スクウェア・エニックスより2013年4月25日に発売となった「トゥームレイダー」シリーズの最新作、PS3/Xbox 360/PC「TOMB RAIDER」をより楽しむためのさまざまな薀蓄を紹介していく特別連載「History of TOMB RAIDER」。今回はシリーズの顔である主人公ララ・クロフトの人気の秘密を探っていこう。
まず、世界でのララ・クロフト人気について簡単に紹介しておこう。日本ではハリウッド制作の映画版が公開されるまでゲームファン以外にはあまり知られた存在ではなかったが、海外では1996年のシリーズ第1作目の発売直後から欧米を中心に熱狂的なファンを多数獲得。さらには人気ロックバンド・U2のコンサートツアーのイメージキャラクターとして使用されたり、有名ファッション誌で「もっともセクシーな女性」に選ばれたりと、ゲームの枠を超えた社会現象と呼べるほどの大きなムーブメントを巻き起こしたのだ。
これらの活躍を受け、2006年にはギネスブックがララを「ビデオゲームのヒロインとして、もっとも成功したキャラクター(?)」として認定。さすがに現在は全盛期ほどの熱狂はないものの、海外ではマリオやポケモンに勝るとも劣らない高い知名度を得ているのである。このララ人気の高さが、「トゥームレイダー」を人気作へと押し上げる大きな要因となった。
海外ではセクシーでアダルトなキャラクターとして認知
なぜ、ララはそれほどの人気を得ることができたのか? 最大の要因は彼女のアダルトなキャラクター設定にある。黒に近いダークブラウンの髪、太い眉と切れ長の鋭い目、さらに肌は健康的な小麦色でスタイルもグラマラスとエキゾチックなイメージを集約。特に厚めの唇は海外ではセクシーと人気が高く、ララの最大のチャームポイントとなっている。
もちろん、ただセクシーなだけではなく、単身で遺跡に乗り込み、2丁拳銃を操ってインディ・ジョーンズ顔負けの立ち回りを見せるなどのタフさとパワフルを備え、考古学を学んだ知性派でもある。美しさ、強さ、賢さを兼ね備えたヒロインだったからこそ、男性だけでなく女性からも支持されるキャラクターになりえたと言えるだろう。
また、第1作目の設定では28歳と今でいうアラサーだったのだが、この「大人の女性」という要素も人気を呼ぶ一因となった。ゲームファンならよく知っているだろうが、海外のアクションゲームの主人公はたいてい渋みのあるマッチョな大人の男で、日本のような線の細い少年や少女は敬遠されることが多い。
おそらく女性が主人公の場合でも、映画「エイリアン」シリーズのリプリーのような人生経験を積んだ大人が活躍するという形にしなければファンの支持は得られないとスタッフ陣は考えたのだろう。かくして、ゲーム史上初というべき「戦う大人のセクシーヒロイン」が誕生。その斬新なイメージで、全世界のゲーマーはもちろん一般人のハートもガッチリとつかんだのである。
いかに彼女のセクシーキャラとしての人気が高かったかを物語るのが、有名な「ヌードレイダー」と呼ばれたパッチの存在だ。「トゥーム」シリーズはPCからの移植作なのだが、海外ではララを裸で操作するためにファンが肌色のテクスチャーを貼り付けるパッチを開発。ネットで配布したところ、全世界で利用されるなど大人気となった。洋の東西を問わず、男の考えることは同じなのである。
ただ、これらの特徴は日本でも個性的と評判を呼んだものの、海外のような人気にはならなかった。最大の理由はやはりアダルトすぎたことだろう。日本でもすでに「美少女戦士セーラームーン」や「魔法騎士レイアース」など、女性が戦うアニメ・マンガが人気を集め始めてはいたが、ヒロインの年齢はたいてい10代か20代前半で、大人の女性が主人公として活躍する作品はほとんどなかった。また、外見も日本人の好みからやや外れていたと言わざるを得ない。
実際、日本では1作目のリリース時にララの顔を日本人向けに変えるという案もあったという。1作目のマニュアルや攻略本などに日本のアニメテイストのララのイラストが掲載されているが、それはこの名残と思われる。もし、ゲーム中のララの外見が変わっていたら、その後の日本での「トゥームレイダー」の人気はどうなっていたのか、なかなか興味深いところである。もしかしたら金髪碧眼で唇の薄いララの活躍が見られたかもしれない。
ちなみに、日本版では緒方恵美さん(1作目)、田中敦子さん(2~6作目)、本田貴子さん(7~9作目)といった大人の女性を演じられる声優がララの声を担当。最新作「TOMB RAIDER」では「機動戦士ガンダムUC」のマリーダや「銀魂」の月詠の声などで知られる甲斐田裕子さんが21歳のララを演じている。今回は若き日のララの冒険が描かれるとのことなので、これまでとは一味違う強さと初々しさを兼ね備えた新鮮な演技を楽しめそうだ。
ところで、7作目「レジェンド」以降の3作は、いずれも1作目と2作目の間のエピソード(8作目「アニバーサリー」は1作目のリメイク)で、最新作の「TOMB RAIDER」も1作目以前が舞台になっている。なぜ現代が舞台にならないかというと、これは邪推なのだが前述のララの年齢がネックになっているのではないかと予想される。というのもララは今年で46歳。さすがにゲームのヒロインとしては大人すぎるだろう。個人的にはオバサンになった……もとい円熟味を増したララの活躍も見てみたいところだが。
次回は歴代の「トゥームレイダー」シリーズを作品別に紹介していく。ララ・クロフトがこれまでどのような冒険をしてきたのか。各作品のストーリーはもちろん、ゲームシステムの変遷も紹介していくので3回目も乞うご期待!
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