カプコンが2023年7月14日に発売するPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam、Windows)用チーム対戦型マッシヴアクション「エグゾプライマル」のプレビュー&開発者インタビューをお届けする。
目次
“エグゾスーツ”と呼ばれるパワードスーツの能力を使っての、5対5のチーム戦。迫りくる大量の恐竜たち。そしてこの終わりのない戦いを仕組むAI“リヴァイアサン”。独自の世界設定とゲームプレイを提供する本作が、いよいよ発売まで1ヶ月を切った。本稿では、前半で製品版に限りなく近いバージョンによるプレビュー、後半では開発者インタビューをお届けする。
「エグゾプライマル」の現時点で明らかにできる魅力を余すところなくお伝えしたいと思っているので、最後まで読んでいただけたら幸いだ。
“ディノサバイバル”はネットワークテスト時より、さらにバリエーション豊かかつ、カジュアルに楽しめる
筆者は昨年、クローズドネットワークテストが行われた際に、本作のプレイレポートを書いているのだが、製品版もやはり、「エグゾプライマル」の根っこにある魅力はこのとき書いたものと変わらない。
画面を埋め尽くす数の恐竜が登場し、これを個性豊かなエグゾスーツで迎え討つ楽しさ。それぞれのプレイヤーのスーツの特性を活かした共闘感。ゲームルールを含め、最後まで何が起こるか分からないドキドキ。これらが渾然一体となってもたらされる賑やかで痛快なゲームプレイは、ほかのゲームでは味わえないものだ。
難しそうな印象を受けるかもしれない。しかし、操作はかなり直感的かつ、各能力の特徴もハッキリしているので、多くのスーツをすぐに使いこなすことができるのではないかと思う。また、ゲームプレイの多くをPvE(プレイヤーの戦う相手が、CPUが操るエネミーであること。本作におけるエネミーとは、恐竜のことだ)による競い合いが占めるので、純粋なPvP(プレイヤー同士が直接戦う対人戦)よりも気軽に楽しめる。
加えて、製品版ではファイナルミッションでPvPのルールが選ばれない設定にもできるとのことで、PvPが苦手という人にとって、よりプレイするハードルが低い、誰もが参加しやすいゲームになることが予想できる。このあたりの詳細は、後半のインタビューもあわせて読んでほしい。
今回はベータテストのとき以上に豊富なステージ、ルールで戦うことができた。地形の違いにより立ち回りが異なるのはもちろん、市街地のみならず、ジャングルや遺跡など、異なるロケーションでの戦いにより、本作の舞台である謎多き“ビキトア島”が多角的に描かれる。これは少なからず、後述するストーリーにおける、主人公たちチームが置かれている状況に対する理解にも繋がった。
対戦の終盤で選ばれるルールは、移動するオブジェクトを目的地に着くまで守る“データキー護衛”、指定されたエリアを恐竜や敵対チームから守る“アップリンクコントロール”、敵対チームと戦闘しながらフィールド上に出現するエナジーを集める“エナジーテイカー”などなど、どれもチームワークが試されるものばかり。敵対チームと協力して、10人で挑む“ネオ・ティラノサウルス討伐”もまた、ほかのルールとは根本的に異なるシチュエーションで、熱い戦いが楽しめる。
なお、今回は正式サービス前のプレイということで、生身のプレイヤーではなくBOT(CPU)と共闘、対戦を行うことになったのだが、それぞれのスーツごとに役割を分担する協力プレイの楽しさと、そこで自分のプレイが勝利に貢献する嬉しさを十分に味わうことができた。違和感があったり、無駄に思える行動は取っていなかったので、本作のBOTの思考はそれなりに優秀だと感じた。
アンロック要素やストーリーの進展も、ゲームプレイのスパイスに
プレイヤーやスーツのレベルが上がることでアンロックされていく各種要素も製品版の魅力だ。新たなスーツやモジュールの追加でゲームプレイの幅は広がり、より個性的な外見でゲームが楽しめるコスメティックアイテムは、「カッコいいエグゾスーツで暴れわまわる」という本作の根幹にある喜びを高めてくれる。スーツの種類はアップデートによる追加を計画しているとのことなので、こちらにも注目したいところ。
主人公が所属する部隊が、自分たちの置かれた状況の謎を解明し、ビキトア島からの脱出を目指すストーリーも、ゲームプレイのモチベーションのひとつとなっている。
ディノサバイバルのプレイを続けると、新たなデモシーンによりストーリーが進展。“分析マップ”の画面で“ロストデータ”を集め、“ミステリー”を解き明かすことで、この島の謎が明かされていき、リヴァイアサンによって強制的に参加させられているディノサバイバルから抜け出す方法を探ってゆく。
文献を紐解いていくことで世界設定が開示されていくのは、ゲームに没入させる手法として珍しいものではないが、ゲームをプレイするほどこれが明かされていくというサイクルに魅力を感じる人も少なくないことと思う。
チーム対戦型のオンラインゲームが好きな人には、すでにネットワークテストで「エグゾプライマル」に触れている人も多いかもしれない。しかし、製品版でのPvPにならない設定の導入や、ストーリーを追うためのゲームプレイというモチベーションが与えられている点も総合すると、本作は、よりカジュアルな楽しみ方をしたい人にこそ触れてほしいタイトルと言えそうだ。
XboxおよびWindows版はGame Passにも対応しており、加入していればゲーム自体を購入しなくとも、発売日からプレイが可能となる。自分の趣向に合うゲームか否か、判断するにはうってつけだろう。
カジュアルかつド派手でダイナミックな対戦を、まずは一度、味わってみてほしい。
ネットワークテストにより取り入れた「PvPが発生しない設定」、ファイナルミッションで選ばれるルールの法則性は?
ここからは、発売を間近に控えた「エグゾプライマル」の開発者インタビューをお送りする。質問に答えてくれたのは、ディレクターの平岡拓朗氏、アートディレクターの布施拓郎氏、テクニカルディレクターの阿部一樹氏の3名だ。
――「エグゾプライマル」は、これまでクローズドベータ、オープンベータとネットワークテストを行ってきましたが、この中でゲーム性に調整を加えた部分、とくにこだわった部分などあれば教えてください。
平岡:とくにオープンベータテストは、嬉しいことに僕たちの想定以上にたくさんの層のユーザーさんにプレイしていただきました。 当初はもっと、コアにシューターを楽しんでいる方が多くなるかなと思っていたのですが、普段は「モンスターハンター」をプレイしているような方も多く参加してくださって、幅広いご意見をいただくことができました。
その中で、とくに参考になったご意見がふたつありました。まず、“ディノサバイバル”はPvEがメインでありつつ、終盤のファイナルミッションでは「PvPも発生することがあるよ」というルールを混ぜたゲームですが、PvEと比べて、PvPは緊張感が非常に高くて、それがストレスに感じるユーザーさんも多いことが分かったんです。
製品版での大きな変更点として、プレイヤー同士が直接撃ち合うシチュエーションが発生しない設定を追加しました。
――直接的なPvPが発生しない設定では、マッチングはどのようになるのでしょう?
平岡:仕様としてはマッチングする前に、「PvPがやりたい」「PvEだけやりたい」「どっちでもいいよ」といった選択肢を選べるようにして、それぞれの条件に合った人同士でマッチングするものを想定しています。「どっちでもいい」を選んだ人は、ほかの条件を選んだ人ともマッチングします。
製品版では、ディノサバイバルの中で、ユーザーさんごとのニーズに合った、いろいろな楽しみ方ができるようになっていると考えていただければと。
もうひとつが、ユーザーさんがプレイしたデータを集積したところ、ルール的に「何をすべきか分からない」などの理由で、戦いが膠着状態になってしまう状況があると分かりました。製品版はそのあたりがより分かりやすくなるように調整しています。この点にも注目していただけると嬉しいです。
――ディノサバイバル終盤で選ばれるゲームのルールは、完全なランダムではなく、ある程度戦局などを分析した上で決定されているのでしょうか? 法則性について、現時点で言えることがあれば教えてください。
阿部:基本的にはユーザーの状況などから判断して選ばれるようになっています。マッチングした各ユーザーのストーリーの進行度ですとか、操作スキル、あとは対戦状況……いろいろなものを総合して、ゲームに搭載されたAIみたいなものが決定しているんです。
「エグゾプライマル」はAIが支配するウォーゲームという世界設定になっていますが、設定だけじゃなくて、実際のゲーム内部でもAIが動いていて、競い合いがおもしろくなるように調整してくれています。
――対戦の状況というと、たとえば実力差が大きいときは逆転しやすいルールになるといったイメージでしょうか?
阿部:技術的な話になるので詳しいロジックは申し上げられないのですが、一例を挙げるなら、そういうイメージかもしれません(笑)。最後までデッドヒートが繰り広げられて、プレイヤーが熱中できるような調整になっています。
――ゲームプレイに夢中になっていると、ディノサバイバルの最中でもエグゾスーツを着替えられるという選択肢があるのを忘れてしまいます。スーツの切り替えに関するアドバイスがあれば教えてください。
平岡:前提として、「エグゾプライマル」は自分のお気に入りのスーツで最初から最後まで遊んでいただくというのも正しい楽しみ方だと考えています。ただ、そこからもっと競い合いを意識して、勝率を上げたいということであれば、状況にあわせたスーツの変更を試行錯誤していただくと良いと思います。
例えば「硬い装甲を持つアンキロサウルスには、バラージュを使用して燃やしてひっくり返す」のように、「この恐竜にはこれが有効」といった攻略法は用意しているんです。ディノサバイバル中は、次に登場する恐竜の種類がアイコンで表示されるので、チームの誰かがその恐竜に有効なスーツに着替えるといった戦い方をしていくのが良いかもしれません。
ストーリークリアまでの想定プレイ時間は20時間弱、スーツの種類はアップデートでの追加を計画中
――アンロック要素も製品版の魅力だと思いますが、プレイを続けていてアンロックされるものの中で、とくに注目してほしい要素はありますか?
平岡:ひとつはモジュールです。これはプレイヤーレベルや各エグゾスーツのレベルが上がることで開放されていきます。モジュールを付け替えることで、アクティブスキルの性能が変わったり、単純なパラメーターが強化されるなどで、戦略も変わってくると思います。こうした育成要素をプレイの中で楽しんでいただければと思います。
平岡:ふたつ目は、ゲームを物語のエンディングまでプレイしていただくと追加される、新しいモードです。こちらは5人でチームを組んで、定期的に内容が変わるミッションに挑んでいただきます。ゲームをやり込んできた人を対象としたモードなので、クリアするのもけっこう難しいのと、クリアタイムで「世界の上位◯◯%」というランクが出るので、腕を磨きたプレイヤーにはやりごたえがあると思います。
プレイ動画をYouTubeやTwitchに投稿して「俺たちのタイムを越せるかな?」みたいにほかのプレイヤーと競い合ったりして、盛り上がってくれると嬉しいですね。
――ストーリーのクリアに掛かる時間はどれくらいを想定しているのでしょう?
平岡:ストーリーだけで言えば、20時間弱くらいで最後までたどり着けるかなと考えています。もちろんディノサバイバルは、そのあとも半永久的に遊んでもらえます。
――ストーリーの内容についてもお聞かせください。タイムスリップや平行世界といったさまざまなSF的な仕掛けが登場しますが、どういったところから着想を得たのでしょうか?
布施:「他の世界にも同じようにプレイヤーがいる」という平行世界を使った設定は、プレイヤーたちが生き残りを賭けたウォーゲームに挑むゲームとの親和性があったため、開発初期の段階で決まったことです。設定を練る上で参考にした作品もあるにはありますが、まずはゲームデザインありきで取り入れたものですね。
――では、ストーリーで注目してほしいポイントなどがあれば教えてください。
布施:一見すると複雑そうな設定に感じられるかもしれないのですが、実際に物語を紐解いていくと、割と王道と言いますか、ビキトア島の脱出を目指すシンプルなストーリーになっています。
その中で、リヴァイアサンが仕向けているウォーゲームの謎を解きつつも、そこから主人公がどうやって抜け出すのか? 注目していただければと思います。
――今後のアップデートによって、スーツの追加などを行う予定はありますか?
平岡:ゲームのリリース時から使用できるエグゾスーツは全10種類になりますが、発売後の定期的なアップデートによるスーツの追加も計画しています。楽しみにしていただけると嬉しいです。
――最後に、楽しみに待っているプレイヤーへのメッセージをお願いします。
阿部:本作の圧倒的多数の恐竜を倒すという爽快感は、なかなかほかのタイトルでは味わえないものだと思います。1万体以上が同時に襲ってくるというのはビジュアル的なインパクトも大きいですし、これに打ち勝つ喜びというのも格別です。そこに対して興味を惹かれている方は、まず触ってみて、遊んでみてください。よろしくお願いします。
布施:大量に襲ってくる恐竜をエグゾスーツの力で倒す、「メカvs恐竜」という、ありそうで無かった組み合わせをSF風の舞台で楽しめるというコンセプトは魅力的なものだと考えています。“いい意味でB級”な楽しさを感じてもらえると思います。エグゾスーツや恐竜のビジュアルから惹かれた方も、カジュアルにワイワイ遊べるゲームなので、ぜひ手に取っていただければ嬉しいです。
平岡:新規タイトルなので「どんなゲームなんだろう?」と思っている方もいると思いますが、一度触ってもらえれば、迫力のある恐竜の大群を簡単操作で打破できる気持ちよさを体験していただけると思います。遊びのコンセプトやシステムといった理論的な部分もいろいろありますが、その上で、開発者の浪漫だったり、好きなものを詰め込んだゲームになっています。
ドミネーターで自分も恐竜になれるとか、もちろんゲーム的な意味もありますけど、「恐竜になってメチャクチャに暴れられるなんて浪漫じゃん! できるようにしようよ!」みたいなアイデアを詰め込んだ、浪漫たっぷりの面白いゲームです。
発売したら、ぜひ手に取ってみてください。開発メンバーも、オンラインに飛び込んでいこうと思っています。敵として会うか、味方として会うかは分かりませんが(笑)、ウォーゲームでいっしょに遊びましょう。よろしくお願いします!