「東京ゲームショウ」30年の軌跡:第1回開催時は87社だった出展社が、2025年には1136社に。さらに30年後、2056年の“日本のゲーム産業”のためにできること【TGS2026】

東京ゲームショウ2026
0コメント 小林白菜

千葉・幕張メッセにて9月17日~21日にかけて開催の「東京ゲームショウ2026」。17日にHALL1 イベントステージにて開催された「基調講演|東京ゲームショウ30年の軌跡と、2056年に向けた提言」のレポートをお届けする。

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今年で1996年開催の第1回から30年の節目となる東京ゲームショウ。日本のゲームタイトルが企業の垣根を越えて一堂に会するものとして始まったイベントは、いまや国の垣根すらも超える規模のものとなっている。

東京ゲームショウ、ひいては日本のゲーム業界が、さらに30年後の2056年に向けて取り組むべきことは何なのか? そんなテーマが設けられたこの基調講演は、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の会長にして、カプコン代表取締役社長でもある辻本春弘氏と、KADOKAWA Game Linkage/ファミ通グループ代表の林克彦氏によるトークセッションという形で行われた。

コロナ禍にオンライン開催を実施したことがターニングポイントに

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基調講演の前半では、「東京ゲームショウ」の30年間の変遷や行われてきた取り組みについて振り返ることに。

記念すべき第1回の開催となる「東京ゲームショウ'96」は、翌97年から今年まで続く幕張メッセでの実施ではなく、東京ビッグサイトにて行われた。それまでも任天堂やソニーなどプラットフォームホルダー主導のゲームイベントはあったものの、ゲームパブリッシャーが協力し合って実施する独自のイベントが必要であるとの判断が開催の背景にあったという。

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その後、イベントの規模は年々拡大し、2007年からは4日間開催に。第1回では87社だった出展社数は、昨年2025年は過去最高となる1136社を記録。うち過半数となる615社を海外メーカーが占めている。

2006年からCESAの理事を務め、長い歴史を当事者として見てきた辻本氏は、とくに印象深かった出来事を尋ねられると、コロナ禍を受けて初のオンライン開催となった「東京ゲームショウ2020」を挙げた。この年はほかの業界のものも含め、世界中であらゆるイベントが中止となっており、東京ゲームショウもまた、完全に中止することも含めていろいろな意見があった模様。

しかし、「日本のゲーム産業が暗い世の中を明るくするために頑張ろう」という意識のもと、オンライン開催に踏み切ったということだった。林氏は、「このときの判断があったからこそ現在の盛況に繋がっているのではないか」と見解を示した。

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ほかの象徴的な試みとして、「東京ゲームショウ2017」で行われた“e-Sports X ステージ”が紹介された。法律的な観点から高額の賞金が付く大会が開催できないという日本特有の事情を踏まえて、「e-Sportsのイベントをもっと身近に体験してもらいたい」というのが、実施の経緯だったという。その後のe-Sports推進の“取っ掛かり”になったイベントだったと辻本氏は振り返る。

このように、東京ゲームショウの変遷は、その時代ごとのトレンドをいち早く取り入れ、日本のゲーム産業のバロメーターとして変化し続けてきた歴史でもあったのだ。

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規模が拡大するにつれ来場者数も増加の一途を辿っており、混雑緩和が大きな課題となっていたことも話題に。大手メーカーのブースが集まるエリアが特定のホールに集中していた時期がしばらく続いていたが、これが来場者の多くを密集させる要因になっていたとして、ここ数年は大手メーカーのブースを分散させるレイアウトへと改善されている。

また、今年の「東京ゲームショウ2026」が史上初の“5日間開催”となったのも、これまでの4日間開催では集客においてキャパオーバーとなりつつある状況を踏まえた面があるとのことだった。

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カプコンで求めているのは“有名大学出身者”ではなく、“即戦力になってくれる人材”

講演の後半では、日本のゲーム産業と東京ゲームショウの未来に向けた取り組みについて語られた。まずは日本のゲーム業界の現状について、データをもとに説明。

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「CESA ゲーム産業レポート2026(完全版)」によれば、世界のゲーム市場はこの5年間で約1.5倍に拡大。国内の市場規模も過去最大となっている。辻本氏は、「ゲーム産業は“浮き沈みの激しい産業である”というイメージを持たれがちだが、(販売方法の)デジタル化により全世界で売上が積み上がる堅実なビジネスモデルになっている」と説明。

業界の平均年収は770万円、初任給は26.6万円。近年では、政府が経済団体などに対して初任給の引き上げを要請しているが、ゲーム業界は多くの企業でコロナ禍以前から初任給アップを実現してきていた。

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そんな状況を踏まえ、CESAが未来のゲーム産業のために出来ることや、いままさに実践していることを解説。

CESAが現在行っていることのひとつとして、インディーゲームに対する支援体制構築が挙げられた。東京ゲームショウにも関わりが深いものとしては、優れたインディーゲームのアイデアの発掘を目的とした“SENSE OF WONDER NIGHT”と“SELECTED INDIE 80”がある。これらで高く評価された国産インディーゲームである「ダレカレ」は、のちに世界のさまざまな賞レースでも受賞することになる。

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また、産業の成長を支える人材の育成については、文化庁とCESAが連携して実施している“Top Game Creators Academy”(TGCA)や、“ゲームクリエイタースキル実証プロジェクト”の取り組みについても解説。

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昨年末からはじまった、有名ゲームクリエイターを小中学校の授業に派遣する試みについても紹介。この試みにおいては、現場のニーズと世間の認識のギャップを埋める意図もあるとのことだ。

小学生の「将来就職したい職業ランキング」では例年ゲーム制作関連職が上位になっている。「子どもがゲームクリエイターになりたい」と言った場合、親は「ちゃんと勉強して有名大学に入ろうね」と話すかもしれないが、少なくともカプコンの場合、求めているのはそういった人材ではないという。小中学生、高校生のうちからいろいろなゲームに触れて、自分でゲームを作る上で必要なことを学び、その強みを自分で伸ばしてくるような、即戦力になる人材を求めているのだと辻本氏は語った。

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そのために、先生や親御さんの認識から変えていく必要があるというのが、こうした試みの目的のひとつだということだった。

最後のテーマは、「市場シェアとしては決して大きいとは言えないにも関わらず、日本のゲーム市場に世界から注目が集まる理由と、それを踏まえた東京ゲームショウの未来」について。

これについては、スマートフォン向けゲーム(モバイルゲーム)の市場規模が大きい現状があるが、「人はより良いものに流れていくので、家庭用ゲームやPCゲームにこそ伸びしろがあり、これらの市場でストーリー・キャラクターにおいて独自の人気を博するタイトルが存在する日本のゲームがさらに広まっていく状況になるのではないか」ということだった。

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トークでは取り立てた言及がなかったが、スライドのほうに描かれていた“日本の目利きユーザーの評価力によって、日本で支持を受けたゲームタイトルはブランド力がアップする”という図式も、世界が日本ゲーム市場に注目する理由のひとつとして考えられそうだ。

そうした日本のゲームの長所を活かす方法として、国内のマンガ・アニメ産業との連携をさらに強化する方針も模索しているようだ。辻本氏は、「日本のマンガ・アニメ・ゲーム」を総合して“JIP(日本のIP)”と呼ぶことを提言。

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「世界における浸透度はマンガ>アニメ>ゲームだが、マンガとアニメはマネタイズがあまり上手く行っていない状況も見られる。マンガやアニメで広めたIPをゲームでマネタイズするような戦略を展開すべきではないか?」との見解を示した。そうした今後の戦略を考える上で、東京ゲームショウはこれまで以上にゲームビジネスの商談の場として重要なポジションにしていきたいということだった。

最後に辻本氏は、ゲームという知的産業を今後ますます成長させるために、「いまの人たちが潤うためだけに行動するのではなく、将来ゲーム産業で生活する人たちの人生がハッピーになれるように頑張っていきたい」と、講演を締めくくった。

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なお、この基調講演はYouTubeでもアーカイブが視聴できる。あわせてチェックしてみてはいかがだろう?

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