ゲーム業界の未来の活躍が期待される若手クリエイターに注目し、さまざまな「ホンネ」を語っていただく特集企画「若手のホンネ」。第2回はプラチナゲームズ・田浦貴久氏にお話を伺った。(※インタビューは3月末日に実施)

田浦貴久氏

――まずは自己紹介をお願いいたします。

プラチナゲームズには中途入社して、それ以前にも色々とやっていました。入社してからは「マッドワールド」「マックス アナーキー」「メタルギア ライジング リベンジェンス」「ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン」や、日本では未発売ですが「ザ・レジェンド・オブ・コーラ」という海外のソフト、そして「NieR:Automata」と6本ほど携わっています。

――個人的にアクションはあまり得意ではないのですが「NieR:Automata」も「メタルギア ライジング リベンジェンス」も、簡単に操作できるモードが搭載されているので「私でも十分クリアできる!」と、思い出に残ったタイトルです。

「メタルギア ライジング リベンジェンス」は難しいという声をよく聞きますけど、プラチナゲームズには難しいゲームを作ってしまう性格の人間が集まっているだけで、最初からああいう難易度にしようとは考えてないんですよ。最後の最後に「それじゃダメだ!」って理性が働いて、冷静に打開策を考え始めるんです。

――そうした冷静な判断によって、アクションが不得手なユーザーも楽しめるものに仕上がってるんですね(笑)。

そんな感じで、開発に関わらせていただいたソフトでは、プレイヤーキャラクターや敵のアクション周りなどをプランニングさせていただくことが多かったです。今回の「NieR:Automata」でも、主にプレイヤーのアクションと敵の仕様を考えて、戦いの基礎部分を作ったりしていました。

ゲーム発売直後は手ごたえを感じないし、評価も信じられない

――これまでゲーム開発に携わってきて、とくに印象に残っている出来事はありますか?

辛かったことは挙げきれなくて……言い出したら徹夜になります(笑)。まず単純に、ゲームを作るのって時間がかかりますよね。いくら時間をかけても終わらない、厳しい状況が長い間続くので、肉体的にも大変なところがあります。

それだけじゃなく、ゲームってやはり「面白い」ものじゃないですか。この「面白い」部分も、作り始めてすぐに面白くなるわけじゃありませんから、作っている最中にずっと「このままで本当に面白くなるんだろうか?」と試行錯誤して、精神的に落ち込むこともありますね。1つの作品を作るのに長い時間がかかるので、こうした時間が続くのはしんどいです。そんな時に面白いゲームが発売されて、やってみると……(苦笑)。

――「こんなに面白いゲームがある。じゃあ、自分のはどうなんだろう」といった焦りのような感覚ですか?

そうですね、やはり比べてしまいますね。「このゲームはこんなことしてるのに、ウチのはできてないじゃん」とか。

――気になるタイトルには積極的に触れるタイプですか?

もともとゲームが好きなので、趣味と仕事と両方の意味合いで、良いなと思うもの、どうなんだろうと気になるものは必ず買いますね。それで実際に触ってみて「なるほどな」と。買っている本数と比べて最後までクリアしているものは少ないんですけど、とりあえず触ってみたいと思ったら買って遊んでます。

――では、手ごたえを感じられるのはゲームの発売直後なんでしょうか?

手ごたえを感じたことが今までないんですよ。「NieR:Automata」も体験版を出した時、ありがたいことに良い評価をいただいたんですけど、信じられなかったというか。

――えっ!?

スクウェア・エニックスさんから「○本売れましたよ!」とか言われても「あ、うん……」みたいな。

――販売本数もすごいですし、これだけ「面白い!」って言われてるのに!

すごいありがたいお話なんですけど「NieR:Automata」も制作期間が長いので、感覚が麻痺してるんですよね。最初は「おおっ!」と思ったであろうものも、1ヶ月、2ヶ月と触り続けると普通になってくるので、よくわからないというか……(笑)。

――私たちはまだ製品版や体験版を含めて数ヶ月程度しか触れていませんが、開発の方は何年も触ってますからね。

仕事でもう1日の大半を触り続けているので……。

――最初に触った時は「すごい!」ってずっと言いながらプレイしていましたよ。

プレイしているところを監視カメラとかで別の部屋から見てみたいですね。それで初めて納得できると思います。会って「面白かったです!」って言われても、本当のとこは分からないじゃないですか。

――実際にプレイしているところを直接見てみたいと。いやでも、改めて言いますけど本当に面白かったですよ!

それがどう信用できないんですよね。とくに、そういった反応はスクウェア・エニックスさん経由で聞くので、そりゃスクエニさんはそう言うだろうなって(笑)。

――こんなに面白いって言ってるのに……!(笑)

――話は変わりますが「NieR:Automata」では開発に若手の方々が参加されていると聞きました。

20代のスタッフがとても多くて、中にはプラチナゲームズに入社して初めてゲームに関わるという人も何人かいました。発売してソフトが店頭に並んだのを見て感動したり、初々しいチームでしたね。意図的に若い人間だけで構成しようとしたわけではないんですけど、やはり前作「ニーア ゲシュタルト/レプリカント」が好きだという人が若い世代に多かったので、ぜひ関わってほしいなと思いました。

これは事実なので言いますけど、ヨコオさん(「NieR:Automata」ディレクター・ヨコオタロウ氏)に「前作のこういう部分が良かったから、こういうの入れましょう」とか「前作のファンのためにこんなことしましょう」って提案すると、ヨコオさんは基本的にピンとこないみたいで。決してファンを大切にしないわけではないんですが、1回やったことをやりたがらないので「それは前もやったし、別に今回はいいんじゃないの」みたいな感じなんです。

例えばゲーム中に出てくる図書館ですね。ヨコオさんからの指示で「図書館がほしい」とあったんですが、最初に用意された画像はもっと大きな図書館で、前作に出てきた図書館ではなかったんです。でも、せっかくだから前作の図書館にしましょうとこちらから提案したところ、「どちらでもいいですよ」という感じだったので、出しちゃいました。

スタッフに前作のファンがいたというのもあって、プラチナゲームズが作ったものの、「ニーアっぽい雰囲気」は随所に出せたんじゃないかなと思います。

――若手スタッフの仕事ぶりを振り返ってみていかがですか?

そんなに人数が多いチームではなかったのですが、みんなかなり頑張ってくれました。元々シームレスに繋がったマップで、一つ一つを凝縮したミニマムなアクション寄りにと考えていたんですけど、僕よりも若い背景スタッフが「せっかくならもっと動けるようにしたほうがいいんじゃないか」と提案してくれたんです。

ステージを作るときは、まずボックスのモデルなどを置いてみて、「こんな感じの進行でこんな遊びができる」みたいな大まかなエリアを作ります。それをものすごく広げて作ってくれて、これでできたら面白そうだなと進めていった結果、最後に大変な苦労をすることになったんですが……。若いからというのもあるかもしれませんけど、勢いで突っ走った部分はありましたね。

――もっと経験があれば全体を見て、加減しようとかブレーキが働いていたかもしれませんね。

若いパワーにあふれてて「ここまでは多分できるだろうけど、しんどいからこの辺にしておこう」みたいなのがあまりなくて。もうとにかく「やろう!」と要素を入れていった結果、本編以外にも色々なものが隠された作品になりました。幅広く遊べるゲームになったのは、若い力が頑張ったからだと思います。

UIやカメラ、ボタン操作から垣間見えた深いこだわり

――「NieR:Automata」で、序盤のレジスタンスキャンプで色々とアドバイスをくれる人がいますよね。その中で画面酔いについて触れているのが印象的で。私は年々酔うことが増えてきたんですが、本作はほぼデフォルトの状態でも大丈夫だったんですよ。それくらいカメラワークはかなり作り込まれているなと感じました。

カメラの数値調整は僕がやってたんですけど、やはりアクションゲームってカメラの話題がよく挙がるじゃないですか。そういうレスポンスは開発中、チーム内からもたくさん飛んでくるんです。

基本的にはある程度のところで意見を打ち切って「これでいきます!」と決めますが、今回はスクウェア・エニックスさんから「ゲームになれていない初心者の方や、前作ファンのようにあまり激しいアクションが得意ではない方にも絶対に触ってほしいので、そこは十分に注意してほしい」と言われていたんです。単純に敵との攻防の難易度だけではなく、カメラの動かし方や、右スティックが使えないプレイヤーさんのことも意識して細かく調整しました。

――それだけ意識されていたからこそ、私のようにカメラ酔いに弱いプレイヤーでも問題なく遊べたんですね。

デフォルトの状態でも頑張ったんですけど、それでもやはり人それぞれですよね。ボタンの配置もすべての要望に応えることはできないので、あとはユーザーさんに任せてしまおうと。オプション画面から操作方法のボタン割り当ても全部変えられますし、カメラもかなり細かく調整できるようにして、自由にカスタマイズしてくださいという状態にしました。それは決して調整を放棄したわけではありません。これを用意するのも手間がかかるんですよ。

――ただ「好きにしろ!」で放り出したのではなく、ユーザーが自由に選択できる土台作りに力を注がれたのはよく分かります。

文字表示やボタン表示、メニュー画面といったUIを作るプログラマーやデザイナーからは「本当にこんなことするのか」って言われましたね。でも「俺カスタム」みたいな、操作方法についてユーザー同士がやりとりしているのを見て、入れてよかったなと思いました。

普通は全部カスタマイズできるようにはしないですよね。あってもAパターン、Bパターンとか。そこを割り切って、なんならアクションを「割り当てない」という選択もできるようにしました。このあたりはヨコオさんの人柄が出ています。自由になんでもできて、その結果なんらかの不具合が起きても、それも楽しんでほしいという。もっとゲームは自由であってほしいというヨコオさんの指示のもとで色々頑張って入れました。

――あのスピーディなアクションの動きは、どのように作り上げていったんですか?

細かいものは、だいたい作っている最中に出てきますね。もともと「NieR:Automata」については、僕の中に「速く動き回れるアクションを作りたい」というざっくりした構想があったんです。それがまず顕著に出たのが、スライドしながら回避する動きですね。

まだキャラデザもできてないころに、主人公が女の子でスカートで……という情報をもらっていて、地に足を付けてスパスパいくより、ぴょんぴょん飛び跳ねるような、軽やかに踊るようなアクションが合うんじゃないかとモーションの担当者と話をして、2人で動きを作っていきました。

考えて作るのではなく、「くるっと回ってジャンプしたらコンボに緩急ができて面白そうだから、やってみよう」と実際に動いてみたりしましたね。フロアの一角で木刀を持ってブンブン振り回してました。実際のモーションアクターは女性の方にお願いしていますけど、オッサン2人がワーワー言いながら考えたモーションを、ユーザーの皆さんが性的な目で見ているのは複雑ですね(笑)。

――我々の夢が崩れていく……いえ、夢が見れれば十分です。それはともかく、データや計算だけでなく、実際に動いてみてという感じだったんですね。

最初は人形で「こんな感じの動きで」と考えていましたが、らちが明かないんで、自分で動き始めるんですよ。プラチナゲームズのオフィスには、槍っぽい長い棒とか「ベルセルク」のガッツが持っているような大剣とか、中世の武器庫みたいに色々な種類の武器が置いてあるんです。どこからこんなに集まってきたんだってラインナップの中に一本だけ「ロトの剣」が輝いてて(笑)、さすがにそれは触れなかったですけどね。

プラチナゲームズには、ゲームを作るために参考になりそうな変なオモチャもたくさんあるんですよ。海外の開発スタジオのオシャレなフロアの写真がネットに出てたりしますけど、ウチはそんなことなくて、乱雑にモノが置いてありますね。居心地はすごくいいんですが。視界に日本刀が入ると、つい持ってスパッてやりたくなります。

――2Bのスカートの中を覗いたらトロフィーが取れたのも面白かったですね。トロフィーの名前もちょっとおかしいユニークなものが多いですし、すごいタイミングですごい名前のトロフィーを出すなと思うシーンもありました。

トロフィーの文言はプランナーが考えているのもあるんですけど、ヨコオさん監修なので、最終的な責任は全部ヨコオさんにあると思います(笑)。

スカートを下から覗くと嫌がる仕草も、良い感じにモデルが仕上がってきたころに、やっぱり開発スタッフも絶対みんな下から見るんですよ。じゃあちょっと邪魔したいなという意識が働いて……元々は開発の人を驚かすために入れたんです。わざわざモーションまで発注して。

――そうなんですか!(笑)

でも、そういう目的ではなく上を見ることもあるわけじゃないですか。なので入れたら「そんなつもりじゃないのにムカついたんだけど」って意見もあって(笑)。実は結構細かい調整が入っているんです。

――覗こうとしていない人には反応しない、という感じですか?

100%ではないんですけど、そうならないように頑張っています。マップの構成上、上を見たい時に行う操作とか、何かのボタンが押されていたら反応しないとか。とにかくスカートの中を覗こうと頑張っている操作にだけ反応するようにと、そういう変なところに力を注いでいます。

――なるほど、本当に細かい部分にまでこだわっていらっしゃるんですね。

担当する人がこだわりたいと思う部分を深々と掘り下げていくので、なかなかメインストーリーの部分が実装されませんでしたね。枝葉の部分を先に作ってしまった結果、ストーリーもここまでやらないといけないよね、みたいに自ら首を絞めていってました。

外部のディレクターと行ったゲーム開発

――「NieR:Automata」は外部からヨコオさんが入られての開発でしたが、振り返ってみていかがでしたか?

今までの作り方でいえば、たくさん提案した中から「これとこれはダメだけど、これは入れてみようか」とディレクターが取捨選択してまとめていくんですけど、ヨコオさんは「これだけ考えてみたんですけど、どれがいいですか」と聞いたら「全部入れたらいいんじゃない」っていう。

1つだけ持っていっても、それを捨てないんですよ。良ければそのまま入れるし、悪ければ「こうしたらこうなるから、これで入れてみたら」と、そんなつもりじゃないのに入れなきゃいけないことになったりして。中盤以降はヨコオさんがチェックする前に入れておいて「こんな感じになったので見ておいてください」とする流れになりました。

――プラチナゲームズさんにも個性的なクリエイターが数多くいらっしゃいますが、比べてみてどうですか?

プラチナゲームズのクリエイターもそれぞれ違うんですけど、やはり同じ環境で育ってきている人たちなので似たような部分はあるんですよ。でも異なる空気で育ってきた方が入ると、作り方ややり方が全然違っていて。

――全くの外部の方とのやり取りは、実際やってみないと分からないという部分も大きいですよね。今回はすごく良い方向に働いたと。

本当に良かったです。またヨコオさんと仕事を一緒にしたいと思いますし、それ以外の他の方とも一緒にやってみたいなと、今までなかった思いが芽生えました。ヨコオさんは外からウチのフロアに来てくれましたけど、あんなふうに別のフロアに行って仕事するのも楽しそうだなって思いました。会社によって椅子も違えば机も違うし、それだけでもちょっと面白いですよね。

――「NieR:Automata」関連では海外にも随分行かれましたね。これまで海外に行くことはあったんですか?

ありがたいことに今年もプロモーションでヨーロッパ4ヶ国を回っていますが、今まではなかったですね。過去に「メタルギア ライジング リベンジェンス」を作っていた時にE3に行ったことはありましたが、それは展示してくれているのを見に行かせてもらったという感じで、インタビューなどの仕事で行くのは今回が初めてでした。

――海外での注目度も高い作品ですから、インタビューなどの回数も多かったのでしょうね。

通訳さんもいるので気を張っていて、問いかけにどう答えようかということばかり頭を巡っていて、あまり他の記憶がないんですよね。普通はプロデューサーやディレクターが答えて終わりなんですけど、ゲームの深い部分まで話せる人ということと、ヨコオさんからの若手の人の話をメディアに聞いてほしいというリクエストで、プラチナゲームズから僕が出向くことになったと聞いています。

海外のほうがプラチナゲームズという会社に反応してくれる印象がありました。僕自身も、日本ではまだプラチナゲームズの知名度が高いイメージはなくて、海外で「メタルギア ライジング リベンジェンス」とか「ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン」をプレイしましたと言ってくれるメディアさんがたくさんいて感動しましたね。

――今回のインタビューの主旨とも重なりますが、ヨコオさんは若手に注目してほしいとかなり仰ってますね。

本当のところはインタビュー受けるのが嫌いだから、その防御役として盾にされたらしいんですけど、どうなんですかね(笑)。

――そういえば、GamerでもE3でお話を伺った際「ニーアらしさを加えた部分はどこですか?」という質問をしたんですが、その際に「イクラ弾です」と答えられていましたね。

まずスピーディーなアクションを試して、気持ちいいことは気持ちいいんですが「ニーアである必要性はないよな」と感じました。「どうしたらニーアっぽくなるかな?」と考えていた時にイクラ弾を入れたら「あっ、ニーアになった」って。シューティング要素も、あの融合がニーアっぽい、発明っぽい感じがして、ヨコオさんはすごいなと思いましたね。

――ハッキングなど、突然操作が変わって面食らう部分もありましたけど、ああいう色々なものがあってこそ「ニーアっぽい」ですね。ヨコオさんご自身が「前作で不評だったから入れた」というサウンドノベル然り。

不評だったからと言ってますけど、横で見ているとヨコオさんは本当に好きなものを入れているだけという気がします。自分が好きだからこういうものを入れて驚かせたい、楽しませたいというのが根底にあるんじゃないかなと思います。

――いちプレイヤーとしては、クリエイターの皆さんが「これは面白い!」と思うものを作ってくださっているのがありがたいです。

自分に正直というか、チームから反対が出ても押し切れる思いとか、根底に考えてきた確固たるものを持ってディレクターとして立っていらっしゃいますよね。そういう部分は勉強になりましたし、すごい人だなと思って見ています。メディアさんの前では結構おちゃらけてますけど。

――他社さんですけど、アトラスさんのインタビューを受けた時の動画もすごかったですね。あのプレゼンもちょうどこの部屋で行われて、田浦さんが今まさに座っている場所にヨコオさんがいらっしゃったそうです。

一歩近づけたような気がします(笑)。

――これは、次に何かあったら田浦さんがコメントを求められるかもしれませんね(笑)。

僕はあんな面白いこと言えませんから!

――本当にヨコオさんってすごいですよね、あの独特の返し方というか、空気感は。だからこそ私も含め根強いファンがいるんだなと思います。

そういう環境に慣れてしまっているので、ヨコオさんのいない今回のインタビューが不安でしょうがないです。全然面白いこと言えてないのに大丈夫かな(笑)。

――大丈夫です、十分面白いです!

きっかけは「ヴァルキリープロファイル」

――ゲーム業界を目指そうとしたきっかけについてお聞かせください。

単純にゲームが好きで、ずっとゲームに触れていたので、僕自身としては自然な流れできました。今31歳なんですが、物心ついた時から家にファミコンがあって……それ以外の選択肢もとくになくて。

――もともとゲームが好きで、ゲームを作るという方向へ行かれたんですね。

スーパーファミコンの「RPGツクール」「RPGツクール2」(アスキー/現KADOKAWA)というソフトを友達が持っていて、自作のRPGを作っていたんですよ。それを借りてプレイしてみたら「ゲームを作っているほうが面白いな」と思って。用意されたテキストを読むだけじゃなくて、こういうものを用意して友達に読んでもらおうとずっとやってきた中で、作る側にすごく興味がわきました。

決め手になったのはエニックスさん(現スクウェア・エニックス)の「ヴァルキリープロファイル」です。かなり衝撃を受けて、「こういうゲームを作りたい、関わってみたい」とゲーム業界を目指しました。

――アプリの「VALKYRIE ANATOMIA -THE ORIGIN-」と「NieR:Automata」のコラボもありましたね。

ムービーで、レナスと2Bが並んでるのは感慨深いものがありましたね。

――随分前のゲームとまさに今、こうして縁があるというのは不思議な巡りあわせですね。私も「ヴァルキリープロファイル」はかなりやり込みましたが、未だに色あせない魅力のあるタイトルだと思います。

何種類かエンディグがありますけど、選択肢ではなく自分のプレイで変わっていくんですよね。小話が重厚な世界観を築いているとか、横スクロールの2Dなのに奥行きの感じる作りとか、一つ一つが細かく調整されていて、芸術みたいな感じが今でもすごく印象に残っています。

――シナリオ運びやビジュアル、音楽、どれもすばらしかったですね。ゲームも「総合芸術」と言われることもありますが、まさにそれを体現したような作品でした。

僕は今でこそアクションばかり作っていますけど、RPGっ子だったんですよ。子供のころはほぼRPGしかやっていなくて。アクションって息つく間があまりないじゃないですか。何も考えずソファでくつろぎながらゆったりプレイしていたいタイプなんですけど、アクションゲームになるとグッと前のめりになっちゃうので、疲れて長時間できないんですよ。

今もすごく早くプレイしてクリアする人がいらっしゃいますけど、ああいうのはできませんね。「ゲームは一日一時間」みたいな、プレイして休憩して、っていうタイプです。

なのでずっとRPGばかり遊んでいたんですが、まだちゃんとしたRPGを作れたことがないので、チャレンジしてみたいですね。

――アクションゲームも面白いですけど、すごく集中力がいりますからね。ちなみに「ヴァルキリープロファイル」以外に思い出深いタイトルはありますか?

色々なところで言っているのは、プレイステーション用ソフトの「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲(以下、月下の夜想曲)」(KONAMI)です。「悪魔城ドラキュラ」シリーズが好きで、とくに「月下の夜想曲」は今でもゲームアーカイブスでPSPやPS Vitaにダウンロードしてプレイしています。

横スクルロールのアクションゲームが大好きなんですよ。「月下の夜想曲」はすべてのステージが繋がっているオープンなゲームになっていて、どこに行くにも自由という探索要素もすごく楽しくて。結構広いんですけど、頑張ってクリアして区切りのボスを倒したと思ったら、そのフィールドが全部反転して逆向きでも遊べるんですよ。考えるのに手間はかかると思うんですけど、グラフィックのコストとしては1ステージで2度楽しめるという、その発想が印象に残っていますね。今でも学ばされる部分が多いです。

その「悪魔城ドラキュラ」シリーズの五十嵐孝司さんがキックスターターで新作を作ろうとしているので、それが今この世で一番楽しみにしているゲームです。

――なるほど、そうなんですね。

あ、あと「ニーア レプリカント」って書いておいてください。「一番好きです(棒)」って。

――「一番好きですと書いておいてください(棒)」と…。

あと「『ドラゴンクエストXI』超楽しみです(棒)」と。

――はい。

遠回しにあの2人をフォローしておけばいいかなって(笑)。でも、半分は本心ですよ。

――ものすごく取って付けたような感じそのままにしておきます!

「ゲーム作りたい、やりたい」という熱意、欲求が大事

――現在のゲーム業界はスマートフォン向けゲームの台頭、いわゆる「AAAタイトル」と呼ばれるコストをかけたコンシューマとの二極化などと言われ、昔と比べて大きく状況が変化しました。一人の若手の視点として、今のゲーム業界をどう捉えていらっしゃいますか?

二極化しているようなイメージもありますけど、これまでより気軽にゲームに触れられるようになったなと思います。どのハードでも同じようなソフトが出ていたり、スマートフォンなら無料でダウンロードできたり、Steamであれば家でダウンロードしたゲームを会社のPCでも遊べたり、Nintendo Switchであれば家のテレビでも外にも持ち運んでも遊べるし、場所を選ばずに色々なところで気軽にゲームを遊べる環境が構築されて、触れやすくなっていいなという感覚はあります。

そうした二極化しているという中でも、個人的に日本のゲームはその真ん中のような気がするんです。ものすごいお金と人をかけて作られた海外のゲームと、Steamで売られているようなインディー系と呼ばれるようなゲームの間のような、真ん中なのに空いている、隙間のような気がしています。最近は日本からも色々なゲームが発売されていますから、ここから盛り上げて、さらに選択肢の幅が増えていけばいいなと感じています。

――先ほども少しお話に出ましたが、今後の展望としてはがっちりしたRPGを作りたいという感じですか?

そうですね。ただ作ったことないジャンルは何でも作りたいと思っています。パズルゲームとかレースゲームとか。「これしか作りたくない!」っていうのはなくて、色々なことをやってみたい気持ちが強いです。走り書きレベルのものもありますけど、色々とストックは貯めていているので、何かしらそこから形にできたらいいなと考えています。

今回「NieR:Automata」でプラチナゲームズに外部からヨコオさんをお招きして一緒に作るという、やったことのないことをやって、それが僕だけじゃなくて他のスタッフにも良い刺激になって面白い発見もありました。普段やらないことをやってみるのはすごく良いですね。先ほど言った外からの空気が新鮮だったというのはそういうことで、それが良い方向に働いたなと思います。ヨコオさんの人柄が良かったのもありますし、辛い時もみんなで楽しく笑いながら作っていたなと。

長い期間のかかるゲーム制作を同じ席、同じフロアでやっていると、考え方が一辺倒になりがちですが、少しでも外から風が吹いてくると違うことができたり、モチベーションが高まったり、考え方も変わって新しいものが生み出せるような感じがします。

――これからゲーム業界を目指す方へのアドバイスをいただきたいのですが、田浦さんは社内の年齢層的にはどのくらいなんでしょうか?

真ん中の下くらいですね。20代の子が多くて、ありがたいことに新卒の子も毎年入ってくれるので。今年もまた新しい子が入ってくれるので楽しみです。

――プラチナゲームズさんは入って間もない方が公式ホームページでその仕事ぶりを書かれるなど、新人さんにもかなりビジョンが明確な方が多いような印象を受けました。

「入ってこんなことがやりたい!」という熱意や情熱、ゲームを作りたいという熱い気持ち、漠然としていてもいいので、やりたいという想いは重要視していますね。これからの方なのでテクニックがないのは当たり前ですから、それを気持ちでカバーする、向上心のある人たちを強く求めています。

同じプランナーに若手の子がいるんですけど、「NieR:Automata」ではすごく頑張ってくれたんですよ。ずっと黙々と作業して、その中で考えた企画書を持っていって、ダメ出しされて帰ってきて。最近は作ったものが世に出て、より元気をもらっているようですね。

テクニックはそんなにないんですけど、もっと良くしたい、もっとゲームを作りたいという気持ちがあると、他の同期よりも頭一つ抜けていきますね。作りたい、やりたいという欲求が大事なんじゃないかなと思います。ゲームも普通にプレイして「面白かった!」だけじゃなくて「自分だったらこうする」という考えを持つ人は向いてるんじゃないでしょうか。

――これからゲーム業界を目指す上で、今のうちにやっておいたほうがいいことはありますか?

お小遣いもそんなにない中で大変でしょうけど、ゲームはプレイしたほうがいいですし、ゲームを作りたいのであれば、ゲームを好きでいてほしいですし、ゲームのことを知っていてほしいなと思います。

ゲーム以外の部分にも興味をもって、映画を見たり漫画を読んだり、音楽を聞いたりするといいですね。世にあるものは、すべてゲーム制作に還元できると思うんです。最低限の職種の勉強はしてもらいつつ、そうしたところから拾ってきたアイデアや感性を全部、良いゲームにしてやるぞという気持ちでいればいいんじゃないでしょうか。

――ありがとうございました。

NieR:Automata

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  • 発売日:2017年2月23日
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※画面は開発中のものです。

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