2022年7月28日に日本一ソフトウェアから発売される、PS4/Nintendo Switch向け魔法ファンタジーRTS「グリムグリモア OnceMore」の先行プレイレポートをお届けする。

本作は2007年にPS2用ソフトとして発売された「グリムグリモア」を、より美しいグラフィックや、遊びやすくなったゲームシステムなどによって進化させた“リ・クリエイト版”。オリジナルに引き続き、開発は幻想的で美麗なグラフィック表現に定評のあるゲーム開発会社・ヴァニラウェア(近作は「十三機兵防衛圏」や「ドラゴンズクラウン・プロ」など)が担当している。

筆者はオリジナル版をプレイしておらず、RTS(リアルタイムストラテジー:戦況が時間経過で刻一刻と変化していく戦略ゲーム)というジャンルのゲームについても数多くをプレイしているわけではないのだが、本作はそんな筆者でも夢中になってプレイし続けることができた。ジャンル初心者でも順を追ってゲームシステムを覚えていき、古さを感じることなく楽しめる作品に仕上がっていると言えそうだ。

本稿を読んで「自分にも楽しめそうなゲームだ」と感じたら、すでに配信中の体験版(製品版にセーブデータ引き継ぎ可能)をぜひプレイしてみてほしい。

もとが15年前のゲームとは思えない美麗グラフィックで描かれる、主人公・リレの活躍に魅了される

「グリムグリモア OnceMore」の物語は、主人公のリレ・ブラウが魔法学校“銀の星体の塔”を訪れるところからはじまる。

この学び舎で魔法を学べることを楽しみにし、期待に胸を躍らせていたリレは、学校生活の中で個性豊かなほかの生徒や教師たちと出会いながら、妖精や悪魔、ゴーレムといった“使い魔”の召喚魔法を学んでいく。しかし、知り合った人々の中には見るからに怪しげな者もおり、リレは次第に不安を募らせることに。

そしてリレが学校を訪れてからわずか5日後、魔法学校は恐るべき悲劇に見舞われてしまう。気づくと1日目の夜へと戻っていたリレは、5日目に引き起こされてしまう悲劇を阻止するため、何度も5日間を繰り返すのだった。

つまり本作は世界観としては魔法や空想上の生き物が存在するファンタジーでありつつ、ストーリーは“タイムリープ・サスペンスもの”と言える構造になっているのだ。いかにも何かを企んでいそうなキャラクターが、あるときにはリレに助言めいた言葉を掛けてきたり、反対に最初は味方のように思えたキャラクターには裏がありそうだったり……。リレが“前の5日間”で得た経験を“新しい5日間”でどのように活かしていくのか? など、先が気になる要素も多く、最初のループを経験するころには夢中で物語を追っていた。

この没入感には、見惚れるような美しいグラフィックも大きく貢献していたように思う。ヴァニラウェアの作品の映像にはいつも唯一無二の美しさがあるのだが、本作はオリジナル版が15年前のPS2用ソフトであることを踏まえると、いっそう驚きがある。キャラクターが画面へと大写しになるストーリーパートでも細部にわたる書き込みが見て取れ、ひとりひとりが自然にアニメーションしながらのやりとりを見せてくれるあたりも含め、2022年に発売されるゲームの水準としてほかのタイトルと比べてもまったく引けを取らないと言ってよいだろう。

キャラクターボイスはオリジナル版からキャストを一新して新規に収録したとのことだが、少なくともオリジナル版をプレイしていない立場としてはどのボイスもキャラクターのイメージにバッチリ合っていると感じた。とくにリレはその可愛らしくも芯の強い人物像が佐伯伊織さんの演技によって際立っており、主人公である彼女の魅力が、物語を強く牽引してくれていたように思う。

使い魔の召喚による“マナの運用”と“敵との攻防”のジレンマが悩ましくも楽しい戦闘パート

ゲームの流れとしては、ストーリーパートを終えると戦闘パートが始まり、ここで勝利すると、またストーリーパートとなって1日が終了。これを“5日目”まで繰り返すとタイムリープしてまた新たな“1日目”が始まる。途中から任意で挑戦できるトライアルステージや「~OnceMore」からの追加要素であるスキルツリーなどが解禁されるが、基本はこの繰り返しでストーリーを進めていくことになる。

“最初の5日間”はシステムのチュートリアル兼、世界観・登場人物の紹介がメイン。“2度目の5日間”から本格的に試行錯誤が必要な戦闘がはじまる。なお難易度はイージー、ノーマル、ハードの3種から選べるので、RTSというジャンルの初心者から上級者まで、幅広く楽しめるはずだ。

戦闘パートではプレイヤーと敵、それぞれ“魔法陣”から“使い魔”を召喚し合い、相手の魔法陣の破壊を目指すのが基本ルール。すべての魔法陣が壊されたほうが負けとなる。この魔法陣と使い魔、それから“クリスタル”と、ここから取れる“マナ”をどのように運用していくかが、攻略のカギだ。

“エルフ”や“ゴースト”、“インプ”などの使い魔はクリスタルを「聖域化」し、マナを採取できるようにして、これを魔法陣へと運ぶことができる。するとプレイヤーの扱えるマナが増えるので、これを消費して魔法陣をレベルアップしてより強力な使い魔を召喚したり、追加で魔法陣を設置したりできるようになるのだ。

クリスタルの聖域化とマナの運搬は前述したような戦闘初期から召喚できる一部の使い魔しか行えないため、より多くのマナを得るにはエルフやゴーストらの数を増やし、運搬の効率化を図るのがよいだろう。一方で、これらの使い魔は基本的に攻撃能力を持ち合わせていないので、敵の攻撃からの防衛や敵陣への侵攻には魔法陣のレベルを上げて、“フェアリー”や“ファントム”、“デーモン”といった攻撃能力を持つ使い魔を召喚することが不可欠となる。

「より多くのマナを得るため、マナを運搬できる使い魔を増やすか?」「それとも敵に備えて戦闘能力のある使い魔を多く召喚すべきか?」「そのバランスをどのように取っていくか?」 こうした部分を筆頭に、大小さまざまな悩ましくも楽しいジレンマがこのゲームデザインの持ち味と言えるだろう。

ジレンマといえば、本作の魔法には4種類の属性があり、加えて使い魔にはサブスタンス(実体)とアストラル(幽体)という2つのタイプがある。アストラルには物理攻撃が一切効かないが魔法攻撃が有効など、敵の召喚してくる使い魔との相性によって、こちらが召喚する使い魔を使い分けるといった戦略も考えなければならない。

基本的には攻撃できる使い魔も複数体を召喚し、数の多さで圧倒すれば敵を退けられる本作だが、相手に攻撃が通らないとなれば当然ながら話が変わってくる。為す術なく使い魔たちが犠牲になることを防ぐために、相性に気を配るのも重要だ。

RTS初心者も楽しめる。そのための創意工夫の数々

上記のゲームシステムだけでも「なんだか難しそう……」と感じる人もいるかもしれないが、少し待ってほしい。ここからは、本作がジャンル初心者も含めた幅広いゲーマーにとって楽しめるゲームになっていると思える根拠について、いくつか挙げていこう。

まずRTSというと、リアルタイムに変化していく戦況を見極め、さまざまな采配を振らなければいけないというゲーム性に、苦手意識を持っている人もいるだろう。しかし「グリムグリモア OnceMore」には対人戦の要素がなく、CPUとの戦闘に特化していることもあってか、使い魔への指示出し中や、新たな魔法陣の設置場所を選んでいる最中など、時間の流れが停止する局面も多い。じっくり考えたい局面で一息つけるというだけでも、心理的なハードルは大きく下がるはずだ。

それから、最終的に覚えなければならないルールは確かに多いが、序盤の戦闘パートで基礎的なところから段階的に学ぶことができる。召喚できる使い魔も戦闘パートをクリアするたび徐々に解禁されていくので、それぞれの特性を1種1種覚えていける。無理なくさまざまな要素を理解していくことができるはずだ。さすがは魔法学校が舞台なだけあって、教え方が上手い。

戦闘開始時に「プラクティスヒントを見る」を選べば、そのステージを攻略する上でのポイントを教えてくれるのも、ありがたいところ。前述の通り難易度設定もあるので、ジャンルに苦手意識のある人の「最初の1本」としてもおすすめできるゲームと言えるだろう。

RTSは気を配る範囲が広く、操作も忙しくなりがちで、コントローラーよりもPCのマウスとキーボードでの操作に向いているゲームジャンルでもある。そんな中、本作はコントローラー操作で可能な限り快適に楽しめるゲームにすべく、かなり気を配ったインターフェースになっている印象を受けた。

その操作系を事細かに書いても文章ではほとんど伝わらないと思うので詳細は省くが、「画面内の“同じ種類の使い魔”全員へと同時に指示を出す」、「自分の魔法陣を中心とした視点に切り替える」など、あると便利に感じる操作はだいたいワンボタンで行えるようになっている。

加えて、本作は自分の魔法陣や使い魔の周囲以外の状況は見えない仕様になっており、どこに敵のどんな使い魔や魔法陣がどれだけ配置されているかは、自分の使い魔に指示を与えて動き回ってもらうことでしか分からない。第一印象ではわずらわしく感じるかもしれないが、これによって本作は「プレイヤーが気を配る範囲を狭める」ことにより、コントローラー操作のデメリットを最小限に抑えているように感じた。

このあたりはオリジナル版の時点で備わっていたゲームデザインのようだが、プレイしていて感心しきりだった。

スキルツリーや大魔法――既存要素とガッチリ噛み合い相乗効果をもたらす「OnceMore」からの追加要素

「OnceMore」からの追加要素の中で、まだ触れられていない点についても書いていこう。本作の戦闘パートでは初クリア時にコインが手に入るようになっており、このコインを消費して“スキルツリー”からスキルを習得していくことができる。

なお、このコインは前述したトライアルステージをクリアしたり、通常の戦闘パートでステージごとに設定されている“ミッション(課題)”を達成することでも手に入り、より多くのスキルを習得した状態でストーリーを進めるといったことも可能になっている。

スキルツリーで習得できるスキルは使い魔たちの移動速度や攻撃力、HPを上昇させたり、新たな能力を付与したりと、効果はさまざま。習得スキルをリセットしてイチからコインを振り分けることもできるので、どうしても勝てないステージがあったとき、相手の弱点を突ける使い魔たちを重点的に強化して再戦に臨むといったこともできる。

こうしたスキルツリー周辺の要素は、プレイヤーが自分の戦闘スタイルにあわせて任意で使い魔たちの特性を伸ばしていけるため、初心者にもありがたく、やり込む上での奥深さにも繋がっている。ほかのゲームシステムとガッチリ噛み合って相乗効果をもたらしているので、ゲームをひと通りプレイし終えてから「~OnceMore」からの追加要素だと知って驚いたほどだ。

スキルツリーで覚えられるスキルの中でも目玉と言えるものに“大魔法”がある。“大魔法”は発動回数が限られているぶん、使い方によっては状況を大きくひっくり返す力を持っており、演出もド派手でカッコいい。いざというときには積極的に使っていくのが良いだろう。

快適さの面では、戦闘・ストーリーパート共に“早送り機能”が追加、“戦闘中セーブ”も可能になるなど、忙しい現代人でも手に取りやすいように調整が入っている。

使い魔たちの特性が細かく記された“ストラテジーノート”、設定画や戦闘パートをクリアするたび解禁される美麗なイラストが鑑賞できる“ギャラリー”など、資料的な要素も充実。このあたりは新規プレイヤーはもちろん、オリジナル版のファンであるほど、改めてプレイしたくなる動機に繋がるのではないかと思う。

細部にいたるまで丹念に手が加えられ、オリジナル版から備わっていた個性・唯一無二の魅力を「2022年にプレイするゲーム」に相応しいやりがいと快適さで楽しめる「グリムグリモア OnceMore」。

本作は、あらゆるゲームファンにいち押しできる逸品と言えるだろう。近年ヴァニラウェアという開発会社のファンになった人や、本作のビジュアルにひと目惚れしつつも、ゲームジャンルに尻込みしているような人も、ぜひともまずは手に取ってみてほしい。

グリムグリモア OnceMore

日本一ソフトウェア

PS4パッケージ

  • 発売日:2022年7月28日
  • 価格:5,478円(税込)
  • 12歳以上対象
グリムグリモア OnceMore

グリムグリモア OnceMore

日本一ソフトウェア

PS4ダウンロード

  • 発売日:2022年7月28日
  • 価格:5,478円(税込)
  • 12歳以上対象

グリムグリモア OnceMore

日本一ソフトウェア

Switchパッケージ

  • 発売日:2022年7月28日
  • 価格:5,478円(税込)
  • 12歳以上対象
グリムグリモア OnceMore

グリムグリモア OnceMore

日本一ソフトウェア

Switchダウンロード

  • 発売日:2022年7月28日
  • 価格:5,478円(税込)
  • 12歳以上対象

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