「GRAND CROSS: AGE OF TITANS(グランドクロス:エイジ・オブ・タイタンズ)」をレビュー。MMO戦略ゲームとしては珍しく、「なろう系」的な世界観が異彩を放つ作品だ。

目次
  1. 現代の学生がゲームの世界へ転生! モンスターと戦うMMO戦略ゲーム
  2. バトルはリアルタイムストラテジー形式!なんと巨大ロボも登場
  3. 「なろう系」異世界転生ファンタジーが好きならプレイする価値アリ!ストーリーだけでも魅力的な一作

「GRAND CROSS: AGE OF TITANS」は、ネットマーブルからPC/iOS/Android向けにリリースされたMMO戦略ゲーム。MMO戦略ゲームといえば、ミリタリーや正統派ファンタジー、ゾンビものなどの世界観を極力写実的に描くことが多い。そんな中本作は「なろう系」の異世界転生ファンタジー的な世界観を持っており、ビジュアルもマンガ的なテイスト。MMO戦略ゲームというくくりの中では異彩を放つ作品だ。これまでMMO戦略ゲームに触れてこなかったという人でも楽しめる作品になっているので、このレビューで是非紹介したい。

現代の学生がゲームの世界へ転生! モンスターと戦うMMO戦略ゲーム

本作の主人公は2人。メインとなるのは、現代社会で生粋のゲーマーとして生活している少年・リヒト。もう一人は、アイドル志望の少女、ミオ。ミオは、ヒロイン、あるいはパートナー的立ち位置を担うことになる。

本作冒頭で2人は現代から異世界スカイナへと転生する。このスカイナは、エルフやスライムといったファンタジーの住人たちが暮らす世界。それもそのはず、スカイナはゲーム内でかつてリヒトがプレイし、攻略Wikiまで作り上げていたゲーム「スカイナ・ザ・ブレイブ」と同一の世界なのだ。

異世界スカイナは「スカイナ・ザ・ブレイブ」と同一の世界なので、リヒトはその攻略知識を活かし、スカイナ王国を侵攻していたカオスの軍勢を撃退。これが認められ、デスティナ王女とともにスカイナ王国を復興することになる。

転生した少年少女が、現代世界での知識をもとに異世界で無双する……まさに「なろう系」異世界転生ファンタジー。しかも「なろう系」異世界転生ファンタジーの醍醐味ともいえる、サブキャラクターからの圧倒的称讃もしっかり踏襲。リヒトがゲーム知識を披露するたびに、周りのキャラクターたちが「救世主様はなんでもお見通しなんですね!」「知恵の賢者!」などとほめたたえてくれる。

筆者は「なろう系」異世界転生ファンタジーのお約束ともいえるこの、サブキャラクターからの圧倒的称讃が大好きだ。「自分にも輝ける場所がある」という希望を持たせてくれるのがイイ。誰にだって輝けるところと輝けないところがある。高度な技術力を持つスーパーハッカーであっても、電気もネットもない無人島であれば輝けないだろう。この逆に、現在の環境でどれだけ輝けなくとも、環境が変われば輝くことができるかもしれない。そんなポジティブな感覚を持てるから大好きなのだ。ちょっと気分が落ち込んでいる時に読むと、上向きな気持ちになれる。

しかも本作は小説ではなくゲームとして作られているので、リヒトはプレイヤーキャラクターという意味で自分自身でもある。なので、小説を読んでいる時よりも、「ほめられている感」が強い。筆者が単純なのかもしれないが、ゲーム内のセリフだろうがなんだろうが、ほめられるのは嬉しい!

本作は、決して上っ面だけ「なろう系」異世界転生ファンタジー風にした作品ではない。「なろう系」異世界転生ファンタジーで味わえる楽しさをしっかり再現した作品といえるだろう。

バトルはリアルタイムストラテジー形式!なんと巨大ロボも登場

ゲームシステム面は、最近のMMO戦略ゲームのフォーマットをそのまま踏襲している。大きく分けて、「領地」での内政と「ワールド」での対戦という2つの要素がメイン。

「領地」では「農場」や「製材所」といった施設から「食料」や「木材」といった資源を獲得、これらの資源を使って施設をアップグレードしたり、兵士を訓練したりして自国を強化していく。

基本的に「領地」内はソロプレイが前提となっているが、「ワールド」には他プレイヤーが存在。「ワールド」内にある資源を採取したり、モンスターと戦ったりといったことも可能だが、他プレイヤーの「領地」へ攻め込むこともできる。攻め込まれた時に備えて自国を強化するか、あるいは「連盟」を組むことで仲間になるか、あるいは課金も厭わず速攻で自国を強化しこちらから攻め込むか……といった判断が重要だ。

「最近の」MMO戦略ゲームのフォーマットとわざわざ書いたのは理由がある。初期のMMO戦略ゲームは本作でいう「ワールド」、つまり他プレイヤーとの対戦プレイが主体となっていた。しかし最近のMMO戦略ゲームでは、少なくとも序盤に関してはソロプレイが主体となっている。本作も序盤は「領地」内でのプレイが前提となっており、ゲームがある程度進まないと「ワールド」は解放されない。

本作の序盤の展開は「領地」内での内政を覚えるチュートリアル展開となっている。しかし、決してチュートリアルだけに終始するものではない。「領地」内でもモンスターとの戦闘が用意されており、RPG的なゲーム性と、ストーリー展開を味わうことができるようになっている。

「領地」内でのモンスターとのバトルは、リアルタイムストラテジー形式。複数のユニットに移動先や攻撃対象を指示し、見守るというものだ。ただ、各ユニットはプレイヤーが何も指示しなくとも自律的に動いてくれる。なので、十分に育成されていれば、ただ見ているだけでも問題ない。

ここまでの紹介を読む限りでは、ゲームシステムに関して「なろう系」異世界転生ファンタジーっぽさをあまり感じられなかったと思う。しかし、「領地」内でのモンスターとのバトルには「なろう系」異世界転生ファンタジーならではの要素がキッチリ用意されている。

まず、バトルにおいてユニットとなるのはヴァルキリーやガラハッドなど、神話や伝説の存在が美少女化したキャラクターたち。いずれもキャラクターとして高い魅力を持っているので、RPGをプレイする時のように「お気に入りキャラクターを愛でる」ようなプレイが可能になっている。

さらに、本作のバトルには巨大ロボットが登場!タイトルの「タイタンズ」が示すものこそ巨大ロボットだ。言うまでもなく、その性能は超強力。しかもカッコいい。

神話や伝説の存在とモンスター、そしてオーバーテクノロジーのロボットが混在して戦うバトルは、「なろう系」異世界転生ファンタジーならでは。これまでのMMO戦略ゲームでは考えられなかったビジュアルで、本作独自の魅力となっている。

ビジュアルという点では、本作のストーリーがコマ割りを使ったマンガ的な演出で語られるところも見どころだろう。単純に演出がマンガ的というだけでなく、演出のテンポがスピーディーなので、MMO戦略ゲームの中ではストーリー性が飛びぬけて魅力的だと感じた。

「なろう系」異世界転生ファンタジーが好きならプレイする価値アリ!ストーリーだけでも魅力的な一作

ここまで書いてきた通り、本作は「なろう系」異世界転生ものの世界観を極めて忠実にMMO戦略ゲーム化している。なので、「なろう系」異世界転生ものが好きな人であれば、まず間違いなく楽しめるだろう。特にゲーム序盤のプレイ感はMMO戦略ゲームというよりRPGなので、MMO戦略ゲームを知らないという人でもまったく問題ない。ストーリーを楽しむという前提で、是非触れて見て欲しい。

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