3D美少女キャラのダンスの振り付けにおけるポイントは?「IDOLY PRIDE」のゲーム映像と実演を交えて解説【CEDEC2021】

発表会・イベント取材
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本日8月24日に行われた「CEDEC2021」のセッション「3D美少女キャラのモーションキャプチャによる『かわいい』動きへのこだわり ~ダンス編~」の内容をレポートする。

サイバーエージェント ebi tec laboで3Dディレクターとして活動する海老沼 宏之氏と、エルアンドエル・ビクターエンタテインメントに所属し、数多くの振り付けに携わる能登有沙さん、宮崎あゆみさんが登壇して行われた本セッション。海老沼氏と能登さんに関しては、昨年のCEDEC2020で行われた以下のセッションを思い出す人も多いのではないだろうか。

前回はモーションキャプチャを取り入れるにあたっての“かわいい動き”が紹介されたが、今回のテーマはダンス。3D美少女キャラによるダンスコンテンツのモーションキャプチャをディレクションしようとする人への入門的な内容として、QualiArtsが提供する「IDOLY PRIDE」を参考に、実演を交えながら制作の流れとポイントを解説していった。

実際にはもう少し細かくなるそうだが、ダンス制作時の基本的な流れとしては、キャラクターモデルおよび楽曲の制作後、振り付けの依頼をしてモーションキャプチャの収録へと移っていく。

モーションキャプチャの収録後に行われるカメラやライブ演出ももちろん大事な要素になっていくのだが、かわいいダンスを作るには振り付けが重要。今回は特に振り付けに注目し、魅力的にするためのディレクションのポイントが紹介された。

まずはアイドルのダンスと3D美少女のダンス、それぞれの特徴について説明。アイドルのダンスは、ダンスと歌詞がバランスよくリンクしおり、簡単で真似しやすいキャッチーな振り付けによって、会場でお客さんと一緒に振り付けができるのも特徴だ。

一方、3D美少女のダンスは細かい所の調整や別のテイクをつなぐことができるなど、あとから修正可能な点が特徴。その一方、キャラクター同士がぶつかったりはできないなど、動きに制約がある点は気をつける必要がある。

そうした前提を踏まえて、能登さん曰くこれが重要と話す、振り付けに必要な要素を紹介。曲や歌詞は歌入れされている状態が望ましいほか、キャラクターを構成する要素や歌割、ステージの構成やテーマなどは実際のダンスとも重なる部分だろう。また、先述されていた動きの制約をリスト化する点については、振り付け師がこうした制約に意外と慣れていないことが多いことから共有する必要があるとのこと。

ここからは、かわいい振り付けにおける10のポイントについて順を追って解説。いくつかのポイントについては実演もあったので、そちらと併せてお伝えしていく。

1つ目は“全体構成がテンションつけされているか”。テンションとは振り付けやダンスの激しさを指しており、サビでは一番テンションを上げ、Aメロでは少し抑えたテンションにするといった具合に、1曲の中で起伏をつけることを意識する必要がある。

2つ目は“歌詞どりのバランスが良いか”。振り付け師は歌詞のない曲に振り付けを行うことも多いということで、ディレクターの目線からも歌詞のバランス感がとれているかどうかはチェックするポイントになってくる。

能登さんの実演では、下の歌詞に対してすべてのニュアンスを組み込んだ振り付けを披露。歌詞とマッチングしてはいるものの、どうしても詰め込み過ぎな感じになってしまう。続いて披露したAメロとしての振り付けでは、動きそのものは抑えめにポイントだけを見せるかたちに。実際にゲーム内に実装された映像を見ても、要所をしっかりとおさえた印象だ。

3つ目のポイントは“キャッチーな動き、ポーズが入っているか”。実際のサビ部分を視聴した上で再現してくれたが、誰でも真似しやすくなっているかも意識する必要がありそうだ。

4つ目の“視線誘導がされているか”は、画面上に複数人がいる場合に歌割に応じてどう動くかがポイントになっている。同じ動きをしていると、どちらを見ていいかわからないので、歌っている側に目が向くように動きを変えることはもちろん、フォーメーションを変えることでも対応している。

左が同じ動きをしているパターン、右が視線誘導を意識したパターン。

5つ目は“衣装を活かした振りが入っているか”。衣装に揺れそうなものがあると、能登さんや宮崎さんは表現の一つとして揺れの要素を振りに入れるようにしているそう。ここではゲーム内の映像を通じて、アシンメトリーにデザインされたスカートが揺れる様を確認しつつ、揺れの場面ではアップカットにできる点にも言及していた。

6つ目の“本当に歌えるようになっているか”は、ロングトーンなのに動きが細かい、スタンドマイクなのにターンしてしまうといった、実際に行うと歌唱にも影響の出てしまう部分を、いかに嘘のないように行っていくかを意識するということ。宮崎さんの実演では、ロングトーンで動きすぎてしまうと声がぶれてしまうため、手振りにすることで歌いやすくなることが解説された。

7つ目の“繰り返しのバランス感が良いか”は、同じフレーズに同じ振り付けを繰り返すと単調になってしまうということに言及。参考動画では4回同じ歌詞が登場する中で最後の1回だけ別の振り付けになっていたのだが、能登さんによる実演では比較のために4回ともに異なる振り付けも見ることができた。確かに個々の振り付けは華やかに映るものの、繰り返しを入れることで、アイドルのダンスとして固有の振り付けが印象づけられるというメリットもある。

8つ目は“カメラワークを意識しているか”。これはアップを想定したときに顔の近くに手を置くと画面が映えるというもので、実際の映像で見てみると確かに情報量が増えて、より印象的に感じられた。

9つ目は“キャラらしさがはいっているか”。これは各キャラクターをカテゴライズした上で、実際にそのキャラクターに沿った振り付けを個別に用意した流れをゲーム内の映像で紹介していった。

そして最後のポイントとして挙げたのが“動きが3Dキャラ映えしているか”。こちらでは宮崎さん、能登さんそれぞれの動きやポーズを通じて、メリハリがないと動きに感情が見えてこないこと、体を斜めにしたり曲線的な動きを用いることで女性らしさが生まれるとともに、空間もより使えるようになることなどが解説された。

セッションの最後には、モーションキャプチャ収録がうまくいくためのアドバイスとして、事前にリハーサルをすることや、意見する人の代表を決めることの必要性にも言及。データ自体は後で修正することも可能なため、まずはしっかりと収録を進めることの大切さに触れ、セッションを締めくくった。

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