五月晴れが続くゴールデンウィーク真っ只中の5月6日、「逆転裁判」シリーズ15周年を記念したオーケストラコンサートが、東京文化会館 大ホールにて行われた。ここでは昼公演の模様をレポートする。
実に9年ぶりの開催となる「逆転裁判」のオーケストラコンサート。晴天に恵まれたこの日、東京文化会館には多くの「逆転」ファンが足を運んでいた。
指揮をとるのは「モンスターハンター」などのゲームオーケストラコンサートでもおなじみの栗田博文氏、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団だ。ゲストには、成歩堂龍一役の声優・近藤孝行さん、御剣怜侍役の竹本英史さん、「逆転」シリーズプロデューサーの江城元秀氏、「大逆転裁判」メインコンポーザーの北川保昌氏が招かれた。
成歩堂と御剣の“冒頭弁論”とも言うべき影ナレーションで、早くも観客席が笑いに包まれる中、コンサートが幕を開ける。1曲目は「成歩堂龍一 ~ 異議あり!」だ。この曲を聞くと「逆転裁判」のイメージが呼び起こされる人も多いのではないだろうか。今回は「逆転裁判2」「逆転裁判6」の要素も盛り込んだアレンジで披露された。
続いては、初演奏となる「逆転裁判5 法廷組曲」。組曲らしく重厚な楽曲、軽やかな音色が交差する中、栗田氏が指揮台をドンと踏む。するとオーケストラメンバーが「待った!」「そこだ!」「くらえ!」と声を発する。そして最後には栗田氏が客席を向いて「異議あり!」。よもやの演出に、観客も拍手喝采であった。
前半の最後を飾ったのは、「逆転検事」の楽曲たちだ。シリーズの中でもまた一味違う、サックスをふんだんに使ったジャジーなテイストの「逆転検事 巡り会い組曲」、荘厳な曲調で栗田氏の指揮にも力が入る「逆転検事組曲 華麗なる軌跡」と続いた。
出色の出来だったゲーム映像と演奏のシンクロ
コンサートの後半は、「大逆転裁判組曲」からスタート。19世紀末が舞台である「大逆転裁判」の楽曲は、楽器の使い方が変わると北川氏はコメントしていたが、その言葉のとおり、アコーディオンがオーケストラに参加。制作に2ヶ月もの時間を要したという共同推理シーンの楽曲をはじめ、「逆転」シリーズの他作品とは毛色の異なる、この作品らしいレトロな音色が奏でられた。
オーケストラでは、キャラクターに焦点を当てた楽曲も披露。御剣の堂々とした姿が目に浮かぶ「大いなる復活 ~ 御剣怜侍」、やさしい音色に癒やされる「綾里真宵 ~ 逆転姉妹のテーマ」が演奏された。前者は管楽器、後者は弦楽器がメインとなる、まったく異なる曲調を観客も楽しんだ。
ゲームミュージックのコンサートでは、オーケストラのバックにインゲーム映像が配置されることが多く、本公演もその例に漏れなかった。しかし、その映像と演奏のシナジーが一際強く感じられたのは、アドベンチャーゲームである「逆転」シリーズならではのことだろう。
最後に演奏された「逆転裁判1~3 法廷組曲」では、成歩堂龍一の弁論で一気に真実が明らかになるシーンが使われていた。本シリーズだからこそ味わえるあのカタルシスを、この組曲で思い起こした人も多かったのではないだろうか。
新作の楽曲も披露されたアンコール、最後の曲は……!?
大きな拍手で迎えられた栗田氏が再び指揮台に立つと、奏でられたのは「続・大逆転裁判組曲」だ。
公演中のMCパートで、タップダンスの音を使った「大逆転裁判2」楽曲収録の様子が映像で紹介されたのだが、こちらの楽曲が早くも使われた組曲だ。各登場人物を表現するような曲も披露され、彩り豊かな音色で観客を楽しませた。
そしてコンサートのトリを務めたのは、みんな大好き「大江戸戦士トノサマン」だ。観客の予想を超えた(?)選曲に、曲が始まるや否や拍手が巻き起こったほど。最後の最後まで「逆転」テイスト満載のコンサートで、客席を魅了した。
曲目(昼公演)
M1 成歩堂 龍一 ~ 異議あり!
M2 逆転裁判5 法廷組曲 <※昼公演のみ>
M3 逆転検事 巡り会い組曲(キャラメドレー)
M4 逆転検事組曲 華麗なる軌跡
M5 大逆転裁判組曲
M6 大いなる復活 ~ 御剣 怜侍
M7 綾里真宵 ~ 逆転姉妹のテーマ <※昼公演のみ>
M8 逆転裁判1~3 法廷組曲 <※昼公演のみ>
EC1 続・大逆転裁判組曲 大逆転
EC2 大江戸戦士トノサマン