ライアットゲームズが10月28日より日本でオープンベータテストを開始したiOS/Android向けアプリ「リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト」。本作のサービス後の反響や今後の展望、またMOBAというゲームジャンルを日本で普及させるための想いなどを、ライアットゲームズ・「リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト」のブランドマネージャーを務める藤本恭史氏へ聞いた。

「リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト」ブランドマネージャーの藤本恭史氏。
なお、今回のインタビューは、新型コロナウイルス感染症に配慮しオンラインで実施している。

――こちらでは初めてインタビューをさせていただきますので、まずは自己紹介をお願いします。

藤本恭史氏(以下、藤本氏):ライアットゲームズの藤本と申します。各ゲームタイトルの日本におけるマーケティング全般の統括をしていますが、「リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト(以下、「ワイルドリフト」)」については、私自身がブランドマネージャーという形でプロダクトのローンチをリードさせていただきました。

――今回は、10月28日よりオープンベータテストが開始した「ワイルドリフト」を中心に色々とお話をお聞かせください。まず、全体的なところですが、「ワイルドリフト」の世界・日本での反響はいかがでしょう?

藤本氏:iPhone12の発表イベントで「ワイルドリフト」をピックアップしていただけたこともあり、PC版の「リーグ・オブ・レジェンド」をよく知っている方にはもちろん、それ以外の方にも知ってもらえたのが大きかったと思っています。その結果、10月28日の各地域のApp Storeのランキング、これにはゲーム以外も含まれるのですが、軒並み全ての国で1位をとることができました。日本に限っていうと、リリースから8日間、ゲームカテゴリで一位をキープすることが出来たので、幅広い方にダウンロードしていただけたのかなと思っています。

――「ワイルドリフト」は、世界で人気の「リーグ・オブ・レジェンド」のモバイル版になりますが、最大の魅力はどこにあると考えていますか?

藤本氏:世界的にみると「リーグ・オブ・レジェンド」はビッグタイトルで、世界で最もプレイされているゲームの1つと言っても過言ではありません。しかし、日本ではPCゲームの市場が他国に比べると小さいこともあり、なかなかコンソールやモバイルユーザーには知られていないのではないかと思います。

それに対して「ワイルドリフト」は、「リーグ・オブ・レジェンド」の面白さや興奮するポイントを再現するために、一から作り直しています。しかも「リーグ・オブ・レジェンド」は人によって面白いと思うポイントが違っていて、例えば、チャンピオンの装備などが育っていく過程が楽しいという人もいますし、相手のチャンピオンをキルした瞬間が楽しいという人もいます。社内では、これを「エピックモーメント」と呼んでいるのですが、エピックモーメントをモバイルで実現するために、とことん作り込んでいるのが「ワイルドリフト」です。

――自分もプレイをさせていただいているのですが、特に初期のころは、EUスタイルが浸透していないサモナーズリフトが新鮮でした(笑)。でも、それだけ「リーグ・オブ・レジェンド」を始めて遊ぶという人が多いということもであるのかなと思います。

※EUスタイル…ゲーム開始時に、ソロレーンに1人、ミッドレーンに1人、デュオレーンに2人、ジャングルに1人、チャンピオンを配置する、「リーグ・オブ・レジェンド」で最もポピュラーな構成。

藤本氏:象徴的なエピソードとしては、「ワイルドリフト」はMirrativで配信される方が多いんですよ。しかも始めてプレイする方が多いんですよね。PC版をプレイしている方だとTwitchやYouTubeで配信される方が多いので、モバイルプレイヤーへの浸透は実感しているところです。

――プレイスタイルとしては、カジュアルにプレイされている方が多いのでしょうか?

藤本氏:そうですね、PC版ですと少し構えてしまう方も多いと思うんですよ。勝てるようになるまで修業が待っていますし……(苦笑)。「ワイルドリフト」でもレベル10まで上げないとランクモードが解放されなかったりと、多少の練習期間はありますが、もっとカジュアルに遊べるのも魅力ですね。「ワイルドリフト」では、チュートリアルもしっかりと作っていますし、AI戦でもAIがガンクやタワーダイブを仕掛けてきたりと、対人戦に挑戦するまでにもしっかりとゲームとして面白い作りになっています。

※ガンク…敵味方チャンピオンのレーン戦中に忍び寄り、人数差を活かして敵チャンピオンを倒す事。
※タワーダイブ…強力な攻撃をしてくる敵タワーの攻撃範囲内で相手チャンピオンと戦うこと。タワーの攻撃はとても強いの非常にリスキーな戦法。

――あとは「ワイルドリフト」の凄いところはグラフィックですよね。これは完全に本家を超えていますよね。

藤本氏:これを逆輸入して欲しいという声がたくさん届いているくらいです。こちらもPC版のデザインをそのまま使っているのではなく、服装が違っていたりとモバイル端末用に調整をおこなっています。

――本作は日本でも先行してオープンベータが開始されていますが、この意図はどういうところにあったのでしょう?

藤本氏:世界に先駆けてアジア地域のサービス開始されましたが、これはモバイルゲームのポテンシャルが一番大きい地域という意味がありました。モバイルに対する期待値が高い国から順次リリースが行われています。東南アジアでは他社様のモバイル向けMOBAタイトルが非常に人気で、モバイルユーザー総人口自体が物凄く多いと言われています。もちろん「リーグ・オブ・レジェンド」のファンも多いので、期待されていた方も多かったのではないかと思います。

日本もモバイルに対する期待値は高くて、ライアットゲームズ的には日本で先行してリリースするというのは珍しいことなんですけど、今回はそれくらいの力を入れて配信しました。

――本作は、他タイトルのモバイル向けMOBAの中でも、かなり本格的な作りになっていますが、新規プレイヤーの方からの反応はどうですか?

藤本氏:私たちは「ワイルドリフト」を、既存のMOBAのイメージに囚われて欲しくないという想いからMOBAとは呼ばず、「異世界マルチバトル」と呼んでいます。先ほどのEUスタイルの話もそうですが、ミッドレーンに2人も3人も行ったり、チーム全員がADCだったりという状況もあるとは思いますが、既存のイメージに囚われ過ぎずに、まずはゲームを楽しんでもらうということがMOBAと呼ばれるジャンルを日本で広めていく上で大事なファクターだと思っています。なので、既存のプレイヤーには寛容な心で見守ってもらいたいですね。

――ゲームとしては、今後もチャンピオンの追加やバランスの調整なども行われていくとは思うのですが、今後の方針を教えてください。

藤本氏:「ワイルドリフト」は、1ゲームがおおよそ15分くらいなのですが、この15分をどういうゲームにするかはプレイヤー自身の選択で決まります。そこに決められたストーリーは無く、対面の相手との相性やアイテムのチョイスなど選択の連続で、まるで人生をギュっと圧縮したかのような体験を味わうことができます。この“毎試合異なる楽しさ”をより楽しんでいただけるように、定期的なバランス調整やチャンピオンの追加などをして、常に新しい体験をお届けしていきたいと思います。

――新しい体験という意味で、「リーグ・オブ・レジェンド」に登場していないチャンピオンを、「ワイルドリフト」に先行して実装するというようなことをやっていく予定はありますか?

藤本氏:可能性があるかないかという話でしたら、あってもいいんじゃないかと思っています。ちょうど現在、「Ruined King:A League of Legends Story」という別なゲームのリリースを予定しているのですが、こちらには「ルインドキング」というキャラクターが登場します。

「リーグ・オブ・レジェンド」をプレイしている方はご存知だと思いますが、「ルインドキング」は、これまで装備アイテムの名称としてしか登場していませんでした。これも「Ruined King:A League of Legends Story」で「ルインドキング」というキャラクターを先行して登場させていることですので、「ワイルドリフト」でも同じことがあっても良いと考えています。

――イベントなどでは、先日YouTubeライブでバロンナッシャーと戦う「バトル・オブ・バロン」など、「ワイルドリフト」独自の面白い試みもされていましたよね。

藤本氏:「バトル・オブ・バロン」のような全世界的なイベントもそうですし、日本のコミュニティの中での独自イベントなども実施していきたいですね。「リーグ・オブ・レジェンド」では、毎年春に「花見 ON THE RIFT」というイベントを実施していますが、あれはローカルプロモーションなんですよ。システムの準備が整ったら「ワイルドリフト」でもローカルのゲーム内イベントを提供していきたいです。

YouTubeライブ上で、その場限りのイベントとして実施された「バトル・オブ・バロン」。
ちなみに公式Twitterでは、ここで討伐されたと思われるバロンが美味しく調理されている様子も公開されている。

――「ワイルドリフト」では、学生クリエイター企画なども実施しており、若者に向けた施策を多く打たれていた印象がありますが、こちらの意図はどこにあったのでしょうか?

藤本氏:MOBAというジャンルに囚われず、色々なものを試してもらえる若い世代に「ワイルドリフト」を知ってもらいたいという意図がありました。新しいプレイヤーの方達に「ワイルドリフト」をお届けして、このゲームの楽しみ方を自分たちで作っていただきたいという想いがあります。

もちろんこれまでの「リーグ・オブ・レジェンド」のコミュニティは、物凄くリスペクトしているのですが、それに加えて新しい視点や発想での表現方法があると、より多くの方に楽しんで貰えるんじゃないかという考えです。学生の方たちに、例えばTikTokだったりで、我々のIPやキャラクターをどう消化してもらえるんだろうというのが楽しみで、試してみたかったんですよね。

――実際にやられてみてどうでしたか?

藤本氏:出てくるアイディアや作品は、当たり前ですがプロのクリエイターの方が制作する方がクオリティが高いものはいっぱいあったと思います。でも、我々のキャラクターを物凄く可愛く表現してくれたり、初心者視点でゲームをプレイしたらどうなるかという配信をされていたり、ラップでゲームを紹介してくれたり、アイディアに溢れていてめちゃくちゃ面白かったです。

既存のコミュニティから生まれてこない発想もたくさんあって、多くの学生クリエイターの方たちにご協力いただけたおかげで、「リーグ・オブ・レジェンド」の世界は大きく広がったのではないかと思います。引き続き、このようなアプローチは続けていきたいですね。

――ジャンルの広がりという部分も聞いてみたいのですが、これは自分の肌感ではあるのですが、世界的な人気でいえば「リーグ・オブ・レジェンド」はやはりトップクラスの人気タイトルという印象ですが、日本プレイヤーの広がりという意味ではバトロワ系などのFPSやTPSが強いなと感じています。ライアットゲームズさんとしてはこの辺をどのように捉えていますか?

藤本氏:国によって好みやプラットフォームの違いは当然あります。でも何が流行って何が受け入れられるかは、決めつける必要もないかなと思っています。例えばモバイル向けのバトルロイヤル系ゲームが出てきたときに、多くのモバイルユーザーはバトロワというジャンルを知らなかったと思います。ジャンルが何かに関わらずゲーム性や流行りで、どんどん受け入れられていき、結果は後から付いてくるのかなと思います。

「ワイルドリフト」もMOBAというジャンルにとらわれず、「ワイルドリフト」というゲームを受け入れてもらって、みんなでゲームのジャンルを形作っていきたいですね。

――「ワイルドリフト」というゲームを楽しんでもらって、結果としてMOBAが普及してくれたらいいなと。

藤本氏:日本ではMOBAが流行らないというのはよく言われますが、僕は決してそんなことはないと思っています。これまでRPGばっかりやってきた人は、対人戦が怖かったりするかと思いますが、今のゲーマーの方はそういう垣根を越えてゲームをプレイされている方が多いと思います。どんどん新しいものを受け入れてくれるトレンドは出来上がっているので、そこでMOBAタイトルを手に取ってもらう機会があれば、プレイヤー人口は増えるはずです。

MOBAは、レベル1から始まってレベルを上げていくRPG的な要素もありますし、相手のチャンピオンと戦う格闘ゲームのようなポイントもあります。チャンピオンのスキルによっては相手を狙って攻撃をするFPS的な感覚もありますよね。日本はゲーマー人口自体はとても多いので、そんな人たちに気に入ってもらえるポイントは絶対どこかにあると思うんです。入り口さえきちんと作ることができれば、日本のプレイヤーにも受け入れて貰えると信じています。

――「ワイルドリフト」が今後、入り口としての役目を担っていってくれると嬉しいですよね。ちなみに、競技シーンについてもお聞きしたいのですが、今後eスポーツ的な展開はしていくのでしょうか?

藤本氏:まだ最終的な方針は決まっていませんが、eスポーツって色々な定義があるじゃないですか。何をもってeスポーツと呼ぶのかは現状では定まりきっていないと思います。我々が思い描くeスポーツは、Worldsに象徴されるような、最高のスキルをもったプレイヤーが最高の戦術で勝負をする、究極的なeスポーツだと考えています。

そんなeスポーツを「ワイルドリフト」でも目指すのかという部分には議論があって、例えばタッチ操作による精密な操作の難しさといったような課題が残っています。それであれば、eスポーツ的なものかどうかは別として、チームを組んで競うトーナメントだったり、もう少しカジュアルに参加できる大会を実施してゲームを盛り上げていくことが大事だと思います。それが我々の定義するeスポーツに繋がっていくような道筋を見出すことができれば、そのような発展も、もちろん考えていきますし、そうでなければ気軽に参加できるような競技シーンを展開していくことになるのかなと考えています。

※Worlds…League of Legends World Championshipの略。一年に一度、最強のチームを決めるために世界各国のリーグのトップチームが集う「リーグ・オブ・レジェンド」の祭典。

――いきなりプロリーグを作ったりするのではなく、コミュニティが発展していった先にeスポーツ的なものが生まれる可能性があるということですね。ちなみにタッチ操作が難しいという話がありましたが、「ワイルドリフト」のPC版をリリースする予定などはあったりするのでしょうか?

藤本氏:そこはぜひPCで「リーグ・オブ・レジェンド」を遊んで欲しいですね(笑)。

――確かにそうですね(笑)。「リーグ・オブ・レジェンド」と「ワイルドリフト」でプレイヤーの循環が起こるのが理想ですよね。

藤本氏:「ワイルドリフト」でゲームの楽しさや世界観を楽しんでもらえたら、PCで「リーグ・オブ・レジェンド」にもチャレンジしてもらえると嬉しいですね。幸いにして「リーグ・オブ・レジェンド」は、PCの要求スペックが低いので、ご家庭にあるパソコンでもきっと動くと思います。もちろん「リーグ・オブ・レジェンド」プレイヤーにも出先などで「ワイルドリフト」を遊んでもらえると嬉しいです。

PC版「リーグ・オブ・レジェンド」では、より奥深い対戦が楽しめる。
「ワイルドリフト」をプレイしてもし気になったら、こちらもぜひ遊んでみてほしい。

――「リーグ・オブ・レジェンド」をプレイしているRiotアカウントで「ワイルドリフト」をプレイするとチャンピオンなどが配布されましたよね。

藤本氏:そうですね。可能な限り既存ファンの方にはメリットがある形にしていきたいと思っています。 ライアットゲームズは「世界一プレイヤーを大事にするゲーム会社」をモットーにしていますので。

――わかりました。それでは最後に「リーグ・オブ・レジェンド」ファンに向けてメッセージをお願いします。

藤本氏:我々が注力していることとして、面白いゲームを提供することはもちろんなのですが、「リーグ・オブ・レジェンド」から派生した「ワイルドリフト」や「レジェンド・オブ・ルーンテラ」といったIPの世界を深く紡いでいくということに10年以上前から本気で取り組んでいます。「リーグ・オブ・レジェンド」に登場するチャンピオンは、今では150体以上いますが、1人1人にストーリーがあり、チャンピオン同士に関係性あって、協力関係や敵対関係などバックグラウンドが綿密に作り込まれています。プレイヤーの皆様に喜んでいただくために、ゲーム外でも小説やコミック、アニメーションやダンスなどを作っているので、ゲームを入り口にこの世界を知ってもらって、広がり続けるIPの世界観にも期待していただきたいですね。

エンターテインメントは色々なものから派生して生まれます。コミックがアニメになって映画になってキャラクターグッズが展開されるというパターンは多いと思うのですが、我々はそのスタート地点がゲームでもいいんじゃないかと考えています。しっかりとした世界観があって、奥行きがあるものを作っていけば、そこから派生して色々なものを提供できると思っています。色々なエンターテインメントの形をゲームから派生してお届けしていきますので、ぜひ今後の展開にもご期待ください。

――ありがとうございました。

リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト

ライアットゲームズ

MobileアプリiOS

  • 配信日:2020年10月28日
  • 価格:基本無料

    リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト

    ライアットゲームズ

    MobileアプリAndroid

    • 配信日:2020年10月28日
    • 価格:基本無料

      (C) 2019-2020 Riot Games, Inc. RIOT GAMES, League of Legends: WILD RIFT and any associate logos are trademarks, service marks, and/or resistered trademarks of Riot Games, Inc.

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