日本ファルコムが2021年9月30日に発売を予定しているPS4用ソフト「英雄伝説 黎の軌跡」の先行プレイレポートをお届けする。
目次
軌跡シリーズ最新作である「英雄伝説 黎の軌跡」では、舞台はいよいよカルバード共和国へ。“裏解決屋(スプリガン)”ヴァンを主人公に、より精細になったビジュアル、快適なゲームシステムとあらゆる要素が一新されている。
本記事では、いよいよ発売を迎える本作のゲーム序盤を一足先にプレイ。実際に触ってみて感じた点を中心に、ネタバレを避けるかたちで紹介していく。
なお、いち早くゲームの流れを確認したい人は、ゲーム冒頭部分をプレイした動画も併せてチェックしてもらえればと思う。
首都イーディスを中心に共和国の多彩な街並みを描く
本作では、軌跡シリーズにおいては1作目の「空の軌跡」から登場しているものの、国内の様子が描かれることは無かったカルバード共和国が、「黎の軌跡」でいよいよそのベールを脱ぐことになる。
物語の冒頭から登場する首都イーディスは、主人公のヴァン・アークライド(CV:小野大輔)が「アークライド解決事務所」を構える旧市街やリバーサイドに面した商業地区、他国にはなかった導力映画館と呼ばれる施設が並ぶ地区もあり、大陸最大規模の巨大都市として栄えている様子がうかがえる。
移動手段の一つとして、主要地区を結ぶ地下鉄を導入している点にも注目。また、交通網も整備されており、ヴァン自身がカスタムしたというピックアップトラックに乗って各地に赴くこともある。
今回は序盤のプレイとなったが、黒月が拠点とする煌都ラングポートなど、章によっては別の都市に赴くケースもある模様。ラングポートであれば大陸最大の東方人街があるように、都市ごとにその特色が見える点も面白い。
少し大人な主人公・ヴァンと曾祖父の遺産を探すアニエスとの出会いから始まる物語
先に舞台の紹介をしていったが、本作では“裏解決屋”として活動するヴァンを主人公として物語が展開する。その仕事内容は多岐にわたっており、作中で実際に仕事をした相手とのやり取りからも、表裏を問わずさまざまな業界の依頼をこなしていることが分かる。
序章では、アークライド解決事務所に、首都の名門校であるアラミス高等学校に通うアニエス・クローデル(CV:伊藤美来)が訪れるところから始まり、盗まれた亡き曾祖父の遺品である“導力器(オーブメント)”を探してほしいという依頼を受けたことをきっかけに、事態は思わぬ方向へと展開していく。
実はここまでの紹介だけでも物語の重要なファクターが含まれているなど、本作では軌跡シリーズファンにとって随所に物語上のネタバレにつながりかねない要素が盛り込まれている。それをここで明かすのは無粋というものなので、ぜひ実際のプレイで確かめてほしいところだ。
一方、「黎の軌跡」からプレイするという人も上記の要素は気にせずともに、純粋にヴァンたちに降りかかる事件を追いかけるだけで確実に楽しめる。ヴァンの行動には搦め手も多く、少しビターな雰囲気を味わえるのではないだろうか。
その上で一点だけ補足しておきたいのが、キャラクターのちょっと意外な一面が随所で垣間見えること。例えばヴァンのスイーツ好きは作中においても度々フィーチャーされており、普段の雰囲気とはまた違った姿を見せてくれる。
裏解決屋として“4spg”をこなしつつ、いろんな人々との交流を重ねていく
ヴァンは基本的には首都イーディスでの活動を基本としていることから、ゲームを進めることで、都市に暮らす人々との交流を重ねていく。その中でストーリーにも直接つながってくるのが、ヴァンが請け負う裏解決としての依頼“4spg(for Spriggan)”だ。
依頼は各地にある掲示板の裏に4spgの符丁があるものを受け付けるようにしており、ヴァン自身はその中から引き受けるかどうかを選択していく。本来であれば遊撃士協会などが解決するものも含まれているが、依頼主の事情から、ヴァンのような裏稼業の人間に依頼をすることに。
従来のシリーズと同様、依頼中に得られた情報に沿って行動していくことになるのだが、移動メニューのほか、自分が具体的にどの行動をしようとしているのかを一覧できるTo Doリストも用意。これがとても見やすくなっており、進行したい4spgをナビにもセットできるので、利便性にも長けている。
また、4spgの最中にはコネクトイベントと呼ばれる、特定のキャラクターとのイベントが発生する場面も。こちらはストックタイムを消費することで見ることができる、「閃の軌跡」シリーズにおける絆イベントのようなものを想像してもらえるといいだろう。
ちなみに、ゲームの進行を左右する要素として用意されている「L.G.C.アライメント」について、LAW、GRAY、CHAOSの属性値がそれぞれ上がっていくことになるが、ゲームプレイ中の選択肢やプレイヤーが取った行動によって、属性値の上がり方が変動していく。
この属性値はヴァンのパラメータが一部変化するだけでなく、ストーリー中盤以降の展開や裏解決屋の共闘勢力、敵対勢力にも変化が生まれるとのこと。プレイヤーによって遊び方に変化が生まれそうな要素なので、こちらも期待しておこう。
よりアクティブでスピーディーなバトルシステム
そして本作における一番の大きな変化は、バトルシステムの大幅な変更だ。従来の「軌跡シリーズ」で採用していたコマンド型AT (アクションタイム) バトルの要素は引き継ぎながら、そのシステムの一部として組み込まれていたフィールドアタックを発展させるかたちで新たなシステムへと昇華している。
本作では基本的にエンカウントの概念が無く、敵の姿を確認できた瞬間から○ボタンで直接攻撃を加えることができて、そのまま倒し切ることが可能。敵の反撃に対しては×ボタンで回避行動もでき、さらにR2ボタンでのチャージアタックによって敵をスタンさせると、コマンドバトルへの移行時に先制攻撃ができる。これが前作におけるフィールドアタックの役割を果たしていくわけだ。
コマンドバトルへの移行は、本作ではシャード※を展開すると表現されるのだが、その切り替えも□ボタンを押すだけ。しかも、シャードを展開中でも□ボタンを長押しするとそのままフィールドバトルに戻ることも可能で、状況に応じた幅広い選択ができるのはこのシステムならではと言えるだろう。
※本作で登場する第六世代の最新戦術オーブメントとなるXipha(ザイファ)は、霊子装片(シャード)と呼ばれるエーテルの欠片を使用者の周囲に展開し、それを制御することでさまざまな機能を発動させることができる。
とはいえ安心してほしいのは、本作では敵に近づいたタイミングで□ボタンを押せば、ほぼ従来どおりのコマンドバトルが楽しめること。フィールドバトルは確かにテクニカルな楽しさはあるが、あくまでも行動における選択肢の一つとして考えてもらえれば、必要以上に意識する必要はなさそう。特に実力差がある敵の場合はフィールドバトルで簡単に撃破できるようになると思うので、移動中のストレスを軽減する意味でも役に立ってくれそうだ。
コマンドバトルそのものも通常攻撃、戦技(クラフト)、導力魔法(アーツ)、アイテムといったコマンドを選択するという基本の流れはそのままに、装備したクオーツによって発動するシャードスキル、そしてXiphaの中央に組み込まれるAI搭載型コアクオーツ「ホロウコア」にその特性が付与されているシャードブーストを駆使することで戦闘を有利に進めることができる。
これらはいわゆるバフ効果と考えてもらって問題ないが、シリーズでおなじみのSクラフトはCP100消費のほか、シャードブーストをフルブースト状態(ブーストゲージを2つ消化)でないと発動できなくなっているため、ゲージの管理も意識する必要がある。ただし、Sクラフトを使用するとゲージの上限値が増えていくため(初期値3/最大値9)、長期戦になればなるほどSクラフトを連続で発動できるようになる。
また、パーティメンバー同士が隣接していると発生するS.C.L.M.(スクラム)も戦闘を有利に進めるためには欠かせない。S.C.L.M.を汲んだ状態では通常攻撃時にパートナーが追撃してくれるほか、クラフトやアーツの発動時にも威力が強化されるなどの恩恵がある。ただし、近作で登場していた戦術リンクとは異なり、お互いのサークルの外に出ると解除されてしまうため、位置取りもかなり重要になってくる。
一通りの要素を実際にプレイしてみると、情報量はそれなりに多いものの戦闘自体はスピーディーに展開していく。ちなみに、ボス戦などの要所では基本的にコマンドバトルからスタートするのだが、上記の要素も含めて、強敵であればあるほど、コマンドバトルの各要素が戦局を切り拓いてくれるはずだ。
なお、本作ではXiphaの導入によってオーブメントの仕組みもかなり変わっている。ここについては筆者も今回のプレイではまだ完全には理解できていないのだが、前述のホロウコアのほか、複数の導力魔法(アーツ)をインストールした「アーツドライバ」、「ホロウコア」から伸びた4本のライン(「ウェポン」「シールド」「ドライブ」「EXTRA」)へのクオーツをそれぞれセットすることになる。
クオーツそのものにアーツは存在しなくなり、ライン上に組み合わせたクオーツによって発動するシャードスキルが異なってくる。アーツドライバはホロウコアとの組み合わせでより強力なアーツを発動させることができるのだが、その上でカスタム可能なスロットもあるので、そこに必要なアーツをセットするというカスタマイズ性も用意されている。
簡単にまとめると、クオーツによる能力強化やスキルの付与と、アーツのセットが明確に異なる仕様になったということ。特に本作ではシャードスキルが戦闘中に大きく関わってくる要素となるため、オーブメントの調整は突き詰めがいがありそうだ。
もちろん装備も含めて深く考えずにセットしたいという人もいるだろう。「創の軌跡」で役に立った自動装備は本作でも用意されているので、そちらも活用してみると良いだろう。
そのほか、主人公ヴァンが「魔装鬼(グレンデル)」の姿へと変化する「グレンデル戦」は、「閃の軌跡」シリーズの騎神戦のように特定の状況下で発生する。連続攻撃を繰り出せる点が特徴で、パーティメンバーが参戦することも。ストーリーとも連動した要素なので、プレイの中でぜひチェックしてもらえればと思う。
物語は仲間が増えていくことでさまざまなつながりを見せる
ここまで紹介した要素だけでも実は「黎の軌跡」においては一部に過ぎず、序盤の数時間を遊んだだけでもストーリー、キャラクター、システムの全てが印象深く、日本ファルコムとしての今できることが全て詰め込まれたタイトルになっていると素直に感じた。
ヴァンとアニエスの出会いから始まり、そこから作中で描かれる謎を追い求めていく姿は、これまでのシリーズとはそのテイストも異なり、良い意味で地に足のついた話が展開していく。これはひとえに成熟した主人公像がもたらしているものだろう。
そうした下地の中で新たな仲間たちはもちろんのこと、依頼解決の中で出会うさまざまキャラクターたちにもぜひ注目してもらいたい。物語に大きく関わるキャラクターはもちろんのこと、ちょっとした場面で登場するキャラクターたちの中にも印象に残るキャラクターがいるはずだ。そこにこそ軌跡シリーズならではの息遣いが感じられるのではないだろうか。
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※画面は開発中のものです。
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