Devolver Digitalより配信されているPS5版「Death’s Door」のプレイレポートをお届けする。
「Death's Door」は、多彩な攻撃とアビリティを組み合わせて戦うアクションアドベンチャー。ダークコメディな物語や、高難度で中毒性の高い戦闘が魅力だ。本稿では、2021年の「The Game Awards」でBest Indie部門にもノミネートされた本作のインプレッションをお届けする。
なお、記事にはネタバレを含む部分もあるため、新鮮な気持ちでプレイしたい人は注意して欲しい。
ダークでコミカルなキャラクターたち
本作の主人公は、死者のソウルを刈り取る仕事に就くカラス。ある時、担当するソウルが何者かに盗まれるという事件が発生する。上司に報告することもできず、不死の力も奪われてしまったカラスは、急いで犯人を追いかけ、一匹の大きなハイイロカラスのもとにたどり着く。しかし、そのハイイロカラスにはある大きな目的があった…というのが物語の始まりだ。
ダークな世界観の本作だが、登場キャラクターは意外なほどにコミカル。仕事中毒で嬉しそうにタイプライターを打ち続ける同僚、頭が鍋の青年(?)、やたらと二つ名の長い王様…など個性的な面々が次々と登場するため、死にまつわる物語でありながら重苦しさは感じなかった。
とはいえ、カラスの置かれた状況は不運そのもの。プレイヤーはカラスとなってブラックな職場とさまざまなフィールドを行き来しつつ、彼らの仕事や使命、果ては死そのものについて考えていくことになる。
“キレ”がとことん追求されたアクション
ユーモアあふれるキャラクターたちの多い本作だが、戦闘ではカラスに本気で死をもたらそうとしてくる。戦闘におけるアクションは、小攻撃・大(貯め)攻撃・遠距離攻撃・回避のみとシンプル。小型の敵は複数で襲ってくる場合も多く、1発で倒せる敵を先に倒すか、タフな敵を先に処理するかなど、咄嗟の判断力が常に試される。
見下ろし視点のため視界は良好であるものの、敵の多さに脳がキャパオーバーを迎えるとたちまち不利になってしまう緊張感が魅力となっている。
戦闘の楽しさを際立たせてくれるのは、SEを中心とした演出だ。武器を振る音一つとっても気持ちよく、遠距離攻撃はかなりのスピードで狙った方向にズバッと飛んでいく。
敵にやられてしまった際は画面いっぱいに“DEATH”と表示され、その奥で自らの屍の周りを悠々と動き回る敵を眺めることができる(ギリギリのところでやられた時は、なかなか屈辱的である)。戦闘以外の演出もとにかくキレのあるものになっており、カギを開く演出ですらどこか爽快だ。
また、BGMは主張し過ぎないが、死と隣り合わせの戦闘を盛り上げるのに一役買っている。特に、クリアすると新たな魔法が手に入る「アヴァリス」のBGMは必聴だ。
そんな緊張感がピークに達するボスとの戦闘は、パターンを覚えてしまえば道中の敵より易しく感じるかもしれない。しかし、特定のタイミングで魔法を当てるとスキが生まれ大ダメージを与えることができるなど、ギミックも多彩なため、通常戦闘とは違った楽しさがある。
なお、カラスのステータスや戦闘で使う魔法は強化することも可能。ここでは触れないが、中にはとてつもなく強力になるものもあるため、アクションに自信のある人はあえて使わないのもアリかもしれない。
余談ではあるが、敵のモーションについても魅力の一つとして言及しておきたい。攻撃方法はユニークなものも多いのだが、倒れる際のモーションはどこかリアルで儚く、死を感じさせるものとなっている。本作の戦闘は、まさにダークとユーモアの境界線を跨いでいるといっていいだろう。
気づきとユーモアで飽きさせない探索
フィールドの探索では基本的に「アヴァリス」やボスのいる場所を目指していくのだが、こちらもスキのない面白さとなっている。思わぬ場所に道があったり、床に反射する景色から扉の位置を予測したりと、見下ろし視点であるからこそのギミックが多数用意されており、シンプルながらプレイヤーを飽きさせない工夫がこらされていた。道中の看板を斬るとテキストも半分に切れるなど、ユーモアセンスも光っている。
また、フィールド上にはステータスのアップグレードに必要なソウル・エナジーや武器、収集アイテムがいたるところに隠されている。武器に関しては分かりやすくヒントが用意されているのだが、収集アイテムに関してはノーヒントのものも多いため、注意深くフィールドを観察し続けることがカギとなる。
尖った作品の多いインディーゲームだが、本作はとにかく総合点の高いアクションアドベンチャーといった印象だ。また、SEや演出によるアクションの“キレ”の部分は、触ってみなければ分からない部分でもある。ここまで文字で紹介してきて恐縮だが、ぜひ一度実際にプレイしてみて欲しい作品だ。