セガが2021年9月24日に発売予定のPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One用ソフト「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」。ここでは発売に先駆けたプレイレポートをお届けする。
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本作は「龍が如く」シリーズを手掛けた「龍が如くスタジオ」と、木村拓哉さんがタッグを組んだリーガルサスペンスアクション。2018年12月13日に発売した「JUDGE EYES:死神の遺言」の続編で、引き続き主人公の八神隆之は木村拓哉さんが演じ、中尾彬さん、山本耕史さん、玉木宏さん、光石研さんといった名優も出演する。
舞台は「東京 神室町」だけでなく「龍が如く7 光と闇の行方」にも登場した「横浜 伊勢佐木異人町」まで広がり、八神が高校に潜入する場面も。新たなバトルスタイルや調査アクションも追加され、より重厚なドラマを楽しめるという。
※画面は開発中で、PS4版のものです。
法とは、正義とは――事件の始まりは「復讐」
まずは「JUDGE EYES:死神の遺言」でも非常に評価の高かった、ストーリーについて紹介していこう。主人公・八神はかつて理想に燃える弁護士だったが、自身が無罪を勝ち取った相手が釈放後、あらたな殺人を引き起こしてしまったという過去をもつ。現在は神室町で「八神探偵事務所」を営んでおり、今作の物語は元極道の相棒・海藤と依頼の張り込み中……という日常の一幕から始まる。
その頃、八神の古巣である「源田法律事務所」の元同僚・城崎さおりが担当していた痴漢事件の判決が下されてようとしていた。被告人は、警察官の身で痴漢を働いたと大きな非難を受けていた江原明弘。しかし、彼は裁判官に向かって突然、横浜で発見された身元不明の腐乱死体の正体が御子柴弘であり、江原の息子を自殺に追いやった人物だと語り始める。ただし、御子柴が殺されたのは、まさに江原が痴漢で逮捕された日だった。つまり、江原は絶対的なアリバイを持ったうえで、御子柴殺害になんらかの関りを持っていると露骨にほのめかしているのだ。
一方で八神たちは、以前ある事件を追いかけた仲間・杉浦から連絡を受け、横浜の伊勢佐木異人町を訪れていた。杉浦は、八神をサポートしてきたハッカー・九十九といつの間にやら探偵事務所「横浜九十九課」を開業していたらしい。八神は彼らと共に、イジメ調査のため横浜・誠稜高校へ向かうことになる。
不良学生に絡まれたり、盗撮犯に誤解されたりしながらも無事に調査を終え、誠稜高校を去ろうとしていた八神たち。そんな折、さおりから御子柴が誠稜高校の教育実習生だったことを伝えられる。その実習中に彼は突然消息を絶ち、後日腐乱死体となって発見されることになったのだ。
御子柴殺害事件の鍵を握る江原の痴漢裁判はすでに決着しており、このままでは江原と御子柴の間に何があったのか真相は闇のままとなってしまう。そこでさおりは、八神に事件の調査を依頼したいというのだ。失踪直前の御子柴について誠稜高校で聞き込みができれば何か分かるかもしれない。被害者の生前最後の様子は真相を知るための重要な手がかりになるだろう。しかし八神は、すでに誠稜高校の調査を終えてしまっている。生徒らの知らない大人が校内を歩き回るには何かしらの肩書きが必要だ。
そんなとき、ひょんなことから顧問不在で廃部の危機にあるミステリー研究会の部長と出会う。八神は部長の出した試練を乗り越え、晴れて外部指導員に就任。これで堂々と校内に出入りできるようになるわけだ。
御子柴の死について調べようとした矢先、八神は中国マフィア「横浜流氓(はんぴんりゅうまん)」の襲撃を受け、同時に伊勢佐木異人町の便利屋、桑名 仁とも遭遇。この地で一体何が起きているのか、物語の謎はさらに深まっていく……。
今回体験できた範囲では江原が自殺した息子の仇を取るため、御子柴の殺害を計画したように思える。そして直接殺害するのは状況的に不可能なので、別に実行犯がいるのは間違いない。とはいえ時間的なアリバイを作るだけなら、わざわざ痴漢として逮捕されなくてもいいはずだ。現時点では当然分からないことだらけだが、前作がそうだったように、いずれこの点と点がしっかりと結びつき、物語が加速度的に盛り上がるのは想像に難くない。本作で描かれる「真実」「正義」「復讐」はどのような結末を迎えるのか……前作以上に期待が高まるものとなっている。
なお本作には八神をはじめ「JUDGE EYES:死神の遺言」から続投する登場人物は多いものの、前作開始時点よりもずっと前から八神と縁のある者が大半だ。そのため「LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶」からプレイしても八神と登場人物の関係性はそう変わらないので、前作を未プレイでもそれほど気にせずに楽しめるだろう。
もちろん「JUDGE EYES:死神の遺言」をプレイしておけば、本筋とは関係ないものの、時折挟まれるちょっとしたやりとりにニヤリとできる。大きな挫折や失意を抱えた八神が、仲間たちとどのように猟奇殺人事件へ立ち向かったのか……この胸を打つ展開も、「JUDGE EYES:死神の遺言」をプレイしてぜひ自分の目で確かめてほしい。
新たなスタイルも加わり、簡単操作でド派手なアクションを楽しめるバトル
本作のバトルは多くの「龍が如く」シリーズと同様で、攻撃のラッシュコンボ&フィニッシュブロウ、相手を投げ飛ばす、ガード、回避といった行動が各ボタンで行える。ポイントとなるのは、3つのバトルスタイルだ。多くの敵を薙ぎ払うのに最適な「円舞」、ガードも突き崩せる一対一のタイマン向け「一閃」、相手の力を利用したり武器を奪って無力化したりできる「流(ながれ)」がある。状況に応じてバトルスタイルを切り替え、相手の優位に立とう。
さまざまな行動で貯められる「EXゲージ」もあり、アイコンが光った際にボタンを押すと「EXブースト」状態となる。攻撃を受けても倒れにくくなり、バトルスタイルに応じた特殊な攻撃を繰り出すこともできるので積極的に活用しよう。
見た目にもユニークなのが、武器を持っていたり敵を特定の状態に追い込んだりした際に発動できる「EXアクション」だ。カラーコーンで殴ったり、椅子をぶん投げたりと実に多彩で、見ているこちらが思わず「これは痛そう……!」と顔を覆い隠してしまいたくなるような独特のカットインも入る。
バトル自体はシンプルなボタン操作だが、アクションが苦手な人でも物語を進められる難易度「EX EASY」も用意されており、消費してパラメーターアップなどの恩恵を受けられる「スキルポイント(Sp)」などの要素もある。ゲーム中に獲得可能であり、予約特典や別途DLCでも配信される「仙薬」を使えばバトルをさらに有利に進められるので、ストーリーを楽しみたい人も安心だ。
とくに今回、使っていて面白かったのが「流」だ。本作の八神は成り行きで不良学生や、嘘だろと言いたくなるような体格の高校生とも戦うことになる。その辺で因縁をつけてくるチンピラ相手なら心置きなくボコボコにできるが、ちょっとおイタが過ぎるとはいえ子供を殴るのは何となく申し訳ない気分になる。
そこで活躍するのが「流」のスタイルだ。相手を掴んでタイミングよくボタンを押して武器を弾き飛ばしたり、集団の中のボス格の相手を倒したりすると敵が「恐れ状態」となる。ここで「流」のEXアクションを発動すると、相手に寸止め攻撃などを行って残りの体力に関係なく即時戦闘不能にできるのだ。顔面スレスレの寸止め蹴りに高校生は、少し可哀想になるくらいビビってくれる。ちなみに、これらは筆者の個人的な感情なので、高校生だろうが誰だろうが「一閃」などでブチのめしてもまったく問題ない。
事件を解き明かし、状況を打破する「調査アクション」
メインストーリーをはじめ、探偵として依頼をこなす「サイドケース」など、事件の調査に欠かせないのが「調査アクション」だ。まず序盤に体験できたのは、探偵の基本となる「尾行」。本作は尾行相手の行動が進化しており、こちらに気付くと近づいてきたり、人混みに紛れたりしようとする。相手を見失わないように隠れつつ、ピンチのときは「ごまかしアクション」で切り抜けよう。
ターゲットが決定的な行動を起こしたら、スマホのカメラを使って撮影する「スクープ」の出番だ。ここではターゲットの表情やピントなど、提示された条件をすべて満たすような写真を撮る必要がある。周囲がスローモーションになる「スクープアイ」も駆使し、より効果的な写真を残そう。
ターゲットが逃げだしたら始まるのが「チェイス」で、ボタン入力を成功させながら追いかける。ターゲットの妨害や障害物をうまくかわし、八神の体力が尽きる前にターゲットを捕獲しよう。
さらにターゲットを探してビルへ潜入するなどのシチュエーションも。こういう場合は、周囲を「サーチモード」でチェックし、よじ登れそうな壁などを見つけて「アスレチック」で突破する。アスレチックに握力を使用している間は「グリップゲージ」が減少し、ゼロになると落下してしまう。高所からの落下はダメージを受けてしまうが、ボタン入力でうまく受け身を取れればダメージを受けずにすむ。潜入や脱出時に扉が閉まっていた場合は「鍵開け(ピッキング/暗証コード)」で解除していこう。
進みたい場所に、どうしても動かない相手がいる……といった場合は「スティール」で切り抜ける。コインを投げた音で誘導したり、視界を奪うスモークボールをぶつけたりして、こっそり背後を通り抜けよう。八神に敵意を持った相手の場合は背後から締め落とし、無力化することもできる。
メインストーリーを進めていくと、SNSから事件性の高いワードを抽出してトラブルを発見できる「バズリサーチャー」、街の人の困った声や不審な音を聞き取れる「集音器」なども利用できるようになる。ニオイを辿って事件解決を手助けしてくれる「探偵犬」も、犬好きにはたまらない要素だ。
高校生たちが抱える悩みや事件を解決していく「ユースドラマ」
先ほど触れたとおり、八神はメインストーリーで誠稜高校を調査するため、堂々と学校に入れる口実を探すことになる。ここで出会うのが、顧問の退任で廃部の危機に陥っているミステリー研究会の部長・天沢鏡子だ。八神が危うく盗撮犯として追われたのも彼女が原因で、大人顔負けの推理力で八神たちが秘密裏に行っていた調査に気付いてしまい、状況がややこしいことになった……という顛末がある。
顧問になってくれる探偵のような存在を探していた天沢と、学校の関係者になれる立場を探していた八神は見事に利害が一致。好奇心旺盛な天沢が追う謎を解き明かすために伊勢佐木異人町を駆け回る……というのが、誠稜高校の生徒と交流していく「ユースドラマ」のストーリーとなる。
このほかにもダンス部、ロボット部なども登場し、さらにボクシングジム、暴走族、スケボーグループ、ガールズバー、カジノ、eスポーツ部、写真部といったコミュニティも存在するという。メインストーリーの進行に影響はなく好きなタイミングで進められ、クリアしていくと高まる「指導力」が伸びるとさらに別のユースドラマが発生していくようだ。
これらのコミュニティではストーリーだけでなく、色々なミニゲームも楽しめる。メインストーリーの中ではダンス部へ潜入し、楽曲に合わせてタイミングよくボタンを押すミニゲームをプレイできた。最初にダンスをする八神を見た時は「一体何が起きてこんな状態になるんだ?!」と疑問だらけだったファンも多いだろうが、何故八神がダンスをすることになるのか、素人同然の八神がこんなダンスができてしまうのか、意外としっかりストーリーが存在する。ミニゲームとしても、その背景にある生徒たちとのコミュニケーションにしても、思った以上にじっくりとプレイできそうだ。
誠稜高校は下駄箱から職員室、体育館、屋上、校外まで作り込みがすさまじく、現実にあっても不思議ではないくらいだ。ちなみに教室などで暴れると窓ガラスへヒビが入るので、実際にはやれない悪行もここでなら思う存分楽しめる。
このほか、セガの懐かしの名機「マスターシステム」のゲームをはじめ、神室町と伊勢佐木異人町にはそれぞれ異なるプレイスポットが用意されていている。移動に便利なスケボーではコイン集めもでき、ミニゲーム要素のボリュームも凄まじいものとなっている。
なおPS5版はロード時間が非常に短く、イベントシーンの状況などに合わせてコントローラーからリアルな振動が伝わってくるので、ドラマへの没入感をより高めてくれそうだ。徒歩やサーチモード中に壁や人へぶつかるなどのわずかな反応から、バトルや調査アクションの衝撃まで臨場感はたっぷり。本作が気になったプレイヤーは、まず序盤の物語や調査アクションまで体感できる体験版に触れてみてほしい。そして「1日でも早くプレイしたい!」と思ったら、DLCと3日間のアーリーアクセス権がプラスされたデジタルデラックスエディションもオススメだ。