fuzzが配信を開始した「GALAXYZ」をレビュー。「ハイスコアガール」の押切蓮介氏がストーリー原案、キャラクターデザインを手がける本作。その魅力について詳しく紹介する。
「GALAXYZ」はfuzzが配信を開始したスマートフォン向けリアルタイムタクティクスゲーム。地球を守るため、記憶と力を無くした主人公が、仲間の宇宙人とともに戦う…という作品だ。本作の目玉は、アニメ化もされた人気コミック「ハイスコアガール」の押切蓮介氏がストーリー原案、キャラクターデザインを行っていること。しかも書き下ろし。押切蓮介氏のテイストは作品にどのような影響を与えたのか? 本記事で詳しく紹介したい。
敵から主人公を守れ!シンプルだが本格的なRTS
本作のゲームシステムの基本部分は、ディフェンスゲームに近い。仲間の宇宙人4人+主人公でパーティーを編成。時間経過とともに貯まるEPを消費して、仲間の宇宙人を召喚する。敵を全滅させればステージクリア。その前に主人公が敵によって連れ去られてしまうと、ゲームオーバーだ。
召喚した仲間の宇宙人はオートで移動、攻撃範囲内に敵がいれば、自動的に攻撃を行ってくれる。だからといってプレイヤーは眺めていればいい…というわけではない。というのも、主人公は攻撃することができない。記憶と同時に、宇宙人としての力を失っているためだ。
さらに、敵はさまざまな方向から主人公へ迫ってくる。このため、味方の宇宙人を上手に移動して敵の接近を防がなければならない。同時に、敵の接近方向を制限できるような場所へ向かうのも重要だ。一度召喚して終わり…ではなく、こまめに移動指示を出さなければならない。これが本作と一般的なディフェンスゲームとの大きな違いだ。
仲間の宇宙人は、通常攻撃と移動のほか、必殺技と呼ばれるアクションも行える。これは、いわゆるスキル攻撃だ。必殺技も、移動と同様プレイヤーが指示する形で使用する。なので、バトル中は結構忙しく、集中力が必要だ。状況を見守りつつ、指示を行うベストタイミングを狙ってコマンドを入植する…。このプレイ感は、ディフェンスゲームというより、本来のRTS(リアルタイムストラテジー)に近いものだと感じた。
日常のコミカル&非日常の熱さ!押切蓮介氏の世界観
筆者がプレイした感触としては、メインのゲームシステムだけでも十分楽しいと感じた。しかし、本作の目玉と言えるのはやはり、押切蓮介氏の作り出す世界観だろう。
「ハイスコアガール」がアニメ化されたされたこともあって、押切蓮介氏=ゲームもの・コメディという印象を持っている人もいるかもしれない。しかし、氏の作品世界はホラー&ギャグ(「でろでろ」「おどろ町モノノケ録」等)、ホラー&シリアス(「ミスミソウ」「サユリ」「ゆうやみ特攻隊」等)、バトルもの(「椿鬼」「焔の眼」「ぐらんば」等)、ギャンブルもの(「ぎゃんぷりん」等)…と幅広い。
そして、この幅広い世界観にあって、押切蓮介氏の作品に共通するものは何かといえば、筆者は日常のコミカルさと、非日常の熱さじゃないかと思っている。
押切蓮介氏の描く日常の光景は、読者を共感させる力が強い。読むと、思わず「こういうことってあるよね!わかるわかる!」と感じてしまう。しかもそれがコミカルに描かれているから、楽しい。この力が最もストレートに発揮された代表例が「ハイスコアガール」だろう。駄菓子屋の筐体が未整備でボタンがはがれているだとか、長時間プレイしたいから「ファイナルファイト」を遊ぶだとか、ゲーセンで格ゲーをプレイするため筐体に100円玉を置いて「予約」しておくだとか、アーケードゲームを家でプレイしたいがためにPCエンジンを買う…だとか、いずれも80年代~90年代にゲーマーだった人からすれば「わかるわかる!」と思わずにいられない。自分の日常が…しかも、「楽しい日常」が、作品内に存在しているのだ。楽しくないわけがない。
一方で氏は、非日常を描くのも巧い。悪のキャラクターはとことんおぞましく、徹底的に嫌らしく描かれる。その一方で悪と対立するキャラクターの熱さ!アクション描写の見事さもあって、ぐいぐい結末まで読んでしまう。そんなパワーを持っている。「ハイスコアガール」しか知らないという人は、是非「ミスミソウ」や「サユリ」「ゆうやみ特攻隊」といった作品を読んでみてほしい。
では本作は押切蓮介氏の作品としてはどうかというと、冒頭から、非日常の不気味さが顔をのぞかせる。しかも演出がコミック形式。なので、押切蓮介氏らしさを感じさせてくれる。ただ、冒頭で描かれるのは記憶喪失になった主人公の不安感と、背後でなんらかの脅威がうごめいてる…ということだけ。なので、おぞましさやいやらしさ、アクション描写があるわけじゃない。
本作で押切蓮介氏らしさが際立つのは、ゲーム開始後。敵宇宙人とのバトルになるが、序盤で戦う場所のメインとなるのは、なんとアパートの中。調日常的な空間だ。仲間宇宙人とのやりとりも、宇宙人という設定を感じさせないほど日常的でコミカルなものが多い。おお、これこそまさしく押切蓮介氏の作品!
押切蓮介氏らしさはストーリーだけでなく、育成を通しても感じることができる。本作の育成には、バトルで獲得できる「サイコ玉」を使ったレベルアップと、親密度をアップによってアビリティをゲットするといった要素が用意されている。この内、親密度をアップさせた際にはキャラクター毎の身にストーリーイベントが発生。ここでも、押切蓮介氏らしいストーリーを見ることができるのだ。
押切蓮介氏の新作としても味わえる!オススメの一作
筆者はラストまでプレイしたわけではないため、ラストにどんな展開が待ち受けているのかはわからない。しかし、プレイした限り、本作はしっかり押切蓮介氏の世界観を味わえるものだと感じた。コミックという媒体ではなく、ゲームという媒体でリリースされた押切蓮介氏の新作といっていいかもしれない。RTSとしてもおもしろいので、押切蓮介氏のファンじゃなくとも楽しめると思うが、ファンならば120%楽しめるハズ。コミックスのファンはもちろん、アニメ「ハイスコアガール」から入ったファンも、是非一度プレイしてみてほしい。
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