9月6日に東京・新宿バルト9 SC8で開催された劇場アニメ「SEKIRO: NO DEFEAT」公開御礼舞台挨拶のレポートが公開となった。
イベントには、狼役・浪川大輔さん、九郎役・佐藤みゆ希さん、エマ役・伊藤静さん、葦名一心役・金尾哲夫さんに加え、沓名健一監督が登壇。ファンへの感謝と共に、上映を心待ちにしているファンへ本作をもっと楽しむための注目ポイントをはじめ、自身が演じるキャラクターに対する新たな発見など作品愛に溢れたトークが繰り広げられた。

イベント内では入場者特典の新情報も解禁に。9月12日より、キャラクターデザイン・岸田隆宏氏の描き下ろしイラストを使ったビジュアルボード第2弾が配布される。
以下、発表情報をもとに掲載しています
劇場アニメ「SEKIRO: NO DEFEAT」公開御礼舞台挨拶 概要
日時:9月6日(日)16:25~17:05 ※上映前舞台挨拶
会場:新宿バルト9 SC8(東京都新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル 9階)
登壇者(敬称略):浪川大輔、佐藤みゆ希、伊藤静、金尾哲夫、沓名健一(監督)
イベントレポート
株式会社フロム・ソフトウェアが手掛ける、戦国末期の忍びの戦いを描いたアクション・アドベンチャーゲーム「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」を原作としたアニメ「SEKIRO: NO DEFEAT」。9月4日(金)公開以来、大きな盛り上がりを見せている本作。9月6日(日)に公開御礼舞台挨拶が実施され、狼役・浪川大輔、九郎役・佐藤みゆ希、エマ役・伊藤静、葦名一心役・金尾哲夫、そして沓名健一監督が登壇した。
あいにくの雨模様となったこの日、上映開始を控えた場内には多くのファンが詰めかけた。MCの呼び込みで登壇者がステージに現れると、大きな拍手が湧き起こる。
浪川は「狼役をやらせていただきました。この後、雨がすごいとは聞いておりますが、足を運んでいただきありがとうございます」と挨拶。佐藤も「九郎役を演じさせていただきました、佐藤みゆ希です。本当に雨が大変な中、足を運んでいただきましてありがとうございます」と続く。
金尾は独特の切り口で会場を沸かせたのち「葦名一心、金尾哲夫です。よろしくお願いいたします」と名乗り、伊藤は「エマ役、伊藤静です。これからすごい戦いなどが待っていますので、私たちの話で1回ちょっと和ませてから、ぎゅっとなるような命の映画を見ていただきたいなと思います」とこの後の上映へ思いを寄せた。
沓名監督は「初監督で、舞台挨拶が上映前というのは初めての経験になります。何を言ってもダメなんじゃないかと思っているので、できるだけ喋らないでいきたいと思います」と苦笑いを浮かべ、早くも会場の笑いを誘った。MCが客席に原作ゲームの経験を尋ねると8割から9割の手が挙がり、すでに本編を鑑賞したという観客も半数近くに上った。
トークはまず、これから本編を観る観客に向けた「注目してほしいポイント」から。トップバッターの浪川は「おそらく、最初から結構飛ばしていく感じになると思います。やっぱり映画館って乾燥していますので、この映画を見ている最中に、びっくりして口を開けてしまう機会が多いのではないでしょうか。なので、口はしっかり閉じて見ていただけると嬉しいなという風には思いますね」と、ネタバレをしないよう思わぬ角度からのアドバイス。さらに「心臓だけはバクバクしていく感じになると思います」と続けると、伊藤も「口を閉じて、水分を取りながら」と乗っかり、場内は和やかな空気に包まれた。
さらに、佐藤が挙げたのは、キャラクターの表情。「このアニメは全編を通してすごく表情が素敵だなと思っているので、ぜひ表情に注目していただきたい」と語りつつ、その先を話そうとして「これはネタバレになるんでしょうか」と監督の方を覗く場面も。ネタバレ厳禁という制約に登壇者全員が悩まされながらも、終始笑いが絶えないトークとなった。
普段ゲームをしないという金尾は、独自の視点で本作の見どころを語った。「大体のゲームはやっぱり勝ったり負けたりする。でも映画は、勝てばいいというものじゃない。戦いはいっぱいありますけど、誰が悪い、誰がいいなんて関係なく、各々の人生を背負って戦っています。勝てばいい世界ではなく各々、背負っている人間です。そこが見所です」と力強く語り、会場の空気を引き締めた。
伊藤が挙げたのは、本作最大の特徴である全編手描きのアニメーション。「本当に荒々しい、あの時代の荒々しさがありながらも、すごく繊細なところがある。さっきの表情の話にも繋がってくるんですけど、気持ちがすごく伝わってくるような演出があると思います」と語ると、金尾も「みんな繊細だよね、これ」と深くうなずいた。
キャストの言葉を受けた沓名は、「もう金尾さんのご意見があったので、僕は大丈夫かなと」と笑いつつ、真剣な表情で「真面目な話をすると、映画って、私が設計した時間で流れていってしまうんです。『分からない』と思って、それに引きずられてしまうと、その後の展開を楽しみきれなくなってしまうことがよくあると思うんです。自分の演出は少し難しいところもありますので、分からないと思っても気にしないでください。総体で感じ取れれば絶対に大丈夫なように設計してあります。「なんだこれ、分からないな」と思っても、そこで引っかからず、『分からないけど大丈夫』という思いでずっと見続けていただければ、絶対にいいものは持って帰れるはずなので、よろしくお願いします」と続けた。
話題は、なぜ全編手描きのフル2Dアニメーションを選んだのかという核心へ。沓名は「原作は皆さんプレイされているので当然お分かりだと思うんですが、めちゃくちゃクオリティの高いゲーム、かつCGで作られていて、美しい景色がいっぱいありとても表現が豊かでリアル。それに対して、自分は手描きの専門家です。『SEKIRO』をアニメ化するとなった場合、同じ3Dで挑んでもフロムさんに敵う気が全くしなかったんです」と当時の心境を明かし、続けて「こういう偉大なる原作を扱うには、やっぱり自分もガチでいかないといけない。当然ながら、自分の一番いい表現が出せる媒体で挑むしかないという風に考えて、それを企画書に書いて、フロムさんにプレゼンに行った記憶があります」と語った。
手描きへの反対意見はなかったのかと問われると、「先ほど言った話は、アニメ業界の人ならば理解していただけるような話だと思います。企画をOKする側がOKするかどうかというところが問題になるところですが、寛大にもやらせていただけることになって、こういう映画が今、公開できるところまでたどり着けたという形です。感謝しかないです」と、関係者への謝意を口にした。
続いてのテーマは、自身のキャラクターを演じる上で一番心掛けたこと。浪川は寡黙な狼について「原作ゲームをやった方はよく分かると思いますし、PVを見ていただいてもなんとなく感じられると思うんですけど、狼自身が、戦闘マシーンじゃないですが、ちょっと心のないみたいなところを感じられる方は多いのかなと思うんです。それをあえてそのまま表現するのはおかしいなと思っていて。やっぱり狼も狼で、狼らしい心があるというところは、しっかりと演じていきたいなと思った」と説明。
「ただ、セリフ数が多くはないので、その喋らないところをいかに表現できるかみたいなところは、すごく気を付けて演じました。喋り出しや、話を聞いている時、九郎様が話している時、指示をいただく時の空気感だったり、心の変化を作るのを大事にしようとしました」と語ると、金尾がすかさず「やっぱり心あるんだ」と合いの手を入れ、浪川の「当たり前ですよ」というにツッコミで会場を沸かせた。
佐藤は「このアニメーションになって、九郎の視点で物語が進んでいく、九郎の葛藤にフォーカスが当たって物語が進んでいくので、九郎の心情に寄り添いながら、なるべくセリフで嘘のないように、ちゃんと九郎の心情を皆さんにお届けできるようにということを、すごく心がけて演じさせていただきました」と丁寧に語った。
金尾が挙げたのは、本作における「間」の力。「特にこの作品はそうなんですけども、直接相手に言っていることが、その人の本音ではないようなところがいっぱいありましてね。間が多くを語るというところが、実際とっても多い作品だと思うんですよ。特に狼なんて、憎たらしいぐらいの間で。この間が生きてるっていうかね。そこに多くのことを語ってるんですよ。そして九郎さんもそう。息遣いとかも多いよね。具体的に表す軽いセリフよりも、その息遣いの方が感情を表すな、っていうシーンが多いような気がいたします。だから私自身も気をつけるのは、今喋っているセリフがストレートじゃなくて、その裏にある何を言わんとするのかっていうのを表現するよう頑張りましたね。うまくできたかどうかは知りませんが」と結び、再び笑いが起こった。
伊藤は「エマもそんなにガツガツ自分から喋っていくタイプではないんですが、結構いろんな人と関わりがあるキャラクターなので、その各キャラクターとの距離感とか、各キャラクターに対する思いとか、そういうものを込めるようにはしたつもりです」と語る。「エマって慈愛の人というか、そういう立ち位置の人なので、「あいつは嫌い」「こいつは好き」みたいなものはあまり出さないんですが、その中にも少し、関係性から来るものがあったりするので。そういうのを感じ取っていただけたら嬉しいなっていう気持ちで演じました」と明かした。
原作ゲームから約7年を経てのアニメ化。ゲームとは異なり、本作は掛け合いでの収録が行われた。そこで得た新たな発見について、浪川は「本当に発見はあったと思います。狼はそんなに表現を表に出すタイプではないんですけども、やっぱり九郎と掛け合うことで、そこで生まれる何かというのは、その時その時で違うんですけども、信頼関係とか主従関係というものは、話してみて初めて少しずつ積み重ねていくみたいなものが感じられる。見ていただく皆さんも感じられると思う」と手応えを語る。
「本当に、ずっと人を信じ抜くって、普段生きていても難しいと思うんですよね。ただ、掛け合っている間に、どんどん信じ抜くからここまで頑張れる、みたいなものを感じられたのは、本当にいい経験をさせていただきました」と、収録を通して得たものを振り返った。
佐藤も「九郎にフォーカスされているだけあって、ゲームでは直接九郎が喋っているわけではないようなキャラクターとも関わりがあったりして、そのやり取りがとても新鮮で。「こういう風に九郎って喋るんだな」とか、「こういう風に思ったり感じたりするんだな」ということを、新鮮に各所で感じることができたので、よかったなって思います」と収穫を口にした。
金尾は演じた葦名一心について、「簡単に言うと、一心も人間だってことなんですよね。一国の主であり、弦一郎のおじいちゃんであり、家族という形態も持ってる。家臣もいっぱいいますよね。それは責任もありますから。そういうのを背負っている人間だっていうことが発見ですよね。そして、自分の運命に抗う者と戦わなきゃならないというところで戦うんですけども、そこに理由があるというところが発見ですね」と、キャラクターの奥行きを語った。
伊藤は「実際に言葉を交わすことで、『この人との距離感ってこのぐらいなんだ』とか、『この人に対して、今もそんなに感情を出さないけど、このぐらいの思いがあって、それを抑えてもこの感じなんだな』というのを、すごく感じる部分が多かったので。ゲームで孤独に収録していた時とは違って、人間の熱というか、生きる人たちというのを感じたなって思います」と、掛け合いならではの実感を語る。
さらに伊藤は「皆さんが結構低くドーンって来る中で、私も一応こう言ってみたいなという感じで喋り始めたんですけど、みんなに引きずられて、多分ゲームの時よりちょっと落ち着いた声になっていた。自分の声のローギリギリで喋っていた気がするなと思いました」と収録現場のエピソードも明かした。
これを受けた金尾が「そんなエマを演じられている伊藤さんが、僕は一推しですね」と自身のお気に入りのキャラクターを告白すると、会場は温かい笑いに包まれた。
トークの終盤、本作のキャッチコピー「共に。生きて、死ぬために」に込めた思いを問われた沓名は、「さっき、近しいことを金尾さんが言ってくださったんですよ。要するに、キャラクターを人として描きたかったんです」と切り出す。「いろいろな力とか設定はあるんですけれども、それでもやっぱりみんなは人である。人であるならば、必ず生きて、必ず死ぬというところを、ちゃんと描きたい。そういう思いで、こういうコピーになっております」と作品に込めた思いを明かした。
ここで金尾から、登壇者への逆質問が飛び出す。「人気のキャラクター、死なず半兵衛さんっているじゃないですか。皆さんにも質問。死ねなかったら、どうする?」。突然の問いかけに沓名は「これが全く想像できないですよね。でも本当に死ねないなら、やっぱりしばらく人間を見届けたいって思っちゃいますね。「この先、人間はどう生きていくんだろう」という。死ねないなら、もうとことん観察して、記録を残す人になろうかなみたいなことを思うかな」と回答。
伊藤は「最初のうちは(死なないことに)喜ぶと思いますけど、いろんな作品で死なないキャラクターって、大体苦しんでるので。なんかそこをたどるんじゃないかなという気はしますね」と分析し、佐藤は「やっぱり私の大事な友達とかがいなくなっちゃうわけじゃないですか。1人になっちゃうわけじゃないですか。だから、たくさん友達を作ろうと思います」と自身らしい答えを返す。浪川は「今回の作品もそうですけど、やっぱり限りあるものがあるからかっこいいなと思うんですよね。その美しさとか、そういうものだと思うので。限りがあるから、それに一生懸命なれますもんね」と、本作のテーマにも通じる言葉で締めくくった。
トークセッションの後にはフォトセッションが行われ、続いてこの日ならではの最新情報が2件発表された。1件目は入場者特典。9月12日(土)より配布開始となる2週目の入場者特典として、キャラクターデザイン・岸田隆宏描き下ろしイラストを使用したビジュアルボード【第2弾】の配布が決定した。ステージに掲出されたビジュアルに、登壇者からも「かっこいい」と声が上がった。
続いてはコラボ情報。9月11日(金)より、東京タワー メインデッキ 2階にて「SEKIRO: NO DEFEAT」スペシャルプロジェクションマッピングショーが開催されることが発表された。展望台のガラス面一面を使用した特別映像が上映され、本イベントのために新たに描き下ろされた映像も含まれるという。
イベントの最後には、登壇者一人ひとりから観客へメッセージが贈られた。
沓名「ちょっと緊張しながら、ちょっとちぐはぐなトークをさせていただきました。この後、上映です。先ほども言ったように、心を穏やかに、心を開放して見ていただければ、必ず持って帰っていただけるものがあるはずです。ぜひご覧ください」
伊藤「たくさんのキャラクターたちの生と死が詰まった作品になってますので、皆さん、口を閉じて、たまに水分補給をしながら、心してご覧いただけたらと思います。短い時間でしたが、ありがとうございました」
金尾「これからご覧になるわけですよね。存分にお楽しみいただきたいと思います。そして、見終わって感動していただきましたら、お友達とか知人の方に『素敵だったよ』と一言お声がけしていただければ幸いです。じゃあ、存分にお楽しみくださいね」
佐藤「私の声優人生の中でも、すごい宝物のような作品になったと思っております。それを皆さんが、今日足元の悪い中、わざわざ劇場に足を運んでいただいて、これから見てくださる。この場に私が今日いれたことが、とても嬉しかったです。これから存分に堪能してください」
浪川「公開3日目ということで、本当にありがとうございます。3週間という短い公開になるかと思いますけども、何回も見ていただければ嬉しいなと思います。何回も見れば新しい発見がありますし。本当に、いろんな生き様がこれから見られると思います。それを最後まで見届けていただけたら、見るというか、体感できるというか、そういう映画になってるのかなという風に思いますので。ぜひ見終わった後、監督が言うように、すっと入ってくるものがあると思いますので、それをいろんな方に教えていただいて、宣伝していただいて、残りの公開を皆さんに盛り上げていただければ、本当に嬉しいです。どうぞよろしくお願いします」
と、それぞれが観客へ思いを届け、大きな拍手の中、イベントは幕を閉じた。
劇場アニメ「SEKIRO: NO DEFEAT」は、2026年9月4日(金)より全国劇場にて3週間限定上映中。
公式サイト
http://sekiro-anime.jp/
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