ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2017年9月14日に発売するPlayStation4(以下PS4)用ソフトウェア「アンチャーテッド 古代神の秘宝」のプレイレポートをお届けする。
「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」から約1年4ヶ月という、これまでのシリーズの中でも比較的短いスパンで登場する「アンチャーテッド 古代神の秘宝」。本作は、第2作目に当たる「アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団」で活躍した女性トレジャー・ハンターのクロエ・フレイザーを主役に据えたスピンオフ作品だ。
位置付けとしては「海賊王と最後の秘宝」の追加エピソードとなっており、同作品のシーズンパス「トリプルパック」所有者は追加購入をすることなく楽しめる。こう聞くと“ちょっとしたおまけ”程度と思われるかもしれないが、実際はまったく違う。シリーズの最新作として、充分すぎるほどのクオリティとボリュームを誇る作品に仕上がっているのだ。今回、“クロエの物語”を先行してプレイする機会が得られたので、その魅力を紹介していこうと思う。
クロエとナディーン、異色のコンビによる新たな冒険
冒頭で触れたとおり、本作の主人公となるのはクロエだ。これまではネイサン・ドレイク(ネイト)の冒険を徹底的に描いてきた作品であり、主人公が変わるだけで違った印象を受ける人も多いだろう。
ストーリーで描かれるのは「海賊王と最後の秘宝」のエンディングから6~12か月後。クロエがインド南端部に存在すると言われる“ガネーシャの牙”という秘宝を探す物語だ。その道中では、クロエの何気ない会話や仕草も楽しめる。元々人気の高いキャラクターだったが、その人気とは裏腹に人物像が描かれる機会は少なかった。以前は知ることのなかった魅力に触れることもあるだろう。
そしてもう1人、「海賊王と最後の秘宝」ではネイトの敵対する民間軍事会社“ショアライン”のボスとして登場したナディーン・ロスも登場する。しかも今回はクロエの仲間、冒険のパートナーとしてだ。クロエとナディーンという意外性のあるコンビがどんな冒険をするのか、そしてどんな会話をするのかも、本作の見所だ。
もちろん、ただ未開の地を探検するだけでなく、敵である民兵団も登場する。民兵団はクロエたちと同じく“ガネーシャの牙”を探しており、行く先々で戦闘を繰り広げる。リーダー格のアサーブは知的な印象を受けるが、ときに狂気を孕んだセリフを使うことも。ナディーンとは知り合いのようで、その関係性もストーリーに関わってくるだろう。
広大なフィールドはプレイの幅も広げる
操作するキャラクターがネイトからクロエに変わることで、アクションに変化はあるのかも気になるところだが、結論から言えば本編と遜色ないアクションを楽しめる。道がなければ崖をよじ登り、敵がいれば影に潜んでステルス行動も取れる。もし見つかれば緊張感のある銃撃戦へと突入する。もちろん「アンチャーテッド」には欠かせない謎解きの数々も健在だ。
オリジナルのアクションといえば、鍵を強引にこじ開けるピッキングがある。左スティックをゆっくり回して錠を開けていくのだが、ときには敵兵の目をかいくぐりながら行う、スリルのある展開に発展することも。またストーリー上絶対に必要ではないが、強力な武器を収納したアイテムボックスを開けるときにも同じアクションが行われる。既存のシリーズでは終盤にならないと手に入らなかった武器が、比較的序盤のうちにあっさりと手に入ることもある。ゲームプレイの幅を持たせるという意味でもぜひ探してほしいところ。
戦闘ではナディーンとのコンビネーションも見どころのひとつ。共に戦ってくれるだけでなく、そのときに行われるセリフの応酬も「アンチャーテッド」らしさといえるだろう。また難解なパズルに手こずっていると、何気なくヒントを出してくれたり、仕掛けがなかなか見つからないときには一緒に探してくれたり…。どこかサバサバとした印象を受けるナディーンだが、冒険の頼れる相棒であることは間違いない。
そして本作におけるフィールドの広さにも触れておきたい。先述のとおりインド南端部が物語の主な舞台となるのだが、その地形はかなり広大。オープンワールド…と言うのはさすがにオーバーだが、閉塞感とは無縁の冒険が楽しめる。
そんな広大なフィールドの中にはさまざまな遺跡があり、ひとつひとつを探索することになる。このときプレイヤーは、どこから探索してもいいという自由な空間に身を置くこととなる。どこから手を付ければいいか分からず途方に暮れる人もいそうだが、そこは次に行くべきポイントを“なんとなく”指し示してくれる。あくまでも“なんとなく”なので、それを「指図されている」とストレスに感じる人もいないだろう。
今までになく自由な楽しみ方ができる作品だが、思わぬところに敵兵が居座っているケースもあるので、そこだけは注意が必要だ。せっかくやり過ごせるのに車で突っ込んでしまい、激しい銃撃戦に突入するケースもあった。逆に敵の居場所を事前に察知できれば、ステルス行動で全員を倒すことだって容易い。フィールドの広さを活かして崖下から奇襲を仕掛けたり、プレイヤーごとにまったく違った攻略法があるだろう。
これは紛れもなく「アンチャーテッド」の最新作だ
本作を「スピンオフだから」という理由で購入しない考えの人もいるかもしれないが、それはとてももったいない判断だ。グラフィックやサウンドがPS4でも最高峰であることは言うに及ばず、ボリュームという観点でも充分すぎる内容になっている。加えてトレジャーハントなど、お約束とも言える要素も外していない。「アンチャーテッド」シリーズの物語を体験してきた人にとって、見逃すことのできない作品だ。