは鳥だけあって、空を自由に「グライド(滑空)」することができる。この「グライド」と「クライミング(崖登り)」を駆使しての“ハイキング”が、本作のメインとなるゲーム要素だ。この部分のさわり心地が非常に優れている上に、それ以外のあらゆる要素が本作の体験をさらに豊かなものにしてくれている。
詳しく紹介するので、まだプレイしようか迷っている方には、引き続きレビューを読んでいってほしい。
散策が楽しい、のどかな箱庭空間
ゲームの舞台となるホークピーク州立公園はひとつの箱庭になっている。“小規模なオープンワールド”と言ってもいいかもしれない。中心には“ホークピーク”がそびえ、山道が張り巡らされており、さらに周囲には様々なプレイスポットが存在。のどかな風景の中、動物たちが運動をしたり、遊んでいたりと、思い思いのひとときを過ごしている。
動物たちはみな朗らかで、話しかければ気さくに会話に応じてくれる。ゲームをプレイする上で役立つ話をしてくれる者もいれば、とりとめのない会話になる者も。ここにはクレアに敵意を向ける者はいない。穏やかな休日に訪れた一期一会の出会いを気軽に楽しむようなやり取りには、ほっこりさせられる。
クレアを遊びに誘ってくれる動物などもいて、こちらは操作のチュートリアルを兼ねていたり、ちょっとしたチャレンジ要素になっていたり。チャレンジに成功すればご褒美がもらえる場合も。
歩き回っていると、道端にコインや貝殻が落ちていることもある。公園にはコインを支払えばアイテムを売ってくれるお店があるので、拾ったコインはありがたく使わせてもらおう。貝殻は欲しがっている人にあげれば、何かお礼をしてくれるかもしれない。
アイテムには「スコップ」「バケツ」「釣り竿」「つるはし」などがあり、これらを入手するほど、散策はいっそう捗ることになる。
クレアの目的はホークピークの山頂を目指すことだが、いくら寄り道をしたって構わない。好奇心の赴くままに散策しているうちに、やれること、やってみたいことが増えてき、これに伴って山頂を目指すためのノウハウも自然と身についていくあたりが実に絶妙だ。
大量のコインや、「黄金の羽」などが入った宝箱が見つかる場合も。宝箱はちょっぴり取りに行くのが難しい場所や、見つけづらい場所にある場合が多く、手に入れたときの喜びは大きい。本作において寄り道には、した分だけの“嬉しい出来事”が待っているのだ。
なお「黄金の羽」はチャレンジのご褒美や、お店でコインを支払うことでも手に入るなど、入手方法は多岐にわたる。ではこの「黄金の羽」とは何なのかというと……それは次の項目で説明しよう。
「黄金の羽」を集めて、目指せ頂上!
「グライド」は、ジャンプしたあと、空中でボタンを押しっぱなしにすることで使用できる。遠く離れた足場に向かったり、下のほうにある足場に着地点を定めて降りたりするときに便利だ。
ただしこれはあくまで“滑空”なので、いまクレアがいる地点より高い場所に舞い上がることはできない。より高い場所へ向かいたいときに必須となるのが先ほど出てきた「黄金の羽」だ。
「黄金の羽」は空中ジャンプできる回数を増やすアイテム。また、壁に向かってジャンプボタンを押しっぱなしにすれば「クライミング」で崖を登ることができるのだが、このアクションの持続時間を伸ばす効果もある。つまり“スタミナゲージ”みたいなもので、「黄金の羽」を多く持っているほど頂上を目指すのが楽になる。
このジャンプ、滑空、崖登りといった一連のアクションが本作は非常に心地いい。いまの「黄金の羽」の所持数ではちょっと厳しいかな……と感じた上方にある足場まで登っていけたとき、滑空で飛び回っていままで行ったことのない場所を見つけたときの嬉しさは、ぜひ実際にプレイして感じてほしいところ。
ホークピークには山道も通っているとはいえ、山頂を目指すとなるとその道にはいくつもの困難が待っている。山頂に近づけば近づくほど困難は大きくなり……これを乗り越えた先に待っているものに、きっとあなたは心を動かされることになるだろう。
すぐクリアするのはもったいない、ひと夏の冒険
「A Short Hike」に戦闘などの要素はない。しかしホークピークには発見・挑戦・達成の喜びがギュッと詰まっており、ハイキングという題材らしい手軽さがありながら、ゲームならではの感動に満ちている。「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」で延々と崖を登ったりパラセールで滑空することに心地よさを感じた方なら、きっと夢中で楽しめるはずだ。
「ゼルダ」といえば、ホークピークに吹く風の表現は「ゼルダの伝説 風のタクト」を彷彿とさせるものだったり、スコップで掘れる場所のマークは「どうぶつの森」っぽかったりと、本作には任天堂タイトルを連想させる要素が多い。
登場するキャラクターに片っ端から話しかけたくなる辺りは、台詞の良さはもちろん、世界観とゲーム部分が見事に噛み合っているからこそだろう。それから、公園内の異なる区画に足を踏み入れるたびに自然と切り替わるBGMも、このちょっとした冒険のワクワク感を大きく底上げしてくれている。
急げば1時間程度でエンディングに到達できるゲームだが、そうしてしまうのはもったいない。癒しと喜びに満ちたひと夏の冒険を、隅々まで満喫してほしい。
(C) 2019 Whippoorwill Limited
※画面は開発中のものです。
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