EXNOAが2021年5月13日に発売するPS4/Xbox One/PC用ソフト「パスファインダー:キングメーカー」(以下、パスファインダー)。以前、試遊会の模様をレポートしたが、リリースに先駆けて本作をじっくりプレイする機会がもらえた。そこで今回はそのプレイレビューをお届けする。
目次
まずゲームについて知らない人のために、ざっくりと本作の情報を紹介しよう。本作は、人気テーブルトークRPG「ダンジョン&ドラゴンズ」から派生した作品「パスファインダーRPG」を元にしたファンタジーRPGだ。現在RPGと呼ばれるジャンルのゲームは、テーブルトークRPGが源流だが、どちらかというとファンタジーを拡大解釈したような作品が多い印象だ。
だが今回発売される「パスファインダー」は、ファンタジー要素はあるものの、映画版の「ロード・オブ・ザ・リング」や海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のように落ち着きのある世界観になっており、まさに原点回帰したRPGといった仕上がりになっている。
キャラクターメイクも細かく設定できるところが魅力のひとつだ。これは見た目というよりも、そのキャラクター自体が持つ要素としてだ。面倒な場合は、プリセットで用意されたキャラクターを選んでゲームを始めるのがいいだろう。 |
ちなみに、大元の「パスファインダーRPG」は、語り部でシステム面も担当するゲームマスターを含めて2~6人ほどで遊ぶゲームとなっているようだが、本作はひとりでプレイするようにアレンジされている。それでありながら、テーブルトークRPG的なニュアンスも随所に上手く取り入れられているのが特徴だ。たとえば、選択肢を選ぶときのペンを書き込むようなサウンドなど、音の演出面も聞き所ものひとつ。
音関連でいえば、ゲームでは場面に合わせて様々な音楽が流れる。戦闘中は重厚なオーケストラによる勇ましい楽曲で気分を盛り上げ、会話シーンではやや落ち着いた音楽が穏やかな雰囲気を演出する。また、その場面に合わせて、鳥のさえずりや雨や雷などの環境音なども聞こえてくる。こうした様々な要素が相まって、重厚で濃密な世界観を生み出しているのであろう。
壮大なムービーは「パスファインダー」ではほぼ登場しないが、その代わりテキストベースの読み物風なイラストブックエピソードが用意されている。オリジナルの分厚いルールブックを元にゲーム化するにあたり、150万を超えるワード数が登場するのだが、たしかに通常のRPGよりもテキスト量は多い印象だ。
旅を共にする仲間たち
チュートリアル終了後、プレイヤーはそれそれの目的を果たすために冒険へと旅立っていくことになる。ゲーム序盤は4人のキャラクターと旅をすることになるのだが、ゲームを進めていくうちに新たな仲間が加わっていく。もちろん6人の枠内に収めることができない場合もあり、そのときは交流所を出るときに連れて行く仲間を選ぶことになる。
ゲーム序盤のチュートリアル的なパートが終わると、プレイヤーは広大な世界に足を踏み入れていくことになる。ゲームの舞台となるストールランドは、マップを移動することで道の繋がりや周りの景色などが徐々に明らかになっていく。そのため、未知なる景色がどうなっているのか気になり、どんどんと探索していきたくなるのだ。
ゲーム開始直後は、ほとんど周りが見えてない。 |
探索が進むと道の繋がりや様々な場所が明らかになっていく。 1度通ったことがある道ならば、移動ポイントを指定すると自動で移動してくれる。 ただし、途中で敵に出会ったときやキャンプで休憩が必要になったときは、途中で止まってしまうので注意しよう。 |
共に冒険するキャラクターたちは、それぞれが得意分野を持っている。たとえば、プレイヤーが最初に出会うリンジィは手先の早業という技能が得意で、罠などの装置を見つけると解除することができるといった感じだ。
マップを移動していると、途中でキャンプを張って休憩することになるのだが、そのときにパーティメンバーの中から、能力的に適切なメンバーを割り当てることで成否にも影響が及ぶ。このキャンプでは、狩り、キャンプ迷彩、料理、特別な役割、警備といった5種類の役割からメンバーを選んでいく。基本的には、最初に選ばれているメンバーに、新たに加わったメンバーを割り当てていくだけで問題ないが、いろいろと組み合わせを試してみるのも面白いかもしれない。
2種類の戦闘スタイルを切り替えながらプレイ
RPGの醍醐味のひとつは、なんといっても戦闘にあるといっても過言ではない。本作では、プレイヤーの好みや状況によってふたつの戦闘スタイルを切り替えながら遊ぶことができるようになっている。
まずはオーソドックスなターン制から。こちらは、左側に表示されるリストに合わせて順番に攻撃を選んでいく戦い方だ。移動や攻撃、使用する魔法やアイテムを使うタイミングも含めて任意で指定していくことができる。つまり、通常のテーブルトークRPGの戦闘と同じようなスタイルというわけだ。
敵が少数の場合はあまり問題ないのだが、敵の数が異常に多いとリストがずらりと並んでしまい、少々ストレスに感じることがある。そこでオススメなのが、リアルタイムバトル制だ。こちらは、基本的にAIが操作するキャラクターが自動で敵を攻撃してくれる。基本的にターン制とリアルタイムバトル制はいつでも自由に切り替えができるため、味方のHPや敵の強さなどを見ながら適宜切り替えてプレイするのがいいだろう。
リアルタイムバトル制にしているときに、敵を発見すると戦闘モードに切り替わる。コントローラーを使用しているときは、ここで一時停止のボタンを押して解除することで、自動で戦闘が始まる。
倒した敵からは報酬を取得することも可能だ。その場で拾わなくても、ダンジョンやマップを移動するときに取り残したアイテムが一覧で表示される。ここで取り残したアイテムを拾うこともできる。
ひとつだけ注意したいのは重量である。所持しているアイテムの数が多くて重量オーバーになると、現在のエリアからマップに移動するときにアラートが表示され移動ができなくなってしまう。その場合、不要なアイテムをその場で捨てることになってしまうのだ。アイテムは交易所などで売買することもできるのでこまめに整理しておこう。
ダンジョンなど薄暗いところを移動していると、自分がどこにいるのかわからなくなることがある。また、探索していないポイントなども気になる。そんなときに欲しくなるのがオートマップ機能だ。「パスファインダー」では、コントローラーに割り当てられたエリアマップボタンを押すことで、マップが表示できる。意外と気が付かない場所に行ってないことがあり、それによってクエストが進まないということもありうるので、探索時は頻繁に確認するようにしたいところだ。
時間制限付きのクエストは注意しよう
新たな武器や防具、装飾品などを入手したときは、キャラクターに装備させてみよう。最初はみすぼらしいアイテムしか身につけていないが、冒険を続けていくうちに、徐々にではあるが充実していく。
装備の設定は、メニューボタンを押して装備を選ぶことで行える。こちらのメニューボタンからは日記なども選べるが、これはいわばクエストリストのようなものだ。特にゲームに慣れていないうちは、次に何をやればいいのかわからなくなってしまうことがある。そんなときは、この日記で次にこなすべきクエストの課題を確認するようにしよう。
クエストによっては時間制限が存在し、その日時を過ぎてしまうとクエスト失敗となる。移動やキャンプをするのにも時間は経過してしまうため、ある程度計画的に行動する必要があるのだ。
基本的にゲームプレイは快適だがPC版では気になるポイントも
今回はPC版でプレイしたのだが、基本的には環境さえしっかり整えればほとんどストレスなく遊ぶことができる。ただし、いくつか気になる部分もあった。まずは、ウィルスチェックソフトとの相性だ。
筆者の環境ではノートンをマシンに入れているのだが、起動時に毎回ウィルスチェックに引っかかってしまい、自動的にexeファイルが削除されてしまった。ウィルスチェックソフトの例外処理に設定した以降はそうした不具合はなかったが、PCでプレイする人はあらかじめ注意したほうがいいだろう。
もうひとつPC版で気になったのは、コントローラーを接続したときとしないときの動作だ。最初はキャラクターメイクもすべて行いゲームを始めようと思ったのだが、コントローラーを接続した状態では、どうしても名前の入力が行うことができなかった。また、この状態ではキーボードの入力も受け付けてくれないのだが、コントローラーを抜いたところ、途中まで進めたキャラクターメイクはすべて破棄してメニューに戻ることになる。
同様に、途中からコントローラーを挿したときもメニューに戻ることになるため、ゲーム起動時にどちらでプレイするかあらかじめ決めてから遊ぶようにした方がいいだろう。
ついつい次が気になりやめ時がわからない面白さ
ゲームはオートセーブのほか、任意のタイミングでセーブすることができる。そのため、ちょっとした時間の合間などでもプレイすることができる。……はずなのだが、ちょっと次のポイントまで探索してからやめようというようなことを繰り返し、気が付けば長時間過ぎていたなんてこともざらだ。つまり、それだけ夢中でゲームにハマってしまったということでもある。
「ダンジョン&ドラゴンズ」に代表される、オーソドックスなファンタジーRPGというところも、やはり「パスファインダー」の魅力だ。蜘蛛やオオカミのような現実世界の生き物はもちろん、ファンタジックなキャラクターも当然のことながら登場する。中には、物理攻撃がまったく効かず、かなり苦労させられた敵もいた。一体この先どんな展開が待ち受けているのか? というのが体験するまでまったくわからないのだ。
テーブルトークRPGは、いわば人と人とのコミュニケーションが楽しさの要素で、さすがにその部分までは味わえないものの、大元の「パスファインダーRPG」が持つ魅力は存分に味わうことができるはずだ。ここのところ、普通の王道ファンタジーには飽きてきたという人にこそ、その素晴らしさに触れて欲しいと思わせる1本である。