スクウェア・エニックスより発売されているPS4/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「Voice of Cards できそこないの巫女」。同作の開発スタッフへのメールインタビューを実施した。
目次
本作は、全てがカードで表現されたRPG「Voice of Cards」シリーズの第2弾となるタイトル。プレイヤーは、速水奨さん演じるゲームマスターのナビゲーションによりゲームを進めていく。
精霊が住まう諸島を舞台にした新たな物語が描かれる本作。今回のメールインタビューでは、前作と制作のアプローチで異なる点や、一押しポイントなどを主要スタッフ6名に聞いた。
クリエイティブディレクター:ヨコオタロウ氏
――シリーズ第2弾となる本作の一押しポイントを教えてください。
若手ライターの和田さん(ニックネームは「優しい世界」)が書いたシナリオが、思ったよりもネジくれてて面白かったですね……ヨコオの時代は終わりました。世代交代、その瞬間を目撃してほしいです。
――前作「Voice of Cards ドラゴンの島」の制作時点で、第二弾の構想はあったのでしょうか?
最初はソーシャルゲームとして想定していたので、第一弾、第二弾、というイメージは持っていませんでしたね。
――前作では、安元洋貴さんによるゲームマスターの落ち着いた声が印象的でした。今回、GM役には速水奨さんが起用されていますが、決め手はどこにあったのでしょうか?
しっとりした声が、物語にフィットしていると思いました。僕は声優さんには詳しくないので、純粋に声で選んだ結果だったのですが、なんというか、ラグジュアリー感があってとても良いゲームマスターをしていただけたと思います。
――前作と制作のアプローチで異なる点はありますか?
前作はヨコオがかなり関与したんですが、今回は現場に任せるボリュームをかなり上げました。結果的に、ヨコオが考えないようなアプローチがあったりして、とても刺激的でした。
――ファンへメッセージをお願いします。
今月の貴方の運勢→「いつも頑張ってる貴方に、今月は良い事が起きそう!身近な人に優しくするとさらに運気が上がりますよ。ラッキーカラーは黄色。新作スィーツとかも見逃さないで!」
エグゼクティブ・プロデューサー:齊藤陽介氏
――シリーズ第2弾となる本作の一押しポイントを教えてください。
前作とも違う点も沢山あります。「ドラゴンの島」を遊んだ方にも完全な初見の方にも楽しんでいただけるはずです! 第一弾で皆さんから頂いたご意見もふまえて更に色々良くなっているので、隅から隅まで遊んで頂きたいなと思っています。
――前作の反響はいかがでしたか? 本作の企画に繋がった点もありましたら教えてください。
遊んで頂いた方には高評価を頂けたのかなと。いくつか頂いたご意見の中で、ゲームテンポを速くして欲しいという点が多かったのですが、そちらも後々のパッチで解決できたこともあるので、本作でももちろんそこはきっちりおさえています!
――前作と制作のアプローチで異なる点はありますか?
アプローチ的な話ですとすごく異なる点はあまりないかもしれません。とはいえ、登場するキャラクターも違えば、ゲームシステム的に変更しているところも多々あるので、その辺りは「ドラゴンの島」を遊んだ方にも楽しんで頂けると思います。未経験の方には前作同様に「懐かしいけど新しいゲーム」として楽しんで頂ける仕上がりになっていると思います。
――ファンへメッセージをお願いします。
昨今、慌ただしいゲームが多い中、本作は自分のペースでのんびり遊べるゲームです。遊んだ感想を是非SNSなんかで色々と書いて貰えると開発一同喜びますので、是非お願いします! もちろん、ファンアートもお待ちしておりまーす!!
ミュージックディレクター:岡部啓一氏
――今回も瀬尾祥太郎氏、Oliver Good氏といった若手スタッフが音楽制作に携わっているのでしょうか?
はい、今回も岡部、瀬尾、Oliverの3人で制作しています。
――シリーズ第2弾となる本作の一押しポイントを教えてください。
前作より私(岡部)は作曲の数は減ってミュージックディレクターの役割が多くなっていますが、それによって私の要望を入れつつも、瀬尾、Oliverのカラーが明確にでて3人それぞれのテイストが融合したゲームサウンドになっていると思うので、そこを感じていただきたいです。
――前作の音楽は、アイリッシュ風の落ち着いたものが多い印象でした。本作でもそのテイストは引き継がれているのでしょうか?
今作はアイリッシュのテイストはあまり入れていません。プロジェクト側からラテンっぽさが欲しいというオーダーがあったので、前作の中世ファンタジー的な雰囲気は残しつつ、ラテンのテイストを入れています。
サンバの様な陽気なラテンではなく、タンゴの様な哀愁を帯びたテイストを前作からあるファンタジー的な要素とミックスした音楽になっています。
――前作と制作のアプローチで異なる点はありますか?
歌唱者は前作と同じ、KOCHOさん、折田さんですが、それに加えてギターの後藤くんやバイオリン島田さんの演奏も収録させていただいたので、そのテイストがさらに音楽的な深みを出していると思います。
――ファンへメッセージをお願いします。
ゲームプレイ時に、音楽も含めた世界観も楽しんで貰えると嬉しいです。
キャラクターデザイナー:藤坂公彦氏
――シリーズ第2弾となる本作の一押しポイントを教えてください。
可愛こちゃんやイケメン成分が多め!
――前作と制作のアプローチで異なる点はありますか?
前作は、デザイン面としてオーソドックスなTHE中世ファンタジーRPG! ゲーム黎明期! ドラクエ1作目! くらいなところを狙っていましたが、今作は2000年代くらいのゲームやアニメのような、もう少しキャッチーでビビッドなところを狙っています。
――登場キャラクターの中で、特にラティの服装に目を引かれました。彼女のデザインのポイントを教えていただけますか?
ヒロインのシルエット的にあまり今までみたことがないようなものにしようとした結果あんな感じになっています。シルエット重視し過ぎてファンタジー感が薄かったのですが最終的には結構気に入っています。
――フィーラと道具屋の看板娘、ブライトとヴァルツなど、前作の登場人物とよく似たキャラクターが登場するようですが、何かしらの関連性はあるのでしょうか?
物量が多くて描くのが大変だったので、スターシステム的なこともしているのですが、結果関係が出ちゃったものもあったりなかったりです。
――ファンへメッセージをお願いします。
今回二作目となりますが一作目ドラゴンの島とはまた違う印象の世界観、プレイ感になっていると思いますので、ぜひ手に取って楽しんでいただきたいです。
シナリオライター:和田侑樹氏
――シリーズ第2弾となる本作の一押しポイントを教えてください。
本作ではゲームマスター役を、速水奨さんにお願いしました。絵本の朗読のような優しいお声で、航海へ旅立つプレイヤーの皆さんに寄り添ってくれます。ごく希に、お茶目な読み間違いをすることもあったりと、その場でゲームマスターと一緒にカードゲームをしている感覚を楽しんでいただけると嬉しいです。
――本作は「Voice of Cards ドラゴンの島」の続編ではないとのことですが、松尾勇気氏による前作のシナリオから受け継いだ点や、逆に変化をつけた点はありますか?
前作「ドラゴンの島」は、愉快な主人公一行を中心としたコミカルな展開が印象的でしたが、本作はしっとりした雰囲気になるように差別化を意識しました。4組の「巫女と従者」達のエピソードもそれぞれ異なる味わいで、最後には少し考えさせられるようなお話になるよう心がけています。
――本作から登場する「心の世界」では、さまざまなフォントや言語でラティの心中が綴られていますが、このようなコンセプトにした理由を教えてください。
ヒロインであるラティの「心の世界」を描くうえで、心の中にある「感情」といった目に見えないものをカードで表現したいと考えていました。カードに書かれた文字が、次々と様々な形に変化することで、感情という不確かなものをそれとなく表現できたように感じています。
――ファンへメッセージをお願いします。
「Voice of Cards」シリーズに興味を持っていただき、ありがとうございます。ほとんどがカードで表現された不思議なゲームですが、「できそこないの巫女」では前作よりも様々なカード表現に挑戦しています。新たなゲームマスター、新たな仲間達と共に、物語を楽しんでいただけたら幸いです。
ディレクター:三村麻亜沙氏
――シリーズ第2弾となる本作の一押しポイントを教えてください。
テーマとなっている「巫女と従者」の関係性です。ゲームシステム部分では「連携スキル」というものでそれぞれの絆を表していますので、アニメーションにも注目して頂ければと思います。ゲームマスターの速水さんの優しい声で読み解かれるそれぞれの想いに収録時は感情が揺さぶられました。
――再びディレクションを担当するにあたって心境の変化はありましたか?
特に何か変化というものはありません。無事世に出すことができてホッとしております。
――前作と制作のアプローチで異なる点はありますか?
システムのベースができているので、前作があるからこそ、どういった体験をしてもらいたいか、という部分を考える必要がありました。新しい物語の個性的な部分の表現を強化することをメインとしています。
――シリーズ第2弾を制作するにあたって、ゲーム性の拡張という点と、アナログ感を残す点の折り合いはどのようにつけられたのでしょうか?
演出を細やかにしようとするとエフェクト表現が増えたり…といったことはどうしても出てきてしまうので、都度ヨコオさんや藤坂さんとも相談しています。発売となった今もずっとこれで良かったかなと悩んでいる点ですが、最後は自分の直感を信じて、ですね。
――ファンへメッセージをお願いします。
前作をやった方も、そうでない方も、興味を持ってくださりありがとうございます。今作の発表で、「Voice of Cardsシリーズ」の拡張パック的な面白さに気づいて頂けるのではないかと思います。どのような物語が紡がれるのか、楽しんで頂ければ幸いです。