「アイドルマスター SideM」(以下、「SideM」)のアイドルたちが実際の企業や団体とコラボレーションした企画「アイドルマスター SideM 315プロダクション お仕事コラボキャンペーン」。そのひとつである「ナゴヤ防災サミット」での取り組みについて、担当者に話を聞いた。

2021年に始まった「アイドルマスター SideM 315プロダクション お仕事コラボキャンペーン」。

中でも元消防士の木村龍、元警察官の握野英雄、元自衛官の信玄誠司の3人からなる元公務員ユニット・FRAMEと、防災分野の複数の企業や団体とのコラボが起こしたムーブメントは、これまでとは違う新しいそなえへのアプローチとして多くのメディアにもフォーカスされるなど目を引くものがあった。

そのひとつの集大成が、2022年11月に開催され、FRAMEとコラボした危機管理系団体が集結した「ナゴヤ防災サミット2022リアルイベント」だ。名古屋・金山を拠点に新しいアプローチでの防災分野の普及に努めるナゴヤ防災サミット実行委員会が主催した本イベントは、消防・警察・自衛隊という公的機関も巻き込んだこれまでにないコラボの形であった。

そんなFRAMEとのコラボが防災にもたらしたのはどのようなものだったのだろうか?
これまで防災分野の手が届きにくかった層の開拓、「楽しい」や「好き」から始まる新しいそなえの実効性の証明、そなえの意識の芽生え、東名の危機管理系団体の新たな繋がりとそこから始まるさらなる防災の広がり……ナゴヤ防災サミット実行委員会代表の進藤直樹氏に、2022年3月のフリーマガジン第1号刊行から11月の「ナゴヤ防災サミット2022リアルイベント」までの濃密なコラボ期間を振り返ってもらったロングインタビューで、FRAME、そして「SideM」が防災分野全体にもたらしたものの大きさを感じてもらえたら嬉しい。

アイドルマスター SideM 315プロダクションお仕事コラボキャンペーン
https://sidem-gs.idolmaster-official.jp/collabo/ 

FRAMEとコラボした「ナゴヤ防災サミット」が大事にしているものとは?

――進藤さんの普段のお仕事から簡単にお伺いしてもよいでしょうか。

進藤氏:実は身分がいろいろあるんですけれども、災害対策を含む企業等のセキュリティ・リスクマネジメントには深く携わっており、警備員のトレーニングなども担当しています。ナゴヤ防災サミットの後援団体にIBA(国際ボディガード協会)などがいるのはそのためです。また、それより長く携わっているのは救急医療分野の教育。市民から医療従事者まで幅広い方々へのトレーニングなどもやっています。

実際イベントでもご一緒させていただいた千葉PUSHの本間洋輔先生は、我が国の救急蘇生ガイドラインの策定メンバーの一員であり、その分野に携わる中で、もともとお名前を知っていました。「SideM」がきっかけで去年初めてお会いした時には、そんな高名な方がこんなライトに付き合ってくれていいんだろうかと不思議に思いましたね(笑)。

――「ナゴヤ防災サミット」を立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか?

進藤氏:もともと地域防災分野には学生時代から興味があって当時から地元の消防団員として活動し、その後仕事としても防災や医療に携わってきたわけですが、2020年に名古屋の飲食イベント「手羽先サミット」の発起人と出会ったのが立ち上げのきっかけでした。いまのナゴヤ防災サミット実行委員会の副代表が大阪で開催された防災関係の研修会でたまたまその方と出会い、私を紹介して…という流れです。東日本大震災や茨城県常総市の水害などで知人が被災したこともあり、たくさんの集客が得られるようになった「手羽先サミット」の力を活用して防災の普及にも努めたいと考えられたそうです。

なのでもともとは、「手羽先サミット」と一緒に栄の久屋大通公園で開催するために立ち上げたものだったんです。ただコロナ禍ではイベントの延期・中止が続いて。それでも先の開催に向けていろいろ考えるうちに、飲食イベントとは独立したプロジェクトにしようと思い立ちました。

理由はいくつかあって、ひとつは開催場所のことです。今、私たちの拠点があるのは名古屋の金山駅エリアなんですが、栄ではなく、この金山駅エリアを中心にしたいと思ったんです。

金山駅は名古屋市内でも名古屋駅に次ぐターミナル駅(多くの路線が集まった駅)で、愛知県の全方面に繋がっているので、1日何十万人という方が乗降するんですね。ただ名古屋市は各方面を川に囲まれているので、たとえば夏場に豪雨で川の水位が上がったりすると電車が止まって、金山駅もすぐ人が溢れる状態になりますし、もし南海トラフ地震が起こったりしたら帰宅困難者も非常に多く発生することが確実なエリアです。でも都心である名古屋駅や栄駅に比べ、いろいろな事情があってなかなか防災対策が進んでいないエリアでもあって。であればイベントを打つなら金山駅がいい、と。

もうひとつの理由は、名古屋市に民間主導の防災プロジェクトがあるべきだろうだと思ったからです。たとえば神戸は阪神淡路大震災が発生したあと街を挙げて防災の仕組みを作り上げましたが、街が無くなってしまうレベルの災害を経験していない名古屋は、そこに住み・働く人で防災を進めようという意識がまだまだ足りない。実体験しなければその大切さはわからない。当たり前といえば当たり前かもしれませんが。

という中でも行政が行うイベントや防災訓練はありますが、行政は平均値でしか動けない部分もありますからどうしても広く浅くにならざるを得ませんし、もともと興味がある人や、会社や自治会などの立場上防災を取り扱っている人しか来ない。それに学生時代から自分も携わっていたからこそ、防災や救急などの既存の防災分野の“つまらなさ”をすごく感じてて。正論ではなかなか人は動きませんよね。一方で民間主導のイベントも少しはあるけれども、ある程度大きいものは数えるほどしかないうえ、出展者やスポンサーがつきにくい分野でもあるので継続性が無かったんです。そんな背景もあって、自分で、今までの「防災はこうすべき」という形ではないアプローチのプロジェクトをやってみようと思い立ちました。

それで、金山駅を拠点に帰宅困難者対策や防災の普及啓発という観点で、年間を通じて市の防災行政とリンクさせていけるような、公益性を持った民間主導の防災プロジェクトを目指して、今のカタチの「ナゴヤ防災サミット」が生まれました。

――民間主導だからこそできる、今までの防災へのアプローチとの違いという点ではどんなことを意識していらっしゃいますか?

進藤氏: 民間主導であることは、行政では手が届かない範囲の方にも目を向けられるということもであって。たとえば子どもに対しての啓発って、戦隊ヒーローやプリキュアシリーズなどの影響もあり、割と皆が「大切な何かを守らなきゃ」という思考を持っていることもあって比較的やりやすいんです。ところが年を取るといろいろな都合でその想いが小さくなっていって、でも家庭を持ったりすると「家族は守らないと」というように、防災や救急にも目を向けるようになる。だから防災や救急では、その間の年代が空白地帯なんですね。

また、いろいろな企業や自治体で管理部署に女性職員が増えてきたんですが、それでも現状は防災関連の企画や調達をする担当者の多くが男性。集客施設や自治体の備蓄品の中に女性や乳児向けのものがまったく入っていなかったりと、まだまだ女性が置き去りになっていますし、学区や町内会レベルでは役員がほぼ年配の男性であるケースも多く、「多様性」が足りない。それに名古屋は自動車製造業などが盛んなのでブラジル系や中国系の外国人の方もたくさん暮らしていますが、そういった文化圏の違う方もフォローできていない状況で。なので私たちは、防災分野における多様性の重要さをもっと打ち出して、そういった年齢や性別、国籍などのために置き去りになってる方々にもしっかりフォーカスしたいという想いがあります。

あと、防災というと皆さん大体地震や火事を思い浮かべると思うのですが、自然災害以外にも、交通事故も労災事故も、人為的なテロや犯罪も災害ですし、人間として一番の危機は「死」ですから、「死」に備えるのも防災のひとつと考えています。昨年のリアルイベントで終活を取り扱う会社さんに出ていただいのはそのような考えからです。自然災害だけに限らず人の平穏を脅かすすべての事象に対してのそなえを考える。専門分野でいう「オールハザード」へのそなえの普及という点も大事にしていますね。

加えて防災分野では「無いから耐える」という発想になりがちで、たとえば災害で水道が止まったらお風呂が入りにくくなりますよね。「災害時にそんな贅沢を言うなんて」という方も出てくるかと思います。でもそうではなく、何かが起こったとしても普段の平穏を保つためにどうしたらいいかを考えてほしいと思っていて。お風呂に入りたければ入ればいい、だけど水や電気がない状態ではこれぐらいの準備が必要だよ、というだけの話なんです。防災分野は「耐え難きを耐え」的な考え方が強いものですが、本来リスクマネジメントは「守るべきものは何か」を考えることから始まります。自分のライフスタイルや予算に合わせて「ここは維持したいからこういうそなえをする」ってことをそれぞれ考えていこう、と伝えられるプロジェクトにしたいと思っていました。

「ナゴヤ防災サミット」とFRAMEとの出会い、そして

――あらゆる災害に対してそれぞれの価値観に合った形でそれぞれの日常をできる限り平常時どおりに保ち続ける方法を考えてもらうためのプロジェクト、ということですね。そこからどのようにして「アイドルマスター SideM」やFRAMEに出会ったのでしょうか?

進藤氏:プロジェクトを立ち上げたあと、まずは2021年6月に第1回目のイベント開催を目指すことにしたんです。ただ、目標は掲げたものの想いを果たせるだけのイベントにするだけの決定打が正直当時はありませんでした。その中で、何か防災用品を取り上げるにあたって、私たちの価値観に合うものがないかいろいろ探していたところ、ファシルさんにたどり着いたんです。ファシルさんは社員のほとんどが女性で、製品開発の視点が他の会社と全然違うんですよ。そこに感銘を受けいきなり長文のメールを送りつけたら、八木法明社長が電話してくださって。初めましてにも関わらず2時間ぐらいお話してくださり「そういうことなら協力しましょう」とご一緒できることになったんです。

そのあと結局2021年6月のイベント開催、そして代替日程とした同年11月のイベントも感染症の影響で中止にしたんですが、その間にファシルさんの「アイドルマスター SideM×FACIL コラボ防災ポーチ」の販売が始まって。なるほど「アイドルマスター」か、こういう方法もあるんだなと思っていたら、八木社長が「進藤さんとバンダイナムコエンターテインメントさんはきっと理念が合う。応募してみたらどうか」とご提案してくださって。だからファシルの八木社長にはもう、頭が上がらないんです(笑)。

――そんな始まりだったのですね! FRAMEとのコラボ第1弾をフリーマガジンにしたのはなぜでしょうか?

進藤氏:私たちの企画の中で一番大きなものはやはりリアルイベントですが、次開催するとしても2022年11月という1年後だったので、それまでコラボをお願いするのは難しいだろうなと考えていて。そして当時は 2021年11月のイベントを中止にしたあとで、中止はいいけれども何もやらないのもなあという想いもどこかにあったんですね。で、あの頃はいろいろな展示会がオンライン開催に変更してたので、じゃあ同じように、イベントが中止になった代わりにフリーマガジン上での“誌面開催”をしようと考えたんです。時期的にも3月11日という日本の防災分野における大事な日に間に合いそうだったので、そこでフリーマガジンを刊行し、その誌面上でコラボをお願いすることにしました。

――それで生まれたのが、フリーマガジン第1号「ナゴヤ防災サミット Plus1」ですね。

進藤氏:FRAMEの3人が元消防士、元警察官、元自衛官なので、彼らの特性にちなんだ記事をつくることにしました。まずは自衛隊=サバイバルというイメージがあるので、資源が少ない中どう生き延びていくかを信玄(誠司)さんに伝えてもらおう、とすぐ浮かんで。

次に、被災地での性犯罪について握野(英雄)さんに話してもらうことにしました。災害時での人と人との助け合いという“陽”の部分って、よく大きく取り上げられるじゃないですか。でも避難所で寝てる時に布団に知らない人が入ってきたとか、トイレで襲われたとか、被災地での性犯罪というのも確実に起こっているのに、昔から課題と言われながらもセンシティブな内容であるため行政機関がストレートに書いてこなかった。だからそこについてちゃんと書きたかったんです。どうしても文章が重くなる内容ではありますが、握野さんがうまく中和してくれたのではないかと思います。

最後が(木村)龍くんでした。元消防士なので記事を作りやすくもあったんですが、行政が出す内容と同じ感じになっても意味がないという点で悩んで。最終的に、名古屋市は8つの大学に学生消防団が組織されている珍しい街でもあるということから、10代20代のそなえの分野でのアクションについて打ち出してもらうことにしました。先ほどもお話したように私たちのプロジェクトはそなえの意識が行き届いてない層へのインパクトを大事にしているので、自分たちと同年代がこれだけ防災分野で動いてるんだっていうところを見てもらおうと。そうしてフリーマガジン第1号「ナゴヤ防災サミット Plus1」が作られました。

――誌面のデザインからもFRAMEにすごく寄り添って作られたんだなと感じるのですが、もともとお詳しかったのですか?

進藤氏:私はもともとユーザーというわけでもなく、友人らの影響で「アイドルマスター」自体は無印の頃に存在や一部の楽曲を知っていたぐらいであり、その後「SideM」を含むいろいろなシリーズがあることは知っていました。FRAMEの存在はファシルさんとのコラボで知ったのですが、仲の良い友人が「SideM」のプロデューサー(※「アイドルマスター」シリーズファンの総称)であることを思い出したんです。今まで「SideM」の話をちゃんと聞いたことはなかったんですが、改めて聞いたら木村龍のプロデューサーでした(笑)。その友人からライブDVDを拝借したり助言を受けたりしつつ、プロデューサーさんたちのいろんなまとめや楽曲の歌詞を読み込みながら、FRAMEの3人の人となりや歩みを学んでいった感じですね。

――フリーマガジン第1号のタイトル「Plus1」は、2022年1月にリリースされたFRAMEの楽曲“Plus 1 Good Day!”にも重なりますね。

進藤氏:タイトルはすごく考えました。「備え」や「防災」といった直接的な言葉は使いたくなかったんですが、わかりやすくカジュアルな言葉はないかと、制作会社のデザイナーさんや校閲さんと一緒に歌詞を見ながら悩んでて……そこでうちの副代表から、私たちが最初期から掲げていた3つのテーマのうちのひとつ「ゼロよりも『+1』へ」と、FRAMEの楽曲タイトル「Plus 1」が重なるんだから、「プラスワン」でいいじゃないかと発言があり、フリーマガジンのタイトルも「Plus1」になりました。2021年の12月24日の会議でのこのシーンは忘れられませんね。

――「+1」という言葉は防災の分野において広く掲げられていた言葉だったのでしょうか?

進藤氏:そうではないと思います。私たちが基本理念にしていた理由は「防災分野の人は高望みしすぎ」という私の中の想いが大きいですね。たとえば大地震へのそなえって、水だと1人1日2ℓ~3ℓの水を3日分とか7日分とか、いろいろ推奨される基準がありますよね。でも今までそこにまったく興味なかった方が「ちょっとやってみようかな」と思った時に、いきなりそこまでは手が出せませんよね。ただ防災分野では、「そこまでやらないとダメだ」「大切な命に関わることなんだから」という人が多いんですよ。ごもっともな意見ではありますが、防災分野の「新規ユーザー」には重すぎる。

だけど、家に何にもなかった人が少し多めに水を箱買いしてきて、いわゆるローリングストックをするようにしてみただけでも、ゼロよりは確実に積み上がっていますよね。基準には満たないかもしれないけどゼロから一歩踏み出すこと自体がすごいことだし、それが100人でも500人でも増えたら社会としては大きな力じゃないですか。だから本当に「ゼロよりも『+1』」でいいから踏み出す人が増えてほしいし、その一歩はこれが好きとか楽しいっていう明るい気持ちであってほしくて――というところで私たちは最初から「ゼロよりも『+1』」を押し出していて。そこがありがたいことに楽曲とリンクした形ですね。

――フリーマガジン第1号ではどんな反響がありましたか?

進藤氏:1万部の印刷版とWeb公開版で展開したのですが、印刷版は必ず彼らの前職3機関に置いてもらおうと決めていて、各機関に相談したところ、名古屋市消防局が市内16の消防署全部と「ハイパーレスキューNAGOYA」の愛称を持つ特別消防隊の5つある方面隊のうちの2ヵ所、愛知県警察は中警察署、自衛隊愛知地方協力本部は広報ルームに置いていただけることになりました。前職に関わる場所に置いてあったというところや、メンバーの特性や経歴を考慮したデザインや内容というところで、プロデューサーさんからも高評価をいただけましたし、各機関の担当者からも「普段とは全然違う層の方が施設にたくさんいらっしゃった」と大変喜ばれました。

あと大きかったのが、NHK名古屋放送局さんが取り上げてくださったことですね。フリーマガジン発行の告知を出した翌週あたりに、田中逸人アナウンサーから私どものウェブサイトのお問い合わせフォームにコンタクトがあったんです。お会いしてお話を聞いてみると、3月11日に震災関連の特集を続けているけれども10年続くと同じようなものになってしまって悩んでいて、その中で私たちのことを見つけてくださったということでした。

それで、フリーマガジン「Plus1」で3月11日にNHK名古屋で特集を組んでいただけることになって、5分枠を使って夕方の情報番組でまるっと流してくださったんです。正直、数十秒放送されれば十分と思っていましたが、「SideM」のFRAMEを紹介するために“Plus 1 Good Day!”の3DMVをそのまま使うなど、ものすごく丁寧に作ってくださって。あれは田中さんの腕ですね。本当に感謝しています。

その取材中に田中さんとお話したことで印象に残っているのが、「アイドルマスター」シリーズってユーザーがファンじゃないんですよね、というお話で。以前Gamerさんで掲載されたインタビュー(「アイドルマスター SideM」が防災&救命をテーマにお仕事コラボ!FRAMEにお仕事をオファーしたそなエリア東京×千葉PUSHのスペシャル対談)でそなエリア東京さんや千葉PUSHさんもおっしゃっていましたけど、ユーザーではなくプロデューサーという立場だからこそ自分が担当するアイドルの活躍を自分たちで作り上げていくために能動的に動く、そこがすごいですよね、と話したんです。それは私も本当に1月末からの2ヶ月間での皆さんの反響から感じました。そして田中アナも放送最後のまとめで「彼らはファンの方々にとっては独立した人格を持った存在で、だからこれだけ言葉が入ってくる」「これはそういった防災の啓発の新しいアプローチだ」と言ってくださって。

実はあの放送であれだけ時間を使ってしっかり取り上げていただいたことで、「ここはちゃんとやってくれるところだ」とプロデューサーの皆さんからすごく信頼していただけた感じがしてるんです。その信頼があったからこそ以降のいろいろな動きができた。なので私たちの2022年のプロジェクトってこの放送が基盤になっていると言っても過言ではなくて、田中さんのおかげがすごく大きいんです。

――その後、9月にはファシルさんとコラボして帰宅困難者サポート「BUDDY」を数量限定で発売し、完売しました。

進藤氏:ファシルさんがFRAMEとコラボしたポーチは「持ち歩く」ものでしたよね。うちは最初にお話ししたように、金山を拠点にしたのも「帰宅困難者対策」という観点があったからでもあったので、じゃあ次は職場や学校に「そなえ付ける」アクションを起こそうという出発点でした。中身もファシルの担当者さんとすごく話し合って吟味しましたしが、必要な物は入れながらも箱内に空きスペースがどれだけできるかは気にした部分です。女性だと衛生用品を入れたりできるし、そうでなくても携帯のバッテリーを入れたりできるスペースは便利ですよね。そういう自分に合った何かを入れられるスペースを作っておくことで、FRAMEがコラボしたから買ってくださったという「+1」だけではなく、さらに買ってアレンジして初めて成立するものを作りたかったのが「BUDDY」でした。今後自分のライフスタイルに合ったそなえを自分で考えるための小さな一歩になればいいなと思ったんです。

――翌月にはフリーマガジン第2号「PRECIOUS “LIFE”」も刊行されました。

進藤氏: そして、第1号の告知ツイートがきっかけで、管理栄養士の資格を持つ大学院生がナゴヤ防災サミットのメンバーに加わったんです。それもあり、じゃあ次は「災害と食」をテーマにフリーマガジンを作ろうと決めました。災害時は少ない食べ物で耐えろ、と思われるかもしれませんが、災害時って食べることが唯一と言っていいぐらいの楽しみになるので、そこを充実させないと明日への活力って得られないんですよ。だから自分が食べたいものを食べるにはどうしたらいいか、そしてアレルギーや宗教的な課題など、「災害と食」に潜む問題をどう乗り越えるか。そんな災害と食に関わる課題を取り上げ、FRAMEにまた発信してもらいました。

ちなみに「PRECIOUS “LIFE”」というタイトルの “LIFE”をダブルクォーテーションで囲ったのは、「生き方」「生活」「人生」など、いろんな意味に取れるように。つまり「食を通じてあなたが守りたい“LIFE”って何ですか?」と投げかけるような作りですね。

FRAMEが次元を超えて前職3機関と繋がったリアルイベント

――そして11月2日・3日にはついに「ナゴヤ防災サミット2022リアルイベント」が開催されました。

進藤氏:従来の防災イベントのように「防災イベントで大切な命を守ろう」というだけのものはやりたくなくて。ステージもとにかくちゃんぽんにして何か好きなもの目当てで来てもらい、会場で「こういったのもあるんだ」と発見して帰ってもらえばそれだけで十分いいな、と思って作り上げたイベントでした。FRAME以外にも、たとえば名古屋のビジュアル系バンドの麗麗~reirei~が防災とビジュアル系という対極にあるものをくっつけたらどうなるかすごく熱心に考えてくれて、いろんな層に届くように本当にたくさんの方が力を合わせてくれました。

――イベントには、それぞれ「SideM」とお仕事コラボをされたそなエリア東京さん、千葉PUSHさん、ファシルさんも参加されたんですよね。

進藤氏:そうです。ファシルさんとはお話したとおりの出会いだったんですが、千葉PUSHさんとは10月に「SideM × 千葉PUSH ×ナゴヤ防災サミットコラボ特別救命&防災講習会」でご一緒させていただきもしました。また、そなエリアさんは国営の施設であり、これまで他地方での防災イベントは国主催のイベントなどにしか出たことがないにも関わらず、調整を重ねて名古屋の民間主導のイベントに出てくださって。これは本当に防災分野全体から見てもすごいことなんですよ!

――リアルイベント上でのFRAMEとのコラボに関しては、まずは2022年8月に「ナゴヤ防災サミット」のアンバサダーに就任することが「SideM」の生放送で発表されました。初めて特別番組「315プロダクションプレゼンツ 315パッションアワー!!!」が放送され、FRAMEも出演していた日だったこともあり話題になりましたね。

進藤氏:アンバサダーをお願いすることは、イベント当日に関わっていただけることになった段階から決めていたんです。告知に“Plus 1 Good Day!”のブルー衣装の画像を使わせていただいたのは、友人のプロデューサーとの話の中で「確かに前職があるからこそのアンバサダー就任だけど、彼らはアイドルとして引き受けるんだからアイドルとしての姿で発信させたほうがいいのでは」という言葉もあり、またフリーマガジン第1号の名前の話に戻りますが「+1」は私たちとの強い共通点でもある、ということで相談させていただきました。

――さらにイベント当日、FRAMEは消防・警察・自衛隊という3人が以前勤めいていた3機関から委嘱を受け、イベント会期限定でそれぞれ「名古屋市消防局 特別消防隊第315方面隊隊長」「愛知県警察 中警察署1日災害警備隊長」「自衛隊愛知地方協力本部 名古屋出張1日所長」という大役を務めました。まさか実在の公的機関がここまでしてくださるとは、と驚かれた方も多かったように思います。

進藤氏:アンバサダー就任をお願いしたうえで、さらに何か、とはずっと考えていて。で、今回イベントで関わってくださったFRAMEのコラボ先の歴史を振り返ってみたんです。この「お仕事コラボ」って、2次元キャラクターであるアイドルたちがリアルの世界にどう食い込んでくるか、というところに面白さがあるじゃないですか。というところで私たちは、実在の消防・警察・自衛隊という3機関からPRのための役職委嘱をしてもらい、2次元で非実在のアイドルたちを3次元に実在させようと考えたんです。

――委嘱してくださったのは名古屋市消防局、愛知県警、自衛隊愛知地方協力本部の3機関ですね。お話を投げかけた際はどのような反応がありましたか?

進藤氏:まず純粋に「2次元アイドルに委嘱状をどうやって渡せばいいのか」っていう反応は多かったですね。でもこれに対しては、菅義偉前総理が「令和」と掲げたように委嘱状を見せてもらえれば十分だというイメージが私の中で最初からあったので、そのように対応していただきました。

あとは3機関から「あくまでもイベント限定での委嘱であることが明らかにわかる架空の役職にしてほしい」という要望があり、各機関の担当さんとものすごく相談させていただいて。

龍くんの場合、フリーマガジンも置いてくださった特別消防隊「ハイパーレスキューNAGOYA」がいいのではと思いました。実際は第1~第5方面隊という5つの部隊しかないのですが、担当者さんの発案でプロデューサーさんにも馴染み深い数字を使った部隊名である「第315方面隊長」をお願いできることになって。龍くんだけ「1日」と付いていないのは部隊名自体が今回のために生まれたものだからですね。 

握野さんは、警察だけれども救助に加えて被災地でのパトロールやご遺体の検視なども行う「広域緊急援助隊」という統合部隊の隊長を、1日災害警備隊長という形でお願いしました。まさにフリーマガジン第1号「Plus1」で握野さんに伝えていただいたあたりに関わる役職ですね。

信玄さんは、地方協力本部という自衛隊の広報や採用、自治体との調整などを行う機関の名古屋出張所1日所長です。実は当日委嘱してくださった名古屋出張所長さんがとても面白い方で、「信玄って31歳で海外赴任経験があるんだ」「戦車と写ってるから機甲科かな」「もともと自衛隊にいたなら俺、信玄に『戻ってこいよ』って言いたくなっちゃうなあ」とか、信玄さんのヒストリーに寄り添って元部下みたいに親身になって取り組んでくれました。

――各機関のご担当の方もとても素敵な方々だったんですね。

進藤氏:本当に担当者さんにすごく恵まれましたね。「2次元キャラクターに公的機関が役職委嘱をする」というのは、前例がほぼ無いことなんです。なので、もし「それは前例がないからNG」と断るようなお役所気質な人たちだったら実現できませんでした。でも、みなさんすごく誠実に対応してくださって。やっぱり皆さんPRにすごく苦労されてるんですよね。私たちとは官と民という立場の違いこそあれどそこは一緒で。役所としては突き抜けたことはできない。でも代わりに私たちが新しい企画をするので後援機関として乗っかってほしいというところで、本当に皆さん、この取り組みを成功させたいという強い想いで行動してくださいました。公的機関ってどうしても前例主義になりがちな中、それを打ち砕いてくれた各機関の担当さんの熱意に本当に感謝ですね。

――当日のセレモニーではFRAMEの楽曲をバックにした委嘱式が2日に渡って行われました。

進藤氏:1日目が“勇敢なるキミへ”で2日目が“Plus 1 Good Day!”というのは私の中で決めていました。“勇敢”は、FRAMEがどんな存在であるか一番わかりやすく伝わる楽曲だと思うので1日目に。実はあの時、当初は「ハイパーレスキューは実働部隊だからイベントに車両は持っていけない」「本部救急隊“MEDIC ONE NAGOYA”も2日目のみ」という話だったんですが、担当の方が調整してくださり当日セレモニーの時間だけ本部救急隊車両を持ってきていただけることになったんです。であれば“勇敢”が流れると同時に赤灯を付けたいと思い、現地で担当者や本部救急隊の隊長にお願いし……現地にいたプロデューサーさんたちの感想をSNSで見ると、感動していただけたようで、すごく嬉しかったですね。

2日目は、3月のフリーマガジン刊行から始まった「+1」繋がりの集大成という意味も込めて“Plus 1 Good Day!”を。FRAMEへの役職委嘱をやり遂げた瞬間だったので、こちらも個人的にすごく感慨深い瞬間でした。公的機関と2次元キャラクターのコラボに1回、前例を作ることができたんです。これによってもしかすると今後「アイドルマスター」に限らず公的機関、行政機関との他の2次元作品とのコラボもやりやすくなったかもしれないと思っていて。この「ナゴヤ防災サミット」が、今まで3次元の人間に役職を委嘱するキャンペーンしかなかった公的機関、行政機関による、2次元と3次元を突破した新しいアプローチのPRのひとつのモデルケースになればと思っています。

――そして、イベントで得た気づきと学びを、スタンプラリー「BRAVE MISSION」で身に着けて持ち帰る、という構成でしたね。

進藤氏:「BRAVE MISSION」という名前は“勇敢なる君へ”へのオマージュです。1日目のセレモニーで「『FRAMEが活躍したな、よかったな』で終わらないでほしい」というようなお話をさせていただいたんですね。「帰って自分がどう行動するかが大事」「自分であれ他の人であれひとつの命を救うということはその人たちが関わる未来をも救うことだから、地味でいつ役立つかはわからないけれども、『ゼロよりは“+1”』でいいからやってほしい」「それこそFRAMEがプロデューサーの皆さんにやってほしいメッセージだと思います」と。まさにそんな願いを込めた「勇敢なるミッション、使命を君たちへ」という名前ですね。

改めて見つめ直す、FRAMEが防災分野にもたらした大きな希望と可能性

――およそ1年に及ぶFRAMEとのコラボ期間を振り返っていかがですか?

進藤氏:フリーマガジン「Plus 1」を出したあと、「FRAMEが活躍してよかったな」で終わってしまわないように、そのあとどうやって実際にそなえのアクションをしたか表現してもらうためのTwitterタグ「#ワタシ色Plus1」を作ったんです。タグの名前は私たちの目指す「自分のライフスタイルに合わせた多様性を持ったそなえのあり方」を指した「キミ色防災。ワタシ色防災。」というコピーから取りました。

すると普通、啓発イベントってやったらやったで終わりになりがちでその効果って見えにくいものですが、11月のイベント終了までに100件を超える投稿があって。教科書どおりの「こうあるべき」というそなえではなく、プロデューサーの皆さんがそれぞれのやり方で考えた、たとえば担当アイドルのグッズやフィギュアも大事にした等身大のそなえをたくさん教えてくださったんです。「#ワタシ色Plus1」を見るだけで、FRAMEとのコラボでこれまでゼロだった人たち、特に今までの防災の啓発で手が届かないことが多かった若い女性層がこれだけ動いてくれたってことがわかりますし、アイドルマスターのプロデューサーで年代も近くて性別も近い方々のそなえのあり方がこんなに一挙に集まることも初めてだったので、とても良い試みだったなと思っています。見ていてすごく面白かったです。

あと、防災分野って、これをやったから被害がこれだけで済んだのか、やらなくても一緒だったのかがわからない世界なんですね。それなのに、私たちや他企業・団体さんがFRAMEとコラボしたこの半年から1年間に、奏功事例が本当に何件も何件も挙がってきた。

そして最近は、デザイン系の学校に通ってらっしゃる方が、私たちのFRAMEとのコラボでそなえのアクションに触れたことから着想を得て卒業制作で作った未来の防災の形をテーマにした架空の製品の紹介動画とwebサイトが、賞を受賞されたりもしました。

宇宙技術で災害から身を守る未来防災「スぺ∞セーブ」
https://miraisozoten.com/hal_tokyo/works/176/

いろんな方々、特に防災分野で手薄になりがちだった若い方々に新しい動きを起こすことができた本当に稀有なコラボだったなと感じます。SNSの力もあるとは思いますが、この短期間で防災普及活動の効果がこれだけ顕在化したことは非常に興味深いと思っています。

――危機管理系団体のFRAMEとの「お仕事コラボ」がひとつじゃなかったことも大きいかもしれないですね。どこかひとつコラボだけだったら、ここまでになってなかった。

進藤氏:FRAMEの前職や特性に何かを見出したコラボ先、そこに繋がっている公的機関、アクションしてくださったプロデューサーの皆さん。連なる皆さんの想いがこんなに強くリンクしていい作用を生み出せたのはFRAMEとのコラボだったからだと感じています。私たちにとってもすごくいいタイミングでしたね。組織はあっても実績はなかった中、実質初年度がFRAMEとのコラボで本当によかったです。2021年11月にイベントを強行開催することもできましたけど、今思えばそれをしていたら私たちはもう終わってたと思います。細々とやって、話題性や集客は去年のイベントほど絶対に得られなかったはずですから。

あと、私としてすごく大きかったのがイベント両日に遠方から来てくださったあるプロデューサーさんの存在で。イベント2日目にスタッフ経由で私にお手紙をくださったんです。その方は過去に被災された経験があって、防災の分野にネガティブなイメージがあったそうなんです。被災された方は皆さんそうだと思います。でもそれが、自分の好きな「SideM」そしてFRAMEとコラボした“好き”とか“楽しい”から始まるそなえのアクションに触れたことによってプラスにとらえられるようになった、と。そなえは心が前向きになるし、自分だけじゃなく他の誰かを救うことにも繋がるいいものであると気づいたと書いてくださったんです。1日目のセレモニーでの私の言葉についても触れられていたので、おそらく1日目の夜にお手紙を書いてくださったのでしょう。

やっぱりこういった新しいアプローチで防災の啓発をやるのって絶対賛否両論あると思っていて。それでも意味があると思って、従来のスタイルの人たちから賛同されるような半端なやり方ではダメだ、いっそ「何かよくわからないことをやってる」と思われたら成功だ、ぐらいの気持ちで時間もお金もそれなりに使いながらやってきた。ただ、やっぱり迷ってた部分はあったんです。でもこのお手紙の言葉で私の中の迷いが完全に消え、「このやり方で良かったんだ」という確信に変わりました。

これはFRAMEのメンバーが想いを一緒にして手伝ってくれたからこそできたことなんですよね。私からするともはや彼らはキャラクターじゃなくて1年一緒にプロジェクトをやってきたビジネスパートナー、本当に戦友なんです。何か企画を考える時、脳内で彼らが言ってくるんですよ。握野さんなら、龍くんなら、信玄さんならこう言うだろうなというのが自然と出てくる。本当に、呑みに行きたいぐらいです(笑)。

だって、彼らもきっと叶えたい想いがあったから、競争を勝ち抜いて前職に就いたと思うんです。でもいろいろな事情があって辞めることになって……公安職は就くのも辞めるのも大変なはずなんですけど、それでも辞めてアイドルになった。そこを思うと彼らにも「本当にこれで良かったんだろうか」という迷いが最初はあったんじゃないかと思うんですよ。でも私たちと1年やっていただいて、実際に人を救ってるわけです。

災害救助には2種類あって、災害現場で人の命を救うのが直接的なレスキューだとしたら、システム構築や啓発、教育なんかは間接的なレスキューだと考えています。そして間接的なレスキューに携わる人間は、自分の行動でどれだけの人を助けられたのか正直わかりません。だから日の目を見ないしクローズアップされにくいんですが、それでも震度5の地震が起きて翌朝普通に電車が動いているのは、間接的なレスキューの道を選んだ人たちが、いろんな災害の被害から得た教訓を活かし、日々マニュアルや設計、システムを改善していったおかげなんですよ。「安全マニュアルは血で書かれている」と言われるように、そこには数多くの犠牲があり、その犠牲を無駄にしないよう生きてきた人がいるんです。
FRAMEも、国防や人の平穏を保つ直接的なレスキューに近い仕事に就いていたけれどもアイドルになったわけで。そこで私たちとコラボしてくれて、これだけの効果を生んでいるというのは、これは間違いなく間接的なレスキューです。なのでこのコラボが、彼らが今の道を選んでよかったなって思えるひとつの事象になってくれたら嬉しいですよね。

――そこまで本気でこのコラボとFRAMEに向き合ってきてくださったのだ、ということが強く伝わってきました。

進藤氏:すごくいいユニットだなと思います。セレモニーで使わせていただいた2曲も、私たち防災分野に関わる人間から見て共感できることも多いんです。たとえば “勇敢”はFRAMEがアイドルという今までにない形で人を救いたいという内容ですが、型にハマった正義じゃなくてもと歌う歌詞は、まさに私たちが目指す、教科書通りに「こうあるべき」と決められたものではないそなえのあり方にリンクしますし。夜でも笑顔になれる、という歌詞は、東日本震災の1日目の夜、3月12日未明のことを思い出してしまいます。夜、余震も起こるし真っ暗で不安じゃないですか。そんな中、NHK仙台放送局のアナウンサーさんがラジオで「明けない夜はありません」「お互いに声をかけあって暗い夜を乗り切りましょう」って放送されていたんですよ。FRAMEも、そういう気持ちを歌ったのかなと想像しました。

“Plus 1 Good Day!”は朝の情報番組のための曲ということで、いい朝が来たから皆爽やかに今日も行こうといった曲ですが、これも朝がやって来ることの貴重さ・尊さを考えずにはいられなくて。明け方5時46分に起こった阪神大震災では、いつもの朝を迎えられなかった方がたくさんいらっしゃったわけですから……朝が来るからやりたいことができる、「良かった今日も朝迎えられて!」と思えるようになる歌だなと思います。あと、そなえを啓発する立場としてFRAMEとコラボさせていただいた身からすると、全体に登場する「挑戦」というキーワードと、2番冒頭の、専門外だからって放り投げないで、という歌詞もとても目を惹きます。プロデューサーの皆さんに専門外だったそなえを学ぶ場に来ていただき、その帰りに何か小さなひとつでも始めてほしい、そしてそれをFRAMEに後押ししてほしい。今回のコラボに込めた想いそのものみたいです。防災やそなえが人の命や平穏を保つためのものであると考えたら、“Plus 1 Good Day!”はすごく深い曲だなと思います。

だから前職の、前線に出る公安系公務員としての立場はなくなったけども、その頃から持っていた彼ら自身の中にある「世の中や社会に対してこういう良いインパクトを与えたい」という想いを今はアイドルという立場で表現しているFRAMEって、その想いにすごく親近感を感じるんですよね。これは私だけではなく、おそらく他のFRAMEとコラボした危機管理系4団体の皆さんも同じだと思います。

なのでFRAMEというアイドルを生み出してくれたバンダイナムコエンターテインメントさんと、育ててくださったプロデューサーさんに本当に感謝ですよ。どちらかが依存するとか、一方が主でもう一方が従じゃない、手を取り合って未来を作っていくというのがすごく良いコンテンツですね。コラボが始まって、プロデューサーの皆さんが間接的なレスキューをする立場にもフォーカスしてくださっただけでもこの世界にいる人間からしたら嬉しいことでしたが、おかげさまで、効果が見えにくいそなえの普及活動の中で、既存の防災分野のやり方とは違う「好き」や「楽しい」から始まる防災のアプローチがここまで意味があるものだと証明できました。

それに先日3月11・12日に行われそなエリア東京さんと千葉PUSHさんが参加された「豊洲ぼうさいFestiv@l 2023」に、実は私たちも裏で協力させていただいたんです。今回のコラボがきっかけで、「好き」や「楽しい」から始まるそなえの可能性が、こうして300キロも離れた東名で連動して行えるようになったということなんです。

大げさではなく、防災分野において大きな意義のある1年だったと思っています。だから本当に感謝していて、これからFRAMEがまたどういう活躍をしていくのかわかりませんが、私たちが作った道が少しでも明るい未来に、引いては良い社会に繋がっていくのであれば、やった甲斐があるなとすごく思います。このコラボ以降ものすごく縁が広がったなとも感じており、本当にありがたい1年でした。

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THE IDOLM@STERTM& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.

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