「Dead by daylight Mobile」をレビュー。PCやコンシューマーで人気の非対称対戦型サバイバルホラーゲームがついにスマートフォンでも登場。その魅力や他機種版との違いについて紹介する。
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「Dead by daylight Mobile」は、スマートフォン向けの4vs1非対称対戦型サバイバルホラーゲーム。PCやコンシューマーでリリースされている「Dead by Daylight」のモバイル版。つまり、とうとう時間や場所を選ばず「Dead by Daylight」をプレイできるようになったというわけだ。
ただ、本作はPC/コンシューマー版とは独立したかたちになっている。運営はコンシューマー版を手掛けたBehaviour Interactiveと、NetEase Gamesとがコラボレーションするかたちで行う。基本はもちろん「Dead by Daylight」なのだが、スマートフォンという環境にあわせて様々な最適化が図られている。そこでこの記事では、本作の魅力とともに、PC/コンシューマー版との違いについて紹介したい。
ホラー映画のシチュエーションを再現!命をかけた4vs1の鬼ごっこ
まずは、改めて「Dead by Daylight」の基本ルールを紹介しておこう。これから紹介する基本ルールの部分は、本作「Dead by daylight Mobile」部分でも変わらない部分だ。
「Dead by Daylight」はスプラッターホラーやスラッシャーホラーといったホラー映画のシチュエーションを再現したサバイバルホラーゲームだ。つまり、殺人鬼や亡霊といった存在から逃げ、生き残ることを目指す。ただホラー映画で主人公サイドとなるキャラクターのみならず、殺人鬼や亡霊といった敵サイドを担当するのもプレイヤー。生き残りを目指す4人のサバイバーVSサバイバーを狙うキラーという非対称対戦型に落とし込まれている。
サバイバー側の目的は、出口から脱出すること。そのためには指定された数の発電機を修理させなければならない。修理に必要なアクションは発電機に接近してボタンを押すだけだが、修理完了までに数十秒程度の時間がかかる。またこの時間中、不規則なタイミングでスキルチェックが発生。スキルチェックはタイミングよくボタンを押すというシンプルな内容だが、失敗するとキラーに居場所がバレてしまう。
すべての発電機が稼働させる脱出ゲートがオープン。さらに、サバイバーが残り一人になるとハッチがオープンする。脱出ゲートかハッチ、いずれかに入れば目的達成だ。
一方キラー側の目的は、4人のサバイバーを1人でも多く処刑すること。キラーはサバイバーを直接攻撃することが可能。攻撃を一発当てるとサバイバーは負傷状態となり、二発目でダウンする。ダウンしたサバイバーを担ぎ上げ、フックに吊るすと「エンティティ」が出現。一定時間経過後に処刑執行される。ちなみに「エンティティ」というのは、キラーたちを従えている魔物のような何かだ。
追われるサバイバーと追うキラー、4vs1の鬼ごっこが本作の本質。サバイバー側はまさしくホラー映画の主人公のような恐怖を味わうことができ、キラー側はターゲットを一方的に追い詰めていく、狩りのような楽しさを味わうことができる。また、慣れてきて余裕が出てくれば、サバイバー側でもキラーを挑発する楽しさが味わえるだろう。攻撃をかわしつつ障害物を使ってフェイントを仕掛け、キラーの注意を引き付ける。「鬼さんこちら…!」と鬼を翻弄する楽しさだ。こうした楽しさの基本は本作でも一切変わらない。まさにいつでも、どこでも楽しめる「Dead by Daylight」だ。
スマートフォンで変わった点!操作はタッチパネルに
基本ルールは「Dead by Daylight」と全く変わらない。その一方で、変更された点のひとつが操作だ。スマートフォンで提供される以上、当然といえば当然だが本作の操作はタッチパネルの仮想パッドによって行う。
ただ本作は、物理ゲームパッドにおける操作を単純にそのまま仮想パッドへ落とし込むようなことはしていない。たとえば、サバイバーの操作にはボタン一発で後ろを振り返れるボタンが追加されている。また、仮想パッドを上に一定時間スワイプすることで自動的に正面へ走るオートランモードにすることが可能。一方、キラー側は攻撃時のエイムアシストが用意されている。
タッチパネル操作に合わせた最適化のおかげで、操作は概ね快適だ。もちろん、人によってはしっくりこないと感じる部分もあるだろう。筆者が気になったのは、オートランの暴発。ついつい仮想パッドを上方向へ長時間スワイプしてしまい、自動的にオートランが発動してしまうのだ。ただこうした点は、操作のカスタマイズが解決してくれる。オートランの発動位置を変えることで暴発を防ぎ、快適にプレイできるようになった。
なお、最近では物理ゲームパッドに対応したスマートフォンゲームも少なくないが、本作は対応していない。やや残念に思うものの、対戦ゲームなので仕方のないところだろう。タッチパネル操作でも快適にプレイできるとはいえ、物理ゲームパッドと比べるとどうしても分が悪い。公平な対戦を実現するために、環境をタッチパネル操作に固定するというのは止むを得ない。
環境リセット!有料パッケージから基本プレイ無料へ
操作以外の面で大きな変更となるのが、有料パッケージから基本プレイ無料となったことだろう。PC版やコンシューマー版は有料パッケージとして販売されており、追加コンテンツを購入することでサバイバーやキラー、ステージを追加することができた。一方、本作は基本プレイ無料形式。サバイバーやキラーの入手方法が変更されている。使用可能なサバイバー・キラーは概ねPCやコンシューマー版と同様。だが入手状況はモバイル版のみで独立しているので、PC版やコンシューマー版で保有済みであっても、本作で改めて入手しなければならない。つまり、環境がリセットされている。
まず、サバイバーやキラーの追加は「イリデスントシャード」との交換か、課金によって行える。「イリデスントシャード」はランクアップ時の報酬で獲得可能。一方、課金については、課金アイテム「エンティティストーン」と交換する方法と、課金パックの購入という方法が用意されている。
次に、サバイバーやキラーの外見をカスタマイズできる「キャラクタースキン」の入手にはガチャが導入されている。ガチャを回すための「エンティティストーン」は、ログインボーナスや課金などで入手可能だ。
また、サバイバーやキラーの持つスキル的な能力「パーク」は、スキルツリーで獲得する形からレベルアップで獲得する形へ変更された。スマートフォン版ということで、時間をかけて育成戦略を楽しむという方向より、メインゲームをサクサク楽しむ方向が重視されたのかもしれない。
そして、サバイバーやキラーが装備できるアイテムやオファリングは「ブラッドマーケット」で購入するというかたちに。「ブラッドマーケット」は、ゲーム中の報酬として獲得できる「ブラッドポイント」と引き換えで商品の購入ができるショップ機能だ。
既存ファンもご新規さんもプレイする価値あり!世界の広がりが期待できる一作
筆者は既にPC版の「Dead by Daylight」を保有している。そんな既存ファンから見た場合、本作は、メリットとデメリットが混在した一作だろう。ただ筆者はメリットとデメリットを比較すると、メリットが圧倒的に大きいように思う。
デメリットとして、タッチパネル操作による快適性の低下や、既にパッケージ版で保有済みのキャラクターを使えないことが挙げられる。操作性に関してはすぐに慣れるとしても、使い慣れたお気に入りのキャラクターがすぐに使えないことは残念だ。
一方メリットは、スマートフォンということでこれまで以上に気軽にプレイできること。そして圧倒的に大きなメリットが、これまで以上に世界の広がりを期待できることだ。本作のような対戦ゲームにつきまとうのが、プレイヤー数減少問題。対戦ゲームはゲーム内容と同等以上に対戦相手が面白さを左右する。やはり、たくさんのプレイヤーが存在し盛り上がっている状況の方が圧倒的に楽しい。
この点本作は、スマートフォンという莫大なユーザー数を持つプラットフォームであることや、環境がリセットされ初心者も経験者も同じ状況からスタートするかたちになったことから、プレイヤー人口の大量増加が期待できる。とりわけ「Dead by Daylight」は、ゲーム実況でも人気の高いタイトル。プレイ経験はないけどゲームは知っているという人も少なくないだろう。
なので、本作は「Dead by Daylight」の世界がより広がっていく…そんな期待が持てるタイトルといえる。ゲーム性そのものは同じであっても、盛り上がりの中で味わえる楽しさは別物。そういう意味で、既存の「Dead by Daylight」を保有していたとしても本作をプレイする価値は十分すぎるほどあるといえるのではないだろうか。
一方、これまで「Dead by Daylight」に触れたことがないプレイヤーにとっては、今こそがプレイを始める最適なタイミングといえるだろう。環境がリセットされた上、PC版やコンシューマー版を経験済みのプレイヤーであっても、タッチパネル操作に慣れるまではそれなりに時間がかかる。経験者と対戦するかたちになったとしても、今なら十分善戦できるはずだ。これまで興味はあったけど手を出してなかった…という人はこの機会にぜひ、プレイしてみてほしい。