「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さんと、「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさんによる対談企画の模様をお届けします。

目次
  1. 「アイドルマスター」との出会いから見える、シリーズの歴史
  2. 「学マス」は繰り返しプロデュースするゲームシステムが魅力
  3. 「学マス」発表会からリリース半年までを振り返る
  4. 「アイマス」ならではのアフレコエピソードも
  5. プロデューサーが広げてくれた「シンデレラガールズ」のこれまで
  6. 三宅さんならではの収録やライブへの臨み方
  7. もっともっと「アイドルマスター」が全世界に広がってほしい
「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

プレイヤーが“プロデューサー”という立場でアイドルを育成していく「アイドルマスターシリーズ(通称アイマス)。多数のブランドが存在し、それぞれ独自の展開を行っています。

今回、Gamerでは「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(以下、デレステ)」10周年に向けた「ST@iRs to 10th Anniversary」が始動し、今なお多くのプロデューサーが楽しんでいる「アイドルマスター シンデレラガールズ」より安部菜々役・三宅麻理恵さん、そして2024年5月にリリースされて以降、破竹の勢いで盛り上がりを見せる「学園アイドルマスター」より藤田ことね役・飯田ヒカルさんの2人の対談企画を実施しました(※取材日は2024年11月末)。

2人の目線から見えてくる作品の魅力はもちろんのこと、同じ事務所(ラクーンドッグ)の先輩後輩という関係性だからこそのやり取りにもぜひ注目の上、ご覧いただければ幸いです。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」<br />安部菜々役・三宅麻理恵さん
「アイドルマスター シンデレラガールズ」
安部菜々役・三宅麻理恵さん
「学園アイドルマスター」<br />藤田ことね役・飯田ヒカルさん
「学園アイドルマスター」
藤田ことね役・飯田ヒカルさん

進行:TOKEN
文・編集:TOKEN、さとうかずや

「アイドルマスター」との出会いから見える、シリーズの歴史

――まず三宅さんから、「アイドルマスター」との出会いや、シリーズの印象を教えてください。

三宅さん:私は高校ぐらいの時期に、ネットでアーケード版の「アイドルマスター」のPVを見て、そこで流れる楽曲の「THE IDOLM@STER」を好きになりました。ただ、それがアーケードゲームというのは知らなくて、コンシューマゲームだと思っていたんです。

それで発売されるのを待っていたら、気がついたらアーケードゲームとして話題になっていて。それで大学ぐらいのときに友達が遊んでいるところを見たり、少し一緒にプレイをしていたという感じですね。ちゃんとプレイしだしたのは、Xbox 360版の「アイドルマスター」です。

どちらかというと、ずっと曲ばかり聴いていました。当時はゲームのキャラクターソングというのはそこまで多くなかったのですけど、「アイマス」はドラマCDも含めてずっとCDが続けて発売されていたので。なので、わりと音楽方面から入っていった感じです。

――時代的に、そのころだと動画配信サービスでの影響も大きかったように思いますが。

三宅さん:いや、私は違っていて。レンタルCDとかも借りたりしてずっと曲ばかり聴いていました。動画配信サービスで話題になっていたのはわからなくて、あとからみんなが話していて知ったんです。

それで私が事務所に入って初めてメインキャラを担当したアニメ作品が、アニメ「アイドルマスター」のあとに放送していたんです。自分が好きな作品でもあるので嬉しいと思いながら見ていましたし、親もその流れて見ていたので、親も「アイマス」が好きになっていったんです。

ただそのときには「アイドルマスター」は765プロダクションをテーマにしたアイドルの作品で、事務所が増えるとは思ってなかったんです。そのあとにソーシャルゲームの「シンデレラガールズ」が出たんですけど、ソーシャルゲームには疎かったので、杏(※双葉杏)ちゃんの「働いたら負け」というのが話題になっていることは知っていたのです。

それであるときに、オーディションのお話をいただいたのですけど、「えっ?アイマスってオーディションがあるんだ…」と驚いて。そして安部菜々役を受けさせていただいて受かったという……。なので、受け身というか後追いで渦中にいるような感覚でした。

「アイマス」に関してはイチユーザー、イチプロデューサーとしていろいろな入り口から見て、親しんでいるという感じです。あと「ミリオンライブ!」については、ミリオンのキャストが発表されたあとに、私が安部菜々役として決まったので、ブランドとして「シンデレラガールズ」が先なので先輩になるんですけど、私の気持ちとしては、「ミリオンライブ!」のみなさんのほうが先輩のように感じたりします。そのあともブランドもアイドルたちも増えていって、なんだか関わっているけど関わっていないような距離感と言いますが、不思議な塩梅で楽しんでいる感じです。

――飯田さんが「学マス」でオーディションを受ける頃には、もう「アイマス」がシリーズとしていろいろと展開されていた時期かと思いますが。

飯田さん:そうですね。もう有名でたくさんの方が活躍されているという認識を持っていました。

――飯田さんのアイマスとの出会いもお話いただけますか?

飯田さん:小学生のときにアニメの「アイドルマスター」を見たことがきっかけです。

三宅さん:私が頑張り始めたとき、小学生だったんだね……(笑)。

飯田さん:深夜に放送されていたんですけど、夜眠れないときがあって。たまたまテレビを付けたら、星井美希ちゃんが活躍する回だったんです。たしかメンバーが足りないというときに、マイペースな感じで喋る女の子が「私が行く」と言って、ステージを無事に成功させるという話しだったように思います。

その当時、リアルも含めてアイドルという職業に対して、あまり興味はなかったし追いかけるようなこともなかったのですけど、こんなに可愛い女の子がステージでキラキラしている姿が素敵でかっこいいという感情を抱くようになったんです。それから次の週も見てみたいと思うようになりました。それが初めての出会いですね。

そのあとだと、小学生か中学校に入ったぐらいかの時期に、動画配信サービスでずっと「GO MY WAY!!」を聴いていたんです。まだPCもちゃんと扱えていないころだったんですけど、お父さんがPCを開いているときに検索してもらって、ずっと聴いていました。それからは全部を追っていたわけではないのですけど、一番ハマったのは、三宅さんも出ていらっしゃる「シンデレラガールズ」で。高校生のときにめちゃめちゃはまっていました。ゲームもやってましたし、アニメも見ていました。そのときはもう「アイドルマスター」という作品も知っていましたし、自然に携帯に入れていて、周りの子もゲームはみんなやっていました。

――私たちの世代だと、まだ学生時代に「アイドルマスター」シリーズは展開されていなかったのですが、飯田さんの学生時代では、まわりはもうみんな知っているという状態だったのでしょうか。

飯田さん:そうですね。私のまわりに共通の趣味の友達が多かったというのもあるかと思いますけど、高校の休み時間に曲を聴いたり、イベントを走ったこともありました(笑)。

――それぞれ参加しているブランドについて、ご自身で感じる魅力も含めてお話いただけますか。

三宅さん:「シンデレラガールズ」はソーシャルゲームから生まれたコンテンツですね。ソーシャルゲームとしても黎明期に出たタイトルだったと思います。そこからライブやアニメにも展開していってます。特長は、やはりアイドルが190人いるというところで、そのアイドルたちをプロデュースできるゲームアプリ(「デレステ」)が配信されています。アイドルの人数がダントツに多いブランドだと思います。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

――飯田さんは「デレステ」はプレイされましたか?

飯田さん:もちろん! 高校のときからプレイしています。高校時代には声優を志していたので、「シンデレラガールズ」のいろんなアイドルのコミュを、そのアイドルっぽく読むということを楽しくやっていました。

三宅さん:あるある(笑)。

――「シンデレラガールズ」における飯田さんの担当アイドルはいらっしゃいますか?

飯田さん:一番は杏(※双葉杏)ちゃんですね。

――どういったところがお好きなんですか?

飯田さん:単純に見た目が可愛い。私はわりとちっちゃくて可愛いキャラが好きになりやすいところがあって。着崩したお洋服に愛くるしい声、そして「働きたくない」と正直に言ってしまうところ。それでいて、ステージに立っているときの杏ちゃんはちゃんと仕事をしているところが偉いなと思えるし、応援したくなります。「シンデレラガールズ」では、最初に好きになったアイドルですね。

――そこからは、ブレずに杏一筋という感じですか。

飯田さん:いやいや、もうブレブレです(笑)。触れていくうちに、他にも好きなアイドルはたくさんできていって。ガシャのときも、その子だけ回すというのではなく、この子が好みだから回そうみたいな感じで。必然的に好きになっていってしまっているという感じです。

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――ありがとうございます。それでは「学マス」についてお話いただけますか。

飯田さん:初星学園を舞台にして、アイドルになりたいという気持ちを抱いて入学してきた生徒の物語になります。ゲーム自体は登場するアイドルからひとりを選んで、アイドルと1対1で向き合いながらプロデュースしていくかたちです。一度プロデュースを始めたら、基本的に最終試験が終わるまではその担当アイドルだけをプロデュースする形なので、プロデューサーとしては、ひとりひとりへの熱量が高くなるような内容になっています。「初星コミュ」では信号機の3人(※花海咲季、月村手毬、藤田ことね)を中心としたストーリーが展開されています。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

――「学マス」はアイドルとプロデューサーが1対1で進めていく内容ですし、繰り返しプロデュースしていく内容なので、ひとりに対しても思い入れが強くなるようにできていると感じています。

飯田さん:そうですね。あとリズムゲームではなくカードゲームのような形式になっています。いろいろと計算しながらレッスンとか進めていくのですけど、最初はなかなかうまくクリアできないところもあります。繰り返しプロデュースするなかで、アイドルがうまくいかない姿も見せることがありますけど、そこにずっと向き合っていくからこそ、得られる達成感があると思います。歌やダンスに変化があって成長を感じられるライブステージもありますし、そのうえでTure endを見るとすごく感動できます。

――三宅さんの「学マス」における担当はいますか?

三宅さん:明確に担当というのは難しいんですけど、なんだかんだ広(※篠澤広)の新しいカードが登場すると、出るまでガシャを回してしまうところがあります。

「学マス」だと1対1の関係なので、アイドルによってプロデューサーとの関係性や接し方がそれぞれ違うんですよね。なので、ことねとプロデューサーというか、ことねをプロデュースしているプロデューサーが好きなんです。このプロデューサーを見ていると、これがスパダリ(※「スーパーダーリン」の略。ハイスペックな男性を指す表現)なのかなと。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

飯田さん:ああ、そうですね。

三宅さん:なんでもしてくれるじゃないですか。ご飯もお仕事もお世話も。まさに王子様じゃん、って。しかもちゃんとことねは応えてくれるし、しっかりプロデューサーに好意を示してくれる。広も好きだし、広とプロデューサーの関係性も好きなんですけど、私は“ことねとプロデューサー”というパッケージが好きというか。「めちゃめちゃかっこよく見える、私(プロデューサー)」と感じられるところがいろいろあって面白いです。

飯田さん:なんとなくですけど、寡黙な感じのプロデューサーがイメージされやすいと思うんです。でも「学マス」だと、アイドルによって自分視点というか、プロデューサー目線として全然違うことを言っているというのはありますね。

三宅さん:最近プロデュースが可能となった十王さん(※十王星南)のプロデューサーだと、すごいできる人に見えるじゃないですか。少し見え方が違う感じがします。「学マス」は、プロデューサーというキャラクターの軸はあると思うのですけど、どこまで軸が定まっているのかがわからなくて。でも、それぞれのストーリーとして楽しめるのが全部いいなと。

――単純に決められない感じですか。

三宅さん:広が好きというのはありつつも、アイドルとプロデューサーという関係性で見てしまっています(笑)。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

――それぞれ演じられているアイドルについて、紹介しつつ魅力も語っていただけますか?

三宅さん:安部菜々はウサミン星からやってきた、メイド喫茶でバイトしている永遠の17歳で、崖っぷちのアイドルです。……という説明で書かれていますし、私が紹介するときもこの説明で言っているのですが、ソーシャルゲームから始まったところもあるのか、自己紹介がすごく凝縮されているんです。なので、ソーシャルゲームのセリフが一番説明していて、体をなしている。だから毎回同じことを言ってしまうのですけど、それだけソーシャルゲームでの説明やセリフが秀でているんですね。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

飯田さん:ことねちゃんは、アルバイトにいそしみながら、アイドルという職業で大金持ちになりたいという気持ちを持っている、お金を理由にアイドルを目指した女の子です。中等部からアイドルを続けているのですが、劣等生で全然成績も悪い。このまま進んでも、卒業までに結果が出なかったら終わりというか、アイドルでお金持ちになると決めているので、ことねも崖っぷちアイドルですね。

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――安部菜々も藤田ことねも、崖っぷちだからこそ描かれているエピソードがコミカルに見せる部分もあれば、崖っぷちな状況に対して向き合ったような話もあって、そこが面白いですよね。

飯田さん:結構重なる部分も多いと感じてます。

三宅さん:それぞれ真剣で崖っぷちという感じですね。

「学マス」は繰り返しプロデュースするゲームシステムが魅力

――飯田さんから見て、「学マス」の魅力はなんでしょうか。

飯田さん:まずは、個性が強すぎるアイドルたちでしょうか。「学マス」はアイドルと1対1の向き合うことが多いので、この子がいいなと思ったときの突き刺さり具合がすごくあると感じています。

あと、個性はバラバラでもみんな向いている方向は同じというか、それぞれにいろんな理由はあるけど、アイドルになりたいという夢を持った背景などのストーリーがいいと思っています。楽曲もアイドルのストーリーを体現しているところもありますし、その楽曲を通して担当アイドルを決めていただいてもいいのかなと思ってます。

世界観としても学園を舞台にしていることもあって、成長過程を見ることができるのも魅力ですね。できないことや失敗するところを何度も見るというのが、自分がプロデューサーとしてこのアイドルを育てている、一緒に頑張っているという気持ちになれるゲームです。

――三宅さんはいかがでしょう。

三宅さん:ぱっと見で可愛いというのがまずあったんですけど、コミュで描かれるストーリーが面白いと思います。感動したのが、リリース直後からリアルタイムで遊んでいたのですけど、プロデュースしたときに仲良くなって初めて教えてくれたり、わかることがあるじゃないですか。でも、初星コミュで咲季、手毬、ことねの3人がやりとりするなかで、まだそこまで仲良くなってない段階でも教えるところに、リアル感があって新鮮でしたね。

女の子のちょっとした秘密というのが、実際にプロデュースした人だけだったり、新愛度があがっていくとわかるというのがあると思うのですけど、そういうのを初星コミュで、3人がユニットを組んで頑張るというなかで、すぐに出すというところに衝撃を受けたんです。この人には言えたりまだ言えなかったり、プロデューサーにも言える言えないというものもあるはずで、違う信頼関係を築けているのが面白いと。そういう物語の描き方をする作品は見たことがなかったので、説得力が感じられて面白かったです。

――ゲームのなかに複数のストーリーラインがあって、アイドルのプロデュースもありますが、気軽に見たいという人にとっては、初星コミュを見ることで世界観やアイドルのことについてわかるというのは、新しいと感じました。

飯田さん:少なくとも初星コミュを見れば、それぞれの性格とかはすごく表れているので、まずこの初星コミュを見ていただけると、学園の背景やアイドルの様子は伝わると思います。その上で、結構極端ではあるのですけど、アイドルには表しかない子と裏表がある子がいて、プロデュースすることによって知っていくという楽しみがあります。

三宅さん:メディアミックスの作品で、アニメから入ってゲームをプレイするとより知れる、というのがあるじゃないですか。それの今のかたちなのかなと思います。

――入り口の広さというのは「学マス」の大きな魅力だと感じます。

三宅さん:育成のシナリオも初星コミュも両方面白いです。

あと、何回も繰り返しプロデュースするゲームシステムですね。私は「学マス」のようなシステムのカードゲームは好きですね。周回して何度も挑戦するというシステムと、成長のストーリーがかみ合っていると思っていて。特にプレイしはじめのときは失敗するけど、少しずつストーリーは進むようになっていて。それで最終プロデュース評価でA+をとって親愛度10になったときに見るエンディングは、どのアイドルでも泣いています。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

飯田さん:わかります!

三宅さん:すごいなと。全部泣けるし、みんな好きになる。

飯田さん:本当にそうです。

三宅さん:それに曲もよくて、映像もきれいだし。やっぱりPライブも、実際のライブでこういう演出とかやってくれるといいなと思えますから。まだ「学マス」としてのライブはそこまでやっていないですし。

飯田さん:「DEBUT LIVE 初 TOUR」だけですね。

三宅さん:お披露目的な感じだと思うので、これからいろいろと、プロデューサーさんも私も夢と希望が広がって、ワクワクします。

飯田さん:楽曲とライブの映像もアイドルの特長が現れていて。ことねだったら“可愛い可愛いアイドル”ですね。顔が可愛くて自分のルックスもわかっているので、可愛らしく愛くるしい感じが伝わってくるようなキラキラなステージで、楽曲も元気で可愛い曲と。逆に咲季だと女性の方にも刺さるような強めの曲ですよね。結構かっこいい曲が好きという女性の方もいらっしゃるので。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

初めて3人がお互いの曲を聴きあったときに、違いすぎて動揺するぐらいだったんです。咲季はかっこよくて、手毬だとシンガーソングライターとは違うのですけど、それをイメージさせるぐらい、独壇場と言わんばかりに歌い上げて、そしてことねは“ザ・アイドル”。3人がメインとなっている初星コミュがあることも最初の時でわかっていたので、こんなに違うアイドルなんだと。キャストとして楽曲を聴いたときも、こんなにジャンルが違うのかと驚きました。

――「学マス」のソロ曲は、正直こんなに違うというぐらい、みんな違いますよね。

三宅さん:ずっと「コントラスト」(※広のソロ曲)を聴いています(笑)。広の曲は不思議な曲ばっかりだな……と思って聴いていますね。あと曲で言うなら、直近ではずっと星南のプロデュースをしていたんですけど、最初にYouTubeで公開されたプロモーションビデオ「Choo Choo Choo」と、実際にゲーム内で登場した楽曲「小さな野望」が違ってたんですよね。「Choo Choo Choo」は、それこそかっこよさ全開で女性が憧れるような曲になっていたけど、プロデュースすると壮大な曲の「小さな野望」になっていて。

私は、おそらくファンが求めているのは「Choo Choo Choo」のほうだけど、星南が見せていきたい姿というのが「小さな野望」だと感じられたんです。それを両方制作して世に出すという思い切りが面白いです。

――ほかのアイドルも、ファンの前で披露する曲と、内面にフォーカスした楽曲があるように思いますし、たしかにこれまでにはあまりないような気がします。

三宅さん:なんだか全てのニーズに応えようとしている姿勢を感じます。

飯田さん:どの楽曲もストーリー性が強いのがいいなと思います。

「学マス」発表会からリリース半年までを振り返る

――飯田さんに、「学マス」のタイトル発表会のときのことをお聞きしたいです。そのときはメディアを招いての発表会、プロデューサーさんに向けた生配信(※3月5日の「アイドルマスター」シリーズ「新ブランドアプリゲーム発表生配信」)がありました。「アイマス」シリーズで、場をちゃんと用意してのタイトル発表会はあまりなかったような気がします。

飯田さん:生配信の前に取材という形で、メディアのみなさんの前で「学マス」の発表と紹介があって、質疑応答もありました。

三宅さん:キャストにも質疑応答があったの? 何を聞かれたの?

飯田さん:えっと……全然覚えてないですけど、たしか役に決まったときの心境や、演じるアイドルについての印象だったような気がします。

三宅さん:アニメの記者発表会みたいな感じだった?

飯田さん:そうですね。

――飯田さんも含めてキャストの方は、事前に告知なく登場するというところで緊張感があったのではと思うのですけど、そのあたりはいかがでしたか。

飯田さん:たしかに発表会のときは、見えない部分でもあったので「こういうことをするんだ……、きっと他の作品でもこういうことをするんだろうな……」ぐらいの心境で。3人(※花海咲季役の長月あおいさん、月村手毬役の小鹿なおさん、飯田さんが参加)で、借りてきた猫みたいな感じでした。わりと生配信よりもそちらのほうがカチコチだったかもしれないですね。

――発表会や生配信を振り返って見て、当時の心境を教えてください。

飯田さん:緊張というよりは、うれしさのほうが7、8割というぐらいに大きかったです。あおいちゃんとなおちゃんも一緒だったので、ずっと一緒にいて、お互いに「やっと言えるね」と言っていたり、身だしなみをチェックして「大丈夫、可愛いよ」と言ったり(笑)。うれしさをずっと共有していたので、緊張していないつもりでした。ただ、あとで生配信のアーカイブを見返したら、結構カチカチだったので、やっぱり緊張感はプロデューサーさんに伝わってしまったのかなと。でも、うれしいという気持ちが3人とも大きかったです。

――三宅さんは、生配信をご覧になっていましたか?

三宅さん:リアルタイムで見ていました。やっぱりアイドルもそうですけどキャストも気になると思っていたら、同じ事務所のヒカルちゃんが出てきて「やった!」って(笑)。やっぱり自分が関わっているシリーズに、同じ事務所の役者がキャストとして関わるというのはうれしいですから。だから、全く関係無いのに、思わずXに「うちの後輩です」みたいな、「シンデレラガールズ」で私のことを知っているプロデューサーさんにも知ってほしいと思って、よくわからない喜びを書いて投稿しました。

やっぱり、ヒカルちゃんにはいっぱい頑張ってほしいなって。私も「シンデレラガールズ」に決まってから、いろいろな経験や体験を現在進行形でさせてもらっているので。特に作品の初期からとなると、役者もスタッフと一緒になって作り上げていく部分も多いと思うし、長くつきあうことになると思うから、のびのびとコンテンツを盛り上げていってほしいなと。またいろいろお話できるといいなと思っています。

――「DEBUT LIVE 初 TOUR」では、長月さんと小鹿さんと3人で回られるということで、コミュニケーションも取りながら取り組まれたと思いますが、どういったやりとりを2人とされていたのでしょうか。

飯田さん:レッスンの初期はやはりボロボロでしたね……。ただ、2人とは「初 TOUR」の前から連絡を取り合う仲だったので、あの合格発表でドッキリされて(※何も知らされず最終選考としてそれぞれ呼び出され、カメラが回っているところで合格が伝えられた)、それから連絡をお互いにしていて、初ツアーのときにはもう仲良しという感じだったので、気兼ねなくお互いにアドバイスしていました。

ただ、ステージに立つこと自体、あおいちゃんとなおちゃんは初めてだったみたいなので、特にアドバイスをしたわけではないのですけど、一緒に不安とかを共有しあって。あと、用意していただいたレッスンだけではなく、お互いに連絡をとって、自主レッスンもたくさんやった思い出があります。

――「学マス」がリリースされた半年が経過しました。役が決まってからだと長かったと思いますけど、今振り返ってどのように感じていますか。

飯田さん:私としては、ストーリーやアイドルたちが素晴らしいということはわかっていました。それがリリースされて、みなさんの反応とか反響とかもすごくあって、それが伝わったのがうれしいですね。

「学マス」をプレイしているみなさまが「学園アイドルマスター」をすごく好きになってくださっているのを見ていると、純粋にキャストとして良かったですし、声優としても一緒にサポートできてよかったと感じています。

リリースしてからプロデューサー業にいそしみながらも、プレイしている方の実況配信などはよく見ていました。あとアイドルの名前で検索して、どんな印象を持ってくれているのか反応を見るというのもめちゃめちゃしていて、本当に温かい反応ばかりでした。こんなにプレイしてくださってうれしいと感じつつ、すぐに「初 TOUR」があったりしたので、ぎゅぎゅっと詰まった半年間でしたし、あっという間ですね。

三宅さん:「学マス」が発表されてから、配信番組とかに出ていたと思うけど、熱量だったりコメントに変化はあった?

飯田さん:コメントもすごくたくさんいただいてますし、タイトルが発表されたあと1st SingleのMVがどんどん公開されていったのですけど、そのコメントがすごく泣けるんですよね。伝えたかったことをちゃんと受け取ってくれていることを実感できるんです。自分のモチベーションをあげるのに、今でもコメント欄を見にいくぐらいです。みなさんの温かい反応を見て、幸せを感じた半年でした。

――三宅さんから、いちプレイヤーと言いますか、いちプロデューサーとして見た「学マス」の半年間はどうですか。

三宅さん:私は、「学園アイドルマスター」とタイトルが発表された段階で、楽しそうだなと。新情報が発表されていくたびに、面白いだろうなと。勝手に“絶対名作面”をしていました(笑)。私もみんなもハマって嬉しいと感じてます。

――「学マス」に関して、ほかに触れておきたいことはありますか?

飯田さん:半年を振り返るなかで、お話したいことがありまして。ことねちゃんの1st Singleの「世界一可愛い私」はHoneyWorksさんが制作(作詞・作曲・編曲)された曲なんですが、私、中学生のころからHoneyWorksさんの大ファンで、ずっと曲を聴いていたんです。歌うことが夢とも思っていなかった時代から好きなアーティストさんが作ってくださった曲を、歌えるということが信じられなくて。曲についてもあらかじめ用意されてあって、突然「今日これから聴きます」と言われて、しかも歌詞のところにHoneyWorksさんのお名前があって。本当に「え?え?」という感じでした。

自分が動画配信サービスでよく見ていた踊り手さんが、実際に「世界一可愛い私」の踊ってみた動画を投稿されていたりして。そういったところでも反響の大きさを感じます。

三宅さん:収録のとき、HoneyWorksさんには会えたの?

飯田さん:会えてないです。

三宅さん:挨拶したいね。

飯田さん:そうですね。機会があればお礼を言いたいです。

――せっかくなので、マンガの「学園アイドルマスター GOLD RUSH」についても伺いたいのですけど、リリースされてすぐに演じられているアイドルをメインにしたコミカライズ作品が出るということもそうそうないと思いますので、ぜひ感想をお話ください。

飯田さん:「学マス」の情報量が多いなかではありますが、突然ことねを主役にしたコミカライズが始まりますということを言われたんです。ゲームに加えてコミカライズでも違った視点で描かれることは面白いですし、ことねを演じる者として素直に嬉しいです。私も見たことのない、知らないことねが見られるのではという期待もあります。連載だけでなく、コミックスの第1巻発売も決まっていて(※2025年2月7日発売予定)、さらにコミックスの世界線としての新曲もあることもうれしいです。

マンガでは、犬束静紅(以下、犬束P)という女性のプロデューサーさんなんです。関係性もプロデュースの考え方もゲームとは違っていて。ことねが持つお金持ちになりたいという気持ちは一緒なのですけど、接し方ひとつとっても、こんなにも変わるのかと思うところがあります。これからの展開も楽しみです。

――ゲーム内で描かれていることと重なっているところはありつつ、コミカライズするにあたっての描き方がすごく考えられている作品と感じられます。

飯田さん:そうですね。それこそ序盤で家族の様子が出てきていますし、幼少期のことねが出てきてアイドルに憧れる描写もあって、ゲームでは見られないところでもあります。ことねをプロデュースしたことのある方は絶対に読んでほしいです。

三宅さん:これはチャンピオンでしたっけ。

飯田さん:週刊少年チャンピオンです。

三宅さん:「シンデレラガールズ」のほうは、月刊少年チャンピオンで連載されていたんですよね(※「アイドルマスター シンデレラガールズ WILD WIND GIRL」)。そちらでも、マンガとしての新曲やドラマが収録されたCDもありました。私も安部菜々役として一度出させていただいたのですが、マンガの世界にいる安部菜々という立ち位置で演じられたのが、すごく新鮮で面白かったことを覚えています。「学マス」のマンガでも歌やドラマも含めていろいろ展開していくと、また新たな世界が開けていくと思いますし、犬束Pとことねのやりとりが音声で行われるようなことがあれば、それはまた違った演じがいも出てくると思います。

飯田さん:あと第1話は、大先輩である765プロダクションのアイドルさんたちが記者会見しているところから始まるのですけど、注目しているアイドルにことねちゃんを挙げているんですね。すごいことねちゃんひとりが注目されているような感じに見せていて、最後のほうでは、ことねだけではなく広と麻央(※有村麻央)もいるうえに、犬束Pもアイドル衣装を着て入っているんですよね。それを最初に見せられているので、まだことねがちゃんとしたステージにすら立てていない状態から、どうやってそこまで行くのかが気になってしょうがないですし、いち読者として楽しみです。

「アイマス」ならではのアフレコエピソードも

――三宅さんから飯田さんに聞きたいことはありますか?

三宅さん:そうですね。私が「デレステ」向けのボイスを初めて収録するときに、開発中のものを見せていただいたことがあったんです。当時はスマホ向けのリズムゲームというのはそこまで出ていなかった時代で。私もあまりピンときていなかったのですけど、ゲームを見せていただきながら、こういうタイミングで声が出るので、こういう感じでセリフを言ってほしいみたいなことが結構あって、それで実際にプレイしてみてこういうことだったとわかったこともありました。そういったものが「学マス」でもあったのかなと思って。

飯田さん:「学マス」に関しては、ゲーム開発の真っただ中のときに、同時進行で楽曲のレコーディングや、アフレコの収録をやっていたので、開発中のものは見せていただいておりました。

ただ、ゲームそのものというところではリリース直前に少し触らせていただいた程度で、リリースされてから実際にプレイをしてみると、あまりにクオリティがすごすぎて、びっくりしましたね。

三宅さん:初星コミュは、アイドルたちが動いている映像はあったの?

飯田さん:そうですね。収録の順番としては、まず楽曲のレコーディングをしつつ、個人のコミュを収録してから初星コミュだったので、そのときには今ゲームに収録されているような3人の映像が用意されていました。

三宅さん:じゃあ、もうアニメのアフレコに近い形でできているんだ。

飯田さん:そうです。それは今もそうで、ほぼほぼ完成した状態の映像を見ながら声をあてています。

――アイドルたちはゲームの3Dモデルですけど、アニメ映像といっても差し支えないものですよね。

飯田さん:見ている側もアニメのような感覚でストーリーを楽しめるものだと思います。初星コミュのなかでは布団をかけるシーンがあるのですけど、収録前に映像を見て、こんなこともできるんだ……今の技術はすごいと驚きました。

初星コミュの3人はすぐけんかするぐらいぶつかるのですけど、そのなかでことねはバランサー的な立ち位置にあって、一緒に収録させてもらうことで、けんかの熱量やバチバチ感とか、実際に2人が目の前でけんかをしているからこその仲裁という感覚も出せてリアル感ありましたし、収録もやりやすかったです。

――ゲームの収録は個別に行われることが多いと聞きますが、「学マス」ではみなさん一緒なのでしょうか。

飯田さん:初星コミュだったりイベントコミュは、基本的に一緒に収録しています。

三宅さん:「デレステ」も、イベントコミュは一緒に収録しています。もちろんスケジュールがあわないときは抜き録り(※別に1人だけ収録すること)はありますけど。たしかに、集まって収録というのはゲームでは珍しいと思います。他のブランドさんのことまではわからないのですが…。

――伺っていると、「アイマス」シリーズとしては、集まって収録したほうがいいものが録れるという考え方なのかもしれませんね。

三宅さん:(飯田さんに向かって)アイドルごとのコミュを録ったあとに初星コミュを録ったという話をしていたけど、ゼロとまではいかなくても、一旦リセットするような切り替えが必要となってくるように思うけど、難しくはなかった?

飯田さん:そうですね。実際に難しいところでした。ことねに関してはお金に執着するところだったり、あとはツッコミについても、プロデューサーに対してと、咲季や手毬に対してとは、全く温度感が違うので。収録は複数を連続で行うこともあるのですけど、多分激しくツッコミを入れるのは初星コミュのほうなんですけど、そのあとにことね単独のコミュを収録すると、プロデューサーに対してとは違うというご指摘をいただくことはあります。やはりことねのなかにも接し方に違いがあるというところですね。

三宅さん:私が安部菜々役として収録するとき、特に歌のときがそうなんだけど、キュートタイプということもあって「とにかく可愛く」「もう少し可愛く」というディレクションが必ずというぐらいにあるんですね。ヒカルちゃんがことねの収録をするときに、よくあるディレクションや、これを大切にしていると感じられるディレクションはあったりする?

飯田さん:そうですね……たびたびに言われるのは「猫をかぶろう」ですね(笑)。これはよく言われます。一方で初星コミュなど、咲季と手毬と話をしているときは、もう序盤の段階からことねの猫をかぶっているところが外れていて、プロデューサーがいなければ素の状態で喋っているという感じです。

個人の親愛度コミュが10話分あって、そこで細かく作られているので、親愛度に関わるところは何度も収録し直しました。ことねに関しては、親愛度が上がっていかないと話してくれることも少ないので。プロデューサーの前では、ことねは素も出すところもあるけど、最後まで猫をかぶるというところがあります。

素が出たら終わりではなく、あくまでプロデューサーには、ずっと自分のことをプロデュースしてもらいたいというスタンスなのが、ことねなので。プロデューサーを前にして素が出て全力ツッコミをするところがあるのですけど、例えばゲーム内にも、アイドルとして糧になるお仕事を持ってきたと言われて、きぐるみショーだったというところで「どこが糧になる仕事なんですか!」ってシーンがあると思います。

そういう素の口調も出てしまうけど、最後まで可愛いアイドルであること、プロデューサーの前では可愛い女の子として振る舞うということは、ずっと言われていますし、心がけているところですね。

プロデューサーが広げてくれた「シンデレラガールズ」のこれまで

――ここからは「シンデレラガールズ」について伺っていきたいと思います。先日「デレステ」が10周年イヤーに入り、そもそもソーシャルゲームとして立ち上がってから、そして三宅さんが安部菜々役を務めるようになってから10年以上が経過しています。いろいろな出来事があったと思いますけど、印象的なものをピックアップしてお話いただけますか。

三宅さん:私が安部菜々役に決まったとき、どういう展開をするのかわからなかったですし、そもそも展開があるということすら想像ができなかったです。ゲーム内で流れるカードの音声を収録したり、あとソロ曲の入ったCD(※「THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 018 安部菜々」)を1枚リリースして終わりという認識だったんです。

そこから合同ライブ(※「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2014」)に出させていただけるお話をいただいて、いい記念だ……と思っていたら、「シンデレラガールズ」でも単独ライブ(※「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1stLIVE WONDERFUL M@GIC!!」)を行うと言われまして。そのときは「私たちだけでやるの? できるのかな……?」という心境でもありましたし、空気感もあったと思います。

「シンデレラガールズ」のプロデューサーさんは来てくれるというけど、本当にやりきれるのかとか、楽しんでもらえるものを出せるかどうかわからないけど、すごくきれいな舞浜アンフィシアターを会場として用意してくださったので、なんとかやるしかないと。それで慌ただしくしているところに、TVアニメをやりますという話があり、TVアニメが一段落したと思ったら「デレステ」が始まったという……。

なんというか、次々と展望ができていったという感じで、プロデューサーさんたちが広げてくれて、展望する場所が作られていって、ずっと手を引かれている感覚で。気がついたら10年以上が経っていたというという感じですね。これだけ続くことも想像できなかったですし、何年続けばいいという想像すらしたことがなかったので、素直にすごいな……と。そんなに経ったんだ……としみじみしてしまいます。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」安部菜々役・三宅麻理恵さん×「学園アイドルマスター」藤田ことね役・飯田ヒカルさん対談企画の画像

――飯田さんはライブを実際にご覧になったことはありますか?

飯田さん:全部ではないですが普通に見ていましたし、それこそ「学マス」が決まってからは先輩の背中を見て学ぶということで、拝見していました。

もちろんゲームも大好きなんですけど、本当に「シンデレラガールズ」さんのライブは本当に毎回すごいなって思っています。それぞれのライブやツアーによってテーマが決められていて、それに合わせたすごい豪華なセットだったり、お衣装だったりが本当に毎回きらびやかで、シンデレラガールという言葉に合うような“憧れ”の気持ちでずっとライブを見ています。

三宅さん:ライブの違いでいうと、「シャイニーカラーズ」はユニット曲やソロ曲を結構同じメンバーで披露されて練度を上げていくじゃないですか。「シンデレラガールズ」はソロもあるけど、ソロも他の人と歌ったり、ユニット曲も全く違う人だったり、例えば同じメンバーでも歌割りや立ち位置を変えたり、全く一緒ということが本当に全然ないから、毎回新しい感じ、新しい状況に置かれ続けて、けれどもそういうものとして10年以上やってきました。「学マス」は今のところソロ曲と3人での楽曲とかだから何度も同じ歌を歌いこんでいて、ライブの育て方とかがいろいろと違って面白いなと。

飯田さん:それこそ、「デレステ」のゲームとかだと全ての楽曲でユニット編成ができるじゃないですか。自分の好きなアイドルにこれを歌わせようとか、いやこの子も合うんじゃないかと意外な子をユニットに編成して、その楽曲であまり見れない表情を見たりできるのがまたすごく好きなんです。なので、ライブでまたぜんぜん違うメンバーで歌ったりするのは、ゲームと重なって嬉しいなと思いました。

三宅さん:元々私が飽き性なのもあって、毎回同じ曲でもテーマに引っ張られて、お祭りっぽくするならお祭りっぽい歌い方にしましょうとかいう演出になるから、同じことを何度も練度を上げていくのは自分には向いてないなと思っています。やっぱりもう適材適所ってありますし、たまに「シンデレラガールズ」の中でも言うんですけど、私は「シンデレラガールズ」じゃないと続けられなかったと思っていますし、ライブや役柄の幅とかも伸ばす「シンデレラガールズ」のやり方が性に合っていたのかなと思います。

飯田さん:でもそれだけライブごとにメンバーが変わったり、いろんな曲を歌ったりというの自体も、長い歴史で積み上げられてきたたくさんのアイドルたちとたくさんの楽曲があるからこそ、毎回新鮮なステージを見させてもらえているなと思います。

――そういうところからもブランドごとの色が出ますね。

三宅さん:演出さんによってもそれぞれ違うと思うのですが、やっぱり「アイマス」の現場は収録もそうですが、演者の意見とかも聞いて組み上げてくださったり、ブラッシュアップしてくださることもありますね。やっぱり演者、スタッフによっても作品性ってそれぞれ特色が出てきますし、「シンデレラガールズ」は今こんな感じっていうのができているとは思うのですが、「学マス」もゲームやライブがこれからどんな風になっていくのか、すごく楽しみだなと思ってみています。

――先日「デレステ」の10周年に迎えた展開などがいくつか発表になりましたが、気になるものはありましたか?

三宅さん:「アイドルマスター」全体でコラボが増えていますが、私Gamerさんの記事(※ゲームコラム「マリエッティのゲーム探訪」を連載中)の画面スクショの切り抜きとかでお絵かきソフトの「CLIP STUDIO PAINT」を使ってたので、今回のコラボが発表されて、スタッフさんや自分が曲を聴いていたクリエイターの方と一緒に仕事したりするだけでなく、自分が公私で使っているツールとも関わることができるんだと思って、感動していました。

――楽天スーパーポイントスクリーンとのコラボでも安部菜々は登場しますし、本当にいろんなコラボがありますよね。

三宅さん:そうなんです。先方さんの商品に合わせたアイドルがピックアップされていますよね。私は収録がないと知ることがないので、「えっ、この作品にコラボしていただけるんだ。嬉しい~」「このお店行ってたな」というのがありますし、なんならプロデューサーさん方が先に知っているかもしれません(笑)。

飯田さん:本当にコラボ豊富ですよね。「学マス」もスイパラ(スイーツパラダイス)とかカラオケまねきねこさんとコラボさせていただいているのですが、私も声優は仕事の合間にカラオケがあったら良く行くもので、まねきねこさんめちゃくちゃ使っているので、三宅さんも仰っていたみたいに、自分が普通にユーザーとして利用している会社さんと好きなものがコラボしてくれたらめちゃくちゃ嬉しいですね。

インタビューに際してお二人に持ち寄っていただいたグッズ。
インタビューに際してお二人に持ち寄っていただいたグッズ。

三宅さんならではの収録やライブへの臨み方

――飯田さんから三宅さんに聞いてみたいことはありますか?

飯田さん:山ほどあります……! 私もさっき聞いていただいたようなことを聞きたくて。安部菜々ちゃんのストーリーを見ると、本当にアイドルとしての世界観が強くて、めちゃめちゃプロだなと感じるんですよ。だからその可愛いアイドルの先輩として、ウサミンの歌やストーリーを録っている時に心がけていることをお聞きしたいです。

三宅さん:可愛くやってくださいと言われたら可愛くやらないと、っていうのは心がけてはいるんですけど、可愛くなかったり、ちょっと足りなかったら可愛くしてくださいってディレクションをもらうと踏まえて、違う方向を伸ばしてかまします(笑)。

いわゆる汚いリアクションとかもそうだけれど、ここまで膨らませてもいけるかなというのを音響監督さんに1回かまして、それはちょっと…と言われたらそうですよね、という感じで引き出しを多めに持っていきつつ、もしかしたら新しい引き出しを増やせるかもなと。膨らませられるところは膨らませて、その上でちょっと整えてもらってという感じです。

飯田さん:可愛いは大前提として、ほかの魅力も広げてってことですね。

三宅さん:作品によっては難しいとは思うんですけど、私だけでなくみんなで安部菜々というアイドルを作っているから、私が理解しきれないところはあるけれど、私は一旦こういうアイドルだと思います、っていう会議をしに行くという習慣です。それが活かされるときもあるし、もうちょっと可愛くしようかと言われるときもあるけど、長く収録していくからこそできる信頼関係が「学マス」でも絶対あると思うので、いろいろやってみたほうがいいなと。

飯田さん:たくさん遊んでみます。(遊んでみることで)確かに面白い場面というのはありますもんね。

三宅さん:先輩方もそうですけど、結構演者の要素を入れたりする時もあるし、演者の方のお芝居の特色がアイドルに段々入っていくというのもあると思うので、ヒカルちゃんが入っているなというのがさらにあってもいいかもね。ことねちゃんと違い過ぎたらきっと止めてくれると思って、もっともっと面白い魅力があるんじゃないかなみたいにやっていったらいいと思います。

飯田さん:冒険心を持ってやってみます……! あとはことねもラブリーでぴょんぴょんしている楽曲で、逆に担当キャストとしてステージに立つ時に、自分が普通にカラオケで歌う声と結構違っていて。可愛い声で見せるって、見ている側は軽やかで可愛いらしい感じに見えるかもしれないけど、本当に倍以上体力を削られるんです(笑)。

三宅さん:渋谷の初声公演を見せてもらったんですけど、「世界一可愛い私」とかいつ息してんだろうと思うし、ソロ曲を続けて一人で歌ったりするから、体力すごいなと。

飯田さん:逆に安部菜々ちゃんもキー高いじゃないですか。

三宅さん:高いよね!? 私はいつも高いと思ってスタジオに入るんですけど、出るじゃん、今日だけだよ、って思って帰ります。

飯田さん:ちゃんとウサミンの声のトーンで歌ってらっしゃいますけど、ライブでウサミンの曲を歌うための体力作りとかはどういうことをされていたんですか?

三宅さん:持久力が一番大事で、そのためにもうずっと走る。体力があればなんとかなるので。なんか本番のほうが現場の高揚感とかで150%ぐらいの声が出て、リハーサルでもスタッフさんに言われるのでそうなんだと思うんですけど、だからこそ体力がもたないかもしれないという危機感で、とりあえずやれることやったら本番意外とできるという。

飯田さん:ありがとうございます。もうひとつお聞きしたいんですが、ライブの前日って何をするんですか?

三宅さん:早く寝るとか、ひとりで集中して何度も反復するからとかもあるけれども、「シンデレラガールズ」で印象に残っているのは、美味しいものを食べに行こうって何人かとお店予約して、めっちゃいいもの食べて、早い時間に解散してから、最後にちょっと確認するという。

飯田さん:打ち上げで行くのではなくて先になんですね。

三宅さん:友達や一緒に共演する子と行ったり、ご飯行けない時もホテルとかに前乗りの場合は誰かしらの部屋に集まったり。「シンデレラガールズ」は人数が多いのもあるけど、誰かのところでコンビニで買ったご飯を食べながら、ちょっとしゃべって早めに解散するの。

飯田さん:本当に精神的にも健康になりますよね。

三宅さん:同じような前日の心構えっぽい人たちと美味いもの食べて、うちらは頑張った、できるできる! って。

飯田さん:めちゃくちゃいいですね。いいこと聞きました。どうしてもみんなで集まったりご飯食べるというのはもう終わった後でしか考えられなくて。

三宅さん:でも終わった後も誰かがもうレッスンが無くなって寂しいって言って。1stLIVEのときは10何人とかでご飯食べましたね。

飯田さん:自分が嬉しいことをして、テンションを上げるんですね。

三宅さん:意外とちょっと人寂しくなるんだよね。一緒に歌を歌う子たちがいたら、その人たちと前日にご飯を食べたり、一緒に練習とかもあると思うけど、私もそうだけど1人でやりたい、近いスタイルの人とちょっと飯食って本番頑張ればという、本番のモチベーションを上げるために尊重し合うみたいなところがあったのかなと。

飯田さん:自然とやっていたかもしれないです。「初 TOUR」のライブの前日に練習をギリギリまでやらない方がいいんじゃないかとか色々話し合ったんですけど、結局近づいてきたらやろうやろうとなって集まって。で、3人でやるんですけど終わった後に私となおちゃんはもう前日に頑張ったらご飯食べようってステーキを食べに行ったんですけど、あおいちゃんは逆にもう寝て体力を温存させると言っていたので、確かにそれぞれのあり方があっていいなと思います。

三宅さん:本番ちゃんとできればいいからみんな無理せず、ですね。それこそ一同に集まったり、ゲネプロの時に帰りに飯食って帰るとか、レッスンでいっぱい集まったりするとせっかくだからご飯食べるってなったりしますね。

もっともっと「アイドルマスター」が全世界に広がってほしい

――そろそろ締めていきたいと思うのですが、今回の対談はいかがでしたか?

三宅さん:作品が違うと作り方とかも違いますが、「アイドルマスター」に出ている役者さんってみんな「アイドルマスター」全体が好きだし、他のコンテンツにも注目することがあるから、ライブや収録とかをどういう風にやっているのかという話を聞いて、刺激し合って切磋琢磨するという感じがあります。「アイマス」がお話のきっかけになりますし、本当にアイドルの声優をされている方はどこの現場でもお会いできるから、友達が増えるよ(笑)。

今日も後輩と一緒に普通にいちユーザーとしていろいろ作品の話を聞けて楽しかったし、多分さらに半年経ったらまた話したいことが出てくるんだろうなと思いますね。いろいろキャラクターも増えますし。

飯田さん:私自身も「アイドルマスター」が好きだったので、事務所で三宅さんと一緒になった時も「うわー、すごいな」って。「アイドルマスター」のキャストをされている先輩がいる事務所にいれるのも嬉しいですし、それこそ(「学マス」のことね役が)発表された時には最初に報告もさせていただきました。いつか絶対に「アイドルマスター」のキャストとしてなにかお仕事をしたいというのはずっとお話していたので、今日がその第一歩になって嬉しいです。

私も「シンデレラガールズ」が大好きなので、もう全然語り尽くせなかったことはまだまだあるんですが、これからもこうやって交流の場があったらいいなって思いますし、欲を言えば三宅さんがステージに立つのであれば、アイドルとしても一緒にやりたいなというのが私の一つの夢でもあります。

本当に始まったばかりの「学マス」も、ずっと続いている「シンデレラガールズ」さんもお互いにめちゃめちゃ企業コラボしたり、ずっといろいろな展開が続いているので、私自身も先輩方に負けないぐらい一緒にこのコンテンツを盛り上げていきたいです。

「Campus mode!!」にある歌詞の中で、偉大な歴史をすごいって言うだけじゃなく、ちゃんと自分が握って次に繋いでいこうみたいなことを歌う歌詞があるのですが、その歌詞が大好きで演じたり、ライブに立つたびに「アイドルマスター」のアイドルやキャストの先輩方の顔が浮かんできます。頑張って、もっともっと「アイドルマスター」が全世界に広がってほしいなって思います。

2011年イクセル入社後、Gamerをはじめとした媒体の運営に携わる。好きなジャンルはRPG、パズル、リズム、アドベンチャー(ほぼギャルゲー)。実はゲームよりもアニメが大好きです。

本業はお堅い会社の会社員。かつてはテクノロジー&ビジネス情報メディアの硬派(自称)なIT系編集記者であったにもかかわらず、ゲームエンタメ担当としてこれまで特定のキャラにスポットをあてたゲーム記事や、キャラコンテンツのライブイベント記事を書き続け、特に「アイドルマスター」と「ラブライブ!」シリーズは、10年以上にわたってあわせて100本以上を執筆。諸般の事情により、副業ゲームエンタメライターとして寄稿も行うことに。 アイマス歴は、アーケード版ロケテスト1回目からのプレーヤー。

X(旧Twitter):https://x.com/310kazuya

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