スクウェア・エニックスが、国内で2013年4月25日に発売を予定しているPS3/Xbox 360用ソフト「TOMB RAIDER」。今回開発者によるプレゼンテーションと日本語版ビルドをプレイする機会を得たのでそのレポートを紹介しよう。
目次
「TOMB RAIDER」とは?
ララ・クロフト最初の冒険が今、はじまる。
本作は、ハイクオリティな海外タイトルを国内で販売する専門レーベル「SQUARE ENIX EXTREME EDGES(スクウェア・エニックス エクストリームエッジ)」の最新作として発売され、嵐に巻き込まれた船が流れ着いた先、見知らぬ島を舞台にしたサバイバルアクションゲーム。
プレイヤーは「TOMB RAIDER」シリーズでお馴染みの主人公ララ・クロフトとなり、凶暴な先住民「スカベンジャー」や、本能のままに襲い来る野生動物と戦いながら、島からの脱出を目指していくこととなる。
島はいくつかのエリアに分かれており、それぞれのエリアには「ベースキャンプ」と呼ばれる拠点が存在する。ベースキャンプでは、ララ自身のスキルをアップさせたり、武器や道具をアップグレードさせることが可能だ。
スクウェア・エニックス「EXTREME EDGES」公式サイト
開発を手がける「Crystal Dynamics studio」ディレクター「Daniel Bisson」氏からのプレゼンテーション
新旧の「TOMB RAIDER」が融合した若きララの物語
今回来日のタイミングでお会いすることができたCrystal Dynamics studioのディレクター「Daniel Bisson」氏は、カナダ・モントリオール出身、以前はUBI SOFTに在籍しており、「アサシンクリード」や「レインボーシックス」などタイトル、特にプレイに関する部分を手がけたゲームディレクターだ。
今回の「TOMB RAIDER」の開発プロジェクトについては、物語などを担当するクリエイティブ・ディレクターとしてこれまでもシリーズを手掛けてきた「Noah Hughes」氏を起用している。また「TOMB RAIDER」のゲームシリーズは歴史があるタイトルということで、新旧のテイストをうまく融合することを考え、さまざまなタイトルを手がけたエンジニアやクリエイターを集めてチームを組んだとのことだ。
今までの「TOMB RAIDER」シリーズを手掛けてきたNoah氏と今回話を聞けたDaniel氏は、これまでとは違った完全に新しい「TOMB RAIDER」を生み出すために、良い意味での切磋琢磨を繰り返し、新旧の融合が成功したと話している。新生「TOMB RAIDER」を制作する上で、非常に大事にしたのが「今まで語られなかった部分をReboot(再起動)する」ことで、「なぜララ・クロフトが今までのシリーズのようにたくましく勇敢な女性になったのか」を描いており、今までのファンも十分に楽しめるようになっている。
また、Crystal Dynamics studioが持つテーマでもある登場人物とプレイヤの「シンクロナイゼーション」を実現するため、本作のララ・クロフトにはリアリティーを追求、物語やゲームプレイの中で「ララが今、その状況でどんなことを感じ、何を考えているのか?」をリアルタイムに反映させ、それをプレイヤー自身がダイレクトに感じられる(シンクロする)ことを重要視して開発している。
ガールフレンドのように、どこにでもいる21歳のリアルなデザインのララに。
ララ・クロフトのモデルデザインについては、テレビや映画に登場するヒーローのような、あまり現実にありえないプロポーションではなく、自分のガールフレンドになり得るような、親近感のわくリアルなビジュアルにこだわっている。また、彼女の「弱さ」の表現も追求しており、何が彼女を形作っていったのかをゲーム中で知ることができるようだ。新しい作品の中にも、しっかりと今までの「TOMB RAIDER」のDNAが継承されている。
本作のララは弱冠21歳で、「まだ自分が何になるべきか」をはっきりとわかっていない時期から物語が始まる。彼女の最初の冒険は、邪馬台国と卑弥呼の伝承が残る「ドラゴントライアングル」と呼ばれる日本の近海に位置する海域を目指して、仲間とともにエンデュランス号で調査に向かうところからスタートし、その後の冒険の中で歴史家、そしてトレジャーハンターとしてララがどのように成長していくかが語られる。
ゲームプレイとしてのReboot
Daniel氏は以前「プリンス オブ ペルシャ」のReboot作品ともいえる「アサシンクリード」の開発に携わっており、Rebootの際の苦労はかなり経験していると話している。また、本作はstudioに指示されて開発を始めたものではなく、Daniel氏や開発チームがもともと「TOMB RAIDER」の大ファンであり、自分たちの手で作り上げたいと集まったプロジェクトということなのだ。ちなみにDaniel氏は本作を開発するために、studioのあるアメリカ・サンフランシスコに家族とともに移住している。
本作のゲームプレイの部分で大切にしたのは、「パズルアクション(謎解き)要素」「広大なフィールドの探索」「戦闘アクションの楽しさ」であり、オープンなフィールドでプレイヤーが自由に探検・探索できる要素はかなり注力して開発している。特にコントローラでのアクションのシステムはこだわっており、ジャンプした際にそのままの軌道で落ちるのではなく、ジャンプした後もプレイヤーの望む方向に軌道修正できる調整を入れ込んでいる(ステアリングシステムと呼んでいる)。
また、本作の舞台となる無人島など自然が多い場所では、雨や雪、嵐、風や岩が転がり落ちる現象など、さまざまな自然環境が変化していくのをリアルに表現することがとても難しかったとDaniel氏は話す。
「パズルアクション(謎解き)要素」の部分でデザイナーやクリエイターが非常に大事にしたのが、現実の世界での経験から得られる「勘」や「分析力」で、この環境で何を組み合わせればこのギミックは解けるのか?といったアクションそのものをプレイヤー自身が考えてもらえるようなデザインにしている。そのパズルの要素に組み込んだのが、4つのエレメント(火・水・風・力学)である。
「戦闘アクションの楽しさ」に関しては、敵のAIやプレイヤーの動きに連動する行動、銃のエイミングなど、「レインボーシックス」や「アサシンクリード」シリーズを手がけたクリエイティブチームが中心となって開発を進めており、Daniel氏も今までの経験を生かし、かなりこだわった部分でもあるので、実際にプレイして感じて欲しいと話していた。
また、本作のテーマが「サバイバルアクション」ということで、ララだけでなく敵もサバイバルな行動を選択することが多く、「銃を向けると即座にカバーアクションをする」など、プレイヤーが選択した武器の種類によっても敵の行動は変わり、リアルな行動を心がけて基本的な設定のプログラム自体を工夫して組み込んでいる。表現が自然すぎて、プレイヤーはたぶんこれらの苦労にはほとんど気付かないで遊ぶだろうと、ちょっと残念そうだった。
フィールドも複雑で、入り組んだ大自然の中を動きまわる敵のAIも、より人間らしい自然な動きを心がけるように開発、ゲームの進行状況によっても敵の行動はだんだんと変化していき、ララの物語により敵の会話なども変わっていくのも楽しめる。
戦闘に関する自由度についても、プレイヤーが簡単にチョイスできるようなゲームデザインとなっており「音のない弓で敵を暗殺」「弓の弦で後ろから首を絞める」「弓を壁に撃って注意を引き付ける」「ランタンを弓で撃ち敵を火だるまにする」など、自由に選択できる要素を散りばめている。もちろんリスクの高い戦い方にはそれ相応の報酬が用意されているとのことだ。
プレゼンテーションの最後に、特別に編集された新しいプロモーションビデオを見せてもらった。Daniel氏はこのムービーの中ですごく大事にしたシーンとして、ロス船長がララに「お前ならできる」という言葉をかけた際、「私にはまだ無理」と落ち込みながら話す一連の会話を挙げ、彼女がクロフト家の偉大な血に悩み、そして冒険の中で徐々にその血に目覚めることが「新生ララ・クロフト」を象徴するものとなっていると明かしてくれた。
北米/欧州ではまもなく発売を迎える「TOMB RAIDER」日本語版(PS3)のビルドを一足先に体験プレイ!
Daniel氏からの熱いプレゼンテーションのあとは、さっそく現在国内での発売に向け鋭意開発中の日本語版ビルドでテストプレイを開始。遊ぶことができたのはゲームスタートからエンデュランス号の沈没、たどり着いた島での探索、そして謎の住民との戦いなど、世界観や操作方法などをひと通り学べる序盤となる。難易度はノーマル。音声は日本語が実装されていた。
ちなみに今回の体験プレイの最中もDaniel氏が付きっきりで解説をしてくれた。その際にアレコレと質問してしまい、気づいたらインタビューも兼ねてしまったので、その内容は次回の掲載でお届けする。
※本記事はPS3版のプレイレポートとなり、文中のキー配置の説明はすべてPS3版のものとなります。
謎の遺跡を目指し、ララの初めての冒険が始まる
ゲームをスタートすると、エンデュランス号で調査に向かうララが船の部屋で過ごすシーンを、まるで実写のようなクオリティーの高いムービーで見ることができる。その表情はちょっとあどけなさが残り、少し頼りなく感じる。そしていきなり海が荒れはじめ、あっという間に船には海水が流れこむ…!あまりの早い展開に分かっていてもドキドキ。襲いかかる海水から逃げられず、あわや溺れる…危機一髪のところでロス船長に救出される。
しかし船は沈没し、運良くある島に流れ着いたララだったが、助かった仲間と合流する寸前で、何者かに連れ去られる。そして目を覚ますとなんと視界が逆さまに…?布で縛られ天井から吊るされている。そしてここからプレイヤーが実際に操作することが可能になる。
とにかくこのままでは身動きが取れないので、左右に体を振って近くのたいまつから布に引火させ、めっちゃ熱い(熱いのはララ)がなんとか脱出はできた。ここで驚いたのが序盤から「まったくヒントがない」こと。実を言うとヒントは「インスティンクト」というコマンド(L2ボタン)で発動し、進むべき道の指針や干渉できるアイテムなどがわかるようになっているのだが、まずはそれを知らずにいろいろ試してみるのが良い。まさにサバイバル。
火傷やケガ、脇腹に突き刺さる鉄片など、描写はかなりリアル
よくゲームで感じる、ケガをしているのに傷口がない、転びまくっているのに汚れない、など現実との違いがほとんど見られないのがまた驚き。ちょっと痛々しいくらい。そしてそんな状況で痛がったり、挫けそうになったりするララの感情が表情やキャラの動き、カメラワークなどでプレイヤーにダイレクトに伝わる。というかいつの間にか自分がララになって冒険しているように錯覚してしまう演出も必見。
豪雨の中、先に進むララ。薄暗い洞窟の中では初めてのパズル要素のある部屋にたどり着く。ここでは積まれているタルや材木、水の流れ、たいまつ…などさまざまな要素を組み合わせないと先に進めない。使えるファクターは近づけば□や△ボタンで操作できる。どこにタルを集めるのか、どのタイミングでどこに火を付けるのか、最初はとにかくチャレンジしまくろう。ちなみに現実世界と同じく「火は水に当たれば消える」といった現象もしっかりゲーム内で表現されているので気を付けるように!
物語が進行する場所では、ところどころイベントシーンが登場。途中で出現する選択を失敗するとララが無惨に死んでいく様を見ることになる。そして、やっと洞窟をくぐり抜けて海を一望できる場所に降り立つララ。ここは、新生「TOMB RAIDER」を象徴する「ララが生まれる」イメージのシーンとなっているのでぜひ自分の目で確かめて欲しい。
さらに進むと集落や人間の気配、そして自由度の高い戦闘も初経験
途中で拾った仲間の荷物には、ビデオカメラが入っていた。その映像ではエンデュランス号の中で以前さまざまな仲間が過ごしていた映像が収録されていた。もちろんすべて日本語吹き替え。ララをはじめとした登場人物の特徴を知ることができる。アイツちょっと怪しいぜ…。
広い森に到着するとここから本格的な探索が可能になる。まずは吊られている(結構グロめの)死体を下に落として弓をゲット。矢の数には制限があるので落ちているものを拾っておこう。武器はL1ボタンで構え、R1ボタンで発射、弓はため撃ちが可能だ。また垂直な壁は×ボタンでジャンプした後、壁をもう一度蹴って少し高いところに飛び乗ることも可能。
行ける場所が一気に広がり、多少迷って本来の目標を見失ってしまう人もいるかも知れない。そんな人にはL2ボタンで発動できる「インスティンクト」がオススメ。「ヒットマン アブソリューション」のインスティンクトのように、発動中は「ララが干渉できるオブジェクト」が光り、コンパスの針の方向で進むべき道が分かる。ただし、この機能を「使わない」という選択もアリなので、自力ですべての謎を解き明かしたい人は挑戦してみよう。SELECTボタンではマップを参照できる。
ベースキャンプを探して安全に探索を。森に生息する危険な動物も…
広大なプレイフィールドには、特定の場所に「ベースキャンプ」が設置してあり、一度見つければ今後そのポイントで武器のアップグレード、スキルの習得などができる。厳しいサバイバルの中、ちょっとホッとできる場所となっている。
続いて、入手した弓で森に生息する動物を狩りに行くミッションが開始。このエリアでは軽快に駆け回る鹿を目標にするが、これまたすばしっこく、なかなか照準が定まらない。本作には鹿のほかにもオオカミなどの好戦的な動物も登場するので注意が必要だ。
そして、拾った無線に突如ロス船長の声が。ララが必至に話しかけるとやっと船長と話ができるようになる。まわりの状況に怯えながら自分を責め続けるララに、船長は落ち着いて行動するように、進み続けろと伝える。そして集落と思われる場所へと足を踏み入れていく。そしてついにララの親友でもあるサムと合流することができ、安心したララは眠りに落ちてしまう…。
目を覚ましたララは、サム(サマンサ)がいないことに気付き、探しまわる。途中トラップに足を挟まれ、オオカミの群れに襲われるので、しっかりと動きを見ながら弓で確実に一匹ずつ倒していこう。ここでも撃退に失敗すると無惨に噛み殺されてしまう。
他の仲間と合流することができたララは、いなくなったサムを捜索するため、ふた手に分かれることに。途中には「シークレット・トゥーム」と呼ばれるパズル要素の強いミッションの入口を見つけることもできる。現時点では入れないが物語が進めば挑戦できるようになり、クリアするとアップグレードなどに利用できるパーツや経験値が入手できる。まさに「トゥームレイダー(墓荒し)」らしい要素になっている。
ついにスカベンジャーと対峙、銃を手にしたララは…?
本作でのララは、その状況や本人の心境、物語の上で負ったケガなどによって歩き方や体の動きも微妙に変わる。その時々で動きのスピードも変わり、ダメージを受け続けた際の画面の演出も「ただライフゲージが減っていく」表示ではなく、感覚的に「今、ピンチ!」と分かるように工夫されている。
そして、ここでついにこの島で生活する謎の住民「スカベンジャー」と対峙する。彼らは弓だけではなく銃も持っており、統制の取れた動きで侵入者を探す。懐中電灯などの装備も揃っているようだ。見つかって襲われるララは必至の抵抗をし、敵の銃を奪い、身を守るためにスカベンジャーを撃ち殺してしまう。初めて自分の手で人を殺してしまい、 返り血を浴びながらむせび泣くララの感情表現は、プレイヤーの心を震わせる。
衝撃の出来事を乗り越えながら、それでも先に進むララ。銃を手に入れたことで敵と互角に戦えるようになる。銃弾は倒した敵やフィールド上に落ちているので見つけたら拾っておこう。また本格的に敵も攻撃してくるので、障害物を使ったカバーアクションやヘッドショットを狙うなど、TPSに近い戦略も必要となってくる。
弓や銃を使って敵を撃退する方法はさまざま、状況を見極めろ
ララは、基本一人で複数の敵と戦わなければならないことが多い。銃弾の残数に余裕があり、かつ腕に自身があれば撃ち合いで殲滅してもいいが、銃声などで敵の増援が呼ばれることもある。弓ならば音を立てずに暗殺可能だし、複数の敵の近くにわざと矢を放ち、注意を逸らして横を駆け抜けることも可能。建物はほとんど登ることができるのでとにかく何でも試して自由なスタイルで戦おう。
今回体験プレイで試したのは、一人を後ろから近づいて△ボタンで暗殺、2人の敵がある地点まで移動したらその上に吊るされているランタンを銃で撃ち、火だるまにして倒す、という方法。失敗すると銃声で一気に敵が襲いかかってくるので緊張するが…。
なんとか敵を撃退し、たどり着いた場所では怪我を追ったロス船長と再会する。ここからはDaniel氏のナビゲーションで目的地までの最短距離を進んだ。途中ピッケルを入手すれば特定の壁を登ることもできる。ピッケルを持った状態でジャンプから□ボタンで壁に張り付くことも可能だ。
船長に応急手当てを施すララ。船長に対し、軽くジョークを言えるくらい余裕ができ、表情も最初より少し、たくましく感じる。降りしきる雨のせいで身体中の泥や血も洗い流されている。そして…次に向かうのは通信機を有効に使うための「電波塔」である。
と、今回の体験プレイはここまで。ゲームをスタートし、ララを襲うさまざまな状況、島の謎がだんだんとわかってくる今後の展開が本当に見逃せない!そしてララはどんな女性に成長するのか。本編がとても楽しみである。
※本記事はPS3版のプレイレポートとなり、文中のキー配置の説明はすべてPS3版のものとなります。
スクウェア・エニックス「EXTREME EDGES」公式サイト
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