セガより2014年1月23日に発売されたPS Vita用ソフト「うた組み575」はどのようなコンセプトで作られた作品なのか、「project 575」のプロデューサーである森本兼次郎氏に話を聞いた。

目次
  1. 「うた組み575」はユーザー参加を通した「project 575」のひとつのかたち
  2. 鎌倉を舞台に、身近な存在として描かれる小豆と抹茶
  3. 歌パズルのアイデアから生まれた、コトバアソビとリズムゲームの融合
  4. 投稿歌詞は連想ゲーム感覚で楽しめる!

「うた組み575」は、五・七・五形式の歌詞にあわせてテンポよくコトバを組み、リズムにのってコトバをうたう、リズムゲームとコトバパズルが融合した新ジャンル“うた組みアクション”。主人公の女子高校生「正岡小豆」(CV:大坪由佳)と「小林抹茶」(CV:大橋彩香)の高校生活1年間を描いた青春ストーリーとともに、新しいコトバアソビのかたちが楽しめる。

7月の発表以来、iOS向けアプリ「うた詠み575」を皮切りにさまざまなクロスメディア展開を行ってきた「project 575」。その中核を担うといっても過言ではない本作がいよいよ発売を迎えるにあたり、「project 575」のプロデューサーである森本兼次郎氏に、改めてそのコンセプトや「うた組み575」で目指したことを聞いた。

「うた組み575」はユーザー参加を通した「project 575」のひとつのかたち

――「project 575」の概要と、その中での「うた組み575」の立ち位置についてお聞かせください。

森本兼次郎氏
森本兼次郎氏

森本氏:昨年の7月に「うた詠み575」というiOSアプリを展開させていただきましたが、これの趣旨たるところが遊んでいただく方の内なる気持ち、コトバ、つぶやきといったものを“575”というかたちの文章で表現していただいて、それを我々が歌というかたちでコンテンツとして作り上げていきましょうといったものになっています。そして皆様が発信していただいたコトバを、次はゲームとして展開するということで「うた組み575」を発売するという流れを作ってきました。

元々「project 575」というのは、僕らが新しいキャラクターIP、ブランディングを作り上げていく上で座組みが必要だと考えたところからスタートしています。単純に商品を出したとしても世の中に浸透していくのには時間が必要ですので、我々がユーザーさんとともに成長させていくかたちってどんなものがあるだろうと考えていました。歌って踊るといったところは原案の段階でベースはあったので、キャラクターやキャラクターが歌う歌を浸透させていく中で、どうやったらユーザーさんに広めていけるか、そのひとつが参加していただくことだろうと。

参加していただく時に敷居の低い参加の仕方って何かないかと考えた時に、コトバで参加していただくのがわかりやすいんじゃないかと思い、その中で日本人が馴染みの深いリズム、韻である“575”をつぶやいて、それが歌になって代弁者である正岡小豆や小林抹茶が歌って踊っているという姿がわかりやすいんじゃないかと思ったところがきっかけになります。

iOSアプリのサービスは7月に開始させていただいたのですが、非常に多くの方が内なるコトバ、“575”を投稿していただいています。今回はゲームの中にも歌詞を反映させていただいているのですが、ユーザーさんが参加して盛り上げていきたいという我々の思想のひとつのかたちとして、「うた組み575」に昇華されていると考えています。

――ニコニコ動画などで活躍するアーティストの起用、作中で2人がパフォーマンスを配信する動画サイト「チャンネル575」など、インディーズのクリエイターにフォーカスした理由はあるのでしょうか?

森本氏:VOCALOID文化のようなユーザーと接点のあるキャラクター作りというものに憧れていて、本音を言うとVOCALOIDアーティストを作りたいというノリで最初の企画はスタートしていました。

そんな中、彼女たちの世界観を考えようとして思いついたのが、人には通用しない価値というものに対して、最初は理解されていないものの、その努力に共感して最後はハッピーエンドになるといった、日本の映画によくあるようなかたちがお話としてはわかりやすいのではないかということでした。

女子高生の2人の女の子というのがベースの設定としてあった上で、彼女たちが歌って踊ることに対するモチベーションをどこかに昇華させてあげないといけないと考えた時に、ニコニコ動画の「歌ってみた」「踊ってみた」の文化に行き着きました。

僕の様にテレビ世代の人間は、その文化の成り立ちや参加へのモチベーションなど、実はわかっていないことが多いのですよ。「歌ってみた」「踊ってみた」というジャンルですごくやってらっしゃる方がいますし、それでメジャーになってらっしゃる方がたくさんいるのも理解はしているのですが、なぜそれをやろうとするのか、という点ではよくわかっていない世界なんです。

それが僕らからすると、人には理解されづらい価値観のものを頑張ってやっているということになるのだろうなと。ネット世代の方々からすると割と常識だし、あまり意義は感じていないのかもしれませんが、それやることによって何かしらの意味が生まれる…というのを世界観の中に落としていけないかなと。

小豆と抹茶は「チャンネル575」という動画サイトで自分たちのパフォーマンスを見せていくことだけで満足していて、特に意義や目的を持ってやっているわけではありませんが、彼女たちが発信していくコトバによっていろんな思いを受ける人たちがいて、そこに意義を持ってなくとも何らかの意義に繋がっていくというお話であれば、プレイヤーの方々も共感できるのではないかと思いました。

そういった流れで、元々VOCALOIDアーティストの立ち位置のキャラクターを作りたかったというところと、世界観設定を考えた時にデジタル世界の中で活躍されているアーティスト、わかりやすいところで言うとVOCALOIDアーティストのつくる楽曲というのは親和性が高いだろうし、特に何も意識せずに最初からVOCALOIDアーティストの方に曲を作ってもらいたいという感じでしたね。

――VOCALOIDアーティストの中には、ゲームのための曲を一から作るという経験がないという人も多かったのではないかと思うのですが、普段のゲーム音楽の制作の流れと異なる部分はありましたか?

森本氏:確かに全て自由に作っていいというわけではないので、制作中のやり取りで苦労したという面はありましたが、お願いする時にはあまりその辺が抵抗になるとは思っていませんでした。

吉永(「うた組み575」ディレクターの吉永匠氏)が最初に歌パズルという原案を出してきて、僕と吉永の2人でいろいろと話していた時に、「本当に“575”で歌が作れるの?」と最初は訝しげに考えていたのですが、家に持ち帰って自分でピアノを弾きながら“575”の歌を作ってみると、この制限が意外と歌作りで面白いということを発見して、「これだったらアーティストさんは楽しんでやれるのではないか?」と思いました。

その後、実際にやってみると上がってきた歌詞の中には“575”になっていないものあったりはしましたが、僕らのゲームデザインには縛られても仕方ないですし、最初に我々のほうでテーマを伝えた上で作ってもらっているので、なるべくアーティストさんが伝えたいメッセージを尊重させていただきました。

――先ほどもお話された通り、「うた詠み575」、ユーザーから575を募集する「投稿575」など、ユーザー参加によるコンテンツが「project 575」では大きなポイントだったと思いますが、ユーザーの輪を広げる上で意識した点はありましたか?

森本氏:コトバというのが一番最初にあって、ゲームのバリエーションとして「うた詠み575」で作っていただいたものをそのまま「うた組み575」で使おうというところまでは確立していたのですが、実はそれ以外の手法についてはあまり考えていませんでした。

「うた詠み575」の中で毎日異なるテーマが配信されるデイリーテーマについても、「とりあえず毎日変わったテーマで詠めたほうがいいよね」と考えていただけでしたが、その後の「うた組み575」の制作で、これだけの楽曲数を入れていく上では「うた詠み575」の歌を作るというところの厚みだけではまかなえない部分もあったので、そういった部分をデイリーテーマに隠しておいて、歌詞として採用させていただきました。

「投稿575」についても同様の意図を持ってやらせていただいていますし、「うた詠み575」で撮影した写真をゲーム内の背景演出に使わせていただいたのも、実は作りながら利用の仕方を考えたものになります。

実際に採用された方のご意見などは聞いていないので、どういう反応が出るのかは僕らも未知数なところはありますが、我々としてもキャラクターIPを広げていきたいという考え方がありますので、皆様に参加していただいて、我々が提供するサービス以外で二次創作が盛り上がっていくことで、結果的に僕らの範疇を超えてひとり歩きしていく流れにも期待はしていますし、そういったところから新しいコンテンツがまた生まれていくのではないかと思っていますので、あまり隠してやるよりはオープンにやったほうが上手くいくのではないかと思います。

――それが「project 575」のキャラクター使用に関する部分(非営利・非営業目的であれば、自由に二次創作が可能)にも現れているということですね。

森本氏:今はお客さんもいろいろな価値観を持っていますし、楽しみ方も我々がメインとして推している部分ではないところに価値を見いだされる方もいらっしゃると思いますので、そのあたりをフラットな状態で与えてあげたほうが楽しめるのではないかなと。我々はたまたまiOSアプリを基点とさせていただきましたが、スタートはどこでも良いので、今後も広がり方については拘らずにやっていこうと思っています。

鎌倉を舞台に、身近な存在として描かれる小豆と抹茶

――今作では鎌倉が舞台となっていますが、そちらを選んだ理由はあるのでしょうか?

森本氏:理由のひとつとして、あまり都会っ子にしたくなかったというのがあります。頑張っている女子高生をイメージした時に、田舎風景を見せたほうが共感を得られるのではないか、こういうタイトルを好んで遊ばれるユーザーの方は都会の女の子よりは田舎の女の子のほうが好きなのじゃないかという考え方もあって、田舎の風景を出したかったんです。

ロケーションとしては我々の表立った舞台からそんなに離れてはいないものの、緑があって仏閣があって、都会の喧騒とか違う穏やかな時間が流れているところということでいくつか候補があったのですが、我々が取材に行く上で一番楽なのはやはり鎌倉なんじゃないかなと(笑)。

あと鎌倉のメジャー度というのもやはり意識しましたね。仏閣も緑もあって、かつ多くの作家さんが愛した土地で未だに文芸に準ずる方が多く住んでいるということもありました。

実は僕らも鎌倉を選んだ時にそんなに詳しかったわけではなかったのですが、どうせならリアル感を増すためにリアルなロケーションを使用させていただこうと思い、基本的には取材した全ての場所を使用しています。2人が通う鳩寺女子学園という高校についても、ちゃんとモデル校も設定しています。

あとは穏やかな時間をどう演出させようかな、というところで仏閣や緑の見える背景を多く起用させていただいています。鎌倉は海沿いと山沿いで見える風景が随分異なっていて、海側は湘南のイメージで体育会系、山側は仏閣や文学のイメージで文化系という勝手な印象を持っていますが、、今回はどちらかと言うと文芸的な方向に好まれそうなロケーションですね。それと観光地としての鎌倉というよりは日常的な風景の鎌倉を表現したかったので、素朴な風景が多く起用されています。

――小豆、抹茶というキャラクターを生み出す上で、意識した点はありましたか?

森本氏:彼女たちについては、ビジュアルが先に思い浮かびましたね。元気っ子とおとなしい子の凸凹コンビで、元気っ子は髪が短くておとなしい子は長い髪の毛かなという記号論から最初に浮かびました。

そういう点から、突発的に行動して飽きやすいというわかりやすいキャラクターとして小豆は出てきて、それをたしなめるキャラクターとして抹茶を考えました。その当時、ネット世界の文化を調べていく中で中二病という言葉を具体的にはよくわかっていなかったのですが、いろいろと調べていく内に第三の目を持っていて、毒っ気のある受け答えをする女の子って、割と可愛いんじゃないかなと(笑)。

キャラクターが2人ということにも実はこだわりがあります。原案を固めていく中で最初から人数を多く見せたほうがいいのではないかというご意見もあったのですが、アイドルとしてではなく、もっと身近な友達に近い存在として紹介していくという流れの中で、最初から人数が多いよりは2人で活動していくほうがリアリティがあるのかなという感覚でした。

3人とか4人とか人数が増えてしまうと、それぞれの関係をより綿密に考えていかなかればいけないと思うのですが、今回は1年間の流れの中で彼女たちのライフスタイルを紹介していくような歌を取り上げていく中で人数が多いとやりづらいかなと思う部分もありました。

とはいえ、世界観を盛り上げていく中でキャラクターが増えていくに越したことはないと思っていますので、アニメで登場する柚子ちゃんの構想自体は割と早い頃からあって、ゲームではなくアニメという舞台で登場してもらっています。

アニメ「GO!GO!575」に登場する与謝野柚子

――かんざきひろさんが描くキャラクターも魅力だと思いますが、かんざきさんを起用した経緯についてもお聞かせ下さい。

森本氏:この方なら、というアーティストの方は何人かいらっしゃったのですが、その中でもかんざきさんは目の透明感がすごくいいなというところがありました。2人をこの世界にいるキャラクターとしてももちろんアピールしていきたかったのですが、VOCALOIDキャラクターのようにバーチャルなアーティストという見せ方を考えた上で、この目の透明感だったらそれを表現できるのではと思いました。

最初にとりあえず話をさせていただこうと思ったのですが、忙しい方でなかなか時間がとれませんでしたね。その中で粘らせていただいて、最初に話をしてから2、3ヶ月ぐらい経ってようやくキャラクターに関する話をさせていただいて、描いていただくことになりました。

歌パズルのアイデアから生まれた、コトバアソビとリズムゲームの融合

――ユーザーにとって、セガに対するリズムゲームのイメージは年々強くなっていると思いますが、他のタイトルとの差別化を図るために「うた組み575」で意識したポイントはありますか?

森本氏:実は最初に僕らが原案として考えていたのはリズムゲームではなく、歌パズルという、パズルで歌詞を完成させていくとそれを歌うというもので、どちらかと言うとロジックパズル寄りな要素を強めて考えていました。

ただ、ゲームを作っていくフェーズの中で何回か実際にゲームを触ってもらい、フィードバックをもらう機会があるのですが、そこで歌との親和性という点でリズムゲームを求める意見が多かったんです。

僕らは歌パズルとして進めていたものの、求めるニーズの中にリズムゲームはあるのだろうなと思い、そこを上手く融合できないかなと考えて、歌って、組み上げて、リズムで叩くという右脳と左脳を使い分けるアプローチで試行錯誤を重ね、今のかたちにまとめ上げました。

――今お話に出た、右脳と左脳を使い分けるというのは、実際にプレイしてみても感じたところでした。

森本氏:歌組みの部分を組み上げていく上で難しかったのが、僕らはすでに歌を知ってしまっていて、どういうニュアンスの言葉を用意してどういう風に当てはめさせたらわかりやすいのか、冷静に判断できないという点でした。

もっとデジタルな思考として、3文字の穴あき箇所があったら、3文字だけを選ぶという感じでわかりやすくしたほうがいいのではとも思ったのですが、コトバが組み合わさってひとつのかたちになった時にニュアンスが伝わると感動が大きいというところもあって、そういった部分もなるべくかたちにできないかと思っていました。

ひとつのゲームの中でいろいろなことをやろうとすると伝え方が難しいですし、ユーザーさんもファーストステップで壁を感じてしまうとそこから先に進もうとするモチベーションが入ってこないので、「まずは歌を覚えてもらいましょう」ということで、プレイできる曲の構成をショート、ミドル、ロングの3つに分けました。

まずショートは歌を覚えてもらうために基本的には穴あき箇所を組み上げていけば満点をとれるぐらいの設計にして、その後はこういう歌だからこういう選択肢が多いよねと推察できるようにしつつ、クイックな曲だったらリズムゲーム的な遊びに寄せていって、バラードな曲だったらコトバを楽しみながら組み上げていく、というようなバリエーションを用意しています。

――体験版でプレイさせていただいた感覚だと、曲によってプレイする感覚がガラッと変わるのが印象的でした。

森本氏:その点は、リプレイをどうさせていくのかというところにも繋がっていきますね。一般的なリズムゲームですとスコアやコンプリートのようなわかりやすいリプレイへのアプローチがありますが、今作ではそのプロセスも楽しんでもらいたいというところで、歌詞の正解を探すというアプローチがあった上で、正解がわかった上で別の歌詞を入れる楽しみ方も用意しています。

例えば、ネガティブな曲に対してポジティブな歌詞を入れたりして、出来上がってみるとポジティブな曲になったりといった、仕上がった時の面白さ、幅というものは意識しましたね。

――衣装や背景などのバリエーションがどの程度あるのかも気になるところですが、個人的にオススメしたい衣装はありますか?

森本氏:実は、衣装は「うた詠み575」でも多数実装されていることから厳選して収録しています。彼女たちのスクールライフの衣装、普段着、そして萌えるコスチュームという3つのカテゴリの中で構成させていただいたのですが、考案していく中で小豆の衣装で可愛いと思ったのは“パーカー(猫耳)”ですね。

踊らせる都合上猫耳のような突起のあるもがあると支障があったりもするのですが、多少見栄えが悪くなってもと思い作ってみたら、意外と可愛いなと。これを着て極楽寺駅前で歌っている姿をPVとして撮影したのですが、それを見た時は「これを見たらみんな小豆の虜になっちゃうよ!」と思いましたね(笑)。

抹茶の方は“メイド服”ですね。こちらはゲームのお話を進めていくと手に入る衣装になっています。抹茶はもともと和風好きなキャラ設定だったので、あえて洋風なものとの融合を避けていたのですが、こうやって着てみると悪くないなと思いました。

彼女たちは日常の中で有り得そうな衣装というのが半分、パフォーマンス用の衣装が半分といった立て付けになっています。それと実は、ニコニコ動画やPixiv等で活躍されているアーティストの方がデザインした衣装もいくつか入っています。最初の学校関係の衣装は開発チームでデザインしたのですが、一部の衣装は別のプロジェクトのデザイナーに募集をかけて描いて頂いたりもしました。

――抹茶の髪留めのドクロが衣装を変えても登場しているのが、個人的に気になります(笑)。

森本氏:これは最初から頼んだわけではなかったのですが、早期の段階から設定画に出てきたので、これをキャラクターのキーポイントにしようと思いましたね。最初の時点でクマのかたちをしていたので、「これ、しゃれこべあという名前にしようよ」と思いつきで作ってしまいました(笑)。

投稿歌詞は連想ゲーム感覚で楽しめる!

――その他にアピールしたいポイントがあればお聞かせください。

森本氏:出し惜しみしていたわけではないのですが、投稿歌詞やエディットといった部分があまり表に出ていないかなという印象ですね。

投稿歌詞については、「うた詠み575」で実際にユーザーさんに投稿していただいた“575”の歌詞で楽しめるというものになっていますが、オリジナル歌詞を知った上で遊ぶと連想ゲームに近い感覚になっています。

やっていることは同じなんですが、オリジナル歌詞を知っているだけにその人がどういうアレンジの仕方をしたかを考えるというものになっています。長い間ゲームを作ってきましたが、こういう楽しみ方ができるのは斬新だなと普通に感動してしまいました。

――「うた詠み575」を展開してきたからこそ、という面もありますよね。

森本氏:「うた詠み575」を出した時点でこういう着地点もあるだろうと思っていたのですが、実際に作り上げてみると遊びとして面白いと思い、感動しました。なのでノーヒントで、この作り手のコトバを連想してくださいというゲームデザインにしています。

――1楽曲につき、どのくらいのバリエーションがあるのでしょうか?

森本氏:基本1楽曲につき、5~10パターン用意されています。全て投稿していただいた歌詞で組み上げているものもありますし、。“575”で“あるある”を歌ったもののような、1句ずつ詠んだものを我々の方で合体させたものもあります。

オリジナル歌詞、投稿歌詞を遊んでいただくにつれてポイントが貯まっていくので、キャラクターをコーディネートしたら次はエディットを楽しんでもらえればと思います。

エディットは、1つ1つ自由なコトバを入れるというものではなく、コトバパックの中からコトバを探し当てて入れることになります。あえて自由度を制限するかたちをとることで、作りあげることの楽しさを感じてほしいなと思っています。

人間って、全て自由に渡されてしまうと面倒くさいという意識が働いてしまうと思うのですが、「この歌詞の部分をこれに変えたら笑ってしまうよね」という楽しみ方が意外と合うんじゃないかなと思って、この形式にしています。

プレイをしていくと貯まったポイントで新しいコトバをどんどん追加していくことができて、例えば体の部位を表すコトバだったり、地名だったりと、カテゴリごとにパック単位で分けられたコトバが全部で800ぐらい用意されています。

エディットした内容はゲームも楽しめますし、観賞用のPVとして残すこともできますので、歌詞をアレンジした上で、ロケーションと衣装を変えてもらって、まとめ上げるという楽しみ方をやっていただきたいと思います。

――現在アニメ「GO!GO!575」も放送中ですが、その反響などを話せる範囲でお聞かせください。

森本氏:正直かなり驚いています。第1話を放送した時にTwitterでトレンド入りしていたりしたことも含めて、これは想像以上の効果があるなと思いました。

「うた詠み575」の中で多少は世界観を語っていたものの、「project 575」って、“575”そのものの遊び方というよりも、どちらかと言うとまず最初にキャラクターが興味のある人にインストールされたんじゃないかなと思っています。そして、キャラクターが入った後には知りたい欲求が出てくると思うので、世界観を情報提供するという点でアニメはすごく良かったんじゃないかなと。その上で「うた組み575」の話は、アニメと時間軸的にも繋がりをもっているので、より楽しめるのではないかと思います。

――アニメは全4回というお話ですが、その後の展開などは予定されているのでしょうか?

森本氏:アニメの放送に引き続き、声優の大坪由佳さんと大橋彩香さんに出演していただいたバラエティ番組を同じ時間枠の中でやらせていただく予定となっています。思った以上に「もっと見たい」という声をいただいているので、今後の展開に関してはいろいろと欲が出てきますよね(笑)。

――個人的にはショートアニメの形式がすごく合っているなと思いましたね。

森本氏:時間的にも最初からこれぐらいでやっていこうという話ではあったので、5分の中で僕たちが伝えたいことをうまく盛り込めるかを考えましたね。僕はこんなことをしたいと制作会社さんに考えてもらったかたちになりますが、上手くまとめていただけたんじゃないかと思います。

――最後にユーザーに向けてのメッセージをお願いします。

森本氏:まだ僕らの努力が足らないせいか、“575”という存在を聞いたこと、見たことがあるけれど、実際にコンテンツに触れられていない方は多いと思うんですよ。今回の「うた組み575」というのは小豆と抹茶による“575”という世界の中ではひとつの完結した物語を語れる存在になっていると思います。まだ触れられたことのない方には、アニメ・iOSアプリどちらの入り口でも良いのでまずは触れていただき、「うた組み575」に行きついてほしいですね。

「うた組み575」から入ってこられる方もいると思いますのが、そういった方々には「project 575」の趣旨になる「ユーザーさんと一緒にキャラクターを盛り上げていって」というところを感じていただきたいので、ぜひiOSアプリ「うた詠み575」もプレイしていただければと思います。

そして、皆様が小豆と抹茶を好いてくれればくれるほど、彼女たちの活躍の場は広がっていくのではないかと思いますので、ぜひ応援してください!

――ありがとうございました。

※画面は開発中のものです。

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