Ice-Pick LodgeよりSteamで日本語版が配信中の探索型ホラーゲーム「Knock-knock」のインプレッションをお届けする。
今回紹介するのは、独立系スタジオ Ice-Pick Lodgeのサイコホラーゲーム「Knock-knock」だ。主人公は森の奥深くに住む研究者。舞台となる研究所兼住居では、理解不能な怪奇現象が次々と研究者に降りかかる。目的は、研究者が怪奇現象で狂ってしまわないように、正気を保ったまま夜明けを迎えること。
独立系スタジオならではの濃い作家性に溢れる本作。今回はそんな「Knock-knock」の魅力を紹介していこう。なお今回の記事ではPC(Steam)版を使用している。Android、iOSでも配信中だ。
操作性やUI周りは至ってシンプル。研究所内を徘徊し、怪しい部分を調べ、無くしたものを探す。時に、謎の接近者から身を隠すこともある。先に述べたように、怪奇現象の脅威から逃げ延びることも重要だ。
ゲームプレイの部分は、自由とも言えるが、プレイヤーを突き放しているとも取れる。とはいえ、多くを語らない作品だからこそ、プレイヤーに委ねられる部分が大きく、色々と想像する楽しみを味わえる。
主人公である研究者の存在がそもそも謎だ。見た目も異様だし、性格もめんどくさそう。独り言が異常に多い。不眠症であり、精神的に不安定な人物だ。少なくとも筆者は友達にはなりたくない。
「なぜ俺は、こんな人物を操ってんだ?」と、少なくとも序盤では彼に感情移入することができなかった。しかし行動を共にしているうちに、少しずつ内面が見えてきて、彼を脅威から救ってあげたいと思えるようになったのだから不思議だ。実は憎めないヤツだったりして?
音楽の存在も、「Knock-knock」を語るうえでは外せない要素である。というよりは、SEの存在感と言ったほうが正しいだろうか。
この作品はヘッドホンでのプレイを推奨している。物音や自然音など、普段の生活では雑音としてシャットアウトするであろう「音」の中にこそヒントが隠されている。
一瞬の驚き、いわゆるドッキリ的な音の使い方ではなく、追い詰められるような感覚だ。ヘッドホンを推奨しているだけあって音に対するこだわりは随所に感じられる。ヘッドホンを付けなくても楽しめるが、音の持つ魅力を最大限に享受したいのなら、全力でヘッドホン着用プレイをオススメする。
決してボリュームの大きなゲームではないが、かといって物足りないわけでもない。スキマ時間にプレイしてもいいし、休日に一気にクリアしてしまってもいいだろう。プレイ時間は、10~12時間程度だ。筆者は当初スマホで少しだけプレイし、その後Steam版を購入。大きな画面でのプレイが特別映えるというわけではないが、スマホ版では気づけなかったグラフィックスの描き込みや、驚異からの回避などは、Steam版のほうが緊張感を持ってプレイできた。
また、これは個人差があるかもしれないが、筆者はゲームパッドでのプレイのほうがしっくりきた。スマホの操作に難があるとは言わないが、ガッツリと没入したい方にはSteam版をオススメする。
ゲームプレイ自体はさほど珍しくもない横スクロールの探索型アドベンチャーだが、アート面が異彩を放っているため、終始特別な気持ちでプレイできた。変わったゲームがプレイしたいという方にとって、本作は有力な選択肢となりそうな一本である。
iOS版:https://itunes.apple.com/jp/app/knock-knock/id797090553?mt=8
Android版:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.IcePick.KnockKnockRelease&hl=ja