DCGとして、国内外で確固たる地位を築き上げてきた「Shadowverse(以下、シャドバ)」が、2022年6月17日で6周年を迎えた。これを機に、Gamerでは木村唯人氏、宮下尚之氏、友田一貴氏の対談企画を実施。「シャドバ」のキーパーソン3人に、これまでの歩みを振り返ってもらった。

左から友田一貴氏、木村唯人氏、宮下尚之氏
「神バハ」から生まれたカードゲーム

――「シャドバ」6周年おめでとうございます。振り返ると、6年前はeスポーツという言葉も珍しかった時代でした。開発のきっかけを教えてください。

木村氏:当時国内にはなかった、スマホで遊べるカードゲームが作れそうだと感じたのが開発するきっかけでした。弊社のIPで「神撃のバハムート」というカードバトル型のRPGがあるんですが、カードのリソースがあればカードゲームは作れるんですね。僕も含めてカードゲームが好きな人はCygamesにいっぱいいたので、チャレンジしようと作り始めたのが「シャドバ」です。

宮下氏:作りたいもののビジョンははっきりしていましたね。国内産のゲームアプリでは珍しかったんですが、当時海外で流行っていたPC向けDCGもあったので、ベンチマークも定めやすかった覚えがあります。

――友田さんは配信当時のことは覚えていますか?

友田氏:覚えていますよ。僕は元々、対戦ゲームが好きで、TCGやコンシューマーゲームのオフ会やトーナメントシーンによく参加していました。その時に友達と、次は何のゲームで優勝を狙おうかという話になったんです。

Cygamesのことはもともと知っていて、そのCygamesがカードゲームを出したらしいよと友達に紹介されて、みんなでその場で始めたのが出会いです。

「一度全部作り直しました」

――前例のない作品だったので、開発初期は苦労も多かったのではないかと思います。

木村氏:スマホの小さな画面の中に、カードの情報やUI、演出をうまく収めるのがとても大変でした。見た目に関しては、クローズドβテスト(CBT)後に一度全部作り直しているんですよ。

宮下氏:2016年1月~2月にCBTをやらせていただいたんです。本当はテスト後に多少修正をかけてリリースする予定だったんですが、反響やプレイデータを受けて全面的に直そうと。

レジェンドカードにしか付ける予定がなかったボイスを全カードに付けることになったり、画面の構成や進化の演出、カード一枚一枚のプレイのテンポ感などを改善したり、全部作り直しましたね。

――作り直すことになった決め手はなんだったんですか?

木村氏:目が覚めたんだと思います(笑)。社内テストとユーザーがプレイするのとでは全然違うんですよね。社内テストだと、以前と比べてこれだけ良くなったという空気がどんどん強くなるんですが、実際にユーザーを交えてフラットに遊んでみると、「もっとよくなるな」という点がどんどん見つかっていきました。

宮下氏:そんな経緯もあって、実は当初2016年の夏ごろリリースしようとしていたんです。2Pickなど、いろんな機能をすべて詰め込んで夏に出そうとしていたんですが、ありがたいことにユーザーさんから「早く出してほしい」という声がとても大きかったんですよね。ランクマッチやフリーマッチ、今で言うクラシックカードパックなど、ひとまず遊べる状態でギリギリ出せたのが2016年の6月だったんです。

木村氏:カードゲームを作るのって本当に難しいんですよ。

――でも、リリース当初から完成度は非常に高かったと思います。作るのが難しいカードゲームを完成させたことに、開発陣の熱意と粘り強さが伺えますね。

木村氏:うちの会社は粘り強いですね。

宮下氏:社風だと思います。

木村氏:やっぱり良いものができないと出せないんです。良くないものは良くないので、出せるようにがんばる。納得がいくまでのものに達しないと出せないですね。

「見たことはあるけれど、食べたことはない」ストーリー

――「シャドバ」はストーリーにもかなり力を入れています。ストーリーはどんなところにこだわっていますか?

木村氏:「シャドバ」のシナリオは「見たことはあるけれど、食べたことはない」がテーマになっています。例えば「運命相克編」では、西部劇という見たことがある舞台を扱いつつ、キャラクターや設定などで特色を出すように心がけています。また、カードゲームのストーリーなので、活躍したキャラクターを実際にカードとして使ってみたくなる、という狙いも込めています。

友田氏:わかります。ストーリーがきっかけで、キャラクターとしてカード一枚一枚が好きになりますよね。

僕も実況解説する上で、カードが持つストーリー上の背景やフレーバーをすごく大事にしています。カードに映るキャラクターの設定や関係性が好きなんですよ。「シャドバ」のそういった点を作り込んでいる部分は、カードゲーマーだけじゃなくて、ゲーマー、アニメ好き、漫画好きにも刺さっていると思います。

――ストーリーとカードの能力はどのようにリンクさせていますか?

宮下氏:先にストーリーが作られます。そのあらすじやキャラの性格、設定を元に能力を決めていますね。

例えば「機械反乱編」では、モノ、テトラ、エンネアという機械の姉妹が登場します。彼女たちにはモチーフとなる数字があり、その数字にちなんだ能力を持っています。パッと見では気付かないかもしれませんが、ストーリーを読むとわかる仕掛けもありますよ。

友田氏:そういうの大好きなんですよ。他にも「自然鎮魂編」で登場したヴァイディも、ナテラの大樹の破壊数を参照する能力でしたが、リメイク後はストーリーに合わせてナテラの大樹を融合するカードに変わったんですよね。そういうポイントを交えたりして実況するのは楽しいです。

カードの能力変更を決める要素が変わった、ある出来事

――3ヶ月ごとに配信されるカードパックも第25弾まで来ましたが、それぞれのお立場で一番印象に残っているパックはありますか?

友田氏:全部思い入れはありますが、一つ選べと言われたら第4弾「Tempest of the Gods / 神々の騒嵐」です。僕、この時初めて抽選を突破してRAGEに出たんですよ。この次からはもう実況・解説をすることになったので、RAGEに選手登録した最初で最後のパックなんですよね。絶対優勝できるっていう自信があったんですが、Day2で負けました(笑)。仮に優勝していたら、人生が違ったかもしれないですね。

木村氏:僕は第8弾の「Dawnbreak, Nightedge / 起源の光、終焉の闇(以下、DBN)」ですね。いつも僕とシナリオチームでパック名を決めているんですが、この時は全然決まらなくて。いつも以上に難航したのを覚えています。パック名は適当に決めているように見えるかもしれませんが、毎回がんばって考えています(笑)。

――パック名を決める際にこだわりはあったりしますか?

木村氏:語感や前後のパックとの違い、あとはワクワクするかどうかですね。DBNはチョイスが追加されたこともあって、パック名も声に出して読むと読点で2つに分かれているんです。

友田氏:「ケリュネイア」や「リントヴルム」「月と太陽」とか、懐かしいですね。チョイスが追加されたことで、プレイヤーが2人いれば、同じカードでも違うプレイングが見られるようになって、実力の反映が加速したパックでした。

宮下氏:第17弾「Fortune's Hand / 運命の神々(以下、FOH)」です。私はユーザーさんが使うデッキの強さや流行しているデッキをチェックしていて、必要があったらカードの能力変更を決定しています。「FOH」環境では2回、下方修正の能力変更を行いました。

友田氏:「君臨する猛虎」と「オネストシーフ」、その次に「地を裂く異形」と「幽暗の墓守」ですね。

宮下氏:そうです。それまで、特に下方修正する際には高ランク帯のユーザーさんの勝率や使用率といった対戦データをエビデンスに修正を行っていました。「FOH」でも、連携ロイヤルや進化ロイヤルの強さが数字にも表れていて、それを元にロイヤルのカードの下方修正を発表したんです。ところが、ユーザーさんから「いや、ロイヤルはそんな強くない」「他のクラスのこのカードを下方修正してほしい」という反応をたくさんいただいたんです。

「勝率が何パーセントを超えたら下方修正しなきゃ」と数字だけで変更していくと、ユーザーさんの楽しみを最大化できないんじゃないかと考え始めたのが「FOH」なんです。

――数字以外の要素も踏まえて修正するようになったんですね。

宮下氏:はい。数字だけではなく、ユーザーさんの反響やその後に予定しているカードリリースでの環境変化の予測など、さまざま要素を見て決めるように変えました。勝率や使用率だけが理由ではないので、第18弾以降は能力変更のお知らせには数字を出さないようにしつつ、能力変更によってさらにゲーム環境がおもしろくなる、より多くのユーザーさんに楽しんでもらえることを目指しています。

木村氏:ランクマッチを何時間かプレイした際の、総合的な体験を見て能力変更していると言ってもいいですね。用意した遊び場がどのようにおもしろいかが大事です。言葉で説明するのは難しいんですが、一番強いから調整するわけではないんです。

――さまざまなデッキが環境トップに出てきましたが、開発側はこうした流れを予測できるものですか?

宮下氏:もちろん開発中はある程度予測してリリースしています。しかし、数十名の開発チームに対してアクティブユーザーさんは数十万人いらっしゃるので、予測を超えることはあって当然だと考えています。予測を超えてきた時に、ゲーム環境という遊び場がおもしろければそれで良いし、多様性が損なわれていたりして、あまり楽しめないなら何かを変更しなきゃいけない。その時のために、迅速に対応できる体制は準備しています。

――プレイヤーさんが楽しいかどうかの基準はどこに置いているのでしょうか?

木村氏:秘密です(笑)。いや、言葉にするとごく普通のことでしかないんですよ。プレイしていて、自分が使っているデッキが楽しいか、相手をしていて嫌な気分になるか、そういう当たり前のことです。ただ、それが大事なんですね。

例えば負けても使っていて楽しいデッキがあるとしたら、それはおそらくゲームとしては楽しいんですよ。でもそのデッキを使って負けたら嫌な人もいる。いろいろな人たちが楽しめる状態が大事で、そのためには複数の要素が絡んできます。一つの基準やルールではないから、結構複雑なんです。

宮下氏:能力変更のお知らせに書いている、ゲーム環境の多様性や流動性を高めるため、ということにもつながりますね。あるデッキが好きな人もいれば嫌いな人もいて、あるクラスが好きな人もいれば嫌いな人もいる。本当に多様なユーザーさんの嗜好を最大限フォローするために、ゲーム環境でもできる限り多様性を実現するように努めています。

(後編に続く)

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Shadowverse

Shadowverse

本格対戦型デジタルTCG
機種
PCMobile
プラットフォーム
ダウンロードアプリ
OS
iOSAndroid
会社
Cygames
ジャンル
カード
公式サイト
https://shadowverse.jp/
  • セガ特集ページ
  • プリコネR特集
  • Figgy
  • 「黎の軌跡(くろのきせき)」特設サイト

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