コナミデジタルエンタテインメントが2026年10月15日に発売するPS5/XBOX Series X|S/Nintendo Switch/PC(Steam/Microsoft Store)向け探索型アクションゲーム「Castlevania: Belmont's Curse」(キャッスルヴァニア ベルモンドカース)のレビューをお届けする。
本作は、日本国内においては「悪魔城ドラキュラ」のタイトルでも知られる「Castlevania」シリーズの最新作。開発は、ローグライクアクションの傑作「Dead Cells」を手掛けたEvil EmpireとMotion Twinが担当している。
「Dead Cells」には「Castlevania」とのコラボDLCが登場している。このコラボで開発チームの「Castlevania」に対する深い理解と愛情でKONAMI側が感銘を受けたことで、本編シリーズ最新作の開発を依頼することが決まったのだという。

主人公はドラキュラ殺しの一族・ベルモンド家の娘であるローズ・ベルモンド。魔物の群れに襲われたパリに父であるトレバー・ベルモンドとともに駆け付けたローズは、己の右腕を蝕む“呪い”に翻弄されながら、世界の命運を賭けた戦いに身を投じていくことになる。
筆者は過去の「Castlevania」および「悪魔城ドラキュラ」シリーズは未プレイ、「Dead Cells」はプレイ済みのアクションゲームファン。シリーズ間での比較を行うことはできないが、最新の探索型アクションゲームとして本作がどのような特徴を持っているのか、自分なりの視点で論じていければと思う。なお、レビューの執筆に際してプレイしたのはSteam版だ。
※以降ではレビューという性質上、直接的ではないものの、一部ネタバレが含まれているので、まっさらな気持ちでプレイしたい人は注意してほしい。
探索・戦闘ともに漂う“逆境感”。ソウルライク的要素を“手強さ”のため取り入れつつ、“煩わしさ”は極力排除
本作、「Castlevania: Belmont's Curse」をプレイして強く感じたのは、あらゆる要素に行き届いた“手強さ”だった。決して理不尽に高難度というわけではない。しかし、探索においても、戦闘においても、置かれた状況をしっかり見据えて対処することで、ようやく道が切り拓ける絶妙な険しさが、ゲーム全編を通した特徴と言えるだろう。
物語を通してローズの身に降り掛かる過酷な境遇を踏まえて言葉を選ぶなら、“逆境感”と呼ぶのが相応しいかもしれない。


入り組んだ複雑なフィールドを、出現する魔物たちを倒しながら徐々に踏破。ボスを倒すなどして新たに手に入れたアクションを駆使することで行動範囲が広がっていく点は、探索型アクションゲームの基本を踏襲。一連のアクションのキビキビした反応や攻撃がヒットしたときの心地よい手応えは、「Dead Cells」のノウハウが活きている印象を強く感じた。
セーブポイントを兼ねつつ、HP(体力)やMP(魔力)が全回復できる「“鏡”がある部屋」が見つかれば、ここを拠点にさらなる深い場所へと探索に向かえる。鏡が放つ青白い光は部屋の外まで漏れており、激戦を経てギリギリの体力でこの光が見えたときは安堵させられた。


「鏡の部屋」の機能を使用すると、倒した敵が復活する。また、基本となるポーション(回復アイテム)の所持数は3つと決まっており、このポーションの消費をなるべく抑えつつ新たな「鏡の部屋」を目指すことが求められる。そして、力尽きたときは最後に機能を使った「鏡の部屋」から再スタートになる。
このあたりの拠点を取り巻くゲームデザインは、「デモンズソウル」「ダークソウル」などから影響を受けた“ソウルライク”と呼ばれる作品群の特徴を色濃く継いでいると言えそうだ。一方で、力尽きたとしても道中で得た経験値を取りこぼすことはないし、装備品の入手や謎解きなどの進捗が巻き戻ることもない。
“手強い”ゲームプレイを実現する手段としてソウルライク的なデザインを部分的に取り入れてはいるものの、プレイヤーに提供したい体験に相応しい要素をしっかりと吟味し、取捨選択されていることが伺える。“手強さ”と“煩わしさ”が適切に切り分けられ、後者は極力排除されているように感じた。


初めて訪れる場所では、逃げ道を塞がれて“強制戦闘”が発生することも多い。強制戦闘では魔物の群れを全滅させるたびにより強力な群れが呼び出される流れが複数回続く。これを突破して二度目以降に同じ場所を訪れたときは配置されている敵を倒すか否かは任意となり、増援が呼び出されることもなくなる。
ボス戦も、初見で突破するのはかなり難しいものが多かった。相手の行動に対して適切なアクションで対応していかなければ、苛烈な攻撃でこちらのHPが瞬く間に尽きてしまうのだ。

このように、探索範囲を広げるには、なかなかの修羅場を掻い潜る必要がある。その上で、前述の通り経験値の概念があるため、戦いを重ねればローズはレベルアップして少しずつではあるがステータスは強化されていく。また、手に入れた武器やスペルの特性を理解し、ローズの能力をカスタマイズする“魔導器”の効果を活かすことでも戦闘は楽になる。
より強力な武器や魔導器は、戦闘以外にもシビアなアクションを駆使しなければ突破できない仕掛けの先で手に入ることが多い。この点でも、丁寧な探索と困難を突破するアクションスキルのどちらかが欠けたままでは、十分な見返りは得られない厳しさが徹底されているのだ。


その上で、フィールドの構造的に一度踏破した場所はショートカットが使えるようになる場合も多い。「鏡の部屋」を行き来すれば敵を何度も倒すことができるので、レベリングもできる。「初見時の突破には困難を伴うが、じっくり進めていけば着実に恩恵が得られる」という点で、決して「アクションが苦手な人お断り」といった仕様にはなっていない。そういう意味では“フェアな難しさ”だと言ってよいだろう。
色弱ユーザーのためのアクセシビリティや、ゲームの難易度を細かく調整するための“カスタムモード”も充実している。基本的にはカスタムモードなしでのゲームプレイを推奨したいが、シビアな移動アクションが求められる状況など、どうしても苦手な要素があるならば緩和するための項目の調整も検討してみてほしい。


なお、探索済みの任意の場所の間を一瞬でワープする“ファストトラベル”のようなシステムは基本的に存在しない(探索済みの異なるエリア間を繋ぐ“渡し守”がいて、少なからず探索のショートカットとして機能しているが、万能の手段ではない)。現代水準の快適さを求めるユーザーには賛否が別れるだろうし、「厳しいが、煩わしくはない」という前述したバランス感覚に反しているようにも感じられるかもしれない。
この点について詳しくはレビュー後半で触れるが、本作はとくに中盤以降、探索するフィールドの“観察”を重要な要素に据えており、これを際立たせるために「探索にともなう“観察”すら大きく省くことになる便利機能はないほうがよい」という判断があったのではないかと感じた。結果的に、このファストトラベルがない仕様は、彷徨う中でローズを取り巻く“逆境感”をいっそう際立たせるものになっている。
ウィップアクションで縦横無尽な攻防が可能。パリィは強力だが使わなくてもOK。多彩な立ち回りが楽しめるバトルデザイン
ボスを倒すことで、その力をタロットカードに封じる“アルカナシステム”により、基本アクションやMPを消費して使う“スペル”が充実していく本作。とりわけ、最初のボスを倒すと手に入る鞭を使った“ウィップアクション”は、このゲームのアクションの爽快感の大きな部分を占めている。


鞭を引っ掛けられるギミックがある場所では爽快な移動が可能となり、敵に引っ掛ければ瞬時に接近して近接攻撃が可能になるウィップアクションは、探索でも戦闘でも大活躍。とくに敵への接近中には無敵時間が発生する強力な攻撃をお見舞いできるので、ヒットアンドアウェイに組み込むことで縦横無尽な立ち回りが可能となって、かなり痛快だ。
タイミングよくボタンを入力すれば敵の攻撃を無効化できる“パリィ”も使えるようになる。敵に隣接して成功させればダメージも与えられてかなり強力だが、スライディングなどの回避行動を駆使すれば「パリィを使いこなさずとも十分戦える」のは、この手のテクニックが苦手な人には嬉しい仕様ではないだろうか。


筆者もパリィは無理に狙いすぎず、こちらに接触するタイミングが読みやすい遠距離攻撃を無効化する用途で使うことが多い。敵に隣接していないためダメージは与えられないが、ほかのアクションを実行している最中でも咄嗟に発動できるので、かなり助けられている。
それ以降も要所要所で新たなアクションが手に入る。いずれも探索では必須である一方、戦闘での活用は必須ではなく、このあたりの考えうる立ち回りの幅の広さは本作の美点のひとつだ。これは武器やスペル、最大3種類を同時に装備できる魔導器の組み合わせにも同様のことが言える。
武器には片手剣、槍、剣盾、グローブ、双剣などいくつかの系統が存在し、それぞれオーソドックスな性能、リーチが長く遠距離攻撃が可能、防御性能が優秀、リーチは短いが連撃が強力、クセを踏まえて適切に運用すれば強力……といった具合に、一長一短の個性がありつつも極端なものはないので、いろいろと試しやすい。


プレイヤーによって「この武器とスペルが使いやすい」、「これらの魔導器を組み合わせるのが自分のプレイスタイルには合っている」といった最適な組み合わせを試行錯誤する楽しさはありつつ、扱いやすいものを発見したからといって「これならあらゆる局面で安定」というわけには行かないのも絶妙な点。
状況に応じて「乱戦ならこちらを使おう」「遠距離攻撃が得意な敵が多いから/空を飛んでいる敵が多いから、これとこれを組み合わせよう」「いまの装備だとここの突破は難しそうだ。ほかを試してみよう」といろいろな選択に活躍の場を見出せる良好なバランスが保たれているのだ。

基本的に極めて操作性が良好な本作だが、鞭を引っ掛けるギミックがある場所での戦闘は、敵にウィップアクションによる攻撃をお見舞いしたいときでも、ギミックのほうに判定が吸われてしまう状況が多々あり、こうなると攻撃に付随した無敵時間も発生しない。無敵時間を踏まえて立ち回りたい局面ではストレスを感じた。とはいえ、ここまでに書いてきた数多くの美点を踏まえれば些細なことではある。
倒したボスの“アルカナ”たちとの会話劇はけっこう賑やか。「好感度MAX専用イベント(?)」もある
アクション面の手強さは序盤から十分に感じられる本作。一方で、探索面における手強さが本格化するのは中盤以降だ。
中盤以降のゲーム進行は、「まだ見ぬ道に沿って進んでいけばやがてストーリーが進展する」みたいな親切な誘導とは一味違うものになっていく。その根幹にあるのが、序盤からその片鱗を見せている、アルカナに出会うための“手がかり”の要素だ。

序盤ではこの手がかりをそこまで意識しなくても、まだ足を踏み入れていないフィールドへと進んでいればボス部屋にたどり着き、倒せばアルカナの能力が手に入る。しかしいつからか、それだけでは「自分がどこに向かって何をすればよいのか」が判然としなくなっていく。このように感じたら、改めて意味深に記されたアルカナの手がかりに目を通してみてほしい。きっと然るべきときに、ローズを進むべき道へと導いてくれることだろう。
文章を中心とした情報の“読み込み”が重要というのは、推理や謎解きを求められるアドベンチャーゲームであればよくある。しかし、本作のような探索型アクションゲームのメインストーリーを進める上でここまでフィーチャーされるのは、なかなか珍しいのではないだろうか?

こういう点でも、やはり本作は“手強い”。前述した「探索するフィールドの“観察”が重要」というのも、こういった中盤以降のゲーム進行があってのこと。そしてもちろん、隠し部屋を発見してローズを強化したり新たな武器や魔導器を入手するのにもこの意識は役立つ。複数回往復した場所で、不意になんらかの発見がもたらされることもあるだろう。
最初に訪れた時点では突破できないギミックがあったり、のちに重要な役割があるかもしれない場所には、マップ画面でマーカーを配置すればあとから確認しやすくなる。マーカーにはいくつかの種類があるが、必ずしも用途に最適なデザインとは限らないので、「どのマーカーをどんな用途で配置したか?」はゲーム外でメモしておいたほうがいざというときに困ったことにならないかもしれない(筆者はこれを怠ったのでだいぶ効率が悪い探索の仕方をしている)。


このあたり、ゲーム側で最適なマーカーが自動的に配置されるとか、未開封の宝箱がマップに表示されるといった仕様にすることは、決して難しくはなかったように思う。探索を効率化する方法に至るまでプレイヤーによる創意工夫に委ねたのは、魔境となったパリで何が待っているのか分からない心細さの中、あらゆる物事に注意を払わなければならないローズの心境にプレイヤーを没入させたかったのかもしれない。もしそうであれば、その試みは一定の成功を収めていると感じる。
そんな過酷な状況でありつつも、ゲームの雰囲気を賑やかに彩ってくれる存在がある。それはボスとしてローズと対峙し、倒されたあとはタロットカードに吸収されてローズにその力を貸し、時として助言をしてくれることもあるアルカナたちだ。
ドラキュラの支配から解き放たれてローズに感謝する者もいれば、ドラキュラへの忠誠心を失わずローズを惑わせる者、ドラキュラの配下でありながら利害の一致などから好意的に力を貸してくれる者など、それぞれが好き勝手にローズへと言葉を掛けるので、文字通り“賑やか”。彼らの個性がシリアスな物語に対してある意味で清涼剤となっているのがおもしろい。


それぞれのアルカナに紐付いたスペルには、“救済の道”と呼ばれる達成すべき目標が複数定められており、達成することでスペルの性能を強化できる。どのアルカナの場合も、目標のうちひとつはそのスペルを使い続けているとすぐに達成できるが、ふたつ目以降は達成できる状況が限られていたりと、少々骨が折れる。
すべての“救済の道”を達成したアルカナには「好感度MAX専用イベント(?)」のような会話が用意されており、最大に強化されるまで使い込んだスペルの性能も相まって愛着が湧いた。

本作の大部分のゲームデザイン・ゲームバランスが“逆境感”をもたらすための手強さを意図して設計されているとしたら、アルカナたちに紐付いた可笑しみや、これによって手に入る新たなアクション、“救済の道”によるスペルの強化要素は、逆境を跳ね除けるためにローズとプレイヤーに授けられた“希望の力”だ。
これらが渾然一体となることで「Castlevania: Belmont's Curse」は、過酷な戦いや注意深く行った探索には相応の見返りが与えられる、挑む価値のあるゲームプレイをもたらしてくれる。ボスの種類も、武器や魔導器を得るための試練もアイデアが多彩で、かなりのボリュームながら新たな困難に挑戦するのは終始楽しかった。

ファストトラベルもなく、宛てなく彷徨っているときは心細いし、現代のゲームらしからぬ不便さだと捉える人もいるかもしれない。しかしこの負荷があればこその没入感が確かにそこにはあり、ひとつ困難を乗り越えるたびに、「ゲームを攻略する」ことでしか得られない喜びが、強い手応えとともに感じられるはずだ。
(C)Konami Digital Entertainment
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